第六宇宙、不遇じゃね?   作:恋狸

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vs悟空②

「──っ、瞬間移動ッ!」

「さすがに気づくのが早ぇな」

 

 体勢を整える。

 鳩尾に一撃を入れられはしたが、悟空の攻撃も無理な体勢からのものだった。傷は浅い。

 それよりも俺は、悟空の戦闘IQの高さに驚愕した。

 

 攻撃を逸らされ、行き場を失った運動エネルギー。

 それを悟空は瞬間移動を使うことで利用した。逸らされた拳が当たる角度で、超近距離の瞬間移動を使用。受け手に回っていた俺は、碌な防御も反応もすることができずに一撃を受けてしまったわけだ。

 

「……もうそれは効きませんよ」

「だろうな。でも攻撃が通った。そうだろ?」

「ええ、驚きましたよ。受けからのカウンターを主軸にして戦う僕の穴を上手いこと突かれました」

 

 俺が攻勢していたのならば、瞬間移動の隙を与えずに攻撃していたために、先程の一撃は通らなかった。俺が良い意味でも悪い意味でも相手の攻撃に依存するスタイルだった故に、今回の一撃が起きたのだ。

 ……強いな。流石主人公と言いたいね。

 だが、俺だってサイヤ人だ。戦いの中で成長しないわけがない。悟空の一挙手一投足を観測し続けた。

 武の極地に踏み入れている悟空の攻撃は参考にしかならない。ちなみにあくまで参考にしかしない。模倣はそもそもできないし、できたところで劣化版にしかならない。

 

「──ですから、次はこちらから行かせていただきますよ!」

「──っ、速いッ!」

 

 参考にしたところは、受けではなく攻撃の姿勢。

 ベジータと悟空。どちらの攻めをも取り入れた俺だけの攻撃。今こそそれを見せつける時が来たのだ。

 

「だらァァァ!!!!」

「っ、受けも使えるんか!?」

 

 俺の攻撃方法は相手のペースを崩す戦い方だ。

 攻撃のみに集中するベジータのスタイルは俺にはメンタル面的に合わないし、悟空のような武術をメインとした技術者スタイルも、経験値が足りないゆえに不可能。

 ならばと考えついたのが、攻撃を仕掛けつつ、相手の防御を受け(※運動エネルギーのベクトル変換)で崩し、体勢を壊したところで放つ本命の一撃。

 

 攻防一体。

 相手に本気を出させない戦い方。

 

 サイヤ人らしくも無いが、俺は舐めプも油断もしないトランクススタイルのサイヤ人だと思って欲しい。

 ※僕は父さんを超えてしまったんです、を除く。

 

「ハァッ!!」

「くっ──!!」

 

 悟空が咄嗟に防御の構えを取った──その瞬間を狙い、防御に使用していた右手の運動エネルギーを逸らす。

 当然、がら空きになる胴体。

 

 しかし、本命の一撃を放つには時間が足りない。

 完璧な受けの姿勢でないからか、逸らせる時間も短い。だからこそ、それだけは力技に任せる。

 

 

「──っ」

 

 俺は僅かな時間で完成ブルーに変身し、変身と同時に膝蹴りをぶち込んだ。

 

「──ガッ、くっ──」

 

 悟空は痛みに堪らずのけ反る。

 隙だらけだ。

 

 お腹を押さえた悟空の脳天を、俺は踵割(かかとわり)で地上に突き落としたのであった。

 

 

「勝者! キャベ選手!」

 

 地上に落ちた悟空は失神していた。

 レフェリーの勝利を告げる言葉に、俺は疲労感を覚えつつ変身を解く。

 

 

 

 ──くそ、気持ちの良い勝利ではないな。

 最後は結局力技だった。否、力技でしか悟空に勝つ手段が無かった。

 俺が優位を保っていたように見せていたが、ブルーへの変身と悟空に貰った一撃。それらが俺の体力を着実に削っていたのだ。まだ余裕があるとはいえ、相手はあの孫悟空。下手に追い込めば覚醒するのは目に見えていた。

 

 ……勝利は勝利だ。それ自体は嬉しいことは間違いない。

 修行が足りないな……。

 

「何やってるんだ悟空ーーッ!!! もう終わりだ──!!」

「え? まだモナカがいるじゃねぇか」

「いや、それは……くっ」

 

 ビルスが激怒を顕にし、悟空が疑問符を浮かべている。

 あ〜……漫画版だったらモナカの正体が明らかになっていなかった……ような? どのみち、ご察しの通り、モナカはただの一般人である。

 

 どう足掻いても後は消化試合なのだが、俺が煮えきらない思いを抱えているのもあり、どうにも不満である。

 

 すると、数分後、都合の良いことに、モナカに扮したビルスが現れた。どこかやけくそ気味の登場シーンは、ピッコロに冷や汗をかかせ、シャンパ様に至っては珍しく盛大に呆れている。

 

「おい……おまえ……」

「シャンパ様──」

 

 冷静にツッコミを入れようとするシャンパ様を止めた俺は、耳元で囁く。

 

「お願いします。このままビルス様と戦わせていただけないでしょうか」

「なに?」

「試合で僕は力不足を感じました。今は勝てども、一日、二日でも経てば強くなる。それがサイヤ人です。僕はもっと強くなりたい。ここでビルス様と戦うことは、紛れもなく糧となります」

「だが、おまえ……負けるぞ? 悔しいけど、ビルスの野郎の強さは俺が一番分かってる。確かにお前は強いが、ビルスには勝てない。絶、対、だ!」

 

 シャンパ様の言うことは尤もだ。

 如何にベジータと悟空を降したと言っても、破壊神に挑むにはまだまだ早い。それにビルスは恐らく破壊神最強の戦闘力を持っている。俺はきっと勝てないだろう。

 だが──

 

「だからと言って、負けるだろうと強者に挑むことをやめてしまえば、それは停滞です。強くなろうとしなければ、決して強くなることができない。僕はここで壁を超えなければいけないんです。それに──試合に関しては後から言えば失格になるでしょう。どのみち第六宇宙の勝ちは決まっています」

「ううむ……それもそうか。分かった。だが!! 少なくともあの野郎の鼻を明かしてこい!! 無様に負けたら破壊してやるからな!!」

「了解いたしました」

 

 ははっ、ビルス様と戦える──!!

 破壊神最強かつ、何だかんだ寛容なビルス様が!!

 超でブロリーには負けると称されているビルス様だが、破壊神に力の上限が無いのだとすると、ギリギリ負けないんじゃないか? と思っているビルス様が!!

 

 まあ、そんな冗談は置いておいて、俺は強者と戦えることへの高揚感でかつてないほど闘志を高めていた。

 

「そ、それでは! キャベ選手vsモナカ選手──はじめっ!」

 

 

 




こんな展開が書きたかった。

※作者インフルエンザ中(2/18現在)
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