ヤベぇ女、決定戦   作:泰然

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エースってやっぱ可愛いなぁ……。


3話 エース、先走る

エース

「トレーナーさんがアプリでやり取りしてる文章が見えたんだよ。それであたしとルドルフで、懲らしめてやろうとしたんだよ。本当はデートする気だけど……

 

鬼門

「見られてたのか……。じゃあ、結婚願望あるのも知ってるか……」

 

エース

「別に、そこまで気にする事ねぇと思うけどな。晩婚なんて今の時代当たり前だろ?」

 

鬼門

「いや、そうなんだけど……。この歳になると、焦るんだよなぁ」

 

エース

「ふ~ん……。取り敢えず、畑に行こうぜ。今、でけぇ大根が取れると思うしよ」

 

鬼門

「ん? 随分薄着だな、俺の上着貸すよ。朝だから、まだ寒いぞ?」

 

エース

「お、おう……。ありがとう……///」

 

 

 

 


 

 

 

 

 学園の畑に向かう途中、エースは俺の貸したジャンパーを頻りに鼻に圧しつけて匂いを嗅いでいる。

 畑に着いても顔を被る程、夢中になっている。

 

 タバコ臭いのかな……。

 

 

 

鬼門

「もしかして、臭い?」

 

エース

「臭くない――って違う、嗅いでなんかねぇよっ!? 中が解れてて、気になっただけだっ///」

 

鬼門

「そ、そうか。どの大根を取ればいいんだ?」

 

エース

「と、取り敢えず、手前の三本からだな。一本は保存用に使って、他の二本は食堂のおばちゃんに寄付する分だな」

 

鬼門

「じゃ、軍手して収穫しますか。他は取らなくていいのか?」

 

エース

「ジャガイモも育ってるから、一本くらい抜いて料理で使うか」

 

 

 

 その後は黙々と野菜を収穫し、台車に乗せる。水で洗い、綺麗に箱に詰めていく。

 エースは悴んだ手に息を吹きかけ、温めている。

 その姿を見て、俺は少し悪戯したくなった。

 後ろから静かに近づき、エースの頬に両手を当てる。

 

 

 

エース

「うひゃ!? な、何すんだよトレーナーさん///」

 

鬼門

「いや~、ちょっと揶揄いたくなって」

 

エース

「全くよ……。普通の女子なら許されねえぞ……」

 

鬼門

「エースは揶揄い甲斐があるな、男友達みたいで~」

 

エース

「――ッ、言ったなっ。だったら今日は、あたしが女子だってことを刻み込ましてやる! とことんデートに付き合ってもらうからなっ!!」

 

鬼門

「何だよ急に……デートって」

 

エース

「あたしがどれだけ可愛いか、見せつけてやるっ!」

 

鬼門

「いや、十分可愛いだろ」

 

エース

「――ッ/// なんなんだよ、ったく……」

 

 

 

 


 

 

 

 

 畑作業を終え、エースが俺の行きつけの場所を勧める為、早くから開いている喫茶店に向かう。

 

 

 

エース

「そう言えばトレーナーさん、コーヒー好きなんだよな。何切っ掛けで飲むようになったんだ?」

 

鬼門

「自分で豆を挽いてから好きになったかな。苦みと香りが強いのが好きだぞ。エースも好きなのか?」

 

エース

「トレーナーさんが部屋で挽いてるのを見て、興味が出た程度だな。やっぱり違うものなのか?」

 

鬼門

「う~ん……。気分、かな」

 

エース

「そっか。トレーナーさんが好きな物なら、あたしも飲んでみるか」

 

鬼門

「無理に飲む必要はないぞ?」

 

 

 

 話している間に喫茶店に到着。街並みが見える窓際に座り、二人で腰掛ける。

 俺はマスターにブレンドコーヒーとサンドイッチを頼み、エースは同じ物と看板メニューでもあるカレーを注文する。

 

 

 

エース

「落ち着いた雰囲気だな、良い匂いも充満してるし」

 

鬼門

「リラックスできるし、気持ちも切り替えられるからオススメだな。早朝だから、客も俺達だけだし」

 

エース

「本当だな。トレーナーさんが行く時に、あたしも付いて行こうかな」

 

鬼門

「お互い予定が合えばな」

 

エース

「何言ってんだよ、四六時中一緒に居るだろ。会わない訳がない」

 

鬼門

「言われてみれば、そうだな。大体担当と一緒だな」

 

 

 

 談笑していると、メニューが運び込まれる。

 いい匂いが周りに漂い始め、早速コーヒーを二人で飲む。

 

 

 

鬼門

「美味しいな……」

 

エース

「苦い……。ただ、慣れればそれなりに飲める」

 

鬼門

「まぁ、嗜好品だから無理に飲むものじゃないからな。無理はするなよ?」

 

エース

「いや、全部飲む。トレーナーさんの好きな飲み物だし」

 

 

 

 俺はその健気な姿にクスリと笑い、お互い食べ物に手を伸ばす。

 

 

 

エース

「おっ、このカレーうまいっ! 流石、看板メニューだな」

 

鬼門

「だろ。サンドイッチも美味いぞ」

 

エース

「あ、トレーナーさん口にマヨ付いてるぞ。待ってろ、あたしが拭いてやるよ」

 

鬼門

「大丈夫、ハンカチあるから。昨日ルドルフに拭かれて情けなかったから、自分で持つようにしたんだ」

 

エース

「ぐぐぐ……。何で裏目に出るんだよ……」

 

鬼門

「ははっ、残念だったな」

 

エース

「このっ!」

 

 

 

 エースは俺の左手を恋人繋ぎで抑え、顔を赤くしたまま固まった。

 

 

 

鬼門

「エース、無理しなくていいぞ?」

 

エース

「む、無理なんてしてねぇ!! どうだ、ドキドキするだろ///」

 

鬼門

「多少はするけど、正直驚愕でドキドキしてる」

 

エース

「な、何でだよ!? 畜生、何であたしばっかり……///」

 

 

 

 しばらくすれば飽きると思ったが、エースは手を離さず小刻みに握ってくる。

 

 

 

エース

「と、トレーナーさんは、担当で誰が一番好きなんだよ……///」

 

鬼門

「そんな事言われても、みんな好きだからなぁ……」

 

エース

「お、女としてはどうなんだよ……」

 

鬼門

「女としては分からんけど、俺の好みで担当を選んでる節はあるかな……」

 

エース

「それは、あたし達が好みの女性って事……?」

 

鬼門

「そうだな」

 

エース

「――ッ///」

 

 

 

 それからエースは押し黙り、手を静かに離してくれた。そこからは何も喋らず、勘定を済ませて喫茶店を出た。

 歩いている時も俺の後ろを付いて来ながら呆然としている状態の為、一先ず変える事にした。

 

 

 

 


 

 

 

 

 トレセンに戻り、取り敢えず寮に送ろうとした時にエースが絶叫しながらこちらを向く。

 

 

 

エース

「あたし、トレーナーさんの事好きだから!! 畑手伝ってくれるし、レースでもいつも支えてくれるし、服もいい匂いだし!!」

 

鬼門

「お、おぅ……」

 

エース

「あたし、他の担当に負けねえから! あたしの事、好きだって言わせて見せる! 覚悟しろよ、トレーナーさん! じゃな!」

 

鬼門

「……。消臭剤、買いに行くかなぁ……」

 

 

 

 

 

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