ヤベぇ女、決定戦   作:泰然

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シービーが好きな人は、これ以降見ないで下さい。


9話 シービーとお泊り

 エースの一件から数日が経ち、トレーニングを終えた夕方に牛丼が食べたくなり、チェーン店に向かう為に校門を出た。

 

 

 

シービー

「おっ、トレーナー。やっほー」

 

鬼門

「シービーはこれから帰るのか?」

 

シービー

「そう。トレーナーは?」

 

鬼門

「牛丼食べたくて」

 

シービー

「それじゃあ、暫く歩こうよ。アタシが家に帰るまで」

 

鬼門

「おう、いいぞ」

 

 

 

 途中まで一緒に歩く事になり、俺達は夕陽に照らされながら会話をする。

 

 

 

シービー

「珍しいね、外食するなんて」

 

鬼門

「最近はカフェテリアでいい物ばかり食ったから、たまにはジャンキーなもの食べたいだろ?」

 

シービー

「アタシは下校途中で食べちゃうから、そんなこと思った事ないよ」

 

鬼門

「確かにな。俺は寮住まいだから、たまに恋しくなるんだよなぁ」

 

シービー

「でも、カフェテリアのメニュー、美味しいもんね」

 

鬼門

「美味いから困る事もあるんだよなぁ……」

 

 

 

 その時の食事を思い出しながら物思いに耽っていると、シービーが突然、俺の髪を搔き回す。そして自分の顔を近づけていた。

 

 

 

鬼門

「どうした? ゴミでもあったか?」

 

シービー

「ううん、何でも。ただ、触りたくなっただけ」

 

鬼門

「なんだそれ?」

 

シービー

「でも、トレーナーの髪……シャンプーの匂いとタバコの匂いで不思議な感じ」

 

鬼門

「こればっかりは、どうしようもないんだよな。この前もエースに指摘されたばかりだし」

 

シービー

「気にしてるの?」

 

鬼門

「気を付けるようにはしてるけど、鼻がもう利かないんだよな。シービーたちには、体に影響が無いように吸ってるけど」

 

シービー

「アタシは気にしてないし、むしろ嫌な匂いとは思ってないけど?」

 

鬼門

「……シービーは特殊だな。普通は嫌いだろ、こんな臭いの」

 

シービー

「そう言う事じゃなくて、トレーナーの匂いが嫌いじゃないって事。なんか落ち着くんだよね、トレーナーの匂い。だから、エースの気持ちも分かる」

 

鬼門

「エースはそんなニュアンスで言ってなかったぞ? 滅茶苦茶怒られたし……」

 

シービー

「それに怒った訳じゃないよ。それに、フジも言ってたでしょ? いい匂いのする相手とは、相性がいいって。トレーナーはどう? アタシの匂い」

 

鬼門

「嗅いだことないからなぁ……」

 

シービー

「嗅いでみる? アタシの髪」

 

 

 

 長い髪を掬い上げ、俺に差し出してくる。少し離れていても、ふわりと優しい香りが届いてくる。

 俺が躊躇してると、シービーはさらに距離を縮め、鼻に寄せてくる。

 

 

 

シービー

「どう?」

 

鬼門

「うん……いい匂い」

 

シービー

「やっぱりね。アタシとトレーナーは相性バッチリ!」

 

鬼門

「よく堂々と言えるな」

 

シービー

「恥ずかしい事じゃないでしょ? 好きな人には、ハッキリ言うものじゃない?」

 

鬼門

「そう言うもんか?」

 

シービー

「……アタシが言った事、何も理解できてない……。話変わるけどさ、トレーナーのタバコ、吸ってもいい?」

 

鬼門

「絶対ダメ、てか吸うな」

 

シービー

「じゃあ、アタシの髪も嗅がせてあげない」

 

鬼門

「何でその話になるんだよ! 大体、吸ったって何のメリットもないぞ?」

 

シービー

「でも、好きな人の好みは共有したい、好きだから相手に合わせたい。これって普通じゃない?」

 

鬼門

「そうだけど、今の話に何の関係があるんだよ……」

 

シービー

「好きな人のだから興味が出る、やりたくなる、寄り添いたくなる。ただ同じ事がしたいんだよ、トレーナーと」

 

鬼門

「タバコは絶対ダメだぞ?」

 

シービー

「はぁ……。アタシの言ってる事、ホントに理解できた?」

 

鬼門

「理解は出来たぞ。共有したいって事は」

 

シービー

「もういいや……。それでさトレーナー、外食するくらいだったらアタシの家で食べて行きなよ。何か作ってあげる」

 

鬼門

「えぇ~……。もう舌は牛丼になってるんだが?」

 

シービー

「アタシが牛丼作れば済む話でしょ? ハイ、決定!」

 

 

 

 無理矢理決まった今晩の献立は、シービーの牛丼に決まった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 シービー宅に着き、早速料理に取り掛かり、冷蔵庫を探り始めた。

 

 

 

シービー

「牛肉無いから豚丼でもいい?」

 

鬼門

「えぇ……買い置きしてあるから誘ったんじゃないのか?」

 

シービー

「だって、都合よく買ってる訳ないじゃん。アタシの冷蔵庫だよ?」

 

鬼門

「確かにそうだな……」

 

シービー

「あっ、吸う時は窓開けてくれれば何でもいいからね。それと、自由に寛いでて」

 

鬼門

「有難いけど、シービーは豚丼の作り方とか分かるのか?」

 

シービー

「ううん、全然」

 

鬼門

「ですよね……。何かあったらいつでも手伝うからな」

 

シービー

「うん、ありがと。それじゃ、お風呂に水入れてくれる?」

 

鬼門

「おっけい」

 

 

 

 寮住まいの為、水を張る行為が久しぶりに感じる。見慣れない装置のボタンを押し、水位を確認しながら水を入れる。

 そしてリビングに戻ると、シービーの包丁の音が聞こえてくる。その音を聞きながら窓を開け、俺は一服する。

 二本ほど吸い終わり、シービーの様子が気になって俺は台所へと向かう。

 

 

 

鬼門

「どんな感じだ?」

 

シービー

「うん、美味しそうだよ?」

 

鬼門

「……野菜にタマネギ以外も入ってるんだが?」

 

シービー

「いっぱい入った方が美味しいじゃん?」

 

鬼門

「味見していいか?」

 

シービー

「いいよ」

 

鬼門

「……美味しいけど、中華の味がするな」

 

シービー

「その日の気分で味が変わるから」

 

鬼門

「レシピ通りで作らないのか? そもそも、どんな味付けかもしらないか……」

 

シービー

「不味くなるよりはいいと思わない? あっ、トレーナーも何か作ってよ。冷蔵庫の残りで」

 

鬼門

「まぁ、いいけど。……何でこんなにジャガイモがあるんだよ。拾って来たのか?」

 

シービー

「エースがくれたんだよ。トレーナーと収穫したジャガイモだからって」

 

鬼門

「あぁ、結構育ってたからな。じゃあ、これで何か作るか」

 

 

 

 大量のジャガイモとベーコンがあったので、ポテトサラダを作る事にした。

 ポテトはチンして材料を切って調味料を加えるだけで出来るので簡単。その為、シービーが作り終わった頃に俺の料理も完成してしまった。

 

 

 

シービー

「トレーナーって料理できるんだ。出来ないと思ってた」

 

鬼門

「それは雑な部分があるからか?」

 

シービー

「もっと男の料理が出てくると思ってたから、ただびっくり」

 

鬼門

「料理は多少してたからな。少し辛子が入ってるから、気を付けろよ」

 

シービー

「へぇ……じゃ、食べよ」

 

 

 

 料理が並べられ、シービーの豚丼モドキは人参に椎茸、とピーマンが入っている。これはこれでありだと考え、早速料理を食べる。

 

 

 

鬼門

「美味い! けど、回鍋肉みたいな味」

 

シービー

「うん! 美味しいじゃん。トレーナーのポテトサラダ」

 

鬼門

「そりゃよかった。まだ残ってるから、食べてもいいぞ」

 

シービー

「うん、ありがと」

 

 

 

 シービーは豚丼を頬張りながら、ポテトサラダを交互に食べる姿が可愛いと思った。

 全て食べ終えた後は、俺が食器を洗いながらシービーはテレビを付けて待ったりしている。甘い物が欲しくなった為、たまたま家にあったココアを入れて二人でテレビを眺める。

 そしていつもの、シービーの突拍子ようもない話が始まった。

 

 

 

シービー

「トレーナーってさ、普通の人と比べると声低いよね」

 

鬼門

「そうか? あまり言われる事ないけど。よく聞き取りづらいとは言われるな」

 

シービー

「いつから声変わりしたの?」

 

鬼門

「六年生とか、中学に上がった頃じゃないか? 自分ではそう言うつもりはないんだけど、機嫌悪いとか怒ってるように聞こえるらしい」

 

シービー

「いい声じゃん、羨ましいよ。何言ってもカッコよく聞こえるし」

 

鬼門

「普段言われた事ないから嬉しいよ」

 

シービー

「アタシの名前呼んでみてよ」

 

鬼門

「えぇ……。シービー」

 

シービー

「ふふ……いいね」

 

鬼門

「普段から呼んでるし、代り映えしないだろ……」

 

シービー

「意識すると変わるものでしょ? あっ、今日もう遅いし泊まっていく?」

 

鬼門

「急だな……。だいぶ遅いしなぁ、外出届も出してるから泊まれなくないけど」

 

シービー

「決定! ベッド一つしかないから、一緒に寝るしかないね」

 

鬼門

「ここで寝ても大丈夫だが?」

 

シービー

「家主の命令が聞けないのかな~? 体ガチガチになるよ~?」

 

鬼門

「まぁ、シービーがいいならそれでいいけど……。その後、訴えるのだけはやめろよ?」

 

シービー

「じゃ、お風呂入ってくるね。一緒に入る?」

 

鬼門

「早く入ってこい……」

 

シービー

「はいは~い」

 

 

 

 俺の担当は揶揄う奴しかいないのか。

 待っている間にテレビを見ながら過ごし、時間を潰す。思いの外、浴室が近いのかシービーの鼻歌が聞こえてくる。

 何気ない鼻歌でも聞き入ってしまう程、シービーの声はとても綺麗だ。何処で歌っても楽しいだろうなと、心底思う。

 音が消えた為、シービーが浴室から出てくる。

 

 

 

シービー

「ふぅ……いい湯だった」

 

鬼門

「さて、俺も入るか」

 

シービー

「バスタオルは棚に入ってるから、勝手に選んでね」

 

鬼門

「あいよー」

 

 

 

 衣服を脱いで早速風呂に入る。

 中に入ると、シービーの普段の匂いが漂っている。あまり意識しないように体を洗い、ゆっくり湯船に浸かる。

 他人のお風呂を借りるのは久しぶりの為、少し緊張するものだ。何を使うにも気を遣うし、失礼に当たらないように配慮しなければいけない。

 そんな事を考えていると、シービーがドア越しに語り掛けてくる。

 

 

 

シービー

「トレーナー、服の着替えとかある?」

 

鬼門

「いや、ないけど……そのまま着るから置いてて大丈夫」

 

シービー

「おっけい」

 

 

 

 突然の為、着替えなどは持っていない。仕方ないと思い、何も考えずに肩まで湯につかる。

 ふと、モザイクガラスに目をやると何かがモゾモゾ動いている。シービーかと思い、何も意識することなくお風呂を満喫して上がる。

 

 

 

鬼門

「いい湯だった」

 

シービー

「スンスン……トレーナーもアタシと同じ匂いだね」

 

鬼門

「同じシャンプー使ってるから当然だろ。そう言えばシービー、洗面台にさっきいたのか? 何かしてたみたいだけど」

 

シービー

「……何もしてないよ」

 

鬼門

「あれ? そうか、俺の気のせいか」

 

シービー

「それじゃあ、一緒に寝ようか?」

 

鬼門

「――」

 

 

 

 

 




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シービーと一緒に

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