『黒魔』side
御主人様…アルビノ様がお休みになられましたね…。
『10日後のダンジョン解放まで一刻たりとも無駄にはできません…今のうちにダンジョンからの情報を整理しますか…』
先程は初歩的な範囲のみに絞って話しましたが、アルビノ様をお助けする為に私たちモンスターにはあれ以上の詳細な情報が与えられています。
全てを一度に理解するのは不可能なので解析を中断していましたが…今のうちに再開しましょう。
『ふむふむ…なるほどダンジョンにはそのような機能が…』
数時間後…
『次はダンジョンマスター…アルビノ様の持つ能力についてですね…ふむふむ…ダンジョンマスターは睡眠・食事を必要としない…ん??』
アルビノ様はガッツリ寝てますけど???どゆこと??
『ダンジョンマスターが眠気を感じる条件は…種族進化の際の休眠状態のみ………???』
え…アルビノ様
少し嫌な予感がします…これは"上"に相談案件ですね。
『モンスター権限発動『ヘルプ』』
もしもしー
はい、先程生成された『黒魔』です。
その問題は既に認識している?話が早くて助かります、それでアルビノ様は今どういう状態なのでしょうか?
莫大な経験値の入手による進化のための休眠状態…原因は?
最初の権能使用で予想外の最高スコアを叩き出して初期の最高ランクのモンスターを生成したから?そんな…私のせいで…!!
緊急事態につき私がダンジョンマスター代理に!?そんなに長期間お休みになられるんですか!?
……わかりました!アルビノ様の長期休眠の責任は私にあります!ダンジョンを守り切って見せましょう!
ツーツーツー………
『…アルビノ様は私が守り抜いて見せます!』
まずは本当にダンジョンマスター代理になっているのか確認しなければ…。
『『
「チュー!」
召喚したネズミの使い魔に憑依してダンジョンコアに向かわせる途中、ふと考える。
『最初から使い魔に憑依すればアルビノ様に迷惑をかけずに済んだのでは…?』
「チュー…?」
ダンジョンコアの前でやっちまったと霊体の頭を抱える私を心配そうに見つめるネズミの使い魔に思念を送る。
『いえ…なんでもありません。ダンジョンコア…起動』
霊体の手を伸ばしてダンジョンコアに触れると、目の前に灰色の石板が現れました。
アルビノ様とは少し違いますね…コレが代理ということでしょうか?
ダンジョンメニューは…ありました。
▼DP:850
・ダンジョン拡張
・ダンジョン改変
・モンスター生成
・モンスター強化
ふむふむなるほど…このように操作するのですね。
外の環境がどうなっているかもわからない…あと10日で万全の準備を整えてアルビノ様を…守護らなければ!
〜10日後〜
10秒後にダンジョンを解放します
10…9…
とうとうこの時がやってきました…。
『皆さん、全力でアルビノ様を守り通しますよ!』
「「「オオオォォーー!!」」」
「「「チュー!!」」」
…3…2…1!
ダンジョンを解放します
ガコンッ……!!
歯車が回るような音と共にダンジョンの入り口が解放されると…ぎゅうぎゅうになった
『…ッ
「「「オオオ!!」」」
『
「「「チュー!!」」」
この状況からして恐らくダンジョンの入り口はアーミーアントの巣穴の中!
アルビノ様が私レベルのモンスターを生成しなければ少し不味かったかもしれない…不幸中の幸いですね!
『皆さんには守りを任せます!私は殲滅を!』
「「「オオオ!!!」」」
「「「チュー!!」」」
敵の近くにいるガーゴイルを伝ってアリに憑依し、アリ達の生命力を奪いながら奥の方のアリに憑依して進んでいく…。
『これは…凄まじい数ですね』
これだけの数のアーミーアント…確実に
ならば…この数を利用する!
『〈黒魔法『ブラックワーカー』〉…伝染型!』
私の得意とする黒魔法『ブラックワーカー』は対象を傀儡にする呪系統の魔法!伝染型は被呪者と接触するだけで効果が伝染します!
A
アーミーアント達はぎゅうぎゅうで漏れなく接触状態なので瞬きの間に群れの大多数を傀儡化に成功!
最奥にいる双子のクイーンも発見!
『命令『動くな』』
群れの大多数を無力化…後は奥にいる双子のクイーンを殺すだけ…ですがここまでの好条件、皆殺しは勿体無いですね…。
アーミーアントの群れの中で憑依を繰り返して数分… クイーンの周りにいる近衛アリに憑依できました。
『これは…若いですね』
活きの良いクイーンはDP稼ぎに最適…しかも2体…ヨシ!ここを狩場にしましょう!
万が一があるので近衛アリ達には死んでもらいますかね。
『〈黒魔法『ブラックデス』〉』
「「「キシャッ…」」」
『〈黒魔法『ブラックワーカー』〉…命令『ダンジョンに向かえ』』
即死効果のある魔法で近衛アリを始末した後、死体を操ってダンジョンに向かわせます。
『ブラックワーカー』は死体も傀儡にできるので便利です…私は先にダンジョンに戻りましょう。
支配下のアーミーアント達を伝ってダンジョンに戻ってきました。
『戻りました、状況は?』
「オオオ…!!」「チュー!」
『なるほど、まだまだ余裕ですか。私はダンジョンを操作するのでここは任せます』
アーミーアントの死体が積み上がった一階層を後にしてコアルームの中心にあるダンジョンコアに触れます。
ダンジョン内の死体を自動吸収しますか?
はい いいえ
『はい』に触れると、使い魔達から死体が消えたと思念で報告が来ました。
軍隊蟻の死体×61を吸収しました
DP×305を入手しました
死体の吸収だけでDPがこんなに…!!これは…稼ぎ時ですね!
まずは吸収できる範囲を広げますか…。
▼DP:355
▼ダンジョン拡張
ダンジョン外に領域を拡張しますか?
消費DP:200
はい いいえ
石板の『はい』に触れ、残りのDPでもう一体ガーゴイルを生成、手伝いに回します。
『これから忙しくなりますよ…!』
ガーゴイル達は体が硬質化した近接型の悪魔…魔法を使わない肉弾戦ではほぼ無限に戦い続けられます。
クイーンは生産工場のようなものなので近衛アリを殺したことでほぼ無力化…DPの量産体制が早くも整おうとしています…アルビノ様は起きたときどこまで喜んでくれるでしょうか…!
ああアルビノ様…!私が御主人様が不在のダンジョンを守り切って見せます!
〜数日後〜
『どうしましょう…完全にDPの量産体制が整ってしまいました……ダンジョンの拡張でもしますか…』
〜数ヶ月後〜
『アルビノ様…中々起きませんね…もう少し活動範囲を広げますか…』
〜一年後〜
『いくら長期休眠といえども長すぎやしませんか!?御主人様とお話ししたいよぉぉぉーーー!!!』
〜5年後〜
『これで50階層目…後は横に広げますか……』
〜10年後〜
『御主人様…人里まで支配領域が広がりました…はぁ…いつになったら起きてくださるのでしょうか……』
アルビ ノワルside
『アルビノ様……起きてください……』
『黒魔』の声で意識が浮かび上がってくる…6時間経ったのかな…?
「ふわぁ…『黒魔』さん…?」
私を見てあんぐりと口を開ける『黒魔』さん…というか…。
「あれ…私が描いた時の姿にもなれるんだね」
『アルビノ様ぁぁぁーーーーー!!!!』
「うわあ!?急にどうしたの!?」
いきなり叫んで飛びついてきた『黒魔』を抱きとめて困惑する私、そこに追い討ちをかけるように衝撃的な事実が告げられました。
『10年と55日ぶりのアルビノ様だぁぁぁ……!!』
「……………はい?」
10年と55日???本当にそんなに寝てたんですか!?言われてみればコアルームの内装がお上品になって…って!!
「ダンジョンはどうなったの!?」
『ご安心下さい!!アルビノ様がお眠りの間この私めがこのダンジョンをお守りさせていただきました!
さあさあステータスをご覧になって下さい!!』
『黒魔』に言われるままダンジョンコアに触れると…寝る前に見たばっかりの気がするホログラムが現れました。
真名:アルビ ノワル
種族:
職業:ダンジョンマスター
権能:『描画』
DP:1,951,037
侵入者:25
「……」
『アルビノ様があまりにも長い眠りについていらっしゃったのでかなり時間がありまして…ここまでダンジョンを発展させてしまいました!
DPには余裕があるのでお気に障りましたらいつでも作り直します!
いやーそれにしてもアルビノ様が起きて下さり本当に助かりました!』
桁がおかしいDPといつのまにか変わっていた種族に思わず無言になった私に冷や汗をダラダラ垂らした『黒魔』が早口で喋り切った内容に少し違和感を感じ、恐る恐る聞いてみた。
「…まだ何かあるの?」
『あの…なんらかの方法で私…新種の悪魔が誕生したのが発覚したようで…『黒魔』が魔王に認定されてしまって…討伐隊が組まれていたそうで…この侵入者ってのがその討伐隊です!』
「えぇ……?」
……どうやら私は本当に長い間眠っていたらしい。