祓っていいとも!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第4話(3)君もスペースポリスマン

「エ、エイリアンとは⁉」

 

「見えているだろう。あれのことだよ」

 

 ノリタカさんが指を差した先には、全身が薄ピンク色の、やや大きめの体格で、八本足で立っている不可思議な存在がいた。

 

「!」

 

 わたしは驚いてしまう。

 

「……」

 

「ひ、ひえええっ⁉」

 

 八本足の存在がこちらに向かってニュルりと動いてきたので、わたしは思わず悲鳴を上げてしまう。それとは対照的にノリタカさんは冷静に呟く。

 

「ガガララ星人だな……」

 

「な、なんですか、それは⁉」

 

 わたしはノリタカさんに問う。

 

「なにって……エイリアンだけど」

 

「で、ですから、エイリアンとは⁉」

 

「……異星人を知らないのかい?」

 

 ノリタカさんは驚いた様子でわたしを見つめてくる。

 

「いやいや、漠然とならば知ってはいますが!」

 

「そ、そうかい……」

 

 ノリタカさんは少々困ったような表情になる。

 

「よ、要するに侵略者だということですよね?」

 

「まあ、そんなところだね。意外と理解が速くて助かるよ」

 

「り、理解したというか……あまりにもベタなヴィジュアルに戸惑っていますよ……」

 

「ベタ?」

 

 ノリタカさんが首を傾げる。

 

「え、ええ……映画とかで見たような見た目そのままだってことです」

 

「ああ、映画ね……」

 

 ノリタカさんが頷く。

 

「はい、そうです」

 

「あの手の映画はね、概ねノンフィクションなんだよ」

 

「え、ええ……?」

 

「わりと昔から、地球人は異星人と接触しているんだよ」

 

 そう言って、ノリタカさんは八本足の異星人を指し示す。

 

「そ、そうなんですか⁉」

 

 わたしは驚愕する。

 

「ああ」

 

「ああって……」

 

 そんな人類にとって重大なことをサラリと言われてしまっても……。

 

「異星人、エイリアンの多くは人類に対して友好的だったんだ」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「意外かい?」

 

「そ、そうですね……」

 

「ただ……」

 

「ただ?」

 

「そうではない異星人も大勢いるんだ」

 

「はあ……」

 

「まあ、当然と言えば当然なんだが……」

 

「……」

 

「彼らは人類にとって牙を剥いてきた……侵略という名のね」

 

「………」

 

「そういった侵略、犯罪行為に対しての対抗措置として講じられたのが、我々スペースポリスマンというわけだよ」

 

 ノリタカさんが胸を張る。

 

「…………」

 

「さっきから黙っているね?」

 

 ノリタカさんが首を捻る。

 

「い、いや、驚くべきことで……」

 

「まあ、初めて聞いたのならば無理もないか」

 

「地球に侵略に来ているというのがまず意外です……」

 

「ほう? どうしてそう思うんだい?」

 

「だって、温暖化とか、自然破壊とか進んでいるじゃないですか」

 

「ふむ……」

 

 ノリタカさんが顎に手を添える。

 

「異星人?エイリアン?の皆さんにとって旨味が少ないと思うんですが……」

 

「なかなかの着眼点だね」

 

「は、はあ、どうも……」

 

 わたしは頭を軽く下げる。

 

「それでも多くの異星人にとっては地球の存在はまだまだ魅力的らしい」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「より具体的に言ってしまうと……」

 

「え?」

 

「地球の生物が目的なケースが多いようだね」

 

「ええ?」

 

「この場合、生物とは、ほとんど人類のことを指すのだけれど……」

 

「そ、それって……」

 

「連れ去って奴隷として使役・売買などするようだね……」

 

「ひ、ひえ……」

 

「ごく稀にではあるのだが……」

 

「ま、稀に?」

 

「……食用にされるとか……」

 

「ひ、ひええっ!」

 

 わたしは情けない悲鳴を上げてしまう。

 

「まあ、安心したまえ」

 

「あ、安心?」

 

「そういう事態を未然に防ぐ為に、俺たち、スペースポリスマンがいるんだ」

 

 ノリタカさんが右手の親指をグッと突き立て、自らを指差す。

 

「た、たのもしい……!」

 

 わたしは素直な感想を述べる。

 

「他人事ではないぜ?」

 

「は?」

 

「君もメンバーなんだからな」

 

「メ、メンバー?」

 

「ああ、今日から君もスペースポリスマンだ。エイリアンの好きにさせてはならない」

 

「ええ? わたしはごくごく普通のどこにでもいる女子高生ですよ?」

 

 突発的に人一倍強い霊感が備わっていて、選ばれし存在で、運命的な勇者だということを除けばだが。

 

「……適性が高ければ、強制的にスペースポリスマンの一員だ。拒否権は無い……」

 

「そ、そんな馬鹿な⁉」

 

 わたしは両手で頭を抑えて天を仰ぐ。

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