黒の旅団side
相手は明らかに格上!転生特典持ちの戦闘班で迎え撃つ!
「ナツサメちゃんはひでり!モイちゃんは補助お願い!」
「「了解!」」
ナツサメちゃんは『天候操作』スキル持ちの普人族!彼女の『天候操作』スキルはただ天候を変えるだけじゃない!操作した天候に魔術的な効果を付与して範囲内のあらゆる存在を強化・弱体化できる!
先程発動した『ひでり』の天候下では植物系の力が大きく下がり、炎熱系の力が大きく上がる!敵味方の識別をしない縛りで出力を大きく上げる事に成功したナツサメちゃんの固有魔法だよ!
モイちゃんは『強化魔法』持ちのエルフの少女(29)!通常の『強化魔法』と一線を画す応用範囲を誇るバッファーとして各種スキルを最適な形で増幅するよ!
「〈強化魔法『射程拡張&上限突破』〉やっちゃえナツサメちゃん!」
「ありがと!〈天候操作『ひでり』〉!!」
『天候操作』スキル持ちのナツサメさんの天候効果をモイちゃんの『強化魔法』で増幅!見た感じ巨木の辺りまで周囲が一気に真夏の暑さに早変わり!
そんな事してるうちに目前まで迫ってきた『森』がこちらに鋭く尖った根や枝を突き出して襲いかかってきた!
「セイッ!『スロー』!」
「「「ナナちゃんナイス!」」」
『速度操作』スキル持ち魔人族のナナちゃんが『森』の一部に触れた瞬間、森の全ての動きがスロー再生のように遅くなった。
一部に触れただけでこの効果範囲…!やっぱりこの森は全て同一個体!
「うごごごご……ちょっときついかも!!」
巨大な生物の速度を操作する負荷で動きを止めたナナちゃんに『森』が攻撃をしかけるが…流石にここまで遅くなればうちの3人で対応できる!
「ドラァ!」「オラァ!」「無駄ァ!」
「3人ともさんきゅ!」
3人のむさ苦しい男達の殴打を食らった『森』の末端は次々と崩れ、千切れ飛び、抉り取られる。
『崩落』スキル持ちの鬼人族のムツゴロウさん、『反復』スキル持ちの普人族のゴジューニンさん、『次元』スキル持ちの犬系獣人族のイネムリさんの3人は基礎能力が
彼らは「柱の男」を名乗っているが普通に「柱の男」達に失礼なので皆「変態三銃士」と呼んでいる。
「三人は前線維持よろしく!」
「「「イエスマム!」」」
「バフ送るねー!」
「「「はーい!!」」」
天候の操作が安定したナツサメちゃんの補助から外れたモイちゃんが三人に強化魔法を送り、物量で少し押され気味だった3人が押し寄せる『森』を安定して捌けるようになってきた。
「…そろそろかな?」
「準備完了です!」
私が呟くのと同時にグレンさんが大声で叫ぶ。
「後続を完全に断ちます!油魔法…範囲指定…『染み付き 離れぬ 呪いの海 地獄の業火よ 永遠なれ』…行け!!『ナパームフレア』!!」
「スラくん!カバーお願い!」
「了解!」
空中に巨大な油の球体を生成したのは『油魔法』持ちの猫系獣人族のグレンさん。彼の『油魔法』によって生成された油の球体がゆっくりと森の中心に堕ちた後、ごう!と爆音が響き渡り、燃え盛る油の津波が森の一角を蹂躙し始めた。
爆音と共に飛んできた『ナパームフレア』の欠片を『増殖』スキル持ちスライムのスラくんの分身が包み込んで無害化する。
グレンさんの『ナパームフレア』は使用中も使用後も細心の注意を払わないと味方に被害を出しかねない危険な魔法だけど、スラくんみたいに広範囲をカバーできる能力持ちがいれば話は別。
後処理も少し面倒だけど他のメンバーも動員すれば数日で可能だからここまでの戦闘で使わない選択肢はない!
「ミサさんが本体と接敵!」
「了解!ロフスさんとウルシさんは…もう行ってるね!デニムさんとサシミさんは援護よろしく!グレンさんは前線の援護!」
「「「「了解!」」」」
『忍術』スキル持ち普人族のミサさんが敵の本体と接敵したみたい。
『刻印』スキル持ち竜人族のロフスさんがマーキングした呪符の地点へ鉱人族のウルシさんの『糸魔法』で瞬時に移動して戦い始めてる!
デニムさんがロフスさんの『刻印』スキルを使用した特殊弾で援護、『鮮魚操術』スキル持ちの鮭系魚人族のサシミさんに魚系モンスターの増援を送らせて…よし!…皆のロールが定まったところで私も全体の支援に向かうよ!
あ!ロフスさんが樹木にホームランされそう!
「『リモートシールド』!」
バキャッ!!
「っぶな!?サンキューモエさん!」
私は『結界魔法』スキルを持って生まれたモエ!『黒の旅団』の暫定団長です!
ミサside
私は『忍術』スキルを持って生まれたミサ…スキルで調整した魔力反応が極めて微弱な術法と魔力が全く無い体質を生かして森の中を進んでいく。
本体は明らかにあの大樹の中…Aランク以上の植物系のモンスターは何らかの生き物の姿をした本体を作る事が多い…それを見つけてロフスさん達にバトンタッチすれば勝ち!
(……みつけた)
入り組んだ太い枝の中に緑髪の少女!かわいくて正直気乗りしないけど仲間と村人達を殺そうとしている時点でやるしかない!
背後でグレンさんの『油魔法』らしき魔力が弾けたのと同時に極小の煙玉を相手の目前で弾けさせてデニムさんに位置を教え、ついでに背後から急所っぽい位置を貫い(動くな)ッ!?
「何ッ!?こんな所まで!?」
脳内に女性の声が響き渡ると同時に首元にピタリと冷たい物が添えられる。やられた…!そしてなんで
『不用心が過ぎますよ、『緑王樹』さん』
「……あ、あなたが私を植えてくれた『黒魔』さん?」
『緑王樹』と呼ばれた少女が私に話しかけてくる…って『黒魔』!?
『おっと…動かないで下さいね、あなたの魔力が無い体質も対策済みですよ』
「…!!」
再び脳内に声が響く…この感じは憑霊タイプの悪魔か…!最悪!!
『さて…『緑王樹』さん、無断で侵入者と戦闘に入った理由をお聞かせ願えるでしょうか』
「あ…えっと…そのぉ…」
なんか詰められてる!?会話の内容的にあの『森』はイレギュラーなのかな…ていうかここまで理性的なモンスターは初めて見た…これワンチャン負けるな…どうしよう。
「…目覚めた時に近くに侵入者がいたから…どうにかしないとと思って…ごめんなさい」
『…良いでしょう、戦いは…む!来ますよ!』
「え…だぁっ!?」
『黒魔』が会話を中断した次の瞬間、『緑王樹』の頭に弾丸が直撃した。デニムさんの狙撃だ!
『『緑王樹』さん!?』
「ぐぬぬ…!!私怒りましたよ!?」
頭の傷から魔力を漏らしながら皆がいる方を睨んだ『緑王樹』…とんでもない威圧感…!本能が爆音で警鐘を鳴らしている…コレ完全にAランクどころか
『増援が来ますね…『ブラックワーカー』』
げ!体が勝手に動いて…ああまずい!私をサシミさんの魚達にぶつけるつもりだ!
「ああああごめんなさーい!!?」
「ギョッ!?」「シャシャッ!?」「キュルルル!?」
私の体が勝手に動いて魚達を切り裂いていく。これでこっちの状況は伝わったかな!?
やっば……『緑王樹』が既にデニムちゃんの狙撃を三発も防いでいるうえ皆の方ですごい轟音がする…ナナちゃんの『スロー』がまだ生きていてコレはかなり不味い!
『『緑王樹』さん!後ろから!!』
「えっごべっ!?」
『黒魔』の声に反応しきれず『緑王樹』の後頭部から鈍い音が響く。
直後虚空からヨーヨーが現れ、物理法則を完全に無視した軌道で暴れ始める。二人が来た!
…ていうかロフスさんのスキルで当たるまで認識できなくなってるヨーヨーを『黒魔』に気付かれた!マジでどんなスキル持ってんの!?
「こなくそっ!!」
『緑王樹』が髪の毛に擬態していた部分を蔓に変えて逃げ回るヨーヨーを捉えようと動き出した…植物だけど頭に血が上ってる!今なら…『『緑王樹』ッ!!まだ来ますよ!!』これ思考読まれてるな!!
『黒魔』の叫びはまたもや間に合わず、『緑王樹』の目の前にこれから爆発するよ感あふれる光り方のヨーヨーが現れ、閃光が視界を埋め尽くした。
「〈赤魔法『レッドストリング』〉」
「グワー!!…あれ?」
『緑王樹』が眩い光に包まれたと思った数秒後、無傷の『緑王樹』が出てきた。本人も困惑している…今度は何だあ!?
ドカンッ!!
「ッ
「ウルシさん!?」
「ハハッ!結構殴リガイガアルジャネエカ!ットオマエモナ!!」
「バレるんかい!!って何コレ熱ッつ!!!」
私の横にウルシさんが吹き飛ばされてきた。
腕に拳の跡が付いたウルシさんの目の前に赤髪の少女が飛び降りて嬉しそうに叫び、認識できないはずのロフスさんを殴り飛ばして巨大な木の壁に叩きつけた。
嘘でしょ…『黒魔』と同格以上のモンスターが三体…マジで言ってんの!?
「またやられた…!ムカつく!」
『…しょうがないですね、やりますか』
「マダマダ殴リ足リネエナァ!!」
相手は推定
こっちはデニムさんの狙撃にサシミさんの魚達…そしてウルシさんとロフスさん!!こっちも強いけど相手が悪すぎる!!まずいよぉ!!
絶望に包まれていた私の耳に、前世で親の声より聞いた馴染みのある声が飛び込んできた。
今この瞬間、殺し合おうとしていたその場の者達が一斉に動きを止める。
『待ってストップストーーーップ!!!』