第二戦の開幕はアルバトロスのバッファの破壊からはじまった。
JのBWCSによって、バッファの場所を探し当てたのである。シンクとシャルナとの相性がよかったようで、いままでで最高の感度を示してくれていた。
「相変わらず、シンク・アルファードは……!」
舌打ちしたアイラは剣で斬りかかるのを、シンクはビームサーベルでいなす。
「アイラ・ハイヤームこそ」
アルバトロスの実剣はJのビームサーベルを切り裂けず、Jは間合いをとることに成功する。いかにビームシールドを打ち破る兵器といえど、瞬時に切り裂けるわけではない。
Jはビームサーベルをアルバトロスに向かって投げつけると、右手をすぐにビームライフルに持ち替える。投げつけたビームサーベルはアルバトロスに届かず、剣でたたき落としてしまう。
「シャルナ、フェイズ2に移行するぞ」
「いいわよ」
シャルナに火器管制をまかせ、シンクはJを動かすことに集中する。アルバトロスに対して機動力で負けるJでは、逃げることもままならない。ならば、つかず離れずに間合いを計りながら戦おうというのである。たしかに勝つことはできないが、それなら負けることもない。
それでもアルバトロスとJの性能差は埋めるには、限界がある。アルバトロスのエネルギーが尽きる前にやられるのは、確実にJのほうだと断言できた。
「とらえた!」
アルバトロスがJの頭を掴みとる。BWCSはJの頭部に組み込まれているものだ。頭部を潰されることは、Jの根幹を支えるBWCSを失うことだった。しかし、シンクは構わず頭を切り離す。
「アイラは夢中になりすぎだ。だから自分が誘きだされたことにも……!」
アイラが気づくとそこはアステロイド帯の付近であった。Jを追いまわすにつれて、石ころが増えだしたのはそのためだった。
そしてアイラはハッとなって後ろをふり向く。背後に機影を感じたためである。
それはアルエットであった。しかし、シャルナはJに乗りこんでいるために、アルエットは無人である。
アイラは思わずアルエットに気をとられる。隙をつくにはそれだけで十分だった。
Jの頭を徐切し、アルエットに向かってビームライフルを放つ。
「な……に?」
アイラが驚愕の声をあげる。
アルバトロスの至近距離でアルエットが爆発する。その衝撃にアルバトロスは押しだされ、右手に持っていた実剣を手放してしまった
「後退する……!」
シンクはそういって、最大加速でアルバトロスから離れる。バッファを失っているため、迂闊に深追いはできないはずだった。
つまり距離さえとってしまえば、十分に逃げられるということだ。
案の定、アルバトロスは爆煙から逃れても、Jを追いかけてくることはなかった。
そのかわり、アーガマRに帰還するまでの間――ずっとアイラの高笑いが響いていた。