カミキヒカル「……あれ?価値ある命って散らすより育てて独占した方が良いのでは?」   作:湯タンポ

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カミキヒカルが罪悪感じゃ無くて独占する事で自分に価値を見いだせるようになればこうなったんじゃ……って言うのと、アイって悪い男に引っかかったら絶対こうなってそうだよねって言う妄想の産物。

pixiv徘徊してたらカミキがアイに抱きつく概念に出会ったので思い付きました。供養させて下さい。




愛の奴隷

 

 

 

 

 

 

私の名前は星野アイ、16歳。

 

アイドルグループ、B小町のセンターを務めている。

 

みんな仲良しで絶賛売り出し中の人気アイドル。給料もいっぱい貰って男の影も一切なし。

 

ファンには『愛してる』って言葉を振り撒く。

 

まさに順風満帆、完璧で究極のアイドル!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そんな訳無い。

 

 

B小町の仲は良くないし、人気アイドルと言っても所詮は弱小芸プロの所属、給料なんて精々が月20万程度。

 

ファンには『愛してる』って言うけど、それは人を愛した記憶も愛された記憶も無いような小娘の戯言で、確証もなく撒き散らしてる嘘の『愛』。

 

……そ、

私には、人を愛した記憶も、人に愛された記憶も無い。

 

父親に関する記憶は一切ないし、母親は男癖の悪い人で、殴られて蹴られて放置されるのが日常だった。

そんな母親も窃盗で捕まり、施設に入って数年が経っても母が迎えに来ることは無かった。

 

……結局、私は誰にも愛されてなかったんだ。愛された事のない私は、愛というものが何なのかも分からない。

 

人を好きになるってどういう事?愛してるってどんな気持ちなの?

 

アイドルになったのだって、社長が私をスカウトした時に言った「嘘でも愛してるって言ってる内に、それが本当になるかもしれん」なんて言葉に釣られて。

 

……結局は、ファンを本当の意味で愛する事は出来なかったけど。

 

 

 

だから、私は次に男を作ってみることにした。

 

アイドルとしての愛は無理でも、女としての愛なら私にも出来るかもしれない。

 

そして、その果ての親としての愛なら私にも言えるんじゃないか……って。

 

 

そんな私の最低な目論見は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?どうしたの急に抱きついて」

 

「…いえ、アイさんがここに居ると実感したかっただけです」

 

「…んふふ…ヒカル君ってば私のこと好きすぎない…?」

 

「ええ、大好きですよ。アイさん可愛いです。」

 

「……可愛いから…顔が良いから好きなだけ…?」

 

「失礼しました…『愛してますよ』アイさん。」

 

「んふふ〜♡♡♡……私も"愛してるよ"♡」

 

 

―――なんか想像以上に上手く行っちゃった―――

 

 

"カミキヒカル"、15歳。

劇団ララライの若きエース

 

そう、1つ年下の子。

 

彼が私の初めての彼氏で……初めて私を愛してくれた人。愛を教えてくれた人。

 

 

きっかけは劇団ララライが開催していたワークショップに参加した事。

 

そこで何処か私と似た"匂い"がしたヒカル君と出会った。

 

私と同じ様な人間なら、愛が何か分かるかもしれない……そんな風に興味を持ち、何やかんやでそれなりに仲良くなり―――

 

 

 

気付けば、身体を重ねていた。

 

 

 

最初は痛み以外何も感じなくて『ああ、またダメか…』なんて考えてた。

 

でも、まだ諦めるには早いと、彼と身体を重ねる度に――

 

 

 

『アイさんは耳が弱いんですね』

『アイさんは誰かに愛して欲しかったんですね』

『アイさんは可愛いですね』

『アイさんは誰かを愛したかったんですね』

『アイさんは綺麗ですね』

『アイさんは愛を心の底から叫びたかっただけなんですね』

『アイさんは素敵です』

 

私の嘘で取り繕った仮面が、1枚、2枚と剥がされ、自分ですら知らなかった本当の私が、彼によって暴かれていった。

 

そして―――

 

 

『アイさん、愛してますよ』

 

 

――これがトドメだった。

 

 

たぶん、"恋"をしたんだと思う。

 

私にとっての"愛"が何か、わかったんだと思う。

 

 

『……ヒカル君、私もヒカル君の事――愛してる』

 

 

心の底から"愛してる"って、初めてホントに言えたから。

 

彼は、私にとってもう"麻薬"の様なものなのかもしれない。

 

ヒカル君と一緒に居ると、心がぽかぽかする。

 

ヒカル君と一緒に居ない時は、心がギューっとする。

 

…ヒカル君が居なかったら仕事が出来ない…って言う程じゃないけど、やっぱりずっとヒカル君の事ばっかり考えてる。

 

もう手遅れなのかもしれない。

 

ヒカル君が居ないと、私は生きていけないかもしれない。

 

それに……

 

 

 

「アイさん、お腹の調子はどうですか?」

 

「うん、体の方は大丈夫だよ、心配してくれてありがと♡……でも流石に社長にはバレてると思う。多分もう20週くらいだし。今度病院行くぞって言われたし。」

 

 

ヒカル君との……赤ちゃんだって…出来たし…。

 

 

「…そうですか」

 

「でも、ヒカル君と一緒に居られるなら私は何でも良いよ。……子供も産むし」

 

「……アイさん……」

 

「ふふっ、ヒカル君との愛の結晶だよ?私嬉しいな〜♡」

 

「……僕もですよ。」

 

「えへへ♡ヒカル君大好き〜♡♡♡」

 

 

私は、もう戻れない所まで来てしまったのかもしれない。

 

それでも良い。ヒカル君が居れば私はそれで良いから。

 

だけど、ヒカル君にとって"価値の無い存在"だけには成りたくない。

 

"価値の無い存在"は愛されないから。

 

だから、私は子供を産んだ後も、自分の"価値"を上げなければいけない。

 

『私は価値があるよ』

『私と居るとお得だよ』

『私は貴方にしか靡かないんだよ』

『私は君しか触れない宝石だよ』

 

って、ヒカル君に思って貰えるように、私はもっと頑張らないと。

 

……ヒカル君が私を愛してくれるなら、私は何でもする。

 

だから、だからね……

 

 

「アイさん、名残惜しいですがそろそろ……」

 

「……うん、私もヒカル君も、これからお仕事だもんね」

 

「はい、アイさんも気を付けて下さいね」

 

「うん……ヒカル君、最後に一つだけいい?」

 

「はい、何ですか?」

 

「ヒカル君は、私の事"愛してくれてる"よね…?」

 

「―――ええ、勿論です。愛してますよ…アイさん」

 

 

 

――だから、わたしをすてないで(愛して)ね――

 

 

 







今回のお話の要約

カミキ「アイさんは可愛いですね」(某黎明卿感)

アイ「仕事辛い、給料安い、誰も"私"を見てくれないから寂しい。
でも貴方が愛してくれるからそれで良い。……だから見捨てないで、顔くらいしか取り柄がないけど…どんな事でもするから私を愛して、私を捨てないで」

こんな感じ。


カミキヒカル―――目的の方向性が変わっただけで中身は何も変わっていない。環境とかじゃなくて絶対天然物のサイコパスだと私は思ってる。

星野アイ―――可愛い。カミキに見事に手玉に取られている。可愛い。



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