ヤベぇ女、決定戦   作:泰然

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13話 メイドになってトレーナーをもてなそう

 

 

 誰でもいいから助けて下さい。

 ルドルフとシリウスに睨まれながら食事をしているのですが、食べ物が喉を通りません。

 

 

 

ルドルフ

「君は、トレーナー君のなんだ?」

 

アメリ

「う~ん……ガールフレンド?」

 

シリウス

「おい、仔犬……この女は虚言癖でもあるのか? それとも、アメリカ育ちはホラを吹くのが常識なのか?」

 

鬼門

「おい……いくら何でも言い過ぎだぞ」

 

アメリ

「春暁、優しい~。アンタ、シリウス……だっけ。好きな人には、正面から言うものでしょ? 言う事で実現に近付くなら、アタシは迷わず言うけど。アンタたちは春暁に、好きとか言った事あるの?」

 

ルドルフ

「私は直接伝えた事はあるが……シリウスは……」

 

シリウス

「な、何だよ……。あたかも私が、この仔犬が好きみたいな言い草だな」

 

アメリ

「じゃあ、何でさっきまで怒ってたの?」

 

シリウス

「は、はぁっ!? だって……。こいつは……私の所有物だからだよ!! 文句でもあるんのか?!」

 

ルドルフ

「苦しい言い訳だな」

 

アメリ

「春暁はどう思う? 今のを聞いて」

 

鬼門

「いや、シリウスは俺の事好きじゃないだろ? 普段から揶揄ってくるし、仔犬呼び出しタバコは捨てられるし。嫌いだから、イジメてくるんだろ?」

 

シリウス

「がはっ!?」

 

ルドルフ

「おい!? シリウス! 大丈夫か?! トレーナー君、今のは目に余る行為だぞ!」

 

鬼門

「え? 俺のせいなの?」

 

アメリ

「これだけ想ってる人に言われればねぇ……。まぁ、自業自得だけど」

 

 

 

 シリウスが動かなくなり、かなりの時間をその場で過ごした。

 その後は食事を済ませて、俺はアメリの担当申請を理事長にお願いをした。そして今は、練習場に向かう途中。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

鬼門

「模擬レースも、すっ飛ばして担当になるとか強引過ぎだろ……」

 

アメリ

「こうでもしないと、春暁は専属になってくれないでしょ? それに、他の人と組むなんて嫌だし」

 

鬼門

「嬉しいけどさ、あんまり強すぎるウマ娘が集まると顰蹙買うんだよなぁ……」

 

アメリ

「何で?」

 

鬼門

「よくあるだろ、俺の指導で強くなった訳じゃなくてウマ娘の元々の素質だって。そう言われるのが目に見えて分かる。同業者には居るんだ、そう言う奴」

 

アメリ

「ふ~ん……。でも、それってウマ娘の能力ばかり見てるよね?」

 

鬼門

「まぁ、そうだな」

 

アメリ

「筋肉とか骨の疲労を感知して、練習メニューを調整したり食事方法も変えたりするのもトレーナーの大事なの事でしょ? それで怪我を回避したり、調子を整える役目は重要でしょ? 春暁の担当の子は、怪我した事ある?」

 

鬼門

「無いな」

 

アメリ

「でしょ? 無事にそれまで走ってこれたのは、春暁のお陰。僻んでた人は、春暁の事なんて何にも見てない。ただ自分の出来なかった事を、棚上げしてるだけ。悲観する事ないよ」

 

鬼門

「ありがと、アメリは優しいな」

 

アメリ

「んへへ~♪ もっと褒めて~」

 

 

 

 俺はアメリに慰めてもらいながら練習場に着き、自身の担当との顔合わせとなった。

 

 

 

エース

「トレーナーさん、今日は……転入生?」

 

鬼門

「よっ、エース。改めて、今日からアメリカンファラオはウチの担当になった」

 

シービー

「そうなの?」

 

パーマー

「あちゃ~……ライバル増えちゃったかぁ」

 

ケイミラ

「また一層、騒がしくなりますね」

 

ヒシアマ

「トレ公のこと、名前で呼んでた子だね」

 

シリウス

「おい、ルドルフ。こんな奴、本当に仲間に引き入れていいのか? 今後を左右する、重要な局面だぞ」

 

ルドルフ

「……今後を決めるのは、これでハッキリする」

 

 

 

 ルドルフが懐から取り出したのは、おれの写真集だ。

 

 

 

鬼門

「おい、何で持ち歩いてるんだ……」

 

ルドルフ

「練習への意欲を失わない為だよ、トレーナー君。それに、これを見せれば私達と同族かどうかわかる」

 

鬼門

「同族ってなんだ……。写真集何か見せても、何にもならんだろ」

 

アメリ

「これは……。ルドルフさん、これ何処で売ってます?」

 

鬼門

「もう名前で呼んでるし……」

 

ルドルフ

「これは最初の頃に少ない部数で売られていたものだ。新しい物は、売店で売られている」

 

アメリ

「今、買ってきてもいいですか?」

 

ルドルフ

「もちろんだ」

 

鬼門

「お前が許可出すなよ」

 

アメリ

「じゃあ、ちょっと待っててね~!」

 

鬼門

「……本当にアイツ、走って行きやがった」

 

ルドルフ

「と、言う事でトレーナー君。彼女は正式に私達のチームだ」

 

鬼門

「最初から説明してんのに、何でお前が決めたみたいな流れになってんだ……」

 

ルドルフ

「まぁ、そんな事はさておき。今日のトレーニング内容を――」

 

鬼門

「流そうとすな!」

 

シリウス

「……」

 

 

 

 それからアメリが戻り、みんなで練習するのだがウォーミングアップでランニングをしようとすると、彼女は先程買ってきた写真集を放そうとせずに走りながら読んでいる。

 

 

 

鬼門

「アメリ! 走りながら読むんじゃない!!」

 

アメリ

「……」

 

パーマー

「ありゃ……これは相当入れ込んでるね」

 

ケイミラ

「ダメだよ、アメリ。前見ないと転ぶよ?」

 

シリウス

「だぁぁ! 鬱陶しい!! トレーニングの時くらい集中しろ!」

 

アメリ

「あっ、アタシのエロ本! 返せ!!」

 

シービー

「エロ本って言う認識なんだ……」

 

ヒシアマ

「こら!? 二人共、喧嘩はよしなよ!」

 

エース

「ルドルフ、どうすんだよ。お前が蒔いた種だぞ」

 

ルドルフ

「むぅ……そうだな」

 

 

 

 俺から遠目で見える程、シリウスとアメリは喧嘩をし始めた。俺は急いで止めに行こうとすると、後ろからたづなさんに呼び止められる。

 

 

 

たづな

「トレーナーさん。先程、理事長室で言い忘れた事が……揉め事でしょうか?」

 

鬼門

「たづなさん、少し待っててください。今、止めてくるんで」

 

 

 

 二人が取っ組み合いを始め、双方の体操着は乱れまくっていた。手で掴まれた体操着は伸びてしまい、シリウスとアメリの肩が見えている。

 

 俺では力が敵わない為、他の担当に手伝ってもらいながらなんとかその場を収めて、たづなさんの下に向かう。

 

 

 

鬼門

「はぁ……はぁ……。それでたづなさん、言い忘れた事って?」

 

たづな

「少し前に理事長が決めた事なのですが、新入生や転入生を迎えるにあたり大きな親睦会を開こうと思いまして」

 

鬼門

「その親睦会とは何でしょうか?」

 

たづな

「カフェテリアを使って、もっとウマ娘との交流を深める企画としてメイドカフェに扮した催しを開く事になりました」

 

鬼門

「……何でメイドカフェなんですか?」

 

たづな

「より明確に想いを伝えやすいと考慮して、この案が立ち上がりました。ウマ娘の方がメイドとなって羞恥心を取り払う事で、日頃お世話になっているトレーナーさんやこれから仲良くなるトレーナーさんとの切っ掛けになればと」

 

鬼門

「親睦会はいいんですけど、メイドカフェじゃなくとも……」

 

たづな

「他に良い案はございますか?」

 

鬼門

「いえ、今すぐは浮かびませんけど……」

 

たづな

「無ければ、この企画は明後日に開催する予定です。ウマ娘の方々は言葉遣いを履修して頂く形で、トレーナーさんを持て成すお気持ちだけで注意点はありません。メイド服はレンタルでご用意してありますので、ご自由に――」

 

鬼門

「ちょ、ちょっと待ってください!? 明後日にやるんですか?!」

 

たづな

「急遽決まった事ですが、難解な決め事はありませんので伸び伸びとやって頂きます。お伝えしましたので、私はこれで失礼します」

 

鬼門

「えぇ……投げやり。まぁ、難しい事は無いみたいだし別に――」

 

シリウス

「私は絶対着ないぞ!! 誰があんなフリフリの服なんか……」

 

鬼門

「簡単だろ、メイド服を着て感謝の言葉言えばいいだけだろ?」

 

シリウス

「だったらお前がやってみろ!! 執事になりきって出来んのか?!」

 

鬼門

「いや、俺は出来る気がするな……恥ずかしくないし」

 

シリウス

それが耐えられねぇから言ってんだ……

 

アメリ

「あっ、いいこと思い付いた。シリウス、どっちがよりメイドになりきっているか勝負しなさい! 今後一切、口出し出来ないようにね」

 

シリウス

「はぁ!? やる訳ないだろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリウスはメイド服を

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