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「えっと……」
講堂で天馬さんと3日前、校庭で功人さんと会った翌々日、図書室でジャッキーさんと会った翌日の昼休み、わたしは屋上で途方に暮れる。
「やあ、来ていたようだね」
「えっ⁉」
ノリタカさんが屋上に姿を現す。……その現し方が問題だ。背中にジェットブースター――よく分からないが、十中八九、そういう名称だろう――を積んだノリタカさんが、ブースターを噴射させながら、校舎の外から屋上まで上昇してきたのだ。
「ははっ、君もどうだい? サイレンス=シズカ……」
「情報漏洩!」
「ん?」
わたしが声を上げると、ノリタカさんが目を丸くする。
「と、とにかく、早く着地してください!」
「あ、ああ、りょ、了解………」
ノリタカさんが屋上に着地する。
「はあ……」
わたしはため息をつきながらノリタカさんをジト目で見つめる。
「悪かったよ………」
「……」
「君も使いたかったんだな、ジェットブースター……」
「違いますよ!」
名称当たっていた! いや、それはどうでもいい。
「ただ、悪いね、このジェットブースターは一人用なんだ」
まあ、大体そうだろうとも。背中に背負うかたちなんだし。複数人でどう使うんだ。
「それはどうでもいいんですよ」
「ええっ⁉」
「こっちがええっ⁉ですよ」
「ジェットブースターに心躍らないとは……驚きだな」
ジェットブースターに心躍るJKがいたら教えてくれ。そりゃあ中にはそういう娘もいるかもしれないけれども。
「あの……」
「ちょっと待った」
ノリタカさんはジェットブースターをボタンひとつでポケットに収納する。待って、その収納技術にはちょっと興味があるかも。
「おお……」
「……本題に入るとしようか」
「はい……」
本題にもあまり興味はないのだが。ともかく、さっさと終わらせるとしよう。
「先の戦闘での敗北についてのデータをフィードバックし、共有したい」
「ああ、サメに負けた……」
「まずそこだ」
「え?」
「これは……なんなんだ?」
ノリタカさんが空間にディスプレイを生じさせ、先日の戦闘の映像を流す。そしてノリタカさんは、サメの顔をした者を指差す。
「サメの顔をしたエイリアン……ですかねえ?」
わたしは首を傾げながら、自信なさげに応える。
「確かかい?」
「いや、見たままを言っているだけですよ……」
わたしは首を元に戻す。
「先日はバタバタとしていたが……サメなのに、何故二足歩行なんだ?」
「さあ?」
わたしは再度首を傾げる。ノリタカさんは腕を組む。
「これはサメ型と呼称しても良いのだろうか?」
「まあ、顔は思いっきりサメなんだから良いんじゃないですか」
再度首を元に戻したわたしは心底適当に応える。
「しかし、体の三分の二は人型だぞ?」
「見た目のインパクトはサメの頭部に取られているじゃないですか」
「三分の一だぞ」
「全体の半分くらい占めていると思いますけど」
「そうか?」
「そうですよ」
「う~ん……」
「攻撃は噛みつきによって行われたじゃないですか、サメとした方が覚えやすいかと」
「それもそうか」
ノリタカさんは納得したようで、腕をほどく。
「じゃあ、これで……」
「待った」
「な、なんでしょうか?」
「君の撃退方法について、オレも習得しておきたい」
「え……」
「同じスペースポリスとはいえ、機密事項だというのは百も承知だ。しかし、サメのエイリアンと戦うには、あの力が必要なんだ、だから頼む!」
ノリタカさんが頭を下げてくる。機密事項でもなんでもないんだが。
「えっと……顔を上げてください。ノリタカさん……」
「……」
「ノリタカさん?」
「………」
「ああ……デストロイ=ノリタカ」
「ああ!」
やっと顔を上げた。面倒くさいな。
「えっと……特に難しいことはありません。空に向かって右手をかざし、スペースステーションからレーザー照射を受けて、力を授けてもらいます……」
「それだけかい?」
「それだけです。ああ、『スペースステーション、願います』とか、一応挨拶はしておいた方が良いと思いますけど」
「その結果が……『花崗岩』なのかい?」
「ま、まあ、そうですね……」
「何故に?」
「何故って……攻撃方法なんて思いつかないですし……武器をいきなり渡されても扱いきれないでしょうし……それなら、岩石で殴りつける他ないかなって」
わたしは満面の笑みで告げる。
「そ、そんな……最先端のテクノロジーの結果が……岩?」
無駄遣いをわたしが一番承知しているよ。
「まあ、そんな感じですかね……」
「スペースステーションの有効活用法かもしれないな。よし、オレもやってみる!」
ってか、今まで活用してなかったんかい。その後、ノリタカさんのスペースステーションでのショッピングにしばらく付き合わされた。わたしの昼休みを返して欲しい。