機動戦士ガンダムJ   作:あかつきp dash

49 / 78
第六十五話『海上戦』

 バルト海の戦線には、アーガマR率いるモビルスーツも参加していた。

 

 四機のガンチェイスとガンレイサーの編隊は、別働隊として本隊とは別方向から攻める段取りになっていた。

 

「のけ者だと思えば、囮にされたり、俺らはどう思われてんのかね?」

 

「それはいわない約束だったろ?」

 

 ケネスがのやきをソールが制する。

 

「いつしたよ、そんな約束」

 

「不文律ってやつだよ。それにもうすぐ戦闘だぞ?」

 

 ソールとケネスのやりとりを聞いていたシャルナも、思わず嘆息を漏らした。

 

「私たちが戦争屋だって思われてるって話しホントかしらね?」

 

「さあな。それよりお喋りしてる場合じゃないみたいだぞ」

 

 シンクがそういったと同時にビームの閃光がガンレイサーの真横を通りすぎた。どうやら戦場に到着したらしい。

 

「ガンレイサーで先行します」

 

 シンクはそういってガンレイサーのビームフラッグを広げると、別方向からビームフラッグが広げられるのを確認した。これはアーガマRの部隊が到着したことを知らせるためであり、本隊もそれを確認したという合図である。

 

 数機のエスパドンがガンレイサーにめがけて、弾丸のような勢いで向かってくる。その一機がガンレイサーのヴェスバーの射程圏内に入る。

 

「あの機体、頑丈そうねぇ」

 

 シャルナはぼやきながら、ヴェスバーを発射する。その一撃はかわされてしまうが、それはあくまで牽制であった。

 

 Jのときとはちがい、ガンレイサーにはヴェスバーが二丁装備されていた。排熱の

ため連射はできないヴェスバーだが、交互に撃ちわけることで、擬似的に連射ができるようになっていた。またJのときの戦闘データのおかげで、撃ったあとの反動も軽減されていた。そのため連射しても、照準が大きくぶれることはなくなっていた。

 

 次の一撃はエスパドンを捉えた。並のモビルスーツなら一撃で撃ち貫かれるところだが、エスパドン相手だとそうはいかない。

 

 バッファの前面に張られたビームシールドは貫通したものの、アルミュールをはじき飛ばすに留まっていた。アルミュールはリアクティブアーマーの一種であり、アルミュールを潰しても本体はほとんど無傷な場合が多い。

 

「ミサイルで目くらましだ。距離をとるぞ」

 

 シンクがそう指示すると、シャルナはガンレイサーの八連装ミサイルランチャーを発射させた。

 

 エスパドンのビームショットランスに突貫攻撃は、ビームシールドもろともモビルスーツを貫くほどの威力を持っている。それはガンレイサーでも例外ではなく、迂闊に接近戦を挑むわけにはいかなかった。

 

「やっぱり脚を先に潰さないとダメね」

 

「そうなんだろうが、どうする……?」

 

 ガンレイサーは他にもレールキャノンが二門設けられている。他のヴェスバーやミサイルランチャー――これらはガンレイサーの固定兵装ではなく、F90のオプションパーツを組みあわせて作られた、取り外し可能の装備――HWA(Heavy Weapon Armor:ヘビーウェポンアーマー)であった。そして、それをフライトボードを介してドッキングさせているのだった。

 

 そのため射撃兵器は充実していたが、格闘戦においてアルミュールを貫ける武器はない。距離を詰められれば、不利になるのは目に見えていた。

 

「ヴェスバーだって無限に撃てるわけじゃないのに」

 

 シャルナが呻くように振りかえると、サイキ小隊の面々も戦闘に入っており、援護は望めそうになかった。

 

「そういや、なんであのフライングアーマーはビームシールドを張るんだ?」

 

「機体を守るためじゃないの?」

 

「そうなんだけど、もしかしてあのフライングアーマーは、思ってるほど頑丈じゃないかもしれないって思わないか?」

 

「……試してみる?」

 

「自分でいいだしたことだ」

 

 エスパドンのビームショットランスから放たれる拡散ビームをかわしながら、シンクは接近していく。

 

 そしてHWAをエスパドンの目の前で、脱ぎ捨てるとフライトボードでバッファの下に潜りこみ、ビームサーベルでバッファを貫く。

 

「いけるぞ」

 

 バッファにはアルミュールで使われている素材が使用されていないようで、あっさりと貫けた。爆発するとともにエスパドンはバッファを切り離す。

 

 エスパドンはビームショットランスで突きかかってくる。それをガンレイサーはビームスピアで迎え撃つ。ビームスピアはその名の通りビームの刃を持った槍のことである。これならリーチが長いので、ビームショットランスに対しても決して引けをとることはない。

 

 しかし、そのビームスピアでもアルミュールを貫くほどの威力はなかった。

 

「関節の部分を狙って!」

 

 シャルナの一喝とともに、スピアが肩と胴の接合部分を貫く。ビームショットランスを持っていた腕を奪われたエスパドンは、自己の不利を悟り、僚機の援護を受けながら、後退していく。

 

 連邦軍から撤退命令がでたのは、それと同時のことであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。