帰郷とかつての友人の再会は、シャルナにとって認識のズレを思い知らされただけであった。
かつて片思いをしていたエイプスが、ウィレッタとつき合っているという話だけならまだよかった。しかし、シャルナは彼らと話をしているときに《天上の導き手》の批判をしてしまったのである。結果、シンクとシャルナはその町にいられなくなってしまった。
シンクとシャルナはアーガマRに帰還すると、シャルナはひとりにしてほしいといって、部屋に入っていった。
シンクがユーナに呼ばれたのはそれからすぐのことである。神妙な面もちで「ブリッジまで来てほしい」といってきた。シンクは訝しみながらもユーナのあとをついていった。
「帰ってきたばかりですまないな」
ブリッジにあがってくるやいなや、シンクにわびをいれたのはブライトであった。
「いえ、なにかあったんですか?」
そういってまずシンクに手渡されたのは、一丁の小銃であった。その黒光りする重厚な外観に対して、持った感触は驚くほどに軽い。
「それは強化プラスチック製よ。その特徴は軽さ。弾を撃ったときのブレも最小限で、女子供で扱いは容易。またプラスチック製ということで、監査の目をかいくぐってしまう困りものよ。実際にこの銃で起こる事件は増えてて、社会問題になってるわ」
捕捉をしたのはラウニであった。
「それでこの銃がどうしたんですか?」
「じつは《天上の導き手》から共同戦線の提案がきてな」
その共同戦線の内容は至って単純なもので、アーガマR率いる部隊を《天上の導き手》
の地上部隊がバックアップするというものであった。
それ自体には問題はないのだが、この共同戦線には裏があるように思われたのである。
「《天上の導き手》は他にもこの系列の兵器を持っているみたいなの。それであなたたち
くらいの年齢の子供を訓練して、次の作戦で投入してくるって話なのよ」
そのラウニの言葉にシンクは思い当たるものがあった。シャルナとエイプスのやりとりである。エイプスは自分たちを尖兵だといっていたのは、このことなのかと納得した。
「気になるのは《天上の導き手》がその共同戦線とは、べつの動きを見せていることだ」
「俺たちや支援部隊は囮だってことですか?」
ブライトが神妙な面もちでうなずく。
「この戦いで地の利をもっとも生かそうとするのは《天上の導き手》だろう。となれば彼らは独自の策を持っているはずだ」
なによりアーガマRを前線にだすやり方は、《天上の導き手》の損害を最小限に抑えることができる。あちらからすれば利用しない手はないだろう。
「それを理解していて、共同戦線を張るってことですか?」
「ああ、彼らは協力者でもある。無下にはできない」
シンクもそれに反対する気はなかった。なんとなく《天上の導き手》は好きになれないし、なにより結果はどうあれこの戦いを一刻も早く終わらせたかった。
このとき、作戦開始まで三日前であった。