左腕と右脚を奪われたJは、アルバトロスの圧倒的な性能に対して、後手にまわらざるを得なかった。
「こいつ!」
ビームライフルは頑強なシールドに阻まれて、アルバトロスまで届かない。接近戦ではビームシールドまで切り裂いてしまう剣の餌食にされてしまう。八方塞がりの状況のなか、打開策は依然見いだせなかった。
「そろそろ逝きな!」
実剣がJに振りおろされようとしたときであった。
その間を割ってはいるようにビームの閃光が通りすぎる。撃ったのはアルエットであった。
「あの赤い奴――たしかアルエットっていったのか。誰が乗ってるんだ?」
そう口にしたシンクであったが、アルエットのパイロットについては、大体の想像がついていた。
「エネルギーは満タンだけど、メインモニターの調子が悪いのは変わらずね……」
シャルナである。
アルエットはその狙いをアルバトロスに向けてビームを放つ。
アルバトロスはその攻撃を避け、接近戦に持ちこむ。
「速い!?」
シャルナは叫びながら、ビームサーベルで迎え撃つ。
アルバトロスの実剣がビームサーベルとかち合い、閃光を疾らせる。
「シャルナ! その剣はダメだ!」
シンクが警告を発するが、すでに遅かった。アルエットのビームサーベルはその黒
い実剣にじっくりと浸食されていく。
「なんなの、この剣は? ビームサーベルを斬ってるなんて」
シャルナは驚愕の声をあげる。シンクは舌打ちするとともにJでアルエットを押しだして、アルバトロスから離れた。
「逃げるぞ」
「どうやって?」
「いま、考えてる!」
シンクは投げやりに答える。
「だったら、私が囮になるわ。そのうちに――」
「ちょっと静にしてくれ! 考えてるんだ!」
シンクはシャルナにとりつく島もあたえず、そのまま思考の海に身を沈める。
(アステロイド帯に逃げこめれば……)
しかし、そこに着くまでにアルバトロスの足の速さなら追いつかれててしまうだろう。シンクは胸中に焦りが滲みでてくるのを感じていた。
「エネルギー切れ? もう少しだってのに」
アイラはそうつぶやいて、Jを追いかけるのをやめる。コロンブス級を襲撃してからいままで補給を一度もしなかったのが、ここにきて祟ったのである。
「見逃してくれてる?」
「いまのうちに逃げこむぞ」
後ろ髪を引かれるようにして振りかえるシャルナを、シンクは引っぱるようにしてアステロイド帯に連れこむのだった。
「鬼ごっこの次はかくれんぼか。じっくり料理してやるよ、シンク・アルファードくん」
饗宴はまだ終わらない。