「個性把握...テストォ!?」
生徒たちが驚愕の声を上げる。この反応懐かしいな~。
「さすが相澤先輩、説明一切なく告げるのエグい」
「僕らの時もあったよね」
入学初日、1-Aの生徒たちはいきなりの大試練に直面していた。
「あれ最下位は除籍だとか言ってない?」
「ちなみに先輩は去年の受け持ちの生徒全員除籍処分にしてるよ」
「嘘だろそんなことある?」
ちょうどこの時間は2人とも授業が入ってなかったので、俺と亜南は授業を見に来ている。
「迅の把握テストの記録凄かったよね」
「まあ速度上げれるっていう個性自体がこういうのに有利だしな」
「オールマイトとか学生時代どんな記録出してたんだろう...」
「昔聞いてみたらソフトボールとか投げたら雲突き抜けたらしいぜ」
「...それ人間かな?」
あれは天災だな。天才だし。
「ほんとあの人すげぇよなー。さすがオールマイト!」
「ふふっ、迅って本当にオールマイトのこと好きだね」
「当たり前だろ。ちっちゃい頃から見てんだぞ。あのオールマイトのデビュー動画の再生数は、俺だけで1万増やした自信がある」
そうこう話しているうちに、競技が始まる。
「どんな記録が出るかな~?」
(頑張れ緑谷!)
◆ ◇ ◆ ◇
「何あの子速すぎでしょ。車かな?」
「あの子インゲ二ウムの弟さんだよ」
「あー、どうりで速いわけだ。そういやインゲ二ウムさんにも帰国したって挨拶しないとな...」
「あれ?インゲ二ウムと知り合い?」
「彼は学生のころに、走り方と速度の上げ方についてインゲ二ウムに教えを乞うたことがあるぞ!」
「へー、そうなんですか」
「俺の代わりに答えないでください。てかオールマイトの教えてくれた高速移動法が『力んで...なんか...こう!』なんてのだったからわざわざ教わりに行ったんですよ」
いつの間にか来ていたオールマイトと一緒に生徒たちを見守る。ちなみにオールマイトの教え方は超感覚的だ。擬音を多用しとりあえず実践という方針を取る。ヒーロー基礎学の授業が心配になってきたぞ...
「あのタコみたいな子540㎏だって!?」
「ゴリラだよ...」
「HAHAHA!私なんてもっとあるぞ!」
「「あなたと一緒にしないでください」」
災害と生き物を同列で扱わないで欲しい。
「おー爆発の子飛ぶねぇ」
「迅は助走距離が確保できない競技苦手だったよね」
「今はアメリカの猛特訓でその弱点も結構克服...うっ、アメリカ...」
「彼はアメリカでとても苦労したんだよ。かく言う私もね...」
「あんたら子弟はアメリカで何を見てきたんだ」
ゴリラ、ヴィラン、またゴリラ...帰国してきてほんと良かった...
次は反復横跳びだが
「あの子凄いな...なんだあれ...」
「なんか...凄いね...」
「凄いな...」
なんか左右にボヨンボヨン凄かった。以上。
「嘘だろ無限!?」
「無重力だからか~」
「さすがの無限は私でも無理だな」
ソフトボール投げではほんわかした子がえげつない記録を出していた。お、次は緑谷か。
「緑谷少年はここまで目立った記録を出せていない。ここで決められないと厳しいぞ」
「...」
皆が一つは突出した記録を出している。これだけは負けないってもんが無いとこの先厳しいぞ。山田先輩の言葉を借りればシヴィー。お、振りかぶった。はたしてボールは...
「ん?」
「あれ?」
普通の軌道を描いて落ちた。今個性発動しようとしてたよな?と思っていると相澤先輩から説教が入る。要約すると、毎回体壊してちゃ世話ないよって感じだ。う~んこいつぁシヴィー...
(さぁ、ここでどうするかが正念場だぞ...)
玉砕か、なにもしないか。さあ答えは...ッ!
「指先だけ!?」
「確かに、指先だけだったら再起不能って程じゃないな」
「ふむ...考えたね少年」
投げる瞬間の指先のインパクトにのみOFAを発動させた。なかなかどうして器用な使い方をする。この咄嗟の機転は武器になるぞ。
その後の乱入騒動や残りの競技も終わり、結果発表。まあ分かってはいたが...
「緑谷君は最下位か...」
「どん底から上に這い上がっていく...熱いね!」
「これからどうしていくかだな」
「なんであなたたちはそんな冷静なの...」
ちなみに除籍は嘘だった。あっやべ先輩こっちに来る。
「じゃっオールマイト!またあとで!」
「さようなら!」
「あれ、2人とも?なんで逃げるように去るんだい?」
「全然そんなことはないですよ」
「そんなことはないです!」
決してオールマイトと相澤先輩が居る空間にいたら気まずくなりそうとか、そんな考えは全然ない。断じて。