機動戦士ガンダムJ   作:あかつきp dash

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第七十三話『再会』

 シンクは《天上の導き手》という組織名を聞いて、思わず宗教的なものを連想してしまった。つまるところ思想の根幹を共有しているということは、神という具体的な信仰対象を有さなくても、それとは大差ない。そういった意味でシンクの認識は、存外に間違ったものともいえるものではない。

 

「たしかに彼らは俺たちを助けてくれたんだろうけど、本当に信じていい相手なのかな?」

 

 核弾頭保管施設をあとにしてから、アーガマR隊はクロスボーン・バンガードから奇襲を受けた。その交戦でグラップ級を一隻失い、アーガマRは窮地に追いこまれた。それを助けたのが《天上の導き手》であった。

 

「たしかに、ゲリラにしては装備がよすぎるものね。アーガマRとグラップ級一隻をこうも隠せてしまうのも不自然だわ」

 

 アーガマRとグラップ級は、山脈の谷の森に身を隠していた。しかもその場所はあらかじめ整地がしてあり、着艦までの行程はスムーズに行えた。また、ここまでの道路も舗装されており、補給路も確保されていた。

 

「反連邦組織なんて冗談だと思っていたけど、どうやら本気みたいだな」

 

「あら、活動が活発なときは死者だってでたのよ。武器はマフィアが横流ししたって話だってあるのに」

 

「そうなのか……」

 

 シンクがジュピトリス7で教わった歴史とは、大まかな大系であり、地球の一地域の紛争までは触れられなかったし、シンク本人もべつのことに興味がいっていたため、必要以上に知ろうとも思っていなかった。だからシャルナの話にシンクは、素直に感心した。

 

「それに初対面の相手を信じる必要性はないんじゃない。初対面の相手を信じるなんて、ただのお人好しのすることよ」

 

「相手だって下心があって接触してきたんだろうしな」

 

 アーガマRを降りると、シンクたちは《天上の導き手》が建てた野営テントに向かっていた。不足しかかっていた薬を支給してもらうためだ。というのは、先の戦闘で負傷者が続出したせいだ。なにせ、落とされたグラップ級の船員まで救助したのである。医療班もいまは艦内をところせましと動きまわっている。人手不足でユーナとエイミまで駆りだされているくらいであった。

 

「すいません。薬をもらうにはこっちで手続きをしてくれって、来たんですけど」

 

 シンクがテントのなかにはいると、年齢のかわらない少年が机を挟んで待機していた。自分たちはともかくとして、同年代の子供が戦場に駆りだされているのに、シンクは衝撃を受けた。

 

「……なにか?」

 

 少年は黙りこんでしまったシンクを怪訝そうに見かえしてくる。すると続けてシャルナもテントの中にはいってきた。

 

「シンク、どうしたの?」

 

 そういったつぎの瞬間に声をあげたのは、シャルナであった。

 

「あなた、ひょっとしてエイプス・ヴォクシィー?」

 

 その名を呼ばれ、少年はハッと顔をあげる。

 

「君は……?」

 

「シャルナ・レイド。覚えてない?」

 

「シャルナ・レイド……。ウィレッタの友達だった?」

 

「そうよ。そのシャルナ・レイドよ」

 

 シャルナは懐かしそうな目で、少年――エイプスを見つめていた。

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