速さ×速さ=パワー   作:軋島枷臣

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後継と弟子

「ふぅ...」

 

 

走る足を緩める。幼馴染と和解した次の日の早朝、俺はとある人に会うため海浜公園にやってきた。恰好はストレートのジーンズに半袖シャツというラフな服装。これなら目立たんだろ。

ちょっと早すぎたかと一瞬思ったが、前に立っている痩躯の男性を見て俺もそっちへ向かう。

 

 

「久しぶり、迅少年(・・)

 

「ははっ。少年はやめてくださいよ、八木先生(・・・・)

 

 

ハイタッチを交わしたのはオールマイト。ここで会うように待ち合わせていたのだ。

 

 

「先生か...その呼び名も公的なものに変わるね」

 

「あの八木先生が教鞭を取るなんて...未知数ですね」

 

「HAHAHA!それはもちろん良い意味だよな?」

 

 

別に教え方が下手だから心配とかじゃない。決して。

 

 

「それにしても最後に会った時からまた身長伸びたか?」

 

「俺の場合20歳まで伸びたので。高三の時は193だったんで5センチ伸びましたね」

 

「また私に近づきやがって!くぅ~!若いね!」

 

 

タハー!といった風に目を覆うオールマイト。俺もそろそろアラサーだから若くはないが。

 

 

「アメリカにいい原石はいたか?」

 

「いるにはいましたがやっぱり先生みたいな『救う』ってことに憑りつかれたアホはいませんでしたね」

 

「ねぇそれ君私のことをアホって言ってないかい?」

 

「あなたのせいでゴリラに散々絡まれたんですよ。これくらい言わせてください」

 

「あぁキャシーね...君も苦労してるよ全く...」

 

 

あのゴリラ会うたびに殴り合いさせろって言うのほんとやめた方がいいと思う。お前の殴撃に耐えられる奴なんてそうそういないんだよ。

 

 

「後継見つけたって言われた時は驚きましたけどね」

 

「迅君もきっと認める人材さ」

 

「送られてきた写真を見る限りヒョロヒョロの一般中学生にしか見えませんでしたがねぇ」

 

 

そう言いながらスマホの画面を見ると、地面に這いつくばった天パの少年が目に入る。

 

 

「一体この少年に何を...」

 

 

見出したのか、と言おうとしたとき

 

 

「ああああああああああああああああああああ!!」

 

 

咆哮が轟いた。

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

「マジかよ...」

 

 

2人で多古場浜公園に向かうと、一人の少年がゴミ山の上で吠えていた。その天パには見覚えがある。

 

 

「送られてきた写真じゃここら一帯はゴミばっかだったはず...」

 

「彼へのミッションだよ。トレーニングと並行してこの砂浜のゴミを無くすよう指示した。だが指定した区画外まで...」

 

 

その少年の体には、しっかりと筋肉がついていた。この10ヶ月であの体をここまで完成させたというのか。

 

 

「オーマイ...オーマイ...グッネス!」

 

 

感極まったのか、マッスルフォームになり倒れた少年を受け止めるオールマイト。

 

 

「よく頑張ったよ本当に!ようやく入り口の蜃気楼がうっすら見えてきた程度だが…確かに器は成した!」

 

 

褒めるオールマイトと泣く少年。余程頑張ったんだろうな。俺も思わずウルッと来ちゃったよ。でもさ

 

 

「食え」

 

 

これは無いと思うわ。

 

 

「あれ、あなたは...」

 

「あぁ、初めまして。疾翔迅だ」

 

「彼は私の一番弟子!私たちの力(ワン・フォー・オール)についても知っているぞ!」

 

「そうなんですか。...ん?長めで赤橙色の髪、高い身長...あなたは!」

 

 

何かに気づいた様に声を荒らげると、先ほどまでの疲れは嘘かのようにこちらに素早く近寄ってきた。

 

 

「つい最近までアメリカで活動していたヒーロー『トランス』ですか!?」

 

「あ、あぁ、そうだが」

 

「帰国したって話は聞いてましたがまさか会えるとは!あのオールマイトに匹敵する速度でありとあらゆる事件に駆け付けたくさんの人々を救って来たヒーロー!渡米した初日に飛行機のハイジャック犯を捕まえ約1000人もの人を救ったあの動画は何回も見ました!しかもあのスターアンドストライプとのチームアップまでしていて...」

 

「オッホン!緑谷少年、彼が戸惑っているぞ」

 

「あ、すみません!テンションが上がってしまってつい!」

 

「ははは...」

 

 

どうやら彼はヒーローが大好きらしい。俺も好かれるのは嫌いじゃないぜ!

 

 

「君の名前は?」

 

「緑谷出久です!」

 

「緑谷、君はどんなヒーローになりたい?」

 

 

この言葉は俺が今まで会ってきたヒーロー志望の学生全員に投げかけてきた問いだ。

 

 

「僕は、オールマイトのような最高のヒーローになりたいです!」

 

 

アメリカでもそうだった。スターと同じくらいオールマイトのようになりたいと言う子たちが多かった。

 

 

しかし、彼は違う。その憧れの力を受け継いだのだ。彼はそれを分かって言っている。

 

 

「...そうか。頑張れよ!」

 

「~ッ、はい!」

 

 

俺には応援することぐらいしかできないが、せめて彼が真のヒーローになれるように。

 

 

「因みに緑谷少年は雄英を受験するぞ!」

 

「...え?」

 

 

急いで時計を確認する。もう入試まで3時間もない。

 

 

「入試まで時間全然ないじゃねぇか!早く髪の毛食え!」

 

「さあ時間ないって。試験に遅刻するぞ!さあさあさあ!」

 

「やっぱり思ってたのと違いすぎる!」

 

 

願わくば、彼が俺たちの学び舎で学べるように。

 





出して欲しいオリジナル個性とかいたらぜひぜひコメントに書いてください。後々出すかもです。
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