もっともな戦隊はごもっともな変態!? 作:阿弥陀乃トンマージ
「……以上が特別広報活動の報告となります」
「ふむ、ユーブロードの反響は想像以上でしたね……」
正高が美蘭の説明に頷く。
「ええ、生徒たちは生徒会に親しみを持ってくれています」
「ですが……問題が」
「問題?」
美蘭が正高の発言に対して首を傾げる。
「ええ、親しみの質です」
「質?」
「一般生徒たちから我々に向けられる視線に……好奇の感情が入り混じっているような気がするのですが……」
「それは当然でしょうね」
「当然⁉」
美蘭の言葉に正高が驚く。
「RTAに、大食いに、論破に、力自慢……やっていることは必ずしもリスペクトばかりを受けるものではないですから」
「亜久野さん、まさかすべて分かっていて……」
「ええ、そうなるようにプロデュースさせていただきました」
「なんと……」
正高が啞然とする。美蘭が生徒会室に揃った五人を見渡してから口を開く。
「……なによりもまず、皆さんに自信を取り戻していただきたかったので……」
「自信?」
速人が首を捻る。
「そう、自信です。皆さん、先の襲撃によって、体だけでなく、心にもダメージを負われたように見てとれましたから……」
美蘭が自らの左胸あたりを抑えながら話す。
「それはそうかもね~」
「完全に不覚を取ったからね……」
雄大と愛一郎が苦笑を浮かべる。
「学園を守る皆様のメンタルケアが最優先事項だと考えました。自らの得意分野を活かすことによって、それぞれ自信を取り戻す……さらに一般生徒たちからの人気を得る……まさに一挙両得です」
美蘭が両手をわざとらしく広げる。強平が口を開く。
「……ふむ、よくやってくれたな。見事な仕事ぶりだぜ」
「ありがとうございます」
美蘭が頭を下げる。
「だが、ひとつ気になることがある……」
「!」
美蘭が頭を上げる。強平が愛一郎を指し示す。
「愛一郎が自信を失ったまんまだぜ」
「確かにそうだな」
速人が頷く。
「桃新君は動画に出ていませんね」
正高が眼鏡をクイっと上げる。
「……」
(出まくっていたけどね)と美蘭は内心呟く。
「大丈夫かい?」
雄大が愛一郎に視線を向ける。
「えっと……」
愛一郎が困った顔で右の頬を指でポリポリと搔く。美蘭がため息をひとつ吐いてから助け舟を出してやる。
「……桃新さんにはアイさんのキャスティングにご尽力いただきました」
「! マジかよ! アイちゃんと会ったのか⁉」
速人が愛一郎に問う。
「う、うん……」
「いつ会ったんだよ⁉」
「いつっていうか……毎日?」
「はああっ⁉ 毎日⁉」
速人が驚きの声を上げる。
「ま、まあ……」
「羨ましいな~」
雄大が呟く。
「お前、紹介しろよ!」
「しょ、紹介?」
「そうだよ!」
「速人、てめえ、抜け駆けすんじゃねえ!」
強平が立ち上がる。
「早い者勝ちだろうが!」
「そこは会長に譲るもんだろうが!」
「なんだよそれ!」
「あの‼」
「「!」」
美蘭に注目が集まる。
「アイさんは色々と多忙な方なので……」
「忙しいの?」
「はい」
雄大の問いに美蘭が頷く。正高が口を開く。
「……そこをなんとかなりませんか」
「難しいですね」
「生徒会のチャンネルを大いに盛り上げてくれたことにお礼を申し上げたいのですが……」
「おい! てめえ、なにちゃっかり逢おうとしてんだ⁉」
強平が声を荒げる。
「責任者として当然のことです」
「会長は俺だ!」
強平が正高に詰め寄ろうとする。
「スケジュールが詰まっていますので!」
再び声を上げた美蘭に注目が集まる。やや間を置いて強平が尋ねる。
「スケジュールって……例えばどんな?」
「ええ?」
「交渉すれば変わってもらえる場合もあるんじゃねえか? なあ?」
「え、ええ、誠意をもってお願いすればあるいは……」
強平の提案に面食らいながらも正高は頷く。強平は笑みを浮かべる。
「よっしゃ、ここは押しの一手だな……!」
「桃新さんの方からもお願いしてはもらえませんか?」
「え、ええっと……どうだろうか?」
正高からの頼みに愛一郎は困惑する。
「楽しいゲームを一緒にしようぜ!」
「美味しい学食を一杯食べようよ!」
速人と雄大がそれぞれの企画を提案する。
「う、う~ん……」
愛一郎がはっきりと困惑している。美蘭が三度声を上げる。
「……アイさんは私へのメイク付きっきり指導でスケジュールが一杯なんです!」
「「「「「!」」」」」
「……あ、これはちょっと……」
ハッと我に返った美蘭が発言を訂正しようとしたが……。座った強平が頭を抱える。
「おいおい、美人が二人になっちまうじゃねえか……」
「は、はああっ⁉」
美蘭の顔が真っ赤になる。