同好怪!?   作:阿弥陀乃トンマージ

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第9話(1)そもそもの話

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「ううっ……はっ⁈」

 

 俺が目を覚ますと、見知らぬ天井が見えた。

 

「おっ、目を覚ました」

 

 視線を向けると、そこには小森蘭河がしゃがんでいた。

 

「鳳凰……」

 

 小森の後ろに立っていたジョアンナ=フェルナンデスが目配せをする。その視線を追いかけると、織田桐鳳凰が背もたれ付きの豪奢な椅子に腰かけていた。

 

「お前! うっ……!」

 

 俺は半身を起こすが、めまいに襲われる。

 

「いきなり動かん方が良いぞ」

 

「な、何をした?」

 

「なに、ちょっとばかりクロロホルムを多目に嗅がせただけだ」

 

「は、はあ?」

 

 なんだこいつら、普通じゃない……。

 

「あまりに暴れるものでな」

 

「まったく……」

 

 フェルナンデスが自らの二の腕部分をさする。そうだ、確かこいつ……彼女にお姫様抱っこをされていたのは覚えている。なんて力持ちなんだ……。

 

「抱かれ具合が良くなかったか?」

 

 織田桐が笑みを浮かべる。

 

「い、いや……」

 

 俺はどう答えれば良いか戸惑う。

 

「分からんでもないですね」

 

 小森が織田桐に同調する。

 

「……お前に何が分かる」

 

 フェルナンデスが小森を睨みつける。

 

「分かるさ、そのゴツい腕に包まれて、五体満足の方が奇跡だ」

 

「なんだと……!」

 

「あ、ああ! ちょっと待って! とっても良い抱かれ心地だったぞ!」

 

「なっ⁉」

 

「はあっ⁉」

 

 フェルナンデスと小森が驚きの視線を向けてくる。生徒怪とか言っていたけど、こいつらも海道学園の生徒なんだよな? 生徒同士のいさかいは止めるのが教師の務めだ。ちょっと、わけわからんことを口走ってしまったが。

 

「そ、そうか……」

 

 フェルナンデスが照れくさそうに自らの鼻の頭をこする。

 

「何を照れているんだ、気持ちの悪い……」

 

「何⁉」

 

 小森の言葉にフェルナンデスが怒る。

 

「ああ、ちょっと待った! こ、小森……」

 

「うん?」

 

「お前の鞭もなかなかの巻き付き具合だったぞ……」

 

「なっ⁉ 何を言っているんだ⁉」

 

 本当に何を言っているんだろうな……。

 

「え、えっと……」

 

「……そ、そうか……鞭さばきには多少の自信があるんだ……」

 

 小森が両手の人差し指同士をツンツンとする。自信を持つのは良いことだが……。

 

「はっはっは!」

 

 視線を向けると、織田桐が椅子から立ち上がっていた。

 

「お前ら、君たちは何者なんだ?」

 

「うん? 言っただろう、生徒怪だ」

 

「こ、この学園の生徒なんだよな?」

 

「まあ、そうだな」

 

 認めちゃったよ。

 

「き、君たちを見かけたことがないんだが……?」

 

「……」

 

 織田桐が俺をじっと見つめる。

 

「な、なんだよ……」

 

「貴様は………」

 

「き、貴様って……」

 

「今まで教えた生徒の人数を覚えているのか?」

 

「え?」

 

「どうだ?」

 

「いや、どうだろう……」

 

 俺は考え込む。

 

「………」

 

「え、ええっと……」

 

「……つまりはそういうことだ」

 

「あ、ああ……」

 

 何故か頷いてしまう俺。いや、どういうことだ? 訳が分からないが、なんというか、この織田桐鳳凰という人物……謎の説得力があるな……。

 

「まあ、それはどうでもいいだろう」

 

「い、いや、どうでもいいってことは……」

 

 俺は首を傾げる。

 

「そもそもの話をしようじゃないか」

 

「そもそもの話?」

 

「そうだ。我々生徒怪やあの同好怪の連中がどうして怪獣・怪異・怪人に変貌・変化・変身をするのか……興味はないか?」

 

「あ、ある! 大いにある!」

 

 俺はブンブンと首を縦に振る。

 

「この学園の場所はどこだ?」

 

 織田桐が床を指差す。

 

「え……静岡県?」

 

「静岡県の懸念事項は?」

 

「懸念事項?」

 

「不安要素と言った方が良いか?」

 

「不安要素……?」

 

 俺は首を捻る。 織田桐が呆れ気味に呟く。

 

「なんだ、それでも地学教師か?」

 

「……! 南海トラフ地震⁉」

 

「そうだ、この地域が抱えている潜在的な不安だな」

 

「地震がどう関係ある?」

 

「ざっくりと言えば、地震には大きなエネルギーが伴う……」

 

「ざ、ざっくり言ったな……」

 

「地学教師に対して地震の説明など、釈迦に説法だからな……」

 

「あ、ああ……」

 

「この地域には、他では見られない特殊な磁場が発生している……」

 

「特殊な磁場? そ、それが怪獣などを引き寄せているのか?」

 

「簡単に言えばそういうことだ」

 

「ひょ、ひょっとして、君たち生徒怪は……この地域を安定させるために存在しているのか? そして後から出てきた同好怪が目障りになった……」

 

 織田桐は少し驚いた後、満足気に頷く。

 

「なかなか察しが良くて助かる」

 

「……俺は?」

 

「ノリで連れてきてみた」

 

「ノリで⁉」

 

 俺は愕然とする。

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