戦士咆哮シンフォギアK【加筆修正作業中】 作:名無しのごんべい
(五代君、しっかり休めたかな?)
クリスと共闘してノイズを倒した帰り道。
翼のライブも成功したと弦十郎から聞き、さっそく未来と雅人に合流するためライブ会場に向かう響。
その足取りは軽く、思わずスキップでもしそうなほど陽気だった。
つい先日、雅人の歌を聞いた響は思った。
―――――――五代君は、人を笑顔にできる。
―――――――こうしてみると、戦いなんて似合わない人だなぁ。
まだ雅人と知り合ってから間もないが、それでも雅人が人を笑顔にするところを響はたくさん見てきた。
ふらわーではよく冒険の話をして客を楽しませていた。
二課では弦十郎をからかってコントのようなことをして他の職員を笑顔にしていた。
一緒に町に出掛けた時も泣いている子供を見るといろいろなことをして笑顔にしてみせた。
響も雅人と一緒にいると、自然と笑顔になれる。
響は、未来とは違った安心感を雅人から感じていた。
(未来は私の陽だまりで、五代君は、私の家……な~んてね!)
自分で考えたことに少し恥ずかしくなりながら、響は歩を早める。
未来と雅人のことを考えていると、無性に二人に会いたくなったからだ。
(そう言えば五代君って師匠以外はいっつも名字で呼ぶよね~。今度名前を呼ばせてみよう! その時は、私も五代君のことを名前で呼ぼう!)
いつの間にか、響は走り出していた。
響自身の日常に帰るために。
響が会場に着くと、人気の少なくなった入口で話をしている雅人と未来が見えた。
さっそく響は二人のもとに駆け寄ろうとしたが、どうに様子がおかしい。
(……! 未来のあの眼は……怒ってる時の眼だ!!)
響がこれまでの未来との長い付き合いで、何度も見てきた怒った未来の眼。
それは響にとって恐怖の象徴であり、響の歩みを止めるには十分な迫力があった。
実際、未来の迫力に押されて帰ろうとしている人が未来たちを避けて大回りして帰っているし、隣で一緒にいた翼と慎次も迫力に押されて顔が引きつっている。
「……もう一度聞くね? 五代さん、今までどこに行ってたの?」
「……トイレ」
「……私が外に出ようとした時、そこの入り口から入ってきたよね?」
「……外のトイレに行ってたんだ」
「……」
「……」
沈黙が続く。
あまりの迫力に、自分が怒られているわけでもないのに響の膝は震えていた。
「こ、小日向、私はもう気にしていないから、そのくらいでいい。な?」
「……ふぅ」
翼が止めると、ようやく未来も怒りを収めた。
生きた心地がしなかった響も、ようやく未来たちのところへ行く。
「な、何があった……んですか?」
何故か敬語で未来に話しかける響。
「五代さんがね、ライブの途中でどこかに行ったと思ったらそのまま帰ってこなかったんだよ。帰ってきたのなんてライブが終わったあとなんだよ?」
「え?」
響は驚き、雅人を見る。
その雅人は未来の怒りを間近で浴びていたせいか少し表情が引きつっているが、それでもいつもの態度を崩さない。
「いや、だから悪かったって。ちゃんと曲のほうは最後まで聞いたさ。
ただ、生まれてからこれまであんなに人が集まる場所に来たことがなかったから気分が悪くなって外の空気を吸ってただけだ」
「……トイレじゃなかったの?」
「それもあるな」
未来の追及をどこ吹く風といった感じで躱す雅人。
だが、その手が震えているのを響は見逃さなかった。
見逃さなかったが、見逃した。
怒った未来は怖いからだ。
「そろそろ帰りましょう。もう遅い時間ですし、いつまでもここにいるわけにもいきませんしね」
そう言った慎次の提案で、その場は解散となった。
リディアンの寮までの帰り道を、並んで帰る響と未来と雅人の3人。
先ほどのことによる気まずさからか会話はなく、ただ無言で夜の街を歩く。
(…………どうしよう、会話がない!)
雅人はジーパンのポケットに手を突っ込んで俯いて響の右隣を歩いているし、未来もさっき怒ってしまった申し訳なさからかやや俯きがちになりながら響の左隣を歩いている。
「両手に花!! な~んて……あはははは……」
真ん中に挟まれている響が今の状況を声に出していってみるが、効果はない。
ただ重い沈黙が流れるだけである。
「……両手に花は両隣に綺麗な女性がいる場合に使われる言葉だ」
「……響、帰ったら勉強ね」
「……あるぇ~?」
訂正。効果はあった。
響にとって最悪な形で。
「酷い酷いとは聞いてたがここまで酷いのか?」
「私が見てないとすぐに遊んじゃうから……。五代さんは? 勉強できる人?」
「前にも言ったけど、師匠に教えてもらってるから大丈夫だ。確か、中学校卒業レベルはちゃんとあるって言ってたっけな」
「なら今度一緒に響の勉強見てくれない? 二人で見た方がはかどると思うし……」
「……いいけど、わからないところが多いと思うぞ?」
「その時は一緒に教えるから大丈夫」
響の不用意な発言によって、どんどん勉強会の日程が組まれていく。
二人がいつものように戻ったことをうれしく思いながらも、勉強はしたくないので必死に頭を働かせる。
「そ、そうだ! 今度は翼さんも呼んで4人で遊びに行こうよ! 4人全員で遊びに行ったことってなかったよね!」
「ああ。今度な」
「ええ。今度ね」
「「明日は勉強会だから」」
「…………ハイ」
響の抵抗空しく、勉強会の日程は決められてしまった。
「……小日向さん。その……悪かったな。勝手に出て行ったりして」
「別にもう気にしてないよ。事情があったのは何となくわかるし、響で慣れっこだしね」
「うぐぁ……」
雅人を許すついでに、さらりと響にダメージを与える未来。
それからは完全にいつも通りの雰囲気になり、3人で笑い合いながらそれぞれの帰路に着いた。
そして翌日。
勉強会ということだが響の騒がしさから図書館を利用すると言うことも無く、場所は響と未来の部屋になった。
休日ということもあり、多くの寮生が寮に残っており響と未来と共にはいる雅人に向けて好機の視線が送られてくる。
それもそのはずリディアンは女子高であり、この寮にはもちろん女性しかいない。
それについて大丈夫なのかと雅人は尋ねたが、未来曰く「校則には寮内に男友達を連れてきてはいけないとは書かれていない」とのことだった。
それでも一応先生の許可は取っているあたり流石優等生と言ったところか。
雅人にとっては今回が二度目となるが、さして緊張することも無く部屋に入る。
「……改めて見ると、広いよな。下手なホテルより広いし……」
リディアンの寮は高級マンションのような外観をしており、中も二人部屋だと言うことが信じられないほど広い。
「ちょっと待っててね、今お茶入れるから」
「座布団だすねー」
未来が台所に、響が箪笥の方へ行ったので、手持ち無沙汰になった雅人はその場に座る。
以前来た時は怪我を手当てしてもらっている最中で、ノイズが来たためすぐに出て行った。
だからか、雅人はゆっくりと部屋を見回す。
二段ベッドは下段にカーテンがかけられており、隙間からはいくつか荷物が入っているのがわかる。
だいぶ大きいテレビとその隣にあるピアノ(!?)、さらに3段くらいの階段を降りたところに小さなテーブルがあり、向かい合うように椅子が二つ。
写真立てには幼いころの響と未来の写真、その隣についこの間撮ったのであろう制服姿でボロボロの二人が見上げるような視線で撮られた写真。
「あったー! はいこれ!」
箪笥から座布団を引っ張り出してきた響が、テーブルのところに置きに行く。
未来の方もお茶を入れたコップをトレイに乗せ、テーブルの上に載せる。
「じゃあ、何しよっか?」
「勉強でしょ?」
「ちっちっちー。
そんなすぐに勉強するはずがないじゃないですかー! 未来さんやー!」
「……」
ふざける響をじーっと見つめる未来。
その眼には「こいつ何言ってんだ?」的な感情がありありと見て取れた。
「まあ少しゆっくりしてからでもいいんじゃないか? 俺も来たばっかりですぐに勉強するのもなんだしさ」
「そうだそうだー!」
「……はぁ。わかったよ。ちょっとだけだよ?」
「やったー! さすが未来ー!」
「……どんだけ勉強したくないんだよ」
3人でテーブルに座り、お茶を飲みながら他愛のない話をしていた時だった。
「学校ってどんなところなんだ?」
「どんなって……小学校と中学校も行ったことないの!?」
「義務教育だよ!?」
「いや、その頃にはもうクウガとしての修業をしてたしな。確か、7歳のころにはもう師匠と一緒に世界を回って修行してたな」
「7歳って……」
「なんでそんなこと……」
「俺にとって師匠は師匠であると同時にもう一人の父親でもあったからな。家族が死んで、師匠と出会って、渋る師匠に俺が無理矢理ついていったようなものだしな」
雅人はそれがなんでもない事のように言うが、響と未来にとっては聞き逃せない言葉があった。
雅人の家族は、すでに死んでいる。
それにどう返せばいいのかわからず、響も未来も黙ったままでいると雅人はそれをさらりと流して話を続ける。
「小学校1年の頃だったかな? 俺が住んでた町がノイズに襲われてさ。後になって調べてみたことなんだけど、その時のノイズの襲撃で生き残ったのって俺だけみたいなんだ。
それで、もう少しで俺もノイズに殺されるってところで師匠の登場だ。万はいるノイズの大群にたった一人で立ち向かって、一歩も退かなかった。
その拳の一振りだけで、100のノイズが炭になって散っていった。一騎当千、絶対無敵、史上最強って言葉は、あの人のためにあるんじゃないかって思ったくらいだよ」
目を輝かせながら雄介のことを話す雅人。
その様は憧れのヒーローについて話す子供のようで、いつもの大人びた印象を持つ雅人からはかけ離れて見えた。
「その後は師匠に頼み込んで弟子にしてもらったんだ。修業はきつかったし、覚えなきゃいけないことは山ほどあったけど、幸せだったな……」
雅人はそう言いながら、昔を思い出すように目を閉じる。
すると、ゆっくりと雅人が歌いだす。
以前二課の廊下で歌ったあの歌、『青空になる』。
雅人が歌う姿を見て、響も歌い始め、未来は立ち上がってピアノまで行き鍵盤を叩きながら2人と一緒に歌う。
3人による合唱は、その後しばらく続いた。
3人で歌い、その後満を持して勉強を開始。
雄介に中学校卒業までの学力をつけられていた雅人は、響がわからないと言う比較的簡単な問題を教えつつも自分の勉強をし、たまに未来に質問する。
もともと学力の低い響は中学校の問題でもわからないところがあり、雅人を不安にさせた。(因みに未来は慣れっこなためこれぐらいでは動じない)
未来はそんな2人に勉強を教えつつ、自らも次の授業に向けて予習を開始。
昼頃になって未来がお昼ご飯を作り、お腹いっぱいになった響が昼寝を開始。
それにつられて雅人まで寝てしまい、結局3人で仲良く並んで夕暮れまで眠ってしまった。
最初に起きたのは意外にも響であった。
起きた時にいつの間にか雅人の腕を枕にしていたことに真っ赤になって慌てるも、その反対側では未来が同じことをしていたので何とか落ち着く。
寝ている雅人と未来をおこさないように立ち上がり、携帯をカメラモードで構える。
そのまま撮影。
大の字になって眠る雅人と、その腕を枕にして眠る未来のツーショット写真を激写。
見つかった時に消されないように撮影した写真にロックをかける。
必死に笑いをこらえながら、そろそろ限界だったのでお花を摘みに行く。
響がバスルームに入ると同時に未来も目を覚ます。
目覚めた瞬間に雅人の横顔がすぐ目の前にあると言う状況に混乱しつつも現状を確認。
把握した瞬間、響がいないことに気が付き、テーブルに置かれている響の携帯を着て理解する。
撮られたと思われる寝顔写真を消すため響の携帯を起動するが、件の写真にはロックがついていた。
どうやって消そうかと考えていると響が帰還。
携帯を握って真っ赤になっている未来を見てすごい笑顔で近寄ってくる。
イラッと来た未来は自分の携帯を取り、以前撮った雅人による響のお尻ぺんぺん画像を響に見せる。
(にょわぁぁぁあああ!?!? なんでそんなものを~~~!?!?)
(消してほしかったらこれを消して!!)
雅人が寝ているためアイコンタクトで会話する二人。
(やっと手に入れた未来の弱点なのに~~!!)
(早く消して!!)
(む~~~~!! いいもん! これでおあいこだもんね!!)
(響!!)
(消さないも~~ん!!)
逃げる響。追う未来。
その段階でようやく目を覚ます雅人。
雅人が目を覚ましてみた光景は、室内を駆け回る響と未来だった。
「…………何やってるんだ?」
響と未来の追いかけっこは、雅人が止めるまでしばらく続いた。
「今日は楽しかったよ。まぁ、途中よくわからなかったけどな」
時刻は午後9時。
あの後勉強を再開しようとするが、響も未来も全く集中できずにそのまま勉強は終了。
響と未来が借りてきたDVDを3人で一緒に見る。
その後は夕飯になり、今度は雅人が調理。
師匠に仕込まれたと笑いながら出した料理は、未来の作るものと遜色なかった。
食後はまたDVDを見つつおしゃべり。
いつの間にか9時に差し掛かろうとしていたところでお開きとなった。
「いや~~あれは不幸な事故と言いますか~~……」
「き、気にしないで……!」
雅人の言葉に、引き攣った笑みを見せながら答える二人。
正直気になっているが、深い追及は避けることにした。
「今度は部屋の中じゃなくて外に遊びに行こうよ! 翼さんも誘ってさ!」
「そうだな。それもいいかもな」
「約束だよ!」
そう言いながらサムズアップをする響。
その隣では未来も小さくサムズアップをする。
「ああ、約束だ。俺と、立花さんと、小日向さんと、風鳴さんの4人で遊びに行こう」
同じように2人に向けてサムズアップをする雅人。
だが、響はその言葉を聞いて頬を膨らませる。
「……? どうした?」
「苗字呼びって距離が遠い気がする……。名前で呼んでよ! 私も未来も名前で呼ぶから!」
「もう、いっつも唐突なんだから」
「……いいのか?」
「「もちろん!」」
響と未来の声がかぶる。
それに苦笑しながら、雅人は2人を名前で呼ぶ。
「響、未来」
「どうしたの雅人君?」
「な~に? 雅人君?」
しばらくして、耐え切れなくなった3人は笑い声をあげる。
「自分から呼ばしといて聞き返すのはないだろ!」
「いや~一度やってみたかったんだよね~~!!」
「響が変なことするから乗っちゃったじゃない!」
笑い合う3人。
そろそろ近所迷惑になると言ったところで、ようやく止まる。
「じゃあ、またな! 響、未来!」
「またね! 雅人君!」
「また遊ぼうね、雅人君!」
笑顔でわかれる3人。
この日の約束が果たされるのは、まだまだ先の話である。
ほのぼの回。シリアス小匙の砂糖多め。こんな勉強会作者もしてみたかったです(血涙)。
にしてもフィーネ戦のアイディアがなかなか纏まらない。書いてみた端からアイディアが浮かぶから書き直しばっかりしてる。
フィーネ戦までしか下書きしてないので第一部終了後は更新ペースが落ちます。許せサスケ。これで最後じゃない。
今回は雅人君の過去をちょっと書きました。原作にはないけどノイズの出現がいつもあの規模ならシンフォギアがなかった当時は町の一つや二つ簡単に滅ぼされてたと思うんだ。あの世界で人類がまだ七十億も残ってるっていうのが少しびっくりした作者です。まぁ出現頻度は響たちの周りが異常に高いだけで実際はフィーネさんが言ってたように「十年に一度の偶然」なんでしょうね。出ないと人類が終わる。
そして五代さんですが、この作品では強さが天元突破してます。殴った風圧だけで回りのノイズが消し飛びます。分からない人には「ノイズを殴れるOTONA」とでも思ってもらったら……それなんてチート?
そしてアイコンタクトだけで会話するひびみく。作者のお気に入りだったりします。真っ赤になった響とか未来とか最高じゃね!? 三期楽しみじゃーー!!!
名前呼び解禁。ここまで言ってなかった気がしますがクウガの力を持った主人公だけど作者はクウガのストーリーに沿う気は全くありません! あれは「五代 雄介」の物語であって「五代 雅人」の物語ではないのです! 因みにクウガ本編のストーリーは大体五代さんが過去にやってるって設定です。そう言う意味でも雅人君が五代さんの物語を沿うということはないですね。
次回からフィーネ戦に入ります。クウガの秘密とフィーネとの関係。狙われた学園と倒れていく仲間たち。はたして彼女たちの運命や如何に!
次回予告ぅ!!
「ようおっさん。今日は遅いな」
「お前はスカイタワーに向かわなくていい」
(なんたって俺は、『仮面ライダー』だからな!)
「ん? しまった、殺してしまったか?」
「ずっと、パパとママのことが大好きだった! あたしが、二人の夢を引き継ぐんだ! あたしの歌は……その為に!」
「立花ァァァァァアアアアアアアアッ!!!!」
「……綺麗だ」
「シ・ン・フォ・ギ・アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」
『戦姫』