祓っていいとも!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第9話(3)搭乗者ライセンス

「ロ、ロボットとは⁉」

 

「見えているでしょう、目の前のあれのことです」

 

 九十九くんが指を差した先には、全体的にグレーのカラーリングで、校舎の三階ほどの大きさで、二本足で立っていて、頭頂部に一本の長いアンテナのようなものが付いており、両手がトゲトゲな存在がいた。

 

「デ、デカ!」

 

 わたしは普通に驚いてしまう。

 

「……」

 

「な、なにか?」

 

「……いや、極めてシンプルな感想ですね」

 

「そ、それはそうなるでしょう……」

 

 このシチュエーションで他に一体どういう感想を述べるというんだ。

 

「ふむ……」

 

「な、なに?」

 

 なにを感心しているんだ、少年。やめてくれ、感心されてロクなことはないぞ。

 

「いや、納得したのです」

 

「納得?」

 

 あちゃ~納得しちゃったか。

 

「ええ」

 

「……もしかしなくても……わたしに対して?」

 

「そうです」

 

 九十九くんが首を縦に振る。

 

「……どこに納得したの?」

 

「普通でしたら……ロボットと遭遇した瞬間にはまず、『なにあれ⁉』って言うものなんですよ。あなたはロボットの存在にさして疑問を抱かず、大きさに言及した」

 

「あ、ああ……」

 

 変に耐性がついてしまっていたからだ。

 

「やはり、あなたは……」

 

「そんなことはありません!」

 

 わたしは食い気味に否定する。九十九くんが困惑する。

 

「ま、まだ何も言っていませんが……」

 

「言わなくても良いから!」

 

 九十九くんが話を続ける。

 

「あなたにとっては名誉なことかもしれませんよ?」

 

「わたしにとっては迷惑なことです!」

 

「そ、そうですか?」

 

「そうなんです!」

 

 聞かなくても分かる。わたしは詳しいんだ。

 

「……」

 

「………」

 

「…………」

 

「……………」

 

「………………」

 

「…………………」

 

 お互いに見つめ合って沈黙が続く。この時間が永遠に続いたって構わない。

 

「あなたは……」

 

「言わせないわよ!」

 

「いや、言わせてください……」

 

「やめてって!」

 

「むう……」

 

 わたしの語気に九十九くんが面食らう。

 

「分かった⁉」

 

「しかし……」

 

「しかしもかかしもないわ!」

 

「あ、ああ……」

 

 九十九くんが頷く。

 

「……分かってくれたようで嬉しいわ」

 

 わたしはうんうんと頷く。

 

(……聴こえますか?)

 

「は、はあっ⁉」

 

 わたしは頭を抑える。

 

(聴こえているようですね……)

 

「な、なに⁉ 頭の中に声が……⁉」

 

(あなたの脳内に直接語りかけています……)

 

「テ、テレパシー⁉」

 

(まあ、それに近いようなものです。厳密に言うと違いますが)

 

「厳密には違うの⁉」

 

(ええ、あなたの脳内回路に直接アクセスしました)

 

「の、脳内回路ってなによ⁉」

 

(分かりやすく言えば、コンピュータのようなものです)

 

「そ、そんなものを搭載した覚えはないわよ!」

 

(人間の脳には、わずかですが使われていない部分があります……)

 

「え、ええ……?」

 

(あなたはそれを解放することの出来る数少ない……)

 

「ああ! やめて! 普通に話して!」

 

 わたしは九十九くんに向かって両手をブンブンと振る。

 

「よろしいのですか?」

 

「よろしいのですわよ……」

 

「おほん。ではあらためて……」

 

 九十九くんは咳払いをひとつ入れる。

 

「はあ……」

 

 もうどうにでもなれ。

 

「あなたはレアな存在だということです」

 

「レアって……」

 

 肉の焼き方か。

 

「ウルトラレアと言って良いでしょう」

 

「あ、そうですか……」

 

 誰かがわたしのことをガチャで引いたりするのか、上位存在か、上位存在なのに課金とかしているのか、知らんけど。

 

「言い換えれば……」

 

「え?」

 

 別に言い換えなくてもいいけれど。

 

「搭乗者のライセンス保有者です」

 

「ラ、ライセンス保有者? わたしはノーマルレアな女子高生よ?」

 

 突発的に人一倍強い霊感が備わっていて、選ばれし存在で、運命的な勇者で、スペースポリスマンの適性が高く、エクソシストの素質があるということを除けばだが。

 

「……それじゃあ、ロボット迎撃と参りましょう。ブラザー」

 

「りょ、僚友にされてしまった⁉」

 

 わたしは両手で頭を抱える。

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