神代の大魔族と神話の魔法使い   作:匿名希望

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 前回のクーリオに一斉にキモいコール来てて笑いました。

 まぁ魔族だし人間と同じ思考してるとは思わないんでこれぐらいぶっ飛んでてもいいでしょ(適当

 


#5 虚無から万象を生み出す魔法

 

 

 魔法戦の火蓋を切ったのは先ずクーリオだった。

 

 彼が杖を空に向けて一振りすると先端から光の柱が天の果てまで伸びると、そこから弾ける様に四方に拡散し多面体の結晶を無数に形成する。

 

 雲の上に形成された結晶は太陽光を集束し熱線として放ちながら、進行方向に存在する別の結晶によって複数に拡散する。これを数え切れない程繰り返し、網目の様になりながら多方向からゼーリエに襲い掛かった。

 

 同時に、虚無から万象を生み出す魔法(リライト)によって天地をひっくり返す(重力方向を真逆にする)と上に落ちる彼女を狙い撃ちにする様に剥がれ落ちた地表を大隕石(メテオ)へと再構築し、射出する。

 

 更に風を刃とし、左右逆に回転する竜巻を二重に重ねて両立させると、上下左右からの飽和攻撃をゼーリエへと浴びせかけた。

 

 彼は前回の戦闘で周辺の日差しを無差別に殺人光線(ガンマ線)にした上で空気を猛毒(オゾン)に作り変えてゼーリエを殺しに行ったが、『日焼けしなくなる魔法』と『空気を綺麗にする魔法』と言った民間魔法で即座に対処されてしまっていた為、今回は前回以上の殺意と高揚を以って彼女へと魔法を撃った。

 

 一見すれば過剰攻撃であり、この猛攻の前では熟練の魔法使いは愚か一騎当千の英雄ですら骨も残らないだろう。

 

 

 ––––––だがしかし、ゼーリエは堕楽のクーリオ(神として崇拝された大魔族)を倒した魔法使いである

 

 

 謂わば神殺し。そう言って差し支えの無い彼女から見れば今回の三連撃は前回(初見殺し)より遥かに対処が容易な攻撃でしか無い。

 

 先ず真下にある熱線の網を防御魔法で一瞬受け止めると同時にその一本一本を逆に掌握し、鞭の様に操る事で竜巻の回転を縛り付けて停止させた。

 

 その上で掌握した太陽光を逆流させ、一部の反射結晶を破壊する事で光の反射をコントロールし、複数の熱線を一点化する事で大隕石(メテオ)の迎撃とクーリオへの反撃を一緒くたに行う。この際背後から放たれた熱線に巻き込まれない様に、回転を拘束され空気の壁となっている竜巻を足場にしながら、天地逆転(重力反転)への解析を索敵と並行して行う。

 

 

 ゼーリエ視点でのクーリオは強敵であり難敵ではあるが決して攻略不能の無敵の存在では無かった。

 

 理由として、彼の性格やその戦闘経験の浅さが挙げられる。

 

 好奇心が異常に強く自身の実力に一切の疑いを持って居ない彼はゼーリエ以外に戦いが成立しない程一方的な攻撃を繰り出す事が可能であり、彼と対峙した者は須く初見殺しの一撃で事足りた。

 

 つまり、彼は反撃への対処や守勢に移った時の取捨選択が甘いと言う拭い難い戦闘経験の低さが存在し、そこに付け入る事でゼーリエは彼との戦闘を有利に進めている。

 

 だが、この経験値の差から来るアドバンテージはゼーリエでなければそもそも成立せず、それを差し引いても()()()()()()()()()()()の相手はそう何度も都合良くは行かないだろうと彼女自身理解していた。

 

 万象を生み出す魔法を操るクーリオの厄介な部分はその魔法では無く、()()()()()()()()()()()である。並の術者では確実に持て余すであろうそれを手足の様に扱い、自身を神と自称するこの大魔族の前では常識を捨てる事から始めなければならない。

 

 だからこそ彼女は油断せず、しかし自分の中の戦闘欲求(本能)をどう満たすかを考える。––––嗤いながら。

 

 

 「やはりキミ以外に私が対等だと思える相手は居ないようだね、ゼーリエ」

 

 

 クーリオは同じように嗤うと、照射された熱線を魔道具である『魔力を込めたら切れ味が上がる大剣』で一刀両断にし、静止した竜巻の壁を『衝撃を増幅する具足』で蹴る事で一気にゼーリエとの距離を詰める。

 

 その勢いのまま大剣で斬りかかるが、数多の魔族を葬ってきたゼーリエの前では素人同然の斬撃など当たる訳も無く、彼女は最小限の動きで回避すると同時に超至近距離から魔力を塊として放出すると言う極めて現実的な攻撃で大剣を持つ腕を吹き飛ばす。

 

 そして続け様に自身の上着に魔力を込めながらクーリオの顔目掛けて投擲し、それによって物理的に視界を防ぐと同時に内包した魔力に彼が気を取られた瞬間に破滅の雷を放つ魔法(ジュドラジルム)を撃ち込み、竜巻の壁面へと叩きつけると共に拘束魔法を放ちクーリオの体を壁面へ固定する。

 

 そのまま彼女は間髪入れずに裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)を周囲に展開し、何時でも撃ち出せる様にしながらクーリオを見下す様に立った。

 

 

 「トドメを刺さないのかね?」

 

 「貴様の今の姿が『呪い』によってそうなっている事が見抜けないと思ったか」

 

 

 魔法の性質によっては術者の死によって掛けられた魔法が解ける場合がある。クーリオが自身に掛けた魔法がそうである確証は無いが、万が一無思慮に彼を殺害し元の姿に戻った場合、彼は間違いなく肉体の死程度等覆すとゼーリエはそう考えていた。ついでに言うなら間違いなく自分の胎内に1000年は解けないであろう『相手に自分を孕ませ産ませる魔法』などと言う呪いを掛けて来ると言う直感もあったが。

 

 

 拘束されたクーリオは常人ならば既に死んでいなくてはおかしい傷を負いながらも、ゼーリエの方から自身に近寄って来た事に気を良くしたのか、まるで無傷の様に口を開いた。

 

 

 「ゼーリエ。何故キミは魔族を狩るんだい?」

 

 「命乞いか?」

 

 「その様なものかもしれないが、純粋な疑問だよ。我々魔族にその名を知らぬ者は居ない。それ程までにキミは我々を殺戮した訳だが……魔族が絶滅した暁には人間の次の敵はキミたちだろう? なら何故我々をキミは嬉々として狩るんだね?」

 

 

 その言葉を聞いて、僅かにゼーリエは目を逸らした。

 

 

 「魔法戦を行うキミはとても楽しそうだ。なるほどその欲求の為に単一の魔法を極めている魔族を標的にしていると言うなら納得だが、キミの強さは最早並の魔族では遊び相手として成立せず、今の私ですらこの有様だ」

 

 「何が言いたい?」

 

 「気付かないフリかい? ならはっきりと言おう。私を殺せば次の人類の脅威は間違いなくキミ(エルフ)。」

 

 

 

 この時代に於いて、魔法と言う超常の力を操る事が出来る者は一部の才覚を有する()()()()()()のみであり、その中でもゼーリエは抜きん出た強さを持っている。

 

 これはエルフと言う悠久を生きる者が持つ膨大な研鑽による賜物であり、その中でも更に上澄の存在が彼女であると言うだけの話だが、人間(短命種)から見たその力が脅威として見られないと言う訳では無い。

 

 現在は魔族と言う種そのものが人間・エルフ・ドワーフ共通の敵として認識され、これらの脅威から身を守る為に手を取り合っている様に見える。或いは後世に現れた魔王が未だ存在しないこの時代であれば既に一部の地域に限定すれば発生しているかもしれない。

 

 クーリオは大魔族としての本能と、邪神としての経験によって、ゼーリエに無視する事の出来ない言葉を()()()

 

 経験値の差を埋める事が出来ないと初手を防がれた時点で悟った彼は、聡明な彼女ならば勢い任せに今の自分を殺した場合に起きうるであろう事を考慮し、一旦この呪いの解析を行う為に自分を拘束するだろうと読み、そうなる事を考慮しながら頭の中で彼女に有効となる話題を構築していた。

 

 

 「ゼーリエ、確かにキミは強い。だがね、民衆と言う存在は理解の及ばない物を知ろうとする気は無い。何故か? それは今を生きる為に不要な知識など、彼らからすれば必要無いからだ。確かに今は魔族や魔物と言った脅威があるだろう。しかしそれらが完全に排斥された場合––––––魔法使い(キミ達)は何時まで人類の一員で居られるのかな?」

 

 

 神として邪教の頂点に君臨していた男はそう嗤う。それは善悪や正誤は兎も角として、()()()()()()()()()()を行い、それが行き過ぎた結果討伐対象となった経験を持つ彼故の言葉であり、言外にこう言っているのだ『最終的にお前もこうなる』と。

 

 だからこそ、クーリオは彼女にこう言った。

 

 

 –––––––取り引きをしよう、ゼーリエ。

 

 





 原作6巻104p~113pのゼーリエとフリーレンのやりとり見てる限り、魔法使いは異端児扱いだったっぽいのでゼーリエが魔族皆殺しとかやってたら人間とエルフで戦争とかあり得たのかなって思う今日この頃。まぁ民間魔法とか見る感じ真面目にありえそうではある。

 後現代の魔族に人間に近い見た目の奴が多い理由は神代のゼーリエちゃんが暴れまくった所為で、ザ・魔族だと人間にチンコロされてゼーリエに狩られるから生存戦略的に人間に寄った説押しときます。
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