第六宇宙、不遇じゃね?   作:恋狸

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vsベジータ①

「ひぇ〜、何も殺すことは無かったんじゃねぇか?」

 

 悟空甘ちゃんセリフお馴染みの口上で俺に話しかけてくる悟空。……うん、割とカッとなってやっちまった部分はある。

 力の大会まで泳がせておけば良かったとも思ったが、目の前で悪事をされると……こう、胸に沸々来るものがあったのだ。

 普段、傭兵の仕事をしていることもあって、人の生き死には慣れているし、最早命を奪うことに抵抗はない。

 それを抜きにしても、フロストを爆散させたのは……私情だ。

 

「彼はシャンパ様の顔に泥を塗りました。この格闘試合は、破壊神様自らが選りすぐった選手たちです。故に、選手が起こした不始末の責任は、自ずと破壊神様に降り掛かります。──ですので、こちらの不手際はフロストの殺害で許してはいただけないでしょうか。……ビルス様」

「ぬっ」

「……まあ、良いよ。ただし! フロストの不正で負けたピッコロと孫悟空を試合に復帰させるならね」

「勿論です。構いませんよね? シャンパ様」

「う、ううむ、わかった」

 

 終始タジタジのシャンパ様。

 まあ、責任をシャンパ様に擦り付けた形になるからな。実際問題、俺の言ったことは前世の現代日本的価値観によるもので、実力主義のドラゴンボール世界……ことにおいて、破壊神の世界では当て嵌まらないかもしれないが。

 無理やり納得させたしヨシ!

 フロストが爆散した以外は原作通りだな! 完璧だぜ!

 

 

「なんか昔のベジータに似てるなぁ」

「敵に容赦する貴様の方がおかしいんだ」

 

 それは言えてる。

 命の奪い合いで慈悲を与えるのは、相手への失礼にあたると俺は考えている。互いに命をベットしているのだ。勝者が敗者の命を頂くことは礼儀である。何せ、最初から秤に命を乗せてしまっているから。

 

 それは置いておいて、次はマゲッタの出番だが────

 

「マゲッタさんは棄権なさるようです」

 

 涙目で小さな白旗を振っていた。

 どうやら俺がフロストを殺ったことで、彼のメンタルが色々終わっているらしい。流石メタルマン。繊細すぎる…………。

 

「さて、次は僕の出番のようですが……復帰された悟空さんからやりましょうか?」

「よぉーし!」

「待て! 次は俺の番のはずだ。貴様は後回しでも良いだろう」

「そりゃねぇって!」

「それに──体力を消耗している貴様が勝てる相手とも思えん」

 

 ベジータが神妙な表情で言い放つと、不満げだった悟空の表情が引き締まる。どうやら、先の一撃で俺の実力がある程度看破されているようだった。

 まあ、かなり恨みと怒りを込めて撃ったからな。

 通常状態とはいえ、多分超サイヤ人3くらいの気を放ってたからな。

 

 油断できない相手だと悟ったのだろう。

 悟空は渋々頷いてベジータに出番を譲った。

 

 俺達は闘技場に上がる。

 ベジータはニヤリと好戦的な笑みを浮かべていた。

 

「見た目とは違って随分とサイヤ人らしいな」

「善悪と己の判断基準の下で行動しているだけですよ。僕の中でフロストは、天秤が悪に傾いた。ただそれだけのことです」

「ふんっ、どうだろうな。澄ました顔をしてやがるが、あのフロストを殺る瞬間、確かな怒りと殺気が込められていた。おまえは大義名分に則って、私情でフロストを殺した。違うか?」

「さあ、どうでしょうか」

 

 バレてんのかい!

 こと、戦闘勘においてはずば抜けているベジータだ。俺の浅はかな復讐心など、とうに見抜かれていたようだ。

 ま、だからと言って責められる筋合いも無いのだが。確かに私情かもしれないが、紛れもなくあの場ではフロストが悪であり、殺害する明確な理由があった。

 それだけで十分なのだ。

 

 俺は拳を構える。

 

「後は拳で語りましょうか」

「そのつもりだ」

 

 どうやらベジータはまずは通常状態で来るらしい。

 ならばこちらも通常状態で。

 

『それではキャベ選手vsベジータ選手との試合です! ──はじめ!』

 

「ハァァッ!!!」

「──っ」

 

 早速仕掛けてきたのはベジータだった。

 通常状態でも目を見張るような速度だ。様々な角度と緩急を付けた殴打は、流石に重い。しかし、未だ余裕のある俺は、冷静に拳を捌いていく。

 芯に当たらない打撃はダメージが無いに等しい。

 攻撃を逸らす戦い方は、ヴァドスさんとの戦いでコツを掴んだ。

 

「──ハッ!」

「ぐぁっ!」

 

 俺は、殴りかかってきたベジータの右の拳を横から突いてバランスを崩し、その隙をついて掌底を鳩尾にぶち込んだ。

 

「クソ、ウイスと戦っているみたいだ」

「間違ってはいません。天使の戦い方を参考にしていますから」

 

 ベジータの独り言を拾いつつ、態勢を整える彼を待つ。

 

 俺の戦い方は多岐に渡るが、ゴッド未満の変身の際は、基本的に受けに回ることが多い。理由としては、力の差があっても余り関係が無いこと。

 受け流す戦い方は、力に全振りしたバカによく効く。ゆえに、無駄に体力を消耗することなく戦えるのだ。

 しかし、変身した状態で受けに回ると、待っている間の体力消費が勿体ない。だからこそ、その際は攻撃に回るのだ。

 これぞ攻防一体の姿勢。

 

 余裕の笑みをわざと見せる俺。

 ベジータは微かにイラついた様子を見せ、気を高めた。

 

「ならばこれならどうだ!!」

 

 ──いきなりブルー!?

 マジですか!

 

 そこそこ舐めプするベジータなら、順当に超サイヤ人、もしくは超サイヤ人2に変身すると思ったのだが、思いの外埋まらない実力差に痺れを切らしたのだろう。

 

 流石にブルー相手に通常状態は分が悪い。

 超サイヤ人2,3も力の差で押し負ける。

 

「ハッ──!」

「ゴッド……!!」

 

 俺は髪色を赤く染め上げ、神の気を纏う。

 超サイヤ人ゴッドの形態だ。

 俺はここで、受けの姿勢を解き、ファイティングポーズを取る。

 

「行きますよ」

「上等だ……!!」

 

 俺とベジータの拳がぶつかり、パンッと弾けた音に遅れて、凄まじい衝撃が大気を揺らした。

 

 




天使の戦い方ではあるものの、身勝手には全然なれてません。
まあ、追い詰められた経験が無いですからね。
模倣じゃ辿り着けない領域が身勝手の極意ですので。

お気に入り、好評価ありがとナス!
やる気がもりもり湧いてきやがるぜ!
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