第六宇宙、不遇じゃね?   作:恋狸

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格闘試合

 いよいよ格闘試合の日になった。

 概要だけ聞かされて、後は適当に戦え、という有り難い(嫌味)指示の下で行う試合だが、破壊神の存在も知らないのに良く引き受けたと思う。

 俺は知識があったから従うしかないことは理解しているが、他のメンバー……ボタモ、マゲッタ、フロストは別だ。ヒットは……まあ、殺し屋だし誰であろうと金を積めば依頼を受けるだろう。実際原作でも宇宙船を目当てに引き受けたわけだし。

 フロストは……立場的に破壊神を知ってるのかもしれないな。後は知らんけど。

 

「第六宇宙はなぁ……層が薄いんよな。まともに戦えるのヒットとサイヤ人組しかいないし」

 

 マゲッタは悪口さえ効かなければ無敵かもしれないけど、あれはメタルマンという種族特性だから仕方ない。

 ボタモは、打撃が効かないのは強いが、如何せんゴムのような弾力性が逆手に取られやすい。これも種族(?)特性だからしゃーない。

 

 他は単純に弱い。

 フロストは性格的に論外である。せめて、性格が直せないなら、それに見合う強さと頭脳を揃えて欲しいものだ。何でフリーザに騙されるかね。

 

 

「お、来たか」

 

 第六宇宙の脆弱さに呆れていると、上からヴァドスさんが降ってきた。血色悪いけど顔は好みなんだよな。普通に可愛い。

 

「お迎えに上がりました」

「ありがとうございます。他の方々は……?」

「これから順に迎えに行く予定です」

 

 俺が一番最初だったのね。

 なるほど、と頷き、俺はヴァドスさんの肩に掴まる。

 すると、天使特有の高速移動によって、惑星サダラはあっという間に彼方の星に消えていった。

 これだけの高速移動なのに、全く抵抗感がない。恐らく触れているものだけを保護する移動方法なのだろう。便利なものだな。

 

「ヴァドスさん。他のメンバーはどういう方々なのでしょうか」

「基本的に、各地の惑星の強者を集めました。体の弾力が凄まじく、打撃を無効化できるボタモさん。種族、メタルマンのマゲッタさん。宇宙一の殺し屋、ヒットさん。そして、平和維持軍のフロストさんです。フロストさんとは一度共闘したことがあるとお聞きしましたが?」

「あ〜、厳密には会ったことはないのですが、同じ紛争地帯で戦ったことはあります」

 

 そう、実はフロストとは会ったことは無いが、限りなく近い距離で戦ったことはある。

 基本的にフロストは表の顔として、平和維持軍のリーダーを務め、各地の紛争を鎮圧し回っている。それだけ聞けばめっちゃ良い奴に見えるが、裏の顔は紛争すらも自分の率いる宇宙海賊が起こしたもので、やってることは完全にマッチポンプである。

 

 ちなみに俺が超サイヤ人に覚醒した原因である宇宙海賊も、実はフロストの軍であり、俺の絶対許さないリストの中にフロストは入っている。

 

 ぶっちゃけ殺しても良いけど、ただでさえ層が薄い第六宇宙。力の大会では勝手に人を巻き込んで自滅するので、まあ放っておいても害はない。

 

「他の方々と会えるのが楽しみですね」

 

 とりあえず俺は胡散臭い笑みで誤魔化しておいた。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 メ ン バ ー が 集 ま っ た 。

 

 会場は、漫画で見たまんまだった。

 石造りの闘技場が真ん中に設置されており、外殻には結界が張られている。さらに結界の外側には、小惑星ほどの大きさを誇る超ドラゴンボールが浮遊していた。

 

「第七宇宙はまだか」

 

 先に到着したのは、第六宇宙の方だった。

 よし、折角だしメンバーに絡みに行くか。フロストは無視。

 

「ヒットさん、よろしくお願いします」

 

 一番気難しい奴に突撃してみた。

 腕を組んで瞑想している紫色の彼……ヒットは、目を開けて俺をしばらく観察するやいなや、俺の差し出した手を握った。

 

「……強いな。こうして手を握ろうと、殺すビジョンが浮かばない」

「物騒なこと言わないでくださいよ」

「名は?」

「キャベです」

「そうか……憶えておく」

 

 俺のツッコミがフル無視されたのはまあ良いとして、一目で強さを見抜くとは、流石ヒットと言えるだろう。宇宙一の殺し屋の二つ名は伊達じゃない。

 それより、なんか認められた感じがしてちょっと嬉しい。

 

「ぬっふん、俺のことは無視かぁ?」

「いいえ、ボタモさん。よろしくお願いします」

「よろしく」

 

 漫画版のボタモは全然喋らないイメージが先行してるんだが、意外と人好きの性格のようだ。

 こいつもなぁ……不遇なんだよなぁ……。

 というか、打撃が効かないなら、それを念頭にした立ち回りじゃないと対策されて終わりなのが悲しい。

 

「キャベさん。あの時はありがとうございました」

 

 チッ、フロストか。

 無視したいけどそうは言ってられない。

 

「ええ、ありがとうございました()()()()。借りはきっちり返させていただきますよ」

「ふふ、お互い様ですよ」

 

 俺が言っているあの時は、当然母親が撃たれた時である。 

 気色悪い顔面しやがって。マジでぶっ飛ばしたいな、その澄まし顔。

 

 最後にマゲッタとも硬い(物理)握手を交わした。

 

 フロスト以外とは良い関係が築けたのではないだろうか。

 

 ちなみに、キャベという体に転生したからか、独り言はともかく人と話す時は基本的に敬語である。強キャラ感が出ないから治したいんだけど、どうにも無理そうなので諦めた。

 

 とかやっていたら、無事に第七宇宙のメンバーが到着したようだ。

 

「おおおお、生悟空だ……生ベジータだ……おおお」

 

 小声で興奮している俺。

 悟空、ベジータ、ピッコロ、魔人ブウ。

 原作の錚々たるメンバーが目の前にいるのだ。これで興奮しないのはドラゴンボールファンとして無理オブ無理。

 魔人ブウは残念ながら筆記テストで落ちてしまうが、それでも他のメンバーと戦えるのは非常に得難い経験になるだろう。

 

 さて、いよいよ始まる。

 

 第六宇宙vs第七宇宙との戦いが。

 

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