もっともな戦隊はごもっともな変態!?   作:阿弥陀乃トンマージ

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第10話(2)朱雀と最悪のグレー

「やったな!」

 

 レッドセイバーがガッツポーズを取る。

 

「焦らされるのが苦手な人が焦らす側に回るとは……ちょっと待って、じゃらしだと意味が違うかしら?」

 

 美蘭が顎に手を添えて呟く。

 

「美蘭ちゃん、なにをぶつぶつと言っているの?」

 

 ピンクセイバーが振り返って問う。

 

「あ、え、えっと……」

 

「もうちょっと下がっていた方が良いよ~」

 

「え、ええ……」

 

 イエローセイバーの言葉に美蘭は頷き、ベストセイバーズの面々と距離を取る。

 

「それよりも……」

 

「なんだよ、ブルー?」

 

 レッドセイバーがブルーセイバーに顔を向ける。

 

「何者でしょうか……?」

 

 ブルーセイバーがディープソルジャーを指差す。

 

「あれ、追加戦士じゃねえの?」

 

「いや、違うでしょう……我々の追加戦士候補は亜久野さんで……」

 

 ブルーセイバーが美蘭を指し示す。

 

「あ、そうだっけ?」

 

「そうですよ……」

 

 ブルーセイバーが呆れ気味に頷く。

 

「……」

 

「! ……」

 

 レッドセイバーに見つめられて、ディープソルジャーがキョロキョロと周囲を見回す。

 

「? 周囲を伺っている?」

 

 ブルーセイバーが首を傾げる。レッドセイバーがなおもディープソルジャーを見つめる。

 

「………」

 

「…………」

 

「……まあ、良いんじゃねえのか?」

 

「い、良いのですか⁉」

 

 ブルーセイバーが驚く。

 

「とりあえず、悪の組織とは敵同士みてえだし……」

 

「た、確かにそのようですが……」

 

「とにかく、連中を片付けてから考えようぜ」

 

 レッドセイバーがローブを着た悪の組織をビシっと指差す。

 

「白虎がやられたわね……」

 

「ククッ、奴は四天王の中でもせっかちじゃからな……」

 

「あわてんぼうさんめ」

 

 三人が白虎を嗤う。距離を取っている一人が声をかける。

 

「……余裕を見せているところ悪いのだが、どうする?」

 

「ワタシが行くわ……」

 

 フードをよけて、鳥の頭をした怪人が前に進み出る。

 

「む……」

 

 レッドセイバーが身構える。

 

「悪の組織、四天王が一人……朱雀、参る」

 

「ここはボクに任せて……」

 

 ピンクセイバーがゆっくりと前に進み出る。

 

「ピンク……任せたぞ」

 

 レッドセイバーが声をかける。

 

「『愛の力は悪をも愛でる!』 最愛の戦士、ピンクセイバ―、愛らしく参上!」

 

 ピンクセイバーが名乗りを上げ、ポーズを取る。

 

「愛らしい子……好みよ!」

 

 朱雀と名乗った者が、ローブを脱ぎ捨てると同時に、ピンクセイバーに飛びかかる。

 

「うわっ⁉」

 

「ふふふ……」

 

 朱雀がピンクセイバーの体をがっしりと掴む。

 

「は、離れろ!」

 

 ピンクセイバーが振りほどこうとする。

 

「素直に離れると思う?」

 

「くっ!」

 

「ふん!」

 

「ぐっ!」

 

「ふん! ふん!」

 

「うぐっ! むぐっ!」

 

 朱雀がくちばしでピンクセイバーの顔や肩を突っつく。鋭い攻撃を受け、ピンクセイバーは苦しそうにする。

 

「ふふ、さっさと終わらせるわ!」

 

「せいっ!」

 

「⁉」

 

「なにっ⁉」

 

 ピンクセイバーと朱雀の間に、全身灰色のスーツを着た者が割って入る。

 

「はん……」

 

「だ、誰⁉」

 

「『最悪の報せを届けてやる……!』 最悪の戦士、グレーソルジャー、只今参上!」

 

 グレーソルジャーと名乗ったものがポーズを取る。

 

「えっと……?」

 

「いいや、全然、知らないです!」

 

 朱雀に向けられた疑問をピンクセイバーは手を振って否定する。

 

「ふ~ん、単なる邪魔者ってわけ……」

 

「少し違うな……」

 

 グレーソルジャーが右手の人差し指を左右に小さく振る。

 

「え?」

 

「邪魔ではなく、邪悪だ……!」

 

「は?」

 

「そこのところ、間違えてもらっては困る!」

 

「い、意味の分からないことを! アナタから先に片付けてあげるわ!」

 

 朱雀がグレーソルジャーに飛びかかる。

 

「はっ!」

 

「うおっ⁉」

 

 グレーソルジャーが槍を取り出して、鋭い突きを見せる。朱雀はすんでのところでそれをかわす。グレーソルジャーがたたみかける。

 

「はっ! はっ!」

 

「お、おっと!」

 

 朱雀が翼を広げて、空に飛び上がる。

 

「む……」

 

「ふふっ、なかなかの槍さばきだけど、ここには届かないでしょう⁉」

 

 朱雀は空を飛びながら勝ち誇る。

 

「まあ……さして問題はない、想定内だ」

 

「負け惜しみを!」

 

「むん!」

 

「!」

 

 グレーソルジャーが槍を地面に突き立てて、柄の部分を思いっきりしならせて、それをパッと放して、反動を利用して、空に飛び上がる。

 

「届いたぞ」

 

「ば、馬鹿な⁉」

 

「せえいっ!」

 

「ぬわあっ⁉」

 

 グレーソルジャーに思いきり殴りつけられた朱雀は地面に叩きつけられる。

 

「終わりだ!」

 

 グレーソルジャーが朱雀を踏みつけようとする。

 

「! そうは問屋が卸さないっての!」

 

「うおっ⁉」

 

 朱雀が翼を勢いよくはためかせて、突風を発生させて、グレーソルジャーを吹き飛ばす。

 

「はあ、はあ……」

 

 朱雀がゆっくりと立ち上がる。

 

「案外としぶといな……」

 

 なんとか着地したグレーソルジャーが呟く。

 

「いらつくわね、アンタ!」

 

「‼」

 

 朱雀が翼を大きく広げる。その翼には炎を帯びている。

 

「燃やし尽くしてあげるわ!」

 

「そ、そういう、情熱の向け方はご勘弁願いたい……」

 

 グレーソルジャーが戸惑う。

 

「遠慮しなくていいわよ!」

 

「い、いや……」

 

「さあ、覚悟なさい!」

 

 朱雀がグレーソルジャーに飛びかかろうとする。

 

「よっと! 『愛の鞭』!」

 

「ぬうっ⁉」

 

 ピンクセイバーが鞭を朱雀の体に巻き付ける。

 

「ボクを無視して盛り上がらないでくださいよ……」

 

「アンタは後回しよ!」

 

 朱雀が声を上げる。

 

「まあまあ、そんなツレナイこと言わずに……!」

 

「きゃあっ⁉」

 

 ピンクセイバーが鞭を思いきり引っ張る。鞭から体が離れた朱雀がぐるんぐるんと回転させられる。回転の加速がつき、勢いよく燃え上がった炎が朱雀を包む。ピンクセイバーが愛らしく告げる。

 

「愛し合おうよ!」

 

「きゃあああ!」

 

 朱雀が爆散する。

 

「これもお互いの愛が燃え上がった結果……悪く思わないでね♡」

 

 鞭の火を払ったピンクセイバーが空に立ち上る煙に向かって手を振る。

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