ヤベぇ女、決定戦   作:泰然

7 / 18
ヤンデレ編に移行します。
選択肢を誤ると、トレーナーが死亡する可能性があります。
気分が乗らない時があるので、遅い更新になります。


7話 守れるのであれば、それだけで私は……

 今日も自主トレに励む我々。トレーナー君がモデルの仕事に専念している今、負担を掛けてはいけない。

 

 

 

ルドルフ

「ふぅ……。青天の下で行うトレーニングは、実に清々しい。よし! 各々、脚への負担を考慮して一先ず今日は――」

 

 

 

 皆に呼び掛けて振り向くと、コース上の遠目にトレーナー君がゴールドシチーと会話をしている。

 彼女も一人のウマ娘にして、モデルを掛け持ちをしている。見た限り、トレーナー君がメモを取りながら質問をしている。

 仕事熱心な彼を見て、私は微笑みながら眺める。

 二人の会話が終わり、私も戻ろうとした時、トレーナー君の周りに他のウマ娘が話しかけてきた。

 遠目でしか分からないが、何やらトレーナー君と楽しく話をしている。

 彼が頼られている事は嬉しいのだが、私はどこか()()()()を感じている。何故かは分からない、これ程胸騒ぎがするのは初めてだ。

 

 

 

シリウス

「ルドルフ! 置いて行くぞ!」

 

ルドルフ

「あ、あぁ……。今行く」

 

 

 

 遠くでシリウスに呼ばれた為、私は皆と着替えに戻る。

 取り敢えず、先程の事は忘れて制服に着替える。すると、悟ったのかシリウスが私に話しかけてくる。

 

 

 

シリウス

「皇帝様とあろう者が、遠くを眺めて黄昏ているとは珍しい。トレーナーが居ないのがそんなに不安か?」

 

ルドルフ

「あぁ、そうかもしれない……」

 

シリウス

「ふん……自棄に素直だな。本当に大丈夫なのか?」

 

ルドルフ

「そこまで心配する必要はないさ。ただ、寒空の太陽に当てられただけ……かもしれない」

 

シリウス

「体調が悪ければすぐに言え、面倒でも起こされたら仔犬に連絡するのも億劫で仕方ない」

 

ルドルフ

「ふっ、済まないな」

 

 

 

 午前中のトレーニングを終え、昼食をとろうとカフェテリアに向かった。いつものようにバランスの取れた食事を選択し、テーブルに座る。

 食事に手を付けながら、あの時のトレーナー君を思い出していた。あの時の笑顔、誰にでも愛想がいい彼。それは一人のウマ娘として、とても誇らしく思う。

 だが、なぜ今になってこれ程胸が()()()()のか。何に焦燥感を感じているのか、分からない。彼が学園を留守にする事など、多々ある事。

 トレーナー君にも、他のウマ娘達とも良好な関係を保つのは至極当然。それでも、彼の笑顔が他のウマ娘に振り撒かれている事に、強く何かが反発している。

 私は、ウマ娘の安寧を願う一人だと言うのに、何故だ。

 

 私が下を向いている時、突然声を掛けられる。

 

 

 

鬼門

「疲れてるのか、ルドルフ?」

 

ルドルフ

「トレーナー君!? あぁ……いや、少し生徒会で考える事があってね。気にしないでくれ」

 

鬼門

「ただでさえ多忙なんだ、少しは息抜きでもしてみたらどうだ?」

 

ルドルフ

「私も好きでやっている事だ、心配は無用だよ。ところでトレーナー君、モデルの仕事に滞りは無いか?」

 

鬼門

「楽しくやれてるし、ゴールドシチーにもモデルのいろはを教わってたところだ」

 

ルドルフ

「それを遠目で確認していたよ、盗み見るつもりは無かったんだが。……その後、トレーナー君は他のウマ娘にも囲まれていたが、何を話していたんだ?」

 

鬼門

「あぁ、モデルの仕事について聞かれたんだ。どんな仕事内容か聞かれて、その場で話してた」

 

ルドルフ

「そ、そうか……。安心したよ」

 

鬼門

「安心? どういうこと?」

 

ルドルフ

「い、いや、こっちの話だ!? 聞き流してくれ……」

 

 

 

 私は何に安心しているんだ、トレーナー君と他のウマ娘が話して危険な事なんて何もない。私は何を考えているんだ。

 その後は楽しく会食をして、各々仕事場に戻った。

 生徒会室で出し物の整理書類に許諾のサインを書いていると、ドアを叩く音が聞こえる。入ってきたのはトレーナー君だ。

 

 

 

ルドルフ

「トレーナー君、何か頼み事かな?」

 

鬼門

「いや、別件で仕事が入ってさ。次の自主トレーニングのメニュー表を持って来たんだ」

 

ルドルフ

「わざわざありがとう、トレーナー君。君の手を煩わせてしまって」

 

鬼門

「気負う必要はないさ。大人の俺を、もっと頼ったっていいんだぞ?」

 

ルドルフ

「そうだな……」

 

鬼門

「あと、少し手伝ってもらいたい事があるんだが……いいか?」

 

ルドルフ

「他でもないトレーナー君の願いだ、何でも引き受けよう」

 

鬼門

「ありがと。早速、申し訳ないけど買い物に付き合ってくれないか?」

 

 

 

 私から誘う事はあるが、誘われるのは久しぶりだ。買い物の理由は、我々の補給食の買い出し。いつも見えない場所で、私達の為に試行錯誤し作られている。

 これを断る理由はない、トレーナー君が私達の為を想っていると心が温かくなる。

 

 

 

 


 

 

 

 

 ショッピングモールにやって来た我々は食材コーナーに足を運び、次々と買い物かごに入れる。食材から見ても、いつも私達の事を考えているのがよく分かる。

 甘い物にはハチミツ、揃えられているのは農家さんの有機野菜。これだけ見れば、ウマ娘に対する愛情が感じ取れる。改めて、トレーナー君への恩返しの気持ちが沸々と湧いてくる。

 

 

 

ルドルフ

「トレーナー君、どれほど品物が必要かな?」

 

鬼門

「みんなよく食べてくれるから、もう少し欲しいかな。後は調味料とかも切らしてたし……」

 

ルドルフ

「なら、私が食材を探そう。トレーナー君は調味料を担当すれば、時間も短縮できるだろう」

 

鬼門

「そうだな。それじゃあ、二手に分かれよう」

 

 

 

 私はカートに籠をもう一つ載せ、注文された食材を次々に入れていく。隙間を生まないように、食品を丁寧に詰める。

 言われた物を買い揃え、トレーナー君の下へとカート走らせる。

 

 

 

ルドルフ

「トレーナー君、戻っ――」

 

「ねぇ、いいでしょ。写真撮らせてくれるだけでいいから~」

「上の階に、プリクラもあるんで一緒に撮りましょうよう~」

 

鬼門

「いや、買い物中だし……相手も待たせてるんで」

 

 

 

 その女性はトレーナー君の衣服を掴みながら、催促している光景が目に入る。断ろうとしても、一向に引く気配がない。ここは穏便に片付けようと、彼女達に近寄る。

 

 

 

ルドルフ

「すまない、彼は私のトレーナーだ。私用で今回は、このような行動は遠慮して頂きたい」

 

「えっ、ルドルフだ!? マジで生で見れた」

「写真撮っていい?」

 

 

 

 こいつらは他の有名人であれば誰でもいいのか、不躾にも見知らぬ人物を呼び捨てとは。不快だな

 

 

 

ルドルフ

「即刻去れ、二度と私に顔を見せるな……」

 

「えぇ……怖……。帰ろ帰ろ」

「う、うん……」

 

鬼門

「助かったよ、ルドルフ。絡まれて困ってたんだ」

 

ルドルフ

「すまない、こんな事態を予測できないとは。上に立つ者として、失格だな」

 

鬼門

「お陰で助かったし、大丈夫だよ。買うものは揃ったから、早く帰ろ」

 

ルドルフ

「あぁ」

 

 

 

 


 

 

 

 

 学園へと帰路を辿り、陽が傾き始めていた。そんな中、あの時の失態を思い返し、トレーナー君の身の安全を確保できるか考えていた。

 我が家柄であれば、匿う事は容易い。だが、そのような行為にトレーナー君は納得してはくれないだろう。

 思考する中、ある事が頭を過ぎる。

 

 

 

ルドルフ

「トレーナー君。モデルの傍ら、不審人物との遭遇に対する有効手段を思いついたよ」

 

鬼門

「おっ、何だ?」

 

ルドルフ

「君の待ち受け画面に、私の写真を載せるのはどうだろう? 烏滸がましいが、私はそれなりに名の通ったウマ娘だ。写真とシンボリの名を出せば、引いてくれる可能性もある」

 

鬼門

「ルドルフはそれで大丈夫? そんな事されたら、悪い気分にならない?」

 

ルドルフ

「君を守れるなら本望だよ。それに、君に頭の悪い動物が寄るのも防げる

 

鬼門

「ん? 何か言った?」

 

ルドルフ

「何でもないさ。それじゃあ、君に写真を送るよ」

 

 

 

 これはあくまで防御手段、何も疚しい気持ちなどない。彼を守れるのであれば、何も心配はいらない。

 

 そう、ただトレーナーを私が導くだけ。これが私の、使命だ。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。