機動戦士ガンダムJ   作:あかつきp dash

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第二十話『初陣』

 ケネスがソールに持ちかけた話とは、次の出撃で自分たちがJに乗ってみたらという提案であった。

 

 もちろん、大人たちに頼んだところで、反対されるのはわかっている。となれば、アイラを抑えて、Jに乗り込み、無断で出撃する必要があった。そのためにアイラの部屋の前で、マウロとティーロに待ち伏せをさせて、アイラにけしかけたのである。

 

 それが功を奏したのか、ケネスとソールはまんまとJに乗りこんで出撃できたのだった。

 

「へへっ、うまくいったな」

 

「驚いたな。ケネスはモビルスーツの操縦なんていつ覚えたんだ?」

 

「親父に連れられて、シミュレーションを何度かしたんだよ。プチモビルだって操縦したことあるんだぜ」

 

 ケネスは得意そうに胸を張る。

 

「なるほどな」

 

 ソールが感心するとおり、ケネスの操縦技術は初めてにしてはなかなかのものだった。

 

「港は敵艦に封鎖されているから、回り道したほうがいいみたいだな」

 

「近くに出口はあるのか?」

 

「ここから右の角をまがれば、三番非常ゲートがある。そこならモビルスーツでもでられるはずだ」

 

「へへっ、了解」

 

「帰ったらお叱りを受けるんだろうな……」

 

 ソールはそれを思うと憂鬱になった。理由はどうあれ民間人がモビルスーツに乗って無断出撃するなど、あってはいけない話なのだ。本来なら叱られるだけですむような話では

ない。

 

「なあに、戦果さえあげて帰ったら、誰も文句はいえないよ。シンクにだってできるんだ、俺たちにできないわけないって」

 

 本当にそうなんだろうかとソールは心中でつぶやく。ユーナが以前指摘していたとおり、シンクという少年は自分たちとは、なにかが違うと彼もやはり思うのだ。

 

「それにユーナさんの手前だ。お前さんもそろそろ見栄を張って、格好いいところを見せたいだろ?」

 

 ソールもそれは否定できなかった。なにより年下のシンクの活躍が、年長としてソールのプライドを刺激したこともある。

 

「俺たちはシンクのオマケじゃねえ。それをアーガマの連中に教えてやる!」

 

 それはアーガマRで荷物運びなどの雑用をやらされた憤りからくるものであった。

 

 ケネスとソールを乗せたJは、ハッチを開けて宇宙にでる。虚無の空間へでるには、モビルスーツとノーマルスーツに守られてるだけでは、案外頼りのないものだと、ソールは感じた。ケネスも一瞬だが、肩をぶるりとふるわせたのが見えた。

 

(自分たちは、とんでもないことをしでかしたのではないか?)ふと、ソールの脳裏にそんな考えが浮かんだ。

 

 そして、それは現実のものとなった。

 

 二機のバルバールが待ち伏せていたのである。

 

「少佐の予想通りだったな!」

 

「こいつ噂の白い奴じゃないか?」

 

「あのアトラス隊を何度も出し抜いたっていう機体だな!?」

 

 二機のバルバールがJに集中砲火をしかける。

 

 素人を乗せたJが二機の集中砲火をあびてもなんとか回避できるのは、Jの機体性能に依存しているところが大きかった。

 

 ソールはでたらめにビームを撃って、応戦する。下手な鉄砲も数撃てば当たるという発想であったが、相手にはかすりもしない。

 

「く、くるなっ!」

 

 知らぬ間にソールは汗だくになりながら叫んでいた。

 

「俺だって、俺だってぇ!」

 

 ケネスは呪文のように、叫びながらがむしゃらに動きまわる。先ほどの砲火で二人は完全に冷静さを失っていた。

 

「なんだ、あの動きは? メチャクチャじゃないか」

 

「なにかの作戦か?」

 

 本来なら素人の操縦だと見抜けそうなものだが、アトラス隊を退けたという功績がバルバールのパイロットを慎重にさせていた。

 

 そのおかげでケネスとソールはやられることなく、増援が到着するまで持ちこたえることができたのであった。

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