ヤベぇ女、決定戦   作:泰然

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10話 抑圧される感情 溢れ出る情欲

 寝るには早いが、シービーに促された事で俺もベッドに入る。

 

 

 

シービー

「はい、どうぞ」

 

鬼門

「普段使ってるベッドこれ?」

 

シービー

「アタシはハンモックで普段は寝るけど、今日はトレーナーと寝るよ?」

 

鬼門

「そうか……。頼むから訴えるのだけはやめてくれよ?」

 

シービー

「しないよ~、そんなめんどくさいこと」

 

鬼門

「じゃあ……失礼します」

 

 

 

 たどたどしく先に俺がベッドに入ると、シービーが続いて隣に入ってくる。この状況もそうだが、シービーの匂いなのか、女性特有の香りで混乱する。

 

 

 

シービー

「何かトレーナー、よそよそしくない? いつも威張ってるのに」

 

鬼門

「そんな風に思われてたのか……俺」

 

シービー

「ウソウソ、そんなこと思った事ないから。……何か、こうしてるの不思議だね」

 

鬼門

「先ず、担当とは寝ないからな……」

 

シービー

「分からないじゃん、そんなの。……君もアタシと同じ匂い。でもちょっと、違う匂いがする」

 

鬼門

「それは、臭いって意味か?」

 

シービー

「違うよ。トレーナーは悲観的に考えすぎ、むしろいい匂いだってば」

 

鬼門

「事案になりかねん……」

 

シービー

「事案じゃないよ? だって、アタシ達と三年間も過ごしたら二十歳越えてるんだよ? こんなの普通だって」

 

鬼門

「そうか、スカウトしたのも十八の頃か……。合法――いやいや、学生だからアウトか」

 

シービー

「トレーナーはそういう所固いよね。それも魅力だけどさ」

 

 

 

 そう言いながら、シービーは俺の手を握ってくる。驚きながらシービーを見つめると、熱を帯びた瞳でこちらを覗いている。

 

 風呂上がりで少し水気を帯びた髪質も、妙に色気を増している。

 

 それに耐えられなくなった為、手を振り払い、シービーに背中を向けて反対側に寝返りをうつ。

 

 

 

鬼門

「まだ早いけど、もう寝るぞっ……」

 

シービー

「え~? まだこれからだよ? もっと話しようよ~……」

 

鬼門

「無理だっ、電気消すぞ?」

 

シービー

「ブーブー……」

 

 

 

 もっと食い下がると思ったが、不貞腐れながらシービーも俺に背中を向けて眠りに就いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 寝てから暫く時間が経ち、外はまだ全然暗い。もう一眠りしようと、目を瞑ろうとした時にシービーが俺の背中の衣服を掴みながら吐息を漏らしていた。

 

 

 

シービー

んっ……ふっ……あッ、トレーナーッ……

 

鬼門

「……?」

 

 

 

 次第に声は大きくなり、服を掴む力も強くなっていく為、どこか悪いのか聞いてみる事にした。

 

 

 

鬼門

「シービー、どこか悪いのか?」

 

シービー

「えっ!? トレーナー、起きてたの?! あぁ、いや、何でもないから……気にしないで///」

 

鬼門

「そうか……何かあれば言ってくれ。直ぐ病院に連れて行くから」

 

シービー

「う、うん……ありがと///」

 

 

 

 その後は落ち着いたのか、先程の吐息は聞こえる事は無くなり、俺もいつの間にか熟睡していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 朝を迎え、五時半に目が覚める。体を起こし、背伸びをしながら横を見るとシービーはまだ寝ている。

 俺はシービーを起こさないようにそっとベッドから抜け出し、朝ご飯を作る。

 パスタと牛乳があった為、クリームパスタを作りながらシービーの起床を待つ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 カーテンの隙間から朝日が照らし、自然と目が覚める。ただ、体が少し重い。

 あの夜、我慢できずにしてしまった()()を思い出す。アタシでも、正直なところびっくりしている。

 普段あんな事はしないのに、何故かトレーナーが横で寝ているだけで、その手が抑えられなくなった。

 罪悪感もあったけど、心は満たされている。バレるか正直不安だったけど、アタシを心配してくれるトレーナーの声で余計に気持ちが抑えられなくなった。

 ()()()()()も、アタシはトレーナーに優しく抱かれる想像をするだけで、心が温かくなる。

 そんな思いに馳せながら、隣を見ると彼が居ない事にようやく気付く。

 そして微かに、台所から包丁の音といい香りが漂ってくる。アタシは直ぐに立ち上がり、台所へと向かう。

 

 

 

シービー

「ふぁ……トレーナーおはよう」

 

鬼門

「おう、シービー。よく眠れたか?」

 

シービー

「トレーナーは早いね。いつもこんな早く起きてるの?」

 

鬼門

「お前達より早く起きないと、トレーニングに遅れるだろ? それより、朝食はパスタなんだが、味見してみるか?」

 

シービー

「うん。……うん、美味しいよ!」

 

鬼門

「よかった。コンソメの素が無かったから、コンビニで買ってきて正解だったよ。後は粉チーズを掛けて……完成!」

 

シービー

「もしかしてトレーナーって、料理上手?」

 

鬼門

「何で昨日と同じ事聞くんだよ。それじゃあ取り敢えず、食べるぞ」

 

 

 

 トレーナーに座るように指示され、テレビを付けて料理を待つ。

 テーブルに大盛りのパスタが運び込まれ、直ぐにでも食べたいと思える程、食欲がわいてくる。

 

 

 

鬼門

「それじゃ、いただきます」

 

シービー

「いただきます。……おいひい!」

 

鬼門

「うん、自分にしては上出来だな」

 

シービー

「これ美味しいから、毎日作ってよ!」

 

鬼門

「栄養偏るぞ? ご飯の方が効率よくないか?」

 

シービー

「それでもいいから作って? だったら、アタシの家で暮らせばいいよ」

 

鬼門

「考えときます」

 

シービー

「何それ……真面目に考えてる? ……やっぱり、一緒に居るだけで楽しいな」

 

 

 

 昔、学園でたまたま出会って行きたい場所クイズを出して、付き合ってくれる。

 夏合宿もそう、アタシが夏祭りに興味が無くても、そこで偶然トレーナーと鉢合わせて一緒に花火を見に行く。

 アタシの気ままに付き合ってくれる人なんて、そうそう居ない。あの時 出逢えたことが、アタシにとっての正解。

 

 離したくない、離れたくない、ずっと傍に居たい。

 

 

 

鬼門

「シービー? どうかしたか?」

 

シービー

「う、ううん……何でもない。ちょっと、昔のこと思い出してた」

 

 

 

 アタシは何も無かったように装い、パスタを平らげていく。トレーナーは、肩を竦めながら食事に戻る。

 全て食べ終わり、食器の片付けをする。

 そして登校時間が近付き、アタシとトレーナーは一緒に玄関を出る。

 

 

 

鬼門

「今日はチームの朝練が無くて助かった。俺もそんなに、朝が強い訳じゃないからさ」

 

シービー

「そうなんだ、意外だね。アタシ達より集まるの早いから、得意だと思ってた」

 

鬼門

「体に染み付いたんだろ。それより、シービーはもう少し早く来てくれよ……」

 

シービー

「う〜ん……朝練の数、減らしてくれたら考えるかな」

 

鬼門

「お前……ただサボりたいだけ――」

 

シービー

「えいっ♪」

 

 

 

 アタシは話題を逸らす為に、トレーナーの手を握る。

 

 

 

鬼門

「お、おい!? 引っ張るな!」

 

シービー

「話してると、学校に遅れるよ!」

 

 

 

 トレーナーと川沿いの道を走り、学園を目指す。一人で登校する時間も、好きな人と居れば何でも楽しい。

 トレーナーも、アタシと居るの……楽しいよね

 

 

 

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