「フシュ―!」
「ロ、ロボット……?」
俺は首を傾げる。
「シャア!」
コウモリ怪人が翼を大きく広げる。
「フシュ―! フシュ―!」
ロボットの肩の辺りから蒸気が噴き出す。
「こ、これは口から発する音じゃなかったのか……」
俺はなんとなく納得する。
「シャアア!」
コウモリ怪人が翼をはためかせる。
「い、威嚇しているのか?」
俺は呟く。
「フシュル―!」
「グギャ!」
ロボットの放った強力なパンチがコウモリ怪人の腹にめり込む。
「フシュルルル……」
ロボットが腕をぐるんぐるんと回す。
「シャア……」
コウモリ怪人がたまらず後ずさりする。
「フシュル……」
ロボットが腕を回しながら、コウモリ怪人との距離をゆっくりと詰める。
「シャ、シャア!」
コウモリ怪人が窓から飛び出す。
「逃げた!」
「フシュルウー!」
「え⁉ と、飛べるのか⁉」
ロボットが窓枠に足をかけて、飛び出そうとするのに俺は驚く。
「フシュル⁉」
「あっ⁉」
ロボットは足を滑らせて、転落する。
「……」
「お、おい! 大丈夫か⁉」
俺はベランダに出て、下を覗き込んで、問いかける。
「……フシュルル……」
「あ、ああ、良かった……なかなか頑丈だな……」
「シャア‼」
コウモリ怪人が勢いづき、ロボットに襲い掛かる。
「あ、危ない!」
「!」
「シャアア‼」
「フシュルルル‼」
コウモリ怪人が爪をたてようとしたので、ロボットは体を反転させてそれをかわす。
「シャアアア‼」
「⁉」
コウモリ怪人が翼をさらに強くはためかせて、強風を起こす。立ち上がろうとしたロボットはたまらずバランスを崩す。
「シャアアアア!」
コウモリ怪人がそこに飛びかかろうとする。
「フシュアア!」
「グゲェ⁉」
ロボットが口の辺りから火炎を放射した。コウモリ怪人が火に包まれる。
「か、火炎放射……」
俺はボソッと呟く。コウモリ怪人が体を地面にゴロゴロとさせて、自身の体に点いた火をなんとか消火させる。
「シャ、シャア……」
コウモリ怪人が立ち上がる。
「フシュル! フシュル!」
ロボットがコウモリ怪人に再び迫る。
「シャ、シャア!」
コウモリ怪人が飛び立つ。
「………」
ロボットがそれを見上げる。
「シャ、シャ、シャア!」
「得意気だな……」
俺はコウモリ怪人の様子を見て呟く。
「シャア! シャア!」
「空中戦ならば負けないということか……」
「……フシュルルル!」
「⁉」
「と、飛んだ⁉」
俺は驚く。ロボットがあっという間にコウモリ怪人と同じ高度に達したからだ。
「……フシュルン!」
「ゴガァ⁉」
ロボットが腕を横に振るうと、腕から斬撃が生じ、コウモリ怪人の胴体を真っ二つに引き裂いてしまった。
「な、なんと……」
「まあ、ざっとこんなもんだよね~」
俺がしばらく呆然としていると、元の姿に戻ったツインテールが、ベランダの手すりの部分にバランスよく立っていた。
「き、君はなんなんだ?」
「知りたい?」
「ただの中学生ではなさそうだ……」
「あれ、バレた?」
「校庭を見渡して気が付いた……ここは海道学園中等部だ」
俺は周囲を見回しながら答える。
「そっか~分かっちゃったか……なら仕方がない、アタシは
彩と名乗ったツインテールが俺に対し、ヒラヒラと手を振る。
「怪盗……その身のこなし、確かに……」
俺は頷く。
「先生のことも盗んじゃった♡」
「しかし……」
「うん?」
「怪傑とは……どういうことだ? ロボットならば人とは違うだろう?」
「細かいこと気にするね~」
彩が苦笑いを浮かべる。
「いや、ロボットならば……」
「ロボットっていうのもまたちょっと違うんだけど……」
彩がツインテールの片方をつまんでクルクルとさせる。
「え?」
「まあ良いじゃん、すべては解決!ってことで」
「そういうわけにはいかんなあ……」
「うおっ⁉」
「きゃっ⁉」
強風が吹いたかと思うと、俺の体はベランダから勢いよく浮かび上がった。どうやらまたもさらわれたようだ。