変わった世界でやり直し。〜ずれた世界をあの娘と共に〜 作:清谷ペン太郎
視線をずらしてみても、俺の視界内に入った物体には全て文字が付け加えられている。
なんかウザいな…….消えろ、と思うと、スッと文字は消えた。
「なんだったんだ?」
夢の中で意識がこんなにもハッキリしていること、さらには寝て起きるなんて経験は初めてだ。
それに、文字。
試しに現れろ、と念じると沢山の文字が物体ごとに現れた。
それもまた消して、唸る。
「うーん。なんかこれ、知ってるような?」
俺は高校時代くらいからネット小説が好きで、よく読んでいた。
そんなネット小説にありがちな設定、それが。
「鑑定?」
刹那、ぶわっと俺の目の前に大量の情報が現れる。
目の前にある全ての物体について詳細な情報が現れ始めたのだ。
俺の視界に現れたそれは、どうやら脳にある情報を視覚化しているようで、凄まじい頭痛が俺を襲った。
「や、やめろ!」
俺は思わず半ば叫ぶようにそう口に出した。
そうすると、すんなりと情報の嵐は止まった。
「はぁはぁ、頭割れるかと思った……」
力が抜け、へなへなとベッドに座り込む俺。
「これ、現実?」
夢ではない。俺はそう確信めいたものを抱いた。
こんな異常事態なら普通は逆。夢である確信を強めそうな気もするが、これは俺の想像力を超えたリアルな質感を持った異常だった。
これは夢ではあり得ない。
俺はそう思った。
幸いにして今日は土曜、この頃は土日休みだったので自由な時間が丸2日ある。
「検証だな」
俺は自分に襲いかかった不可解な現象について調べようと思った。
「まずは……」
俺は部屋を出る。母はもう仕事で、父は部屋で寝ている。
起こすと不機嫌になるので放っておく。
俺は慣れた手つきで朝食をぱぱっと食べ、部屋に戻ってランドセルを漁った。
「あったあった連絡網」
クラス全員の連絡先が記載されているプリントだ。この頃はそう言うものがあった。
俺は家の固定電話を使い、ある番号に連絡をかけた。
『トゥルルルルルル、トゥルルルルルル、ガチャリ』
『もしもし、香村です』
『おはようございます。朝早くにすみません。響子ちゃんはいますか?』
『響子のお友達?はいはい、ちょっと待ってね。きょーこー、お友達よー………はい、もしもし、響子です』
『おはよ、香村さん』
『ん?神崎くん、どしたの?』
少し眠そうだが、香村さんの声だ。
「いや、昨日のこと……」
『あー、もしかして夢じゃないかって不安になった感じ?』
「んー、逆だけどそんな感じ」
『逆?現実だとやだった?………そっか』
「いや、俺やり直しできたらなって思ってたからそれはいいんだけど……」
『そう?そかそか』
心なしか嬉しそうに聞こえる。気のせいだろうか?
「なんて言うか、色々気になることあるから、今日会えないかな」
『んー、いいよー。君ん家?」
「いや、うち今日親いるから、市立図書館でいい?」
『オッケーわかったー。じゃあ後でねー』
そうして、俺たちは通話を終えた。