F91を奪取して間もなくアレンたちの部隊は、フロンティアサイドから直行する形で、次の戦場であるコンペイ島のある宙域に向かっていた。
連邦軍の一部隊とかち合ったのは、その航路の途中である。
あれから鉄仮面のドラグートとはわかれ、アレンの部隊はグリュ・プランセッスでの単独行動であった。それに対して連邦軍はグラップ級三隻でアレンたちに向かってくる。
しかし、その状況下でもアレンたちの部隊の士気が落ちることはなかった。それどころか果敢に相手に向かっていく気骨があった。
初手はグリュ・プランセッスの砲撃にはじまり、それからアレンはモビルスーツ部隊を展開させると、連邦軍もすぐにモビルスーツの部隊で迎え撃たせた。
「連邦はジェガンタイプと小型モビルスーツの混成部隊か」
その数は十五機ほどか。見たところジェガンタイプの数がその大半を占めているようだ。それは連邦軍が小型モビルスーツの配備が十分に追いついていないことを示していた。
「連中はのろまが多い。各機は分散しつつ、敵の足まわりを崩せ!」
アレンの号令とともに、六機のモビルスーツはあたりに分散した。
性能上、足の速いアルエットとエグゾセが先行する形となる。
二機は敵モビルスーツのビームの弾幕に飛びこみ、くぐり抜けながら、その距離を徐々に詰めていく。一撃どころかかすりもせずに弾幕は、二機からただ過ぎ去っていくだけである。ビームシールドを張る素振りすら見せないところから、被弾しないという自信がうかがえた。
さらに連邦のモビルスーツ部隊は、アルエットとエグゾセの相手に躍起になるあまり、陣形を密集させてしまう。そして、それこそがアレンの狙いであった。
アルエットはその密集宙域に入りこむと、手近にいたヘビーガンをビームサーベルで一刀両断にする。さらにそのあとに続いてやってきたエグゾセがビームハルバートを取りだして、ジェガンの頭を力任せに叩っ斬ってしまった。
数で勝る連邦のモビルスーツ部隊だったが、この一瞬の出来事で与えた動揺は大きく、効果は十分にあった。
弾幕がやんだうちに、後続のバルバールの部隊は散開しながら、連邦のモビルスーツ部隊を取り囲むようにして、反撃をはじめる。それでまっさきに沈んでいったのが、小回りの利かないジェガンタイプであった。このような密集している状態では、身動きは必然的に制限され、足の速さなどより軽妙なフットワークのほうが重要になってくる。さらにその鈍さに足を引っぱられ、ヘビーガンなども動きが制限される形になり、悪循環に陥っていた。
連邦の編隊に隙間を見つけると、バルバールの部隊もそこに飛びこんで接近戦をしかける。たちまち混戦状態となり、単独で高性能なアークジオンのモビルスーツは優位になる。
アルエットは目の前にいるヘビーガンを両断すると、その矛先をグラップ級に向けた。
連邦軍のモビルスーツ部隊に自艦を守る余裕は感じられない。戦艦を落とすならいまであった。
アルエットが一隻のグラップ級に特攻をかける。
激しい弾幕がアルエットを襲うが、そんなことはお構いなしにビームライフルで、砲台を潰していく。
そしてブリッジの正面までくると、ビームサーベルで艦橋を串刺して、ビームライフルの一撃をあびせる。
たちまち爆発しはじめるグラップ級――
ふとふり向くアルエット。
その視線の先には新たな獲物が映っていた。