祓っていいとも!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第1話(3)突発的な霊感

「あ、妖とは⁉」

 

「あれのことです」

 

 天馬さんが指を差した先には、小柄な体格で、両目の他に、額にもうひとつの目がついた少年のような存在がいた。

 

「!」

 

 わたしは驚いてしまう。

 

「……」

 

「ひ、ひえっ⁉」

 

 少年の三つある目が揃って、わたしの方に向いた為、わたしは思わず悲鳴を上げる。それとは対照的に天馬さんは冷静に呟く。

 

「三つ目小僧ですね……」

 

「な、なんですか、それは⁉」

 

 わたしは天馬さんに問う。

 

「ですから妖ですよ」

 

「だ、だから妖とは⁉」

 

「ふむ……妖怪と言った方が馴染み深いですか?」

 

「いやいや、どちらも馴染み深くはないですよ!」

 

「そうですか……」

 

 天馬さんは困った表情になる。

 

「よ、要するにお化けですか?」

 

「ああ、まあ、そんなところですね……」

 

 天馬さんがわたしの問いに頷く。

 

「お、お化けって本当にいるんですね……」

 

「それはもちろん……」

 

「も、もちろんって……」

 

「全国各地に伝説や伝承などがありますからね……」

 

「しかし、こんな都会にいるとは……」

 

「おや、ご存知ないのですか?」

 

「え?」

 

「こういう人の集まる場所にも、妖は結構いるものなのですよ」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ええ、いたずら好きですからね」

 

「いたずら好き……」

 

「人を困らせたりして、楽しんでいるのです」

 

「た、質が悪いですね……」

 

「そうです」

 

「な、何故にあの妖?は見えるのですか?」

 

「………」

 

 天馬さんがきょとんとした顔でこちらを見る。

 

「な、なんですか?」

 

「そういえば……」

 

「そ、そういえば?」

 

「静香さん、貴女にもちゃんと見えているのですね……」

 

「ど、どういうことですか⁉」

 

「いえ、普通の人には妖は見えませんから」

 

「えっ⁉」

 

 わたしはびっくりする。天馬さんが自らの顎に手を当てて頷く。

 

「ふむ……」

 

「い、いや、ふむ……じゃなくて!」

 

「はい?」

 

「わ、わたしはいわゆる霊感などは持って無いですよ! これまでだって、こんな経験はしたことはありませんし!」

 

「そうでしょうね」

 

「そ、そうでしょうねって……」

 

「……実のところ、霊感というものの詳しい仕組みというのは、ぼくらにとってもよくは分かっていないのです」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ええ、まあ、先天的に備わっているものであると考えられています」

 

「先天的に……」

 

「ただし……」

 

「ただし?」

 

「ごくまれにではありますが、後天的に備わる場合があります」

 

「ええっ⁉」

 

「さらに……」

 

「そ、そんな! それじゃあ、これからこの突如芽生えた霊感と付き合っていかなければならないんですか⁉」

 

 わたしは愕然とする。

 

「ちょっと落ち着いてください……」

 

「お、落ち着いてなんかいられませんよ!」

 

 わたしは慌てふためく。

 

「話は最後まで聞いてください……!」

 

「! は、はい……」

 

 わたしは一旦落ち着く。天馬さんが微笑む。

 

「よろしい……貴女の場合はまた別のケースですね」

 

「別のケース?」

 

 わたしは首を傾げる。

 

「ええ、突発的に備わった霊感だと思われます」

 

「と、突発的にですか?」

 

「ええ、生まれた年や現時点での体調、あるいは住んでいる場所、通っている学校の方角など、様々な条件が積み重なったことによって、貴女に備わってしまったのです……」

 

「え、ええ……」

 

 わたしは困惑する。

 

「しかも、何故にこうしてぼくが貴女のもとにやって来たのかと言うと……」

 

「は、はい……」

 

「貴女の霊感は人一倍強い……」

 

「ひ、人一倍⁉」

 

「そうです……」

 

「強いとどうなるんですか?」

 

「このように……妖を引き寄せやすくなってしまいます」

 

「ひ、引き寄せやすくなってしまう⁉」

 

「はい」

 

 天馬さんが首を縦に振る。

 

「な、なんてことなの……」

 

 わたしは唖然としてしまう。天馬さんが話を続ける。

 

「要するにですね……」

 

「よ、要するに?」

 

「……貴女はまったくもってツイていないということです」

 

「そ、そんな⁉」

 

 わたしは思わず頭を抱える。

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