総指揮官である鉄仮面を倒されたクロスボーン・バンガードは脆かった。
副官のジレの抵抗はその後も続いたが、鎮圧にそれほど時間はかからず、ヘルシンキの領事館へ攻めのぼった。
そこには理由のわからない戯言をつぶやくナディアとベラを発見する。二人を拿捕しようとするも、二人は突然爆発する。そして、それがスイッチであったようにヘルシンキの各地で爆発がおきる。それはヴァルコの町の再現とでもいえばよかっただろうか。連邦軍はやむを得ず、ヘルシンキから撤退しなければならなかった。
その後、ヘルシンキからコスモ・バビロニアの研究室が見つかった。そこには《バグ・スパイダー》と呼称される小型の自動機械の一つが発見された。それはスペースコロニーで賑わした殺戮兵器《バグ》の構想を受け継いだものである。そのバグ・スパイダーは、その名の通りクモくらいの大きさで、それが自立的に動くのである。そのなかには大人一人を即死させるほどの毒薬を持っており、人間を見つけると這いあがってその毒を首筋あたりから注入させる。その毒は一人ぶん内臓されており、なくなればお腹の部分に搭載された爆薬が作動する。もっとも厄介なのは小型のために隙間さえあれば、どこにでも入りこんでいくということだ。
それが都市というジャングルに入りこみ人間のみを殺戮するのである。そうなった都市にもう人は住んでいけない。その先に待つのは都市生活の破棄という結末である。人間という生物に文明を捨てろといっているようなものだ。
そして鉄仮面は死に際とともに最悪のシナリオを用意していた。
バグ・スパイダーを満載した無人航空機をヘルシンキから発進させ、バグ・スパイダーの入ったコンテナを地球にある主要都市に落としていったのである。
その無人航空機は二十機以上あるといわれ、ステルス機能がとりつけられているせいで、なかなか捕まらなかった。
さらに死んだはずの鉄仮面がメディアにあらわれ、バグ・スパイダーを地球上にばらまいたことを公表してしまった。ヴァルコの町の惨状も載せたこともあり、すさまじい効果がでた。
地球移民者はパニックになり、こぞって宇宙にのぼりたがった。しかし、バグ・スパイダーがどこの誰にもわからない状況では、誰も宇宙へあげるわけにはいかなかった。
その処理に追われ、奪われた核兵器の所在もわからぬまま悪戯に月日だけが流れる。
そんななかでアークジオンが再び蜂起し、L1宙域にあったヴラシオを奪取したという報がはいる。
これにより、地球圏はより混迷を窮めるのであった。