アルビ ノワルside
「『赤獣』さん子猫にもなれるんだね…カワイイネ…」
「ニャ〜!」
『黒魔』さん提案の植樹式を中継で見ることができるらしく、ダンジョンコアのホログラムに『黒魔』さんの視界が投影され、コアルームに残っていた使い魔のネズミさんが私たちを映す役割になってくれた。
『アルビノ様、ここで宜しいですか?』
「うん、討伐隊のいる村とダンジョンの間でお願い」
『了解しました』
皆で『緑王樹』さんをどこに植えるか話し合った結果、『緑王樹』さんが討伐隊との戦闘に参加できるよう討伐隊のいる村との間に植えることが決まった。
私がダンジョンメニューから生成したモンスター達が何故かズタズタになっている地面に穴を掘り、『黒魔』さんが特になんの合図もなく種を投げ入れた後、魔法で水をかけながら埋め戻した。
『さて…そもそもどれくらいの速ザザッ…全ザザ…退…!』ブチッ
『黒魔』さんの言葉の途中で中継映像が乱れまくり、一瞬だけ隆起する地面が映った後映像が途切れてしまった。
私たちが驚く暇もなく、地上の衝撃が地下のコアルームまで到達した。
ゴゴゴゴゴ………!!
「ワァァ!?何コレ!?」
「地鳴り…?大丈夫だよ『赤獣』さん……『黒魔』さんは無事かな…」
地鳴りに驚いて人型に戻った『赤獣』さんを宥めながらダンジョンコアに触れ、モンスター達の状態を確認する。
…よかった!誰も死んでいないみたいだ。
コアルームにいる『黒魔』さんの使い魔から念話を送れるか聞いてみると、すぐに念話が繋がった。
「すごい地鳴りがしたけど大丈夫!?『黒魔』さんは無事?『黒魔』さん?」
『アルビノ様…こちらは皆無事ですが…』
無事がわかって少し安心したところで、『黒魔』さんの困惑した様子が伝わってきた。
「よかった…!今の地鳴りの原因は分かる?」
『ええ…その…外に森林が出来ました』
「……はぁ?」
『黒魔』は何を言っているのだろう。外は乾いた土に覆われた荒野のはず…。
『黒魔』さんの言葉に半信半疑になりながらダンジョンメニューを開く。
「ダンジョン周囲の環境……本当に森林になってる!?」
「ナンデ!?」
『恐らく『緑王樹』さんの仕業だとは思いますが…今のところコンタクトが取れていません、そちらで何かわかる事はありますか?』
わかる事…わかる事…あ!ダンジョン通知が来てる!
『緑王樹』が侵入者と戦闘を開始しました!
「」
「ン?ドウシタアルビノ様………エ?」
『アルビノ様…?何か分かりましたか?』
信じられない内容のダンジョン通知に言葉を無くす私達に『黒魔』さんが話しかけてきた。
「てっ!」
『て?』
侵入者と『緑王樹』さんが戦ってる…!今すぐ皆で助けに行かなきゃ!敵襲って言わなきゃ!
「敵ちゅっ!?」
『…今噛みませんでした?』
「…『緑王樹』ト侵入者ガ戦闘中ダ!」
『何ですって!?』
「私モ今スグ向カウ!!ドウニカシテ『緑王樹』トコンタクトヲ取ッテクレ!!」
『了解です!』
私に出来ることは指示を出した後瞬きの間にコアルームから出ていった『赤獣』さんにエールを送ることだけだった。
「が…がんばれー!」
討伐隊side
『転生者』…この世界にある日突然生まれるようになった存在。
この世界とは違う世界の記憶を持ち、強靭な肉体と特殊な能力を持つ…いわゆるチート転生者である。
『転生者』がこの世界に生まれるようになってから29年…既に『転生者』の大半は合流し、一つのコミュニティを形成していた。
それが私達『黒の旅団』…幻影旅団のパクリとか言ってはいけない。皆が薄々思っていることである。
もちろん彼らにもこの世界の家族が居るので、親戚や友達を連れて合流する者もいた。
その結果『黒の旅団』は転生者14人と現地人11人の合計25人で活動する団体となったのである。
ちなみに何故『黒』なのかというと…全ての転生者が共通して前世で『或日のわる』というVtuberを推していたからである。のわる…ノワール…黒!って感じでノリで決まったのだ。
のわる様がこの世界に転生しているのかは今のところ分かっていないが、皆がのわる様をリーダーにする気満々で捜索を続けている。
そんな私達にかなり特殊な依頼が送られてきた。
各国の冒険者達を繋ぐ組織…冒険者協会からの依頼書には
『信仰系スキルの持ち主が『黒魔』というモンスターの情報を入手、配下の数からこれを『魔王』として討伐対象に指定し、『黒の旅団』に討伐を依頼する』
と書いてあった。
探索活動中心の冒険者達の手に負えないと判断した冒険者協会が対モンスター専門の『黒の旅団』に依頼を送ってきたのだろう。
私達は依頼を受けることを決め、ギルドからできる限り情報を得た後現場に向かった…んだけど……。
「聞き取り終わりました!極めて平和って感じですね!」
「…やっぱり?」
村人から聞いた内容は『魔王』って感じは全然しない、協会から聞いた情報と合わせると他人と関わりたくない引きこもりって感じがしてきた。
もはや『黒魔』に親近感すら感じ始めている。
それから数日間周囲を調べて回っても特に不審なものは見つからなかった。
完全に帰る雰囲気が出来上がってきたその時…大地が揺れた。
ゴゴゴゴゴ………!!
「地震!?懐っつ!!?」
「わぁぁぁ!?何コレ揺れてる!?」
「今は揺れだけだ!次を警戒しろ!」
「索敵班!発生源は分かるか!」
ベテラン組の声かけに応じて素早く索敵・警戒を始めたメンバー達の中から、『魔弾』スキル持ちの鉱人族のデニムさんが右腕が変形したライフルのスコープを覗き込みながら声を張り上げた。
「北方に巨大樹を確認ッ!!こっちに向かって森が侵食してきてる!!」
「了解!戦闘班は迎撃を!それ以外は村人の避難をお願いします!!」
「「「了解!!」」」
デニムさんの指した方角を見ると確かにかなり遠くに先程までなかった大樹が聳え立っている。
あちらの方から森林が侵食してきていると言っていた…成長速度からして相手は植物系かつ
これまでにない激戦になりそうだ…皆には出来るだけ傷付いて欲しくないけどやるしかない!