お前の青春にザバーニーヤ 作:ブルアカエアプ民
03 お前の青春にザバーニーヤ
【稼ぎの少ない
あれは入学してどれほど経った頃だったか。
ゲヘナ学園はキヴォトスにおいても規模と歴史と治安の悪さで有名である。
そんなところでは銃弾は路傍の石を蹴るくらいよくある事だし、━━
ドカーン!
━━爆発だって(あぁ、今日は降る日でござるか)と通り雨みたいに思ってしまう。
「っ?……っ!?」
そんな日常で異常事態に気付けたのはまぐれなんだが、彼女いわく「それで済ませたくない」とのこと。
反射的にビルの壁を蹴って跳躍し爆煙にまぎれて見えた落下してくる影を抱えて着地する。
“ゴリッ”
安堵したのもつかの間、大変ご立派なアレを頭に押し付けられた。
「離して」
「……ウィ、っだァ!?」
足の方から下ろすと
「アイツらの仲間?」
「ノー仲間!イエスぼっち!」
「…………。……ごめんね、今離す」
少しの間の後、銃口と拘束が解かれ一気に脱力してしまう。
腕は痛いけど、筋を痛めたような感覚は無いことから、手際同様相当の手練でまかり間違っても正面から勝てないのをわからされた。
ホンマこの都市ヤベーアマゾネスしかいねぇ。この間もちみっこいのにバリカタ(物理)なモフいゲヘナパイセンと愉快な校内イニD(人力)しながら横乳呼吸へ
「ありがと、ここにいるとお互い危ないから━━……?」
「━━━━」
━━その衝撃は今でも忘れない。
「どうしたの?」
「━━綺麗だ」
「は?」
意図が理解できないのか不愉快そうに眉をひそめて睨みつけてくる。鍛えられた業物が鋭利な凶器であるのに芸術品のような美しさを帯びるように、整いすぎた造形の美しさが鋭さを帯びる逆転現象で人によっては近寄りがたい雰囲気を感じるかもしれない。
だが、そんな表情すらチャーミングさを感じてしまう。
「……皮肉?」
「心の底からの感想」
「………………変なの。悪いけど行くね」
「あ、名前くらい聞いとけばよかった……」
━━━━━━
「……おはよ、いい匂い」
「おはよう、カヨコ」
鬼方カヨコ。学年的にはひとつ上の先輩だが、ゆえあって停学中で現在は彼女の大切な友人に誘われ何でも屋にて働いている。
「ん……」
「おう」
後ろから抱きついてきて背中に顔を埋めながらめっちゃ息吸ってるが寝ぼけてると時々やるのよ、これ。
火も包丁も使ってないときは好きにさせている。
弁当に詰め詰めしていると目が覚めてきたのか背伸びして耳の裏も嗅いできた。
「…………(くんくん)」
「嗅ぐのどうなん?」
「……良い、今日は花の香りする」
「ちょっとね」
寝る前に色々準備してたからかな?
「どうする?」
「ん……あ、いっしょ」
「うい」
「ん」
とっくに用意の終わっていたものをちゃぶ台(自作)に並べ始めたカヨコ。
んー、今の会話の内容を訳せって?
『(朝ご飯をおにぎりにして用意してたけど)どうする?』
『ん……あ(みんなの分もあるんだ)、(けど久しぶりに)いっしょ(が良いな)』
『うい(おっけー、コーヒーも準備終わってるから先座ってていいよ)』
『ん(ならこの辺のお皿、持ってくね)』
「いただきます」
「ほい、召し上がれ」
味噌汁で口を湿らせ、炊き込みご飯を放り込む。
「ん、おいしい」
「そりゃよかった」
お互いのペースで、お互いのリズムで口へ運ぶ。
「ん」
「ほい」
だし巻きを食べようとしたカヨコが醤油を求めたので渡してやる。
「皿」
「ん、ありがと。水につけといて」
先に食べ終わり、部活もあって登校時間の早い拙は食卓から離れるついでにカヨコ食べ終わってる皿を回収した。洗ってくれるなら任せようと水を満たした桶に沈めておく。
「それじゃワガハイは行くから、戸締りよろしく。アイロンかけたのはいつものとこに入ってるから」
「ん、行ってらっしゃい」
着替えは朝ごはんを作る前に終わらせているし、荷物もまとめてあるから手早く整えて手を振ればカヨコも箸を置いて振り返してくれる。
実に良い彼女だ。
『とりあえずワイのところ来る?』
『当方的にはそのほうがいいかな。よろしくね、鬼方先ぱ、いや、……カヨコ先輩』
『カヨコがしたいことすればいいよ?俺はそれが一番嬉しい』
「……敵わない」
公式のお時間カヨコ、美人すぎる……。