もっともな戦隊はごもっともな変態!?   作:阿弥陀乃トンマージ

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第10話(1)白虎と最後のディープ

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「ぐわあああっ!」

 

 戦闘員たちが軒並み倒される。

 

「どうだ! 参ったか! 悪の組織め! お前ら悪の組織の野望は俺たち、『最上戦隊ベストセイバーズ』が打ち砕く! この世界をお前たちの好きにはさせねえぞ! 平和は俺たちが必ず守ってみせる!」

 

 レッドセイバーの言葉に合わせ、五人がポーズを決める。

 

「ふん、戦闘員ごときでは相手にならんか……」

 

 ローブを羽織った五つの影が姿を現す。

 

「お、おまえら……!」

 

「ここは俺に任せろ……」

 

 五つの影のうちのひとつが前に進み出て、フードをよける。虎の顔をした怪人が出てくる。

 

「!」

 

「悪の組織、四天王が一人……白虎が相手をしてやろう」

 

「ああん? てめえ一人で俺らとやろうってのか?」

 

 レッドセイバーが白虎と名乗った怪人を指差す。

 

「十分だろう?」

 

「な、舐めやがって!」

 

「待て、レッド!」

 

「あん? お前……」

 

「『速やかに悪を片付ける!』 最速の戦士、グリーンセイバ―、早目に参上!」

 

 グリーンセイバーが前に進み出て、ポーズを取る。

 

「グ、グリーン……」

 

「ここは自分に任せてくれよ」

 

「し、しかしだな……」

 

「お願いします」

 

 ブルーセイバーが頷く。

 

「おい、ブルー!」

 

「ここはお互い様子見です」

 

 詰め寄ろうとするレッドセイバーの肩をブルーセイバーがポンと抑える。

 

「様子見?」

 

「ええ、あちらが一人なら、こちらも全員でぶつかるのは少しリスクが伴いますので……」

 

 ブルーセイバーが冷静に分析する。

 

「わ、分かった……頼むぞ、グリーン!」

 

「ああ!」

 

 グリーンが自らの胸をパンと叩く。

 

「ふん、誰が相手だろうが関係はないぜ……」

 

「言うじゃねえか! 行くぜ!」

 

 グリーンセイバーが姿を消す。

 

「む!」

 

 白虎が顔をしかめる。

 

「もらった!」

 

 グリーンセイバーが死角から白虎に向かって殴りかかろうとする。

 

「ふん!」

 

「があっ⁉」

 

 グリーンセイバーが白虎の蹴りを食らい、弾き飛ばされる。

 

「ふっ……」

 

 白虎が鼻で笑う。

 

「く、くそ……反応出来ていなかったはずなのに……」

 

 グリーンセイバーが半身を起こしながら呟く。

 

「……殺気がダダ洩れだぜ」

 

「な、なに?」

 

 グリーンセイバーが膝立ちの体勢になって首を傾げる。

 

「それと、狙いがバレバレだ」

 

 白虎が人差し指を立てて左右に振る。

 

「バ、バレバレだと……?」

 

「相手の視界から消えたということは、高確率で相手の死角を突くということ……カウンターの狙いは逆に付けやすい……」

 

 白虎が淡々と述べる。

 

「ちっ……」

 

「なんだ、もう終わりか?」

 

「……」

 

 グリーンセイバーが立ち上がるが、黙り込む。

 

「はっ、拍子抜けだぜ……」

 

 白虎がグリーンセイバーの方に体を向ける。

 

「くっ……」

 

 グリーンセイバーが身構える。

 

「最速だとかなんとか言っていたな……お望み通り、さっさと始末してやるぜ……」

 

「むう……」

 

「はあっ!」

 

「えいっ!」

 

 グリーンセイバーに飛びかかろうとする白虎を何者かが攻撃する。

 

「⁉」

 

「⁉ だ、誰だ⁉」

 

 白虎とグリーンセイバーの間に、全身紺色のスーツを着た者が現れた。

 

「『真打は最後にやってくる……!』 最後の戦士、ディープソルジャー! 只今参上!」

 

 ディープソルジャーと名乗った者がポーズを取る。

 

「デ、ディープソルジャーだと⁉」

 

「だ、誰だ⁉」

 

「なにっ⁉」

 

「え⁉」

 

 白虎とグリーンセイバーがお互いに顔を合わせる。

 

「お、お前の仲間じゃないのか⁉」

 

「ち、ちげえよ!」

 

「だ、だって……お前らと似たような恰好だぞ?」

 

 白虎はディープソルジャーとグリーンセイバーを交互に指し示す。確かに、ともに似たような全身タイツ姿ではある。

 

「そんなことはどうでもいいでござろう!」

 

「なっ⁉」

 

「ご、ござろう?」

 

 白虎とグリーンセイバーが揃って戸惑う。

 

「悪の組織! 貴様らには消えてもらうでござる!」

 

 ディープソルジャーが白虎をビシっと指差す。

 

「はっ、突然現れたかと思えば……なにを生意気な!」

 

「行くでござる!」

 

 ディープソルジャーが白虎から距離を取る。

 

「ははっ! いきなり後退とは、怖じ気やがったな!」

 

 白虎が笑う。

 

「これはあくまでも戦略的後退でござる!」

 

「な、なんだと⁉」

 

「喰らうでござる!」

 

 ディープソルジャーが弓矢を発生させて構える。白虎がそれを見て、さらに笑う。

 

「はははっ! 一本しか矢が無いようだが? それを外したら終わりだな!」

 

「これは決意の表れでござる!」

 

「なに……?」

 

「あらためて……喰らうでござるよ!」

 

 ディープソルジャーが矢を放とうとする。

 

「ふん、そんなものが当たるか!」

 

 白虎が素早く回避運動に入る。

 

「むん!」

 

「当たるか! ぐわあっ⁉」

 

 白虎の左肩を、ディープソルジャーが放った矢が貫く。

 

「どうだ!」

 

「な……かわしたはずが……」

 

「『残り物には福がある』……ラストチャンスは成功率が跳ね上がるものでござる!」

 

「な、なにぃ?」

 

「あえて最後の一本にして……退路を断つことにより、自らにバフをかけたのでござる!」

 

「い、意味の分からんことを……!」

 

「おまけに追尾機能を持たせたでござる!」

 

「そ、そっちの方がメインだろうが!」

 

 白虎が声を上げて、矢を引き抜く。ディープソルジャーが驚く。

 

「おおうっ⁉」

 

「気が変わった! 最後と言わず、貴様から片付けてやる!」

 

 白虎がディープソルジャーを指差す。

 

「おい、無視をするなよ!」

 

 グリーンセイバーが声をかける。

 

「ええい、貴様は引っ込んでやがれ!」

 

「そういうわけにはいかねえよ!」

 

 グリーンセイバーがダッシュの構えを取る。

 

「貴様がスピード頼みだということはもう分かっている! 対応は簡単だ!」

 

「むっ……」

 

「図星だろう!」

 

「それは……どうかな!」

 

「! はっ、はっ、はっ……」

 

 グリーンセイバーがどこからか取り出した大きめの猫じゃらしを白虎の鼻先に突きつける。白虎は両手を挙げ、舌を出すなど、思わず反応してしまう。

 

「狙い通り!」

 

「はっ、はっ……し、しまった⁉」

 

 白虎が

 

「スキだらけだぜ! 喰らえ! 『剛速球』!」

 

「ぐわあっ⁉」

 

 グリーンセイバーが投じた剛速球を至近距離で喰らい、白虎は爆散する。

 

「焦らして、焦らして……トドメ! たまにはこういうのも悪くねえな」

 

 グリーンセイバーが猫じゃらしの毛先を優しく撫でながら、うんうんと頷く。

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