機動戦士ガンダムJ   作:あかつきp dash

57 / 78
第七十五話『動きだす歯車』

 帰郷とかつての友人の再会は、シャルナにとって認識のズレを思い知らされただけであった。

 

 かつて片思いをしていたエイプスが、ウィレッタとつき合っているという話だけならまだよかった。しかし、シャルナは彼らと話をしているときに《天上の導き手》の批判をしてしまったのである。結果、シンクとシャルナはその町にいられなくなってしまった。

 

 シンクとシャルナはアーガマRに帰還すると、シャルナはひとりにしてほしいといって、部屋に入っていった。

 

 シンクがユーナに呼ばれたのはそれからすぐのことである。神妙な面もちで「ブリッジまで来てほしい」といってきた。シンクは訝しみながらもユーナのあとをついていった。

 

「帰ってきたばかりですまないな」

 

 ブリッジにあがってくるやいなや、シンクにわびをいれたのはブライトであった。

 

「いえ、なにかあったんですか?」

 

 そういってまずシンクに手渡されたのは、一丁の小銃であった。その黒光りする重厚な外観に対して、持った感触は驚くほどに軽い。

 

「それは強化プラスチック製よ。その特徴は軽さ。弾を撃ったときのブレも最小限で、女子供で扱いは容易。またプラスチック製ということで、監査の目をかいくぐってしまう困りものよ。実際にこの銃で起こる事件は増えてて、社会問題になってるわ」

 

 捕捉をしたのはラウニであった。

 

「それでこの銃がどうしたんですか?」

 

「じつは《天上の導き手》から共同戦線の提案がきてな」

 

 その共同戦線の内容は至って単純なもので、アーガマR率いる部隊を《天上の導き手》

の地上部隊がバックアップするというものであった。

 

 それ自体には問題はないのだが、この共同戦線には裏があるように思われたのである。

 

「《天上の導き手》は他にもこの系列の兵器を持っているみたいなの。それであなたたち

くらいの年齢の子供を訓練して、次の作戦で投入してくるって話なのよ」

 

 そのラウニの言葉にシンクは思い当たるものがあった。シャルナとエイプスのやりとりである。エイプスは自分たちを尖兵だといっていたのは、このことなのかと納得した。

 

「気になるのは《天上の導き手》がその共同戦線とは、べつの動きを見せていることだ」

 

「俺たちや支援部隊は囮だってことですか?」

 

 ブライトが神妙な面もちでうなずく。

 

「この戦いで地の利をもっとも生かそうとするのは《天上の導き手》だろう。となれば彼らは独自の策を持っているはずだ」

 

 なによりアーガマRを前線にだすやり方は、《天上の導き手》の損害を最小限に抑えることができる。あちらからすれば利用しない手はないだろう。

 

「それを理解していて、共同戦線を張るってことですか?」

 

「ああ、彼らは協力者でもある。無下にはできない」

 

 シンクもそれに反対する気はなかった。なんとなく《天上の導き手》は好きになれないし、なにより結果はどうあれこの戦いを一刻も早く終わらせたかった。

 

 このとき、作戦開始まで三日前であった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。