一週間くらいしたら次出します。
撮影してから数週間が経ち、今日が自分の写真集が発売される日となった。偶に売店に顔を出すのだが、自分の全身像が貼られた雑誌が並んでいる為、行きずらくなっている。
その為、カフェテリアで食事をする事にした。
鬼門
「地獄だろ、あんな広告までデカデカと貼られたら……。恥ずかしいにも程がある」
俺がカレーを食べていると、ヒシアマが定食を持って隣に座る。
ヒシアマ
「よう、トレ公。珍しいね、いつもはトレーナー室で缶詰のくせに」
鬼門
「売店でおにぎり買うはずだったんだが、俺の写真集がなぁ……」
ヒシアマ
「なんだい、そんな事か? アタシは珍しいトレ公が見れて、楽しいけどね。それに好評らしいよ、アンタの写真集」
鬼門
「マジか……何がそんなにいいんだか……。もっと美形のトレーナーなんて、山ほどいるだろ」
ヒシアマ
「トレ公もいい部類に入るだろ。アタシは少なくとも、カッコいいと思ってるよ。それに、アタシも手に入れたしね」
鬼門
「うわぁ……。あまり見せないでくれ、自分で吐きそうだ……」
ヒシアマ
「そうかい? この着替えてる写真なんか、いいと思うけどね」
鬼門
「口で説明しなくていいから、一人の時に楽しんでくれ……」
ヒシアマ
「はっ!? 誰が一人で――」
鬼門
「え、だって欲しいから買ったんだろ? 見て楽しむんじゃないのか?」
ヒシアマ
「あぁ、そう言う事かい……。存分に楽しむ気でいるけどさ」
鬼門
「何だよ? 歯切れ悪いな……」
ヒシアマ
「うるさいねっ! 兎に角、食べるよ!」
鬼門
「何怒ってんだよ……」
俺達は食事を終え、各々自由な時間を過ごした。
アタシは担当仲間を集め、写真集の論評が開かれた。
ヒシアマ
「それじゃ、各メンバーでお気に入りの表紙を見せ合うよ。せーのっ!」
ルドルフ
「私はこれだな、体育館倉庫で寝そべるトレーナー君。普段撮り慣れていないトレーナー君が、恥じらうこの姿。実に芸術と言っても過言ではない」
シービー
「ルドルフ、鼻血出てる。アタシはね、タバコ吸ってるシーンかな。妙にエロくない?」
エース
「わかる! 何気に色気あるよな……」
パーマー
「これとかどうですか? 雨に打たれてるトレーナー、カメラ目線でこっち覗いてる姿がもう……」
シリウス
「私はカメラ目線で迫ってる構図だな。仔犬が私の真似をしてる図に、何とも笑えるな」
ヒシアマ
「それはアンタがされたい願望があるからだろ? 壁ドンとか」
シリウス
「ち、違う!? 誰があんな奴に……///」
ミラクル
「ふふっ、愛されてるな……トレーナーさん」
暫くトレーナー談議が終わるまで続き、それぞれの性癖を語り合った。
雑誌の売れ行きは好調のようで、色んなトレーナーから茶化されていた。
その中には、本当にモデルの仕事が増えるのではないかという言葉が飛び交っている。何のノウハウもない半端者が、モデルの話にまで発展するはずがない。
そう思いながら休憩していると、理事長からまた召集がかかる。
鬼門
「理事長、今日はどんなお話ですか?」
秋川
「朗報ッ! これから鬼門トレーナーには、我がトレセン学園トレーナー代表として宣伝担当を担う事になった」
鬼門
「それは、広告塔になれって事ですか……?」
秋川
「名案ッ! 雑誌会社から直々の依頼が入った。これを機に、新人トレーナーの加入増進を勧め、学園の発展につなげていきたい。これから忙しくなるが、更なる飛躍を期待する」
鬼門
「俺、モデルの仕事した事ないですよ!? 加入増進とはいえ、モデルで呼び込めるとは――」
秋川
「今は新規トレーナーが不足している。動機は様々でも、トレーナー業をやりたいのであれば取り込む。テレビや雑誌の露出が増えれば、君にも学園側にも利益がある話だ」
鬼門
「そりゃあ、露出が増えれば呼び込めるかもしれませんけど……。本当にウマ娘が好きな人からしたら、面白くは――」
秋川
「君の懸念はよく分かる。だが、人手不足を解消させる他ないのだ。写真集も好調だ、明日からモデルの仕事が入っている。トレーニングと兼任して行う事になるが、無理はしないよう」
鬼門
「えぇ……」
納得はいかぬまま、明日にはモデルの仕事が控えている事を告げられる。仕事の内容は一般人向けに、トレーナー業に意欲を持ってもらう為の参考モデルの撮影。
やるだけやってみるが、この仕事も難しい。
現にゴールドシチーのような、生まれ持った素質が必要。ただ綺麗なだけでは、モデル業界は生き残るのは無理だ。
与えられた仕事は熟すが、どうせ自然消滅するのが目に見えている。
そして撮影翌日、関係者が朝早くに学園を訪れる。
以前、撮影した時よりも大規模な機材に人の数に驚く。ただのトレーナーにここまで力を入れなくてもいいのにと思い、軽く挨拶して撮影が始まった。
撮影はいたってシンプルで、普段の仕事を熟すだけ。
そして撮影は終わり、休憩していると先輩が話しかけてきた。
先輩
「よう、宣伝モデル。マッチングアプリは順調か?」
鬼門
「マッチングは失敗するし、挙句の果てにこんな事になるし……」
先輩
「俺も写真集見たぞ、かなり際どいやつばっかだな」
鬼門
「見ないで下さいよ……。あんなの、熱が冷めれば黒歴史確定なんですから……」
先輩
「あははっ、これも経験だ。少しの辛抱だ、頑張れ」
先輩は手を振りながら別れ、担当のトレーニングに急ぐ。
コースに行くと、ルドルフが指示しながらトレーニングを始めていた。
鬼門
「悪いなルドルフ、ちゃんと練習に付き合えなくて」
ルドルフ
「君が謝る必要はないさ、私達だけでも自主トレは出来る。君の練習メニューのお陰でね」
鬼門
「助かるよ」
ルドルフ
「だが、私もここまで話が大きくなるとは思いもしなかったよ。全く、我々のトレーナーには驚かされるよ」
鬼門
「自分でもびっくりだよ。ただ、ルドルフ達のトレーニングに付き合えないかもしれないが、大丈夫そう?」
ルドルフ
「事情は皆で共有している、そこまで気を遣う事は無いよ」
鬼門
「まぁ、自然に消滅するまで我慢してくれ」
それから時間が経ち、俺の予想と反比例するように新人トレーナーがドンドン増えていった。その流れで、ファッションモデルとして掲載される事が発表される。
そこでも名前を憶えてもらう程、知名度が上がって行く。
ある日に、近くで買い物をしていた時に一般の女性から声を掛けられた。
「この間の雑誌、見ました」
「着こなしてる感じが良かったです」
鬼門
「あぁ、ありがとう……」
声を掛けられた為、無下にする訳にもいかず、相槌を打ちながら応える。そこに――。
シービー
「おーい! トレーナー!」
鬼門
「あっ、ごめんね。知り合いが来たから」
シービーのお陰でその場をやり過ごし、二人で少し歩きながら会話する。
鬼門
「助かったよ、中々離してくれなくて」
シービー
「大人気だね、流石読者モデル」
鬼門
「よせよせ、まともに外も歩けないんだから」
シービー
「でも、悪い気分じゃないでしょ?」
鬼門
「そうでもないさ。シービーたちの気持ちがよく分かるよ、カメラに追いかけ回されるのが嫌な理由」
シービー
「あははっ! それでトレーナー、この仕事続けたい?」
鬼門
「いや、どうだろ。止め時も分からんしな、シービーはどう思う?」
シービー
「アタシ? アタシは……どっちでもいいじゃない? 楽しければ」
鬼門
「曖昧な答えだな……。ただ、投げ出すのもな」
シービー
「でも、さっきみたいにイチャついたらどうなるか分かんない」
鬼門
「なんか言った?」
シービー
「何でもー。じゃ、アタシの家こっちだから。またね」
鬼門
「またなー。……どうすっかな」
協力してくれる人たちのこと考えれば、そんな失礼な事も出来ない。
ただ、担当との時間も取らないと本末転倒だし。どうするか……。
分岐ルート
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モデルの仕事を断る(通常ルート)
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モデルを続ける(ヤンデレルート)