変わった世界でやり直し。〜ずれた世界をあの娘と共に〜   作:清谷ペン太郎

3 / 3
夢?現実?

視線をずらしてみても、俺の視界内に入った物体には全て文字が付け加えられている。

なんかウザいな…….消えろ、と思うと、スッと文字は消えた。

「なんだったんだ?」

夢の中で意識がこんなにもハッキリしていること、さらには寝て起きるなんて経験は初めてだ。

それに、文字。

試しに現れろ、と念じると沢山の文字が物体ごとに現れた。

それもまた消して、唸る。

「うーん。なんかこれ、知ってるような?」

俺は高校時代くらいからネット小説が好きで、よく読んでいた。

そんなネット小説にありがちな設定、それが。

「鑑定?」

刹那、ぶわっと俺の目の前に大量の情報が現れる。

目の前にある全ての物体について詳細な情報が現れ始めたのだ。

俺の視界に現れたそれは、どうやら脳にある情報を視覚化しているようで、凄まじい頭痛が俺を襲った。

「や、やめろ!」

俺は思わず半ば叫ぶようにそう口に出した。

そうすると、すんなりと情報の嵐は止まった。

「はぁはぁ、頭割れるかと思った……」

力が抜け、へなへなとベッドに座り込む俺。

「これ、現実?」

夢ではない。俺はそう確信めいたものを抱いた。

こんな異常事態なら普通は逆。夢である確信を強めそうな気もするが、これは俺の想像力を超えたリアルな質感を持った異常だった。

これは夢ではあり得ない。

俺はそう思った。

幸いにして今日は土曜、この頃は土日休みだったので自由な時間が丸2日ある。

「検証だな」

俺は自分に襲いかかった不可解な現象について調べようと思った。

「まずは……」

俺は部屋を出る。母はもう仕事で、父は部屋で寝ている。

起こすと不機嫌になるので放っておく。

俺は慣れた手つきで朝食をぱぱっと食べ、部屋に戻ってランドセルを漁った。

「あったあった連絡網」

クラス全員の連絡先が記載されているプリントだ。この頃はそう言うものがあった。

俺は家の固定電話を使い、ある番号に連絡をかけた。

『トゥルルルルルル、トゥルルルルルル、ガチャリ』

『もしもし、香村です』

『おはようございます。朝早くにすみません。響子ちゃんはいますか?』

『響子のお友達?はいはい、ちょっと待ってね。きょーこー、お友達よー………はい、もしもし、響子です』

『おはよ、香村さん』

『ん?神崎くん、どしたの?』

少し眠そうだが、香村さんの声だ。

「いや、昨日のこと……」

『あー、もしかして夢じゃないかって不安になった感じ?』

「んー、逆だけどそんな感じ」

『逆?現実だとやだった?………そっか』

「いや、俺やり直しできたらなって思ってたからそれはいいんだけど……」

『そう?そかそか』

心なしか嬉しそうに聞こえる。気のせいだろうか?

「なんて言うか、色々気になることあるから、今日会えないかな」

『んー、いいよー。君ん家?」

「いや、うち今日親いるから、市立図書館でいい?」

『オッケーわかったー。じゃあ後でねー』

そうして、俺たちは通話を終えた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。