機動戦士ガンダムJ   作:あかつきp dash

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第四十二話『静止したヘビーガン』

「……なんだ?」

 

 シンクの脳裏に悪い予感がかけめぐった。シンクはその気配を発しているところを察知すると、Jのブーストを全開にして、その宙域へ向かった。

 

 その宙域は先ほどまで、デュランとアークジオンの編隊が交戦していたところであった。

 

 ヘビーガンを囲んでいる三機のバルバールを確認すると、シンクの顔の影はことさら濃くなった。

 

 三機のバルバールもJの存在に気づいたようで、Jに向かって砲撃をしかけてきた。

 

「こんなところにアークジオンのモビルスーツがいるなんて」

 

 シンクは舌打ちすると、Jの軌道を変え、砲撃をいなしながらバルバールに接近していく。

 

 子供たちの捜索のためにJの装備が偵察仕様になっていたため、兵装が貧弱になっているのである。そのため、ある程度距離を詰めなければ決定打をあたえられないのだ。

 

 Jのビームピストルがバルバールの装甲に直撃するが、あっさり弾かれる。

 

「くっ」

 

 シンクは瞬時にバルバールに取りつけられた装甲が普通ではないことに感づく。迂闊に距離を詰めるのは危険だと判断し、軌道を変更しようとした。が、いつの間にかまわりこまれ、逃げ道を塞がれてしまう。

 

「しまった……!」

 

 ビームピストルを連射して牽制するが、バルバールは臆するどころか、むしろ突撃をかけてくる。

 

「あの装甲に覆われているところを攻撃してもダメだ。覆われていないところを狙わないと」

 

 そうつぶやいたシンクは、Jの右手にビームサーベルを持たせる。

 

 それと同時に隊長機らしいバルバールがJに向かってくる。あちらもビームサーベルを構えて突っこんでくるところを見ると、接近戦を仕掛けてくるつもりらしい。

 

 互いのビームサーベルがかち合う。装甲を追加しても基本性能はバルバールであり、力押しならJが負けるはずはなかった。

 

「これが噂に聞く白い奴の性能か!」

 

 男が吼える。

 

「手強い……」

 

 シンクはあの隊長機がかなりの手練れだということに気づかされる。おかげで簡単には懐に潜らせてくれそうにない。

 

 何度かの斬り結ぶこと数回――Jのビームサーベルが突きを放ち、バルバールの肩に刺さる。しかし、それこそが男の狙いだった。その突かれた肩アーマーは例の装甲に覆われた箇所であり、ビームサーベルの突きとはいえ、そう易々と貫けるものではない。

 

「肉を切らせて、骨を断たせてもらう」

 

 バルバールの右腕のガトリングガンがJの右手を狙う。先ほどデュランに対して行った戦法である。

 

 シンクはその攻撃に対し、超反応を示した。撃たれる寸前にJの左手からビームニードルが放たれ、バルバールの右腕をガトリングガンごと貫いたのだ。それが薬莢に引火したのか想像以上に火を吹いて、バルバールの右腕が爆発する。

 

「まだまだ!」

 

 しかし、男は退かなかった。まだ残っている左腕のガトリングガンをJに向ける。それに対して、シンクも臆さなかった。我を忘れたように叫びながら、バルバールの頭に向けてビームニードルを打ちこでいく。

 ビームニードルがバルバールの頭を打ち抜くと同時にガトリングガンは発射される。そのおかげでコクピットに向いていたガトリングガンの狙いは逸れて、Jの右アーマーを吹き飛ばす。

 

 それでもJの動きは止まらなかった。刃を形成していないビームサーベルの柄をバルバールの頭に突き刺したところで、電源をオンにする。すると頭上から胴体に向かってサーベルが貫き、それがジェネレーターに引火して、バルバール四散させる。

 

 隊長機がやられるのを確認した残りの二機は、ためらわずに退却していく。

 

 シンクはそれを追わずに、先ほどから身動きしないヘビーガンカスタムに近づいていく。

 

「こちらシンク・アルファード。デュラン大尉、無事ですか?」

 

 ヘビーガンの表面装甲が――特にコクピットを中心にズタズタにされていることに、シンクが気づくのにそう時間は要さなかった。

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