平成アニメ世界で令和の価値観を注入されたショタの話 作:浅学寺のえる
「ハブキさーん。葉蕗……ダイゴさーん。はい、こちら保険証のお返しと──」
診療所の受付。さも当然の様に間違えられる僕の名前。
国が交付した健康保険証に『ハブキ デイゴ』と振り仮名があるのになぁ。
この【マイナ保険証どころか】……うぅ。【プラスチックカードですらない】紙の保険証。両親の離婚で、母さんが世帯主となった二人だけの保険証。これを見ると、少し寂しい気持ちになってしまう。
「だいじょうぶ? どこも問題ないって、ここの先生も言ってたケド……やっぱり、昨日の鼻血は異常だよ。もしかして、怪人にやられた影響が──って、それだとボクも同じかぁ」
羽吹まこと。僕に付き添ってくれた優しい幼馴染。
昨日からずっと、彼女には助けられてばかりだ。『叡智の書』というクリスタルへ触れた時も、彼女が突き飛ばしてくれたから
あのままクリスタルへ触れていたら、きっと『僕』は『僕』じゃなくなっていた……あはは、その直後に、僕とまことは一時的に人間をやめてたんだけどね。
ネコ怪人【ニャンニャンβ】に舐めまわされ、僕らは猫になってしまったのだから。
「えへへ。君と一緒なら、ボクはあのままでも良かったケドねー」
それはそれで苦労しそう……って、今のは冗談なのか。僕が不安な顔をしているから、場を和ませようとしてくれたんだ。【本気かも?】
……叡智の書へ触れてから、時折聞こえてくる声。いや、声のような……文字のような……そういった【コメント】が、僕の頭の中に現れるようになった。
この異常を解決する為、今日は病院を巡ることにして──あれ? どうして僕は、馴染みの病院『井伊医院』だけでなく、このクリニックへも足を運んだのだろう?
「井伊くんのお父さんが、今の耳鼻科の先生へ『紹介状』を書いてくれたからでしょ?」
うん。確かに流れとしてはそうなんだけど、僕は家を出る段階で【セカンドオピニオン】を前提に……まただ。知らない情報が、頭の中へ駆け巡る。
怖い。僕の『常識』が書き換えられてしまう……! だけど! こんなこと、誰にも相談できない。お医者さんは勿論、両親にだって言える訳ない。
まこと、姉さん、みさきさん、
最近また話すようになった詠。姉さんを通じて仲良くなった美衣さん。
その二人といつも一緒にいる萬宮寿さん……と、その祖母。
親しい人へ相談して、もし奇異の目を向けられてしまったらと思うと──
「あ、ネコだ。ほら、公園の木の上。あそこまで登って、降りられなくなったのかな?」
え? ああ、ホントだ。綺麗な黒猫が、マテバシイの横枝へしがみ付いている。
樹高10m近くある木だけど、幸い黒猫がいるのは中腹あたりか。よし……!
「え、待って。君は体調が悪いんだし、ここはボクが登るよ?」
大丈夫。この木は幹の下の方で二股に分かれてるから、登りやすそうだし。
昔から僕は、高い所へ登るのが得意なんだ。安心して、下で見ててよ。
なによりも、スカートをはいた君に木登りさせる訳にはいかないからね……。
「すごーい。あっという間に助けちゃったね! ホント、君は昔から忍者みたいな動きが得意だよねぇ。一体どこで習ったの?」
萬宮寿の道場……とは言えないな。あれだって『習った』というより、『慣らされた』って感覚だし。
何はともあれ、猫が無事で良かったよ。大人しい子だから、降りる時も楽だった。
人にも慣れてるみたいだし、毛並みも綺麗だ──どこかの飼い猫なのかな?
「でも首輪はないよ? うわっ!? なんでボクだけ威嚇するんだー! こいつめぇ」
毛を逆立て、唸り声をあげる黒猫。まことが乱暴に首筋を弄ったから怒っているんだ。
よし、よーし。大丈夫。怖くないよ。【猫と戯れるショタ】【イイ……!】
こ、怖くないよ〜。
「むぅー。この猫、なんかヘンじゃない!? 猫なで声で、君に媚びてるよ!?」
そりゃ猫なんだから、撫でられたら『猫なで声』を上げるよ。まことだって猫の時、詠に撫でられて気持ちよさそうな声を出してたじゃないか。【カラダは正直】
そうそう。体は嘘を吐かないんだ。疲れたら眠くなるし、エネルギーが切れたらお腹が空くし。
あ! ひょっとしたら、この子も空腹なんじゃないかな?
「そっかぁ! じゃあ、そこのコンビニで缶詰でも買ってくるよ! えへへ、きっと餌をあげたらボクにも懐くよ〜。そうだ、その間にネコの名前を考えといてねっ!」
そう言って、まことは公園の斜向かいにある店舗へと駆けて行く。
だけど、ネコの名前って。まさか飼うつもりなのかな? うーん、確かに可愛いから、その気持ちは良く判るけど……。僕らだけの力じゃ、餌代を工面するにも限界があるなぁ。
かと言って、母さんが【猫アレルギー】だから家では飼えない。羽吹道場も論外だ。投げられた門下生が物理的に飛んでくる場所だから。
猫にとって危険すぎる。この子は、少しドジな部分があるし。
「フニャ!」
いてっ。ネコパンチされた。遊んで欲しいのかな?
うりゃうりゃ。あはは、持ち上げたらカラダが凄い伸びる。あ、メス猫だったんだ!
わ!? 急に暴れないで。ごめんごめん。
「……ナーン」
わかってくれて、ありがとう。うん? 何となくだけど、君の気持ちが解るんだ。
僕も昨日、猫になったからね。あ、疑ってるだろう? よーし、それじゃあ──
君は気位が高い猫だけど、優しい子でもある。それでいて、少しだけポンコツなドジっ子。
まるで、どこかの令嬢みたいな性格で……そうだ! シーニャ‼︎
椎の木に居た猫だし丁度いいや、君を『シーニャ』と名付けよう。【安直】
うるさいなぁ『叡智』め。
あ〜、それに引き換え君は可愛いなぁ。シーニャなら、僕の悩みも聞いてくれるかな?
【アニマルセラピー】
【を、するショタから摂取できる栄養素】
【永久機関が完成しちまっ──
僕の姉さんは、生まれた瞬間から物心が付いていた。
そんな姉を見て育った僕は、周囲との基準がズレていたんだ。
時計の針を合わせるように、価値観をアジャストする。そうやって、僕はずっと『修正』する日々を送ってきた──
小学生の頃に自分がズレていると気付き。
中学での三年間を経て、これでも僕は『普通』に近づけたと思う。
まあ、あくまで指標が固まっただけで、本質は変わってないらしい。三つ子の魂百まで。
高校へ入学してすぐ、理事長室でそう説教されたのを覚えている。
だけど同時に褒められもしたんだ。あのばーさんが、僕を褒めたんだよ?
『
『周囲との調和こそが、アナタの理想なのですね』
『人との繋がりで作り上げた
僕の十年間が認められて、すごく嬉しかった。だから大事にしていたんだ。
それなのに! 僕が築いた『価値観』は壊れてしまった! もう僕には……
「ニャーン!」
いたっ。ありがとう、シーニャ。僕を励ましてくれるんだね?
分かるよ、叱咤激励だろう? 萬宮寿流でも羽吹流でも、おなじみの励まし方だからね。
あ、僕に看破されて照れてるのかな。はは、本当に君は可愛いなぁ──
そうか……君を可愛いと感じる『心』は、僕のものなんだ。たとえ知識を塗り替えられても、それだけは変わらない! 萬宮寿流の『力に逆らわず、あるがままに』という言葉。その本当の意味が、ようやく分かった。羽吹流の『難しく考えず、思うままに』と一緒なんだ。
明鏡止水と泰然自若。どちらもその根幹は、心が揺るがないという事にあるんだ!
あはは、シーニャのお陰で悩みが晴れたよ! 凄いな君は!
僕にとっての『ドラえもん』だよ‼︎
「はぁ、はぁ、レジが並んでて時間かかっちゃった……って、今そのネコのこと『しいな』って呼んだ? ねぇ、ボクの聞き間違いだよね? ねぇ、ねぇっ!」
しいなじゃなくて、シーニャ。
名前も付けちゃったし、この子は僕が一生面倒を見る事にするよ。襟裳岬のバイトで、餌代もギリギリどうにかなる。欲しいゲームを何本か我慢すれば問題ないさ。
猫嫌いの母さんは……まあ、家にいない事も多いから大丈夫だと思う。もしもの時は、羽吹道場で母さんを預かってくれないかな?
「もう! 普通は逆でしょ‼︎ 君のお母さんが悲しむよ? それに、ネコはやっぱり……癪だけどアイツの所へ預けるのが一番だと思うんだ」
萬宮寿さんの所か。確かに、色々な動物の保護活動をしている彼女なら……。
って、あれ!? シーニャがいない!? 空っぽの缶詰だけが転がってる‼︎
まことが怖い顔するから、逃げちゃったじゃないかー!
回想、終了……?
なにか様子が変だ。僕がシーニャを見失った場面で、回想が途切れてしまった。
それに、現実の方も様子がおかしい。
時間停止が解けた筈なのに、周囲の動きがゆっくりとしている?
【これは、
【水属性さんが消滅し、私達の能力が減衰しましたの】
そんな……!? どうして、彼女が!?
【彼女の姿が、いおんさんに似ていた事】
【それは偶然ではなく、必然でしたのよ】
【あなたの人間としての属性は『火』】【そして──】
【キジムナーとコロポックルは、本来どちらも『木』属性なのですから】
……! 僕が三属性を備えていたのは『
水属性を持っていたのは、レイワさんなんだ。
それなら全てに合点がいく。僕の魂へ混じっていた彼女の属性。それが、度重なる能力の使用で磨耗し続け──ついに、僕の中から消えてしまったんだ。
【今の状態も、いつ終了するか判りませんわ……】
時間遅延。僕が『回想』を中断してなお、能力が発動中という異常。
もしかすると、ゲームでいうところの『処理落ち』に近い現象かも知れない。時間停止中に水属性さんが消えた事が原因なのだろう。【ごめんなさい】
【
【その上、操作ミスまで……!】
僕らの身体は、ゆっくりと床面へ近付いている。仕方ない。ラボは薄暗く、物で溢れているんだ。躓くなという方が無理だろう。
それに属性のバランスが崩れた以上、融合を維持すること自体が難しいのだし──そうだ!
まだ、融合解除がある!
『僕の肉体』までの距離は、先程と変わらず約5m。融合が解けて『魂』の帰還が間に合えば、或いは……!
【……難しいですわ】
【魂が出る際、閃光が走りますの】
例のアレか。光を見れば、レイワさんならば全てに気付く筈だ。
次の瞬間、彼女は引き金にかけた指へ力を込める……かも知れない。ダメだ。この状況に至っても、僕はレイワさんを疑い切れずにいる。
少し意地悪なドッキリ。その程度にしか感じられないんだ。
そうだよ、きっと動機は『サプライズ』に違いない!
僕が驚く顔を見たい。そんな子供じみた理由で──【ディエゴ】
【時間遅延が終わりましたわ】
ぐっ……!? 体勢を直せなかった。地面と、ぶつかる‼︎
「動くなってお願いしたのに、どうして転んでるの? アレかな、TSっ娘のお約束。胸のバランスが判らなくて、持て余しちゃうヤツ?」
それは、B子さんになった時に経験済みだよ。もうアジャストできてる。
「残念だよD君……もう少し可愛い気のある返事だったら、私も思い留まったんだけどなぁ」
台詞とは裏腹に『僕』の口角は上がっている。
嗜虐的な笑み。無自覚ドSショタ。黒いバイザーも相まって、悪役そのものじゃないか。
ああ、そうか。そうなんだ。
僕が彼女の価値観に染まったのと同様に、彼女もまた僕の影響を強く受けていたんだ。
だとすれば……‼︎
「さようなら、D君」
頭部へ撃ち込まれた凶弾に『僕』の身体は倒れた。
こうして葉蕗梯梧の人生は幕を閉じたのだ。
オトメからの餞別を活かせず、しいなさんをただ悲しませ。
融合の限界を迎えた僕の魂は、崩れ落ちた肉体へと回帰した。
最後の最後で、レイワさんの動機に思い至る辺りが、実に僕らしい。
夢の世界で、レイワさんに抱擁された時。僕は彼女の気持ちに気付いていた。
気付いた上で、逃げてしまった。
つまりは、伏線回収──因果応報だ。
名津いおん。生前の彼女の本名。推定20代前半。
彼女の推しは、とあるアニメの登場人物『クラスメイトD』
ひょんな事から、その推しキャラと精神同居を開始するも……そのキャラは彼女が愛した『D君』とは微妙に違っていた。ショタという括りが当てはまるのは外見だけで、その内面は実に可愛らしくない性格をしていたのだ。
高校生男子の脳内へ、成人女性の価値観が注入された結果である。
仮に原作通り『クラスメイトD』が小学生ならば、王道の『おねショタ』が展開されていた事だろう。無知な少年を、優しく導く大人のお姉さん。そんなハートフルな物語。
だが、そうはならなかった。
それなりに近い年齢。価値観の共有。一方的に筒抜けの心。秘密の関係──
様々な要素が絡み合い、葉蕗梯梧は『推しキャラ』から逸脱してしまったのだ。
しかし、梯梧は同級生の少女へ恋心を抱いていた。
名津いおんは、自身の『心』を封印するしか無かった。
恋路を見守る『大人のお姉さん』を演じるしか無かったのだ。
思い返せば、彼女の言ったあの台詞「的確に、私の情緒をコロコロ転がさないで」
あれは、紛れもない本音だった。
ジーナ・九重・ブーゲンビリアという成人女性の身体でも構わない。少女へ向けたその発言が、どれだけ名津いおんの心を踏み躙っただろうか。
さらには、『精神同居』すらも自分だけの特権では無くなってしまったのだ。
梯梧の肉体へ置き去りにされ、特権を奪われ、心を封じる言い訳すらも凌辱された。
その状態で『肉体』の影響を受けたのだから、誰が彼女を責められようか。
あるがままに。思うままに。
そう囁く身体に従い、彼女はただ『心』を解き放っただけなのだから──
だから、全ての結果は僕の自業自得。
彼女の気持ちに気付いていながら、のらりくらりと躱わし続けた報いでしかない。
身体へ起こる骨の軋みも、胸を焦がすような苦しさも、全て受け入れなくてはならないんだ。
呼吸は乱れ、目はかすみ、もはや耳すらも音を正確に拾えていない。
しいなさんの声は判然とせず、何を言っているのかも聞き取れない。
僕の耳へ届いているのは、時を告げる針の音だけ。倒れ込む際、右手首が頭の下敷きになったからだろう。骨伝導の原理だ。一秒、一秒、正確に時が刻まれて行く。
ああ、やっぱり彼女は良い人じゃないか。
僕の宝物を、傷ひとつ付けずに預かっていてくれたのだから。
ありがとう、レイワさん。【どういたしまして】
【でもね、乙女心を丸裸にするのは考えものだよ?】
【
エピローグ 「Template Fetishism」
「起きて下さいまし……おーきーてー、ですわ!」
決戦から二日後の金曜日。
朝の日差し。黒髪の少女に起こされる僕。
萬宮寿邸の客間にて、ラグジュアリーなひと時が僕を優しく包み込む。
うん。夢オチでも、死後の世界でもなく、普通に僕は生きている。
頭が少し痛むものの、それは先日のイグナ婦人から受けた凶行が原因。
別に銃弾が、脳を貫通した訳ではないのだ。
だって、あの銃はシグマ氏の『発明品』だったのだから。その影響で、丸一日寝込みはしたけれど、命に別状はない。そう、あくまで
「さあ、手早く着替えて下さいな。うふふ、それとも私が着替えさせてあげましょうか?」
上機嫌な彼女に促され、僕は自分から『服』へと袖を通す。
これ以上、オモチャにされるのは勘弁してもらいたいからだ。黒猫のシーニャ。その正体が自分だったと明かした彼女は、昨夜から僕へ仕返しを続けているのだ。
曰く、裸を見られた上に凌辱を受けたから。だそうだ。
僕はただ、猫を抱っこしてコチョコチョしただけなのに……。
「まあ! 似合ってましてよ。それでは、頑張ってお仕事へ行ってらっしゃい」
『メイド服』へ着替えた僕を、扉の前で見送る彼女。なんだか新妻のようで気恥ずかしい。
本来ならば、自分の服装にこそ羞恥心を感じるべきなのだが……。
いわゆる『朝チュン』をした後なので、色々と感情がバグっている。まあ、しいなさんと同じベッドで就寝しただけであり、
「あらあら〜。可愛いメイドさんねー。それじゃあ早速、廊下のお掃除をお願いね〜。はい、ホウキ。その間、わたしは理珠とお話ししてるからぁ」
しいなさんの私室から顔を覗かせ、簡単な指示だけを出す金髪メイドさん。
閉められた扉から、B子さんと姉さんの妖しい声が漏れて来る。まったく、ダメな先輩だなぁ。
その室内に併設された『メイド用の寝室』に、A子と妹が居るというのに……妹がまだ寝ている事を祈ろう。A子に至っては、早く部屋から出てきて欲しいけれど!
そもそも、彼女から科せられた『罰』で僕はメイドとして働いているのだから!
僕、姉さん、妹の三人は、揃って萬宮寿邸でお世話になる事となった。
みんな客人という扱いなのだが、僕だけは例外で『一週間の妹メイド』という罰則がある。これもまた、自業自得なので甘んじて受け入れる事にした……。
ついでに言えば、壊れた家の修繕をしてもらう身なので、少しでも役に立てればという思いもある。
まさか『木嶋家』が、善童鬼の燃える斧で破壊されていたとは……。
それを見たみさきさんが気絶し、予知夢を見たという流れだったのだ。大雨が幸いし、僕らの撮り溜めたビデオテープや、姉さんのコレクションが燃焼する事は無かったらしい。ちなみに母さんとみさきさんは、襟裳岬の二階を仮住まいとしている。
一刀両断された家屋の損害を、火鬼崎家でなく、萬宮寿家が補償してくれるのにも訳がある。
シグマ氏と善博士の間で、取引があったのだ。リングリットの出動と、アペンドナインの改造協力。善博士がその二つを飲むことで、街へ出た損害をシグマ氏が全て引き受けたのだとか。
やっぱり、あの二人は互いに正体を知っているのかも──
「あら、埃が残っていましてよ? アナタの軟弱振りは、メイドになっても変わりませんのね」
うげ。姑……もとい、イグナ婦人の登場だ。元気に小言を述べてくる辺り、統合精霊の『反動』は名付け親へと向かわなかったのだろう。オトメの言った子孫には、イグナばーさんも含まれていたという事だ。
あ、少し遅れてシグマ氏もやって来た。夫婦揃って、朝の邸内散歩だろうか?
「そんなところゾイ。一昨日の激戦を終え、屋敷の者へは3日ほど休養をとるよう言っておるのでな。ワイフと一緒に、異常がないか見回っていたんだゾイ」
悪の組織なのにホワイトな職場だなぁ。まあ、笛市全体があと数日は復興作業で持ち切りだろうけど。学校だって今日まで休みなのだし。
大型台風による被害もさることながら、フェチニッチ粒子の増大による『精霊』の被害が大きいのだ。局地的な地盤沈下に、河川の氾濫。善童鬼の暴走だって、元々は例の粒子が原因だ。精御輪具が無ければ、さらに被害が拡大していたかも知れない。
「輪具で律し人となる存在。それが『
まるでタイトル回収のような台詞を残し、シグマ氏は見回りへと戻って行った。
それなのに……どうして、奥さんの方はこの場に残っているのだろう。まさか、僕が掃除をサボらないか監視を!?
「相反する流派。非凡と平凡。賢しさと愚かさ──その挟間を見極め、調和の道を見出す才能がアナタにはあります。だからこそ、異なる精霊の要素が『全く同じ割合』で発現したのでしょう。これからも精進なさい。ふふっ、差し当たって
相変わらず、一言多い師匠だ。
正午前、使用人の控室。
僕がやっとの事で掃除を終えると、控室ではA子と妹が食事をとっていた。
どう見ても寝起きの二人。テーブルに置かれたサンドイッチは、調理スペースにいる姉さんとB子さんのお手製か。今も和気藹々と、他の料理を作ってくれている。
それじゃあ、僕もご相伴に……って、どうしたんだA子?
「なんか違う。今は妹もいるから、Dの妹メイドはもういい。つまんない」
「あはは、振られちゃったね、
起き抜けの女児二人が、とんだ挨拶をしてくれるものだ。
それと、僕に変な呼称を付けるんじゃありません。こら! 兄の頭を撫るんじゃないっ‼︎
「だってぇ。もう理奈の方が背高いもん。元お兄ぃ、少し縮んだ?」
断じて縮んで無い! 今朝だって、僕の目線はしいなさんと同じだった。
だから普通に、理奈の背が伸びたんだよ。フェチニッチ粒子で!
あと『元』お兄ぃという呼び方も止めてくれ……悲しくなる。
「今の妹は、まこと位の身長。でも『
そう。フェチニッチ粒子の影響は、人間にも出ているのだ。
僕ら家族のように、元々の覚醒率が高い人ほど如実に影響が現れているらしい。
妹は何故か身長が伸び、姉さんに至っては逆に縮んでしまった。来月誕生日を迎えるというのに、姉さんは着々と『合法ロリ』への道を切り拓いているのだ。
そうそう、ロリと言えば一時的に子供化していたB子さんだけど。
実は、テレビ中継が終わった直後には元に戻っていたらしい。『幼児タイコウ』というアイテムは、永続的に肉体を変化させる類のものではなかったのだろう。なんとも羨ましい限りだ。
「美衣が、元のおっぱ……じゃなかった、元の年齢に戻った時はすごかった。ハカセが元に戻った時の、10倍の歓声があがってた」
「そーそー。ハカセが一番よろこんでたよねぇ。リングリットもガッツポーズしてたよ?」
A子と妹が、当時の詳細を語ってくれる。
サイズが合わなくなったメイド服を押し上げるように、急成長したB子さん。その姿を見て、狂喜乱舞する男性陣。うん。もし放送中に起きていれば、全国にいる青少年の性癖が歪んでいた事だろう。
「ちょっと、でぃちゃん? ひとの恋人を、魔性の女みたいに言わないでよね!」
僕の膝元で、二等身のちびキャラが騒いでいる。いや、小さすぎだろ姉さん!?
縮んだと言っても、さっきまでA子と同じくらいの身長だったじゃないか!
しかも、なんかデフォルメされてる? SDキャラというか、マスコットというか……。
「大丈夫よ〜、
なにそのシステム。この世界はギャグ漫画なのかな?
あ、違う。GL漫画だった。B子さんと姉さんが手を繋いだら、きちんと等身が戻ってる。
そう言えば理奈も、僕の頭をなでた時だけ妙に背が伸びていたような……まさか!?
「さすが、
デカキャラって……。それは格闘ゲームの投げ技キャラとかのカテゴリーだろう。
おっと、しいなさんが来た事でメンツも揃ったんだ。
使用人控室に置かれている42型ブラウン管。その特注サイズのテレビの前へ、
時刻は正午。生放送のバラエティ番組が始まる!
軽快なテーマソングが流れ、司会者と曜日レギュラーの軽い挨拶。
短いCMを挟み、司会者の人が観覧客と少しだけ遊び……本日のゲストが登場。
そのゲストは、まさかまさかの『葉月エリス』
僕らの母さんが、十数年振りに正式な形で地上波へと帰って来たのだ。
急な変更で、前日のゲストと突如『お友達』という枠組みになった母さん。
既に昨日、母さんは電話での番組出演を果たしていたらしい。
テレビ局への苦情が殺到し、収拾をつけるための起死回生の一手。たまたま事件現場に居合わせた『元アイドル』を、次のゲストに据えるという決定が下されたのだ。
本来予定されていた出演者には、申し訳ない限りである。
僕らの心配を他所に、母さんは司会者の人と軽快にトークを交わしている。
一昨日の事件を、深刻過ぎず、軽薄過ぎず、絶妙なラインで言葉を選びトークとして成立させている。プロだ。腐っても元アイドル。迂闊な発言をしないかと気を揉んでいたけれど、つつがなく出演時間を終えられそうだ。
《それじゃあ、友達の紹介を》
観覧客が、わざとらしく『えー』と不満を述べる。お約束の流れに、母さんも微笑んでいる。
《はい! お友達の『如月くいな』を──と思ってたんですけど、あの子は音信不通なので! 代わりに、その娘さんと
はぁ……!?
や、やってくれたな母さん! 僕らの居る控室の電話が鳴ってる……!
どうしよう、しいなさん!?
「もしもし……『如月シーナ』ですの。うふふ、エリスさんとは昨日お会いしたばかりですわ」
へー。生放送の電波って、少しだけラグがあるのかぁ。
テレビからは、ワンテンポ遅れてしいなさんの声が聞こえてきてるよ。それにしても、凄いなぁ。まるで台本でもあるかの様に、スラスラと受け答えしてる。まさに当意即妙だ。
「ええ、ディアナも一緒ですわ。代わりますわね──はい、どうぞ」
……僕? 姉さんは、逃げたか。ちびキャラになって、ばびゅーんという効果音を残し消えてしまった。仕方ないな。妹に迷惑はかけられないし、覚悟を決めるか……。
うぅ、夜になったら急に不安になって来た。
本当に来週の月曜日、しいなさんと僕は『女性デュオ』としてテレビに出るのだろうか?
全部、夢なんじゃないかな。やっぱり僕は、あの時の銃弾で死んでしまって──
「死ぬワケないでしょう? あの銃は『性転
そうなのだ……シグマ氏が試作中だった発明品。
拳銃の形をしたそれは、大量の『ナノマシン』を含んだ銃弾を発射する装置。要となるのはナノマシンの方だ。男性の身体へと打ち込まれたそれは、体内の『Y染色体』を全て『X染色体』へと書き換える効果をもっている。
つまり、一方的な性転換アイテム。
しかもB子さんの子供化と違い、効果は永続。僕が男子に戻る術は、現時点で皆無らしい……。
【不可逆TS】【さあ、ドギマギして私を愉悦させて!】
あ、起きたんだレイワさん。おはよう、もう夜だよ。
それと、残念ながら僕は自分の身体に戸惑ったりしないんだ。だって、しいなさんとB子さんの身体を経験しているのだから。姉さんよりも大きいとは言え、この胸も足元が見えないレベルじゃない。顔も、男の時と然程変わらないし……【つまんなーい】
【そうだ!】【ならD子ちゃんと、しいなちゃんで濃厚な百合展開を見せて】
これである。
一昨日、あれだけシリアスに心情を推理したって言うのに……。
結局の所、僕の一人相撲だったんだ。『銃で撃たれたら死ぬ』という思い込みで、ただ空回りを続けていた。しいなさんも、レイワさんも、あの古風な見た目のリボルバーに殺傷力がない事を知っていたのだから。
まったく。『TSアイテム』の銃ならば、判りやすく『♂♀』マークでも記載しておいて欲しいものだ。【それだと危機感が無いでしょ?】
【実際、私は男の子としての『君』を──】
「……ディアナ? また、いおんさんと頭の中で話してますわね!?」
わっ、ごめん! バングルをハカセに返した事もあって、つい話し込んでしまった。
そう言えば今更なんだけど、どうして僕の名前が『ディアナ』という事になってるのかな?
「私が考えましたの。あなたが創り出した武器は、月の輝きを放っておりましたわ。ですから、月の女神に由来した名前を付けましたの。ピッタリでしょう?」
恐れ多い名前だなぁ。【大丈夫。ネットだと、D子呼びが定着してるから】
大丈夫じゃない。今の時代、まだネットが普及してないから。
……あのさ、レイワさん。【なに?】
こうして普通に会話してるけど、本当にこれで良かったのかな。
確かに僕の性別は変わったけれど、僕らの関係性は──
「ディアナ! 今は私との会話を楽しむ時間でしてよ? いおんさんも、取り決め違反ではなくて? 私達が二人きりの時は、干渉しない。
えぇ!? またもや僕の知らないところで、話が進んでる!
と言うか、しいなさんとレイワさんが会話した様な口振りだけど……?
「あら、ご存知ないんですの? あなたの意識が眠っていれば、いおんさんが肉体を動かせますのよ。一昨日も、昨夜も、たくさん『お話し』しましたもの。ええ、それはもう、とても実りのある会話でしたのよ?」
物凄く、含みのある言い方だ……こわい。
あと、流れるように僕をベッドへ押し倒さないでほしい。【キマシ……!】
そ、その! 指をワキワキさせながら、迫らないで──ひゃん!?
「うふふ、怯えなくても大丈夫ですわ。さあ、私に身を委ねて下さいな。今晩も、
「──ふふ、可愛らしい声が出てましたわよ? 今回は、これ位で勘弁して差し上げますわ。明日は、久しぶりの学校ですもの……では、お休みなさいディアナ」
も、もうダメ……限界。【ごちそうさま〜】
このままでは、僕の身が保たないっ! 早く寝て、少しでも体力の回復を……って、こんな心境で寝られる訳ないだろう!? ああ、しいなさんの寝つきの良さが羨ましい。
満足そうな笑みを浮かべ、僕の隣で眠る彼女。
僕の性別が変わっても、変わらず『パートナー』として接してくれる彼女。
本当に、これで良かったのだろうか?
【良いんだよ】【TSロリと悪役令嬢の百合なら許せるから!】
【いや、むしろ見守れる】【見守りたい‼︎】
それが、レイワさんの『落とし所』であり──
僕が、つけるべき『落とし前』に、なるの、かな──……
【D子ちゃん?】【D君……?
ふふ、寝ちゃったみたい。君だって、寝つきが良いじゃない。
相変わらず、自分を分析するのは苦手なんだね。私の心は、ほぼ完璧に分析したクセに。
君はリバーシブルショタ。
ドSかと思えば、攻めには滅法弱い男の子。
純情で人の悪意に疎い事もあれば、穿った視点で人の意向を看破する事もある。
相反する性質。一見、矛盾している性格。
それは、異物が混じった事で起きた変化。君を変えてしまったのは、私だと……最初は、そう思ってたの。でも、それだけじゃないんだよね?
だって、二面性は誰にでも当てはまる性質なんだから。
ジレンマを抱えながら生きるのが、人間だもの。
だから私は、もう君の事を『物語のキャラクター』として見れなくなったんだよ?
6月19日。土曜日。
月曜以来、休校だった笛壱高校も今日から再開。
市街にはまだ災害の爪痕が残っている。されど、それを覆い隠す程に人々は活気に溢れている。
日常が帰ってくるまで、そう遠くはないだろう。
「じゃあねー、お姉ぇ達。いってらっしゃーい」
開いたスライドドアから顔を覗かせ、妹が僕らへ別れを告げる。
黒塗りのバン。8人乗りのワゴン車。後部座席に女児が一人。物凄く犯罪の匂いが漂っているが、至って健全な朝の登校風景だ。
「それではお嬢様方、お気を付けて。理奈さんは、
運転をするのは勿論、ジーナ・九重・ブーゲンビリアさん。
彼女を含めて、萬宮寿邸からここまでの乗員数は7名。
フィアット500では定員オーバーな上に、あの車は激戦によりスクラップ寸前の状態。
ソーラーリムジンと呼ばれる例の車は、非常用電源として活躍中。大容量バッテリーを活かし、停電中の医療施設へ電力供給しているそうだ。
そう言った事情から、僕らは黒塗りのバンで送迎してもらったのだ。
「美衣ぃ。私のこと忘れないでね……!」
「当たり前よ〜、理珠。必ず帰ってくるからねー」
昇降口を過ぎ、姉さんとB子さんが渡り廊下で寸劇をし始めた。
半日授業だと言うのに大袈裟すぎだ。むしろ僕は、姉さんのクラスメイト達が心配だよ。教室にSDキャラがいる現実なんて、常識が破綻して発狂してしまうぞ!?
「D。それは、鏡を見てから言うべき……はぁ、普通に『女子制服』着ててツマラナイ」
僕を見るたびに、溜め息を吐くA子。彼女が言うには、今の僕が女子の服を着ても『女装じゃない』らしい。どうせなら『男子制服』の方が面白いのだとか。【完全に同意】
ああ、今朝は早起きだねレイワさん。おはよう。
【おはようございます】
【ゆうべは おたのしみでしたね】
急にbotを演じるんじゃない。第一、レイワさんが
【あはは】【お約束ネタだってば】
【少しは緊張が解けたかな?】
……お陰様で。
さて、僕のクラス『2年C組』へ向かうとするか。
鬼が出るか、蛇が出るか。扉を開けてみての、おたのしみだ──!
「な、なんですのコレは!?」
うん。人生はいつだって想定外だ。
なぜか教室内では、空前の『ハブキ』ブームが巻き起こっているのだから。
猫も杓子もハブキさん、ハブキさん。その中心にいる本人は、羞恥心で顔が真っ赤に染まっている。そして、それを見た周囲の女子達が「ギャップがカワイイ〜」と黄色い声をあげている。
黒板に貼り出された、B1サイズのポスター。
そこに写るのは、ワイルドに笑う羽吹まこと。
強敵を前に、己の闘争心を隠しきれず、思わず口角があがったのだろう。その瞬間を、テレビ中継していたカメラマンが見事に切り抜いてしまったと推測できる
【目力が凄い!】【あれは女子がオチるでしょ】
……まあ、確かに格好いいケド!
僕がスカートをはいてる事に、誰も気が付かないのは酷いんじゃないかな!?
なんなら僕だって『ハブキさん』だ!
「うーっす。あれ? 理珠ねー、どうして二年の教室に……ってぇ!? デイゴかよ!? お、お前! その胸‼︎ ホ、ホンモノなのか!?」
あはは、おはようワッカ。僕、女の子になっちゃったんだ。
うん、シグマ博士の発明品が──って、ずっと沈黙されても困るんだけど。
「お、おう。その、えーと……!」
【キタキタきたー‼︎】【これ‼︎】
【これこそが、私の待ち望んだ楽園!】
【これで、あと十年頑張れる】
あれから、Eにも同様の反応を返され、レイワさんの寿命がさらに伸びた。
まことに至っては、未だ僕の変化に気づいていない。自分の事で手一杯なのだろう。
騒がしい教室を掻き分け、僕は窓側最後尾の席へと着く【主人公席!】
隣へ座るのは、しいなさん。これが厳選なるくじ引きの結果なのだから、僕の運も中々と言える。彼女が小学生に戻った時は、ディエゴ、ディエゴと授業中なのもお構い無しに懐かれたものだ。
あ……そう言えば、僕は結局『デイゴ』と呼ばれていないのでは?
「その件は、いつかあなたが男の子に戻る時までお預けですわ。私の
だけど! それじゃ、いつになるか……!
それに僕は君の秘密を──
「私が打ち明けない限り、秘密は秘密なんですの。よろしいですわね?」
……はい。
「それに『この世界は、何が起きても不思議じゃない』と、いおんさんが仰ってましたの。なので、あなたが元に戻る事も充分に有り得ますわ。うふふ、それまでに私がディアナを完全に『堕として』見せますのよ‼︎」
既に骨抜きにされた身だけど……ニュアンス的には『悪堕ち』または『闇堕ち』を指しているのかな? 正義と悪、そのどちらを選ぶのか。或いは選ばない第三の答えを見出すか。
それが、中道をフラフラと進む僕の次なる議題だ。
【まあまあ、そう難しく考えないで】
【新しいフェチの開拓】【その位の心持ちでいいんじゃない?】
心外だな! 僕はレイワさんの様に、特殊な性癖に目覚める事なんて……なんて……?
あれ? どうして、こんなに胸が高鳴るんだろう?
体温が熱い。呼吸が乱れる。頭が、沸騰しそうだ……‼︎
しいなさんを見て愛しく思うのは、いつもの感情なのにっ!
「どうしましたの? あ、
彼女の話が頭へ入って来ない!
それなのに! 至極当たり前の筈なのに!
どうして『メガネ姿のしいなさん』が、こんなに輝いて見えるんだー!?
【あらら】【これはまた、典型的なフェチに目覚めちゃったねー】
【そう言えば、光速真芯リングリットXって】
【メガネ属性が不在だったしねぇ】
山原先生が、ビン底メガネだけど? 【あれは、外した時にギャップが出るタイプ】
なるほど、しいなさんは逆なのか。それなら、完全に同意できるフェティシズムだ。
うん。こんな素晴らしい属性を出さない世界なんて間違ってる!
だから逆説的に、この世界は『光速真芯リングリットX』じゃないんだよレイワさん!
【お、おう】【いつになくIQが高まってるね、D子ちゃん】
そうだな。
ここは、あえて主観的に。
僕を取り巻く『
フェティシズム!
なんてどうかな。僕的には、会心のタイトルだと思っ【うーん、センスが古い】
なっ!? 【それだと人気出ないんじゃない?】
【仕方ないなぁ、おねーさんが令和的センスってやつを見せてあげる】
【名付けて──
……なんか微妙。タイトルが長いし【そういうのが流行ってるの!】
本当かなぁ。考えて見れば、レイワさんだって生まれたのは『平成』じゃないか。
既にそのセンスも古いんじゃないの? 【なにおぅ!】
【それなら君なんて、昭和生まれじゃないの!】
あー! そういうのは、『エイジハラスメント』って言うんだろ! レイワさんって、令和の価値観を持ってても、まったく実践できて無いんじゃない?【ぬぐぐ】
【可愛いショタからの罵倒ならともかく!】
【この私が、たかがTSロリごときにぃ……あ】
【そうだよ】【さっきのじゃ、危うくタイトル詐欺になるとこだった】
ん? 一体なにを言って……
「ディアナ‼︎ また『
ハッ……! メガネしいなさんから叱られると、なんだか、こうっ……!
【まったく、君という子は……】
【色々と性癖開拓するのは自由だけど】【その前に】
【