筆記テストは漫画版の原作の通りだった。
魔人ブウ以外は軽々と通過。
簡単な算術と常識を問う問題だった。逆に間違える方が難しいと思うんだけど、まあ、教育を受けてない魔人ブウが落ちるのは妥当だな。
それはともかく、マゲッタが小さな鉛筆を持って紙に向き合ってたのが一番面白かった。そんな図体しておいて繊細なんだよな。流石メタルマン。
「では、魔人ブウさん以外は合格ということで、参加されない方は観客席へとお戻りください」
トボトボと戻る魔人ブウ。
その姿をボーっと見ていると、何かに気づいたベジータが俺に話しかけてきた。
「おまえ……サイヤ人か?」
「ええ。そちらの宇宙にもサイヤ人がいるようですね」
「驚いた……。おまえの服装、フリーザ軍に取り込まれる前のサイヤ人のスタイルに似ている……!」
「ええーっ! 双子の宇宙っちゅーのは本当なんだなぁ!」
ベジータと悟空と話してるよ俺!! ……というミーハーな感想は置いておき、まあ原作通りの邂逅となった。
俺としてはあの戦闘服=サイヤ人ってイメージがあったんだけど、フリーザ軍に取り込まれてからってことは、あの戦闘服はフリーザ軍のものになる。……まあ、戦闘一辺倒のサイヤ人に、あれ程の技術の服を作り上げるのは不可能か。
「フリーザ軍というのは分かりませんが、そちらのサイヤ人は何と言う惑星に?」
「……惑星ベジータだ。だが、フリーザによって消し飛ばされてしまった……」
「ベジータ……。ということは、あなたは王族?」
「あぁ。王子だった。だが、今は一人のサイヤ人だ」
王子としてのプライドは早期に捨てたもんな。
知識として勿論知ってはいるが、本人から改めて聞くと違う重みを感じる。王子としてのプライドはへし折られ、拠り所にしていた惑星はフリーザに消され、常に自らの一歩上を行く悟空が結果を残していく。
余程の精神力を持たねば、心が壊れてしまう。
それを時にはプライドを捨て、勝利のために邁進するベジータは尊敬できる。悟空より立派な父親してるし。
ぶっちゃけベジータの方が人間としてはできてるんだよな。
本当はミーハーなファンとして、ここは平穏無事に朗らかに進めていきたい────が、何となくその行為が界王s……噛ませ犬っぽくて嫌だ。
だから、俺は少々喧嘩を売ることにした。……それだけが理由じゃないけど。
「へぇ……サイヤ人の王子ともあろう方が、誰かの軍門に降ったのですね」
「……そうだ。あの頃の俺は力も気力も無かった。フリーザという格上を前にして恐れを成していた……!!」
あ、やっべ。
超のベジータって性格良いの忘れてた。
沸点が低いには低いけど全然マシなんだよな……。ただ煽るだけの雑魚キャラに成り果てるのは勘弁。
「だが俺はもう奪われるつもりなど無い!」
「その言葉を待っていました。同じサイヤ人として貴方を尊敬します」
「……貴様、試したな?」
「すみません。そちらの宇宙のサイヤ人が、僕たちの宇宙のサイヤ人と同じとは限りませんでしたから」
ベジータが完璧だから強キャラ感出すのムズい。
まあ、とはいえ割と本心だったりする。生活環境と歴史が違えば、同じ種族だろうと性格も種族特性も大きく異なるだろう。
最早サイヤ人というカテゴリで分別することすら難しい。
どちらかというと、サイヤ人としての誇りは第七宇宙の方があるだろう。戦いに染まらない人間も、惑星サダラには多い。
それゆえの違い。
俺はベジータを改めて尊敬した。
「は〜、随分と難しい話してるな〜」
「貴様もサイヤ人だろうが!」
「確かにそうかもしれねぇけど、オラは地球生まれの地球人だと思ってるからなぁ」
「そういう話をしてるんじゃない!!」
おお、悟空とベジータの夫婦漫才だ。
このマイペースさとバカっぽさは、確かにベジータがイラつくのも仕方ないと思う。いや、ベジータが悟空のみ沸点が鬼低いのが問題だが。
「ははは……。貴方方と試合できるのは楽しみにしていますよ」
「あぁ。同じサイヤ人だからって容赦しないぞ」
「勿論です」
挨拶を交わし、互いに好戦的な瞳を浮かべる。
機は熟した。後は拳を交えるのみだ。
☆☆☆☆☆☆☆
これも運命なのか、戦う順番は原作通りだった。
一回戦
ボタモvs孫悟空
能力値が変わってない以上、試合の結果は原作通りだった。
打撃も気弾も効かないボタモに、悟空は頭を使い、見事に場外勝ちを決めきった。
ボタモは悔しそうだった。そりゃ負けたら悔しい。当たり前だ。
第二回戦
ゴミクズvs孫悟空
「よろしくお願いします!」
フロストの気色悪い(先入観)笑顔とともに始まる。
悟空は原作通りに動揺する。
まあ、性格の良いフリーザだと思ったら違和感しかないよな。実際はフリーザにも満たない小物のクズなのだが。
さて、フロストは最初は第1形態で戦うが、まるで相手にならずに、悟空の言葉により第三形態へと進化。
ここで悟空が超サイヤ人に変身した。
「あいつも変身できるんだな……」
ここで原作とは違うのが、シャンパ様が驚かない点だ。
すでに俺という存在を見ているからな。第七宇宙のサイヤ人が変身したとて、大した驚きはないだろう。
試合に戻るが、フロストは堪らず最終形態へ変身。
それでも相手にならないことを悟ったフロストは、見え見えのテレフォンパンチを悟空に当て────悟空は場外へ吹っ飛ばされた。
「なっっ……!?!?」
「「「悟空がやられた!?!?」」」
「チッ、あの野郎。油断しやがって」
「やっぱり使ったか、あのクソ野郎」
暗器だ。原作通り、フロストは毒で不正勝利を挙げた。
……せめて、暗器を使わなかったらまだ許してやろうと思ったんだけどな……。まあ、性格が一朝一夕で変わるわけもない。
驚きが広がる中、俺はフロストという害悪の害悪さを一層強く認識した。
続くピッコロ戦でも同様の結果が起こる。
しかしここで──
「異議アリ!!!」
視力がエグいくらい良いジャコの指摘によって、フロストの不正が明らかになり、失格となった。
原作ではここでベジータがフロストの失格を取り消して、ボッコボコのフルボッコにするのだが──
──それじゃ俺の溜飲は下がらない。
散々煮え湯を飲まされてきたんだ。やはりフロストがゴミクズであることは理解できたし、やるしかない。
「おまえ……とんでもない恥をかかせてくれたな……」
「ふん、賞金も出ないような試合を早く終わらせたかっただけだ」
「おのれ……破壊してやる……ッ!」
シャンパ様が怒りを顕にし、ここでベジータが一歩前に出る──前に。
「───ガッッ!!!?」
一瞬のみ、ゴッドに変身。
闘技場を降りようとしていたフロストに肉薄し、的確に鳩尾を狙ってボディーブロー。そのまま上に打ち上げる。
通常状態へと戻り、俺は気を集中させる。
「ディスチャージ」
ただの気弾ではない。
何倍にも圧縮を重ね、純粋に破壊力を追求した技。
それを、先のボディーブローで気絶し、上に打ち上げられているフロストに撃ち放つ。
ドガァァァァァン……ッッ!!!!
と、大凡、どうやってそんな音出んの? という物理法則ガン無視の爆発音が巻き散らかされ、フロストは
「お、おまえ……」
ベジータが動揺する中、俺はニコリと笑って言った。
「卑怯な真似をする仲間はいりませんから」
フロスト──退場。
強キャラ感を出そうとしていたわけではなく、純粋な怒りと復讐の結果、このフロスト爆散事件が起きました。
強キャラ感を狙わない方が強キャラ感が出るという、演技に全く向いてない性格をしている模様。
2/11と2/12は予定があって忙しいゆえに、大量投稿