鉄仮面自ら開発したネオ・サイコミュは、強靱に改造した体によく馴染んでくれた。両手足も使わずにモビルスーツを扱えるその装置は無限の可能性を持っていると、彼は自身をもってして証明できたように感じていた。
ネオ・サイコミュを通して、意識を解放できる喜びはなにごとにも代え難いものであった。
だが、その優越感に水を差されることになる。
光り輝く弾丸がフィン・ファンネルの展開するIフィールドバリアを突き破り、ラフレシア・Gの肩に直撃させたのである。マリの攻撃である。
「なんと……!」
鉄仮面はマリとファムの姿を見つけると同時に、ふとした違和感に襲われる。それは意識を牢獄へ閉じこめられたような疎外感であった。
「ファンネルども、行けい!」
そのかけ声とともにフィン・ファンネルがマリとファムへ向かっていく。だが、その動きはどこかぎくしゃくして、おかしい。先ほどまで、好調に動いていたはずのフィン・ファンネルの動きが釈然としないものになる。
そして、フィン・ファンネルはやがて動きを止め、すべて海へ落ちていった。
「バカな……!」
鉄仮面は驚愕する。それは焦りになり、怒りになる。
怒りにまかせて放たれたヴェスバーは、マリとファムにあっさりとかわされてしまう。むしろ、それが隙となりラフレシア・Gの懐へ飛びこますだけの時間を与えてしまった。
「たった二機のモビルスーツに……!」
ラフレシア・Gの巨大な両肩にはジェネレーターが積まれており、胴体をあわせて三基のジェネレーターが搭載されていた。高出力と高火力はここからくるものである。つまりは一基を失っても、運用には支障をきたさないように設計されているのだ。ファムの長距離ビーム砲――リーブルはその肩アーマーを撃ち貫き、鉄仮面は肩アーマーを取りはずすことを余儀なくされる。
「忌々しい連中だ。あの二機から発せられる念波が、私の放出するはずの意識を阻害しているとでもいうのか……!」
フィン・ファンネルがあればマリとファムを圧倒できたかもしれないが、実際はフィン・ファンネルは使用できず、二機の動きに振りまわされていた。さすがの鉄仮面にも焦りが滲みでてくる。
なによりマリとファムはラフレシア・Gよりも機敏であった。そして手持ちの兵器はヴェスバーとビームサーベルである。この兵器では到底マリとファムを捉えることなどできなかった。
「私は、私を認めなかった者を――」
マリのブラストライフルがコクピット表面の装甲を吹き飛ばし、ファムの高出力ビームサーベルの熱が鉄仮面を焼き払う。
ラフレシア・Gの最期であった。