戦士咆哮シンフォギアK【加筆修正作業中】   作:名無しのごんべい

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 やばい、ストックが尽きた。



第十八話 「極光」

 ライブが始まる。

 会場は言わずもがな超満員。空いている席はなく、そもそも誰も座っていない。

 これから始まる一夜限りの奇跡に皆興奮し、立ち上がってその手のサイリウムを振り上げる。

 そこに老若男女問わず、国籍すら問わず、誰もかれもがステージに釘付けになる。

 会場で見れたものはこの日の為だけに運を使い果たしたと言い、見れなかった者は自室で、または町に設置されている大型モニターで会場の者たちを羨みながら見る。

 興奮が熱気を作り、今か今かとはやる気持ちが足踏みとなって現れ、幾千幾万の者たちの足踏みが地鳴りのごとく響く。

 彼らが、あるいは彼女らが待つのはただ二人、もう二度と実現することがないスペシャルユニット。

 

 会場の照明が消えると同時に、人々は静まり返る。

 

 ステージが照らされ、照明が次々と点灯していき、現れるのは二人の歌女。

 

 会場のボルテージは最高潮に達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ……翼さんの……ステージ……」

 

「ここからでも見れるんだからいいじゃねぇか」

 

「そぉんなことないよクリスちゃんッ!! ライブっていうのは生で見るからすごいんであってこんなモニター越しからじゃあの迫力は全然伝わらないよっていうかクリスちゃんはライブ行ったことないよねだからそんなこと言えるんだよ今度翼さんのライブがあるときは絶対にぜっっったいにぜっっっっったいに生で見せるからその時クリスちゃんは初めてライブを見た私の時と同じように興奮するからそれから翼さんのファンに」

 

「だー!! もうッ!! うるせぇしちけぇし暑苦しぃんだよッ!! 離れろぉぉぉおおおお!!!!」

 

 ただでさえ狭い室内が、響とクリスが暴れることによりさらに狭くなる。

 

 あの移送任務からおよそ12時間、雅人たちは今ヘリの中にいた。

 『ソロモンの杖』の移送が無事終了し、研究所を後にしようとした直後ノイズが研究所を襲撃。

 雅人がいまだに変身ができない状態だったため響とクリスが二人でノイズに対処した結果、死者行方不明者合わせ40人を超える惨事になった。

 行方不明者の中にはウェルの名前もあり、現場には『ソロモンの杖』が入っていたはずのトランクケースが空っぽの状態で放置されていた。

 本来ならば雅人たちもライブ会場で翼のライブを生で見ているのだが、ノイズ襲撃の事後処理などで時間がかかったため先ほどまで動くに動けなかったのだ。

 

 その結果が、今のこの状況である。

 

(……また、杖が敵に回るのか。今度はだれが、なんの為に? ……なんにせよ、俺がやるべきなのはノイズの殲滅。他の人間が相手だった場合はおっさんたちに任せよう)

 

「……? 雅人君、大丈夫? 酔った?」

 

「ん? ああ、大丈夫だ。というかもう少し静かにできないのか?」

 

「クリスちゃんにライブの良さを伝えると言う大事な使命があるんだ! ちょっと我慢して!」

 

「お、おう」

 

 響の横から「黙ってないで助けろクウガ!!」なんて声が雅人には聞こえたような気がしたが、気にしないようにする。

 因みに席順は雅人、響、クリスの順で、あおいは助手席に座っている。

 

「それよりいいのか響? ライブ始まるぞ?」

 

「おおっとそうだったぁ! ちょっと詰めて、雅人君!」

 

「ああ」

 

 モニターは雅人の前にあり、響の位置からよく見ようとするなら必然的に雅人の方によることになる。

 席を変えればいいのではないかと思うかもしれないが、響が2人に挟まれるのがいいと主張したのと、クリスが「クウガの隣なんてなにされるかわかったもんじゃねぇ」ということとクリスもライブにはあまり興味がないのでこの席になった。

 2人でぴったりと密着してモニターを見る雅人と響を、あおいが温かい目で見てくる。

 

「……? どうしました? 友里さん」

 

「ふふ。いえ、何でもないわ」

 

 それに気づいた雅人が問いかけるが、あおいは微笑みながら受け流す。

 

「雅人君、ちょっと静かにしてて」

 

「はいはい」

 

 2人のこの体勢は、ライブが終わりマリア・カデンツァヴナ・イヴの衝撃の発表があるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翼とマリアのデュエットが終わり、会場の熱気も冷めやらぬ中翼が集まった観客たちに笑顔で感謝を伝える。

 翼の感謝が終わった後、話はマリアに移る。

 

『私の歌を、世界中にくれてやるッ! 振り返らない、全力疾走だッ! ついてこれる奴だけついて来いッ!!』

 

 マリアのその一言に、世界中が沸いた。

 その後マリアは翼と同じように感謝を述べた。

 この舞台を用意してくれた者たちと、友に歌った翼と、集まった観客たちに向けての感謝。

 

 ステージの中央で握手を交わす2人。

 だが、その時確かに結ばれた友情はあっけなく砕け散った。

 

 マリアから紡がれる、翼や響たちにとってはひどく聞きなれた旋律。

 マリアが手に持つマイクを空に投げた瞬間、その体は黒い『ガングニール』のシンフォギアに包まれた。

 

 武装組織『フィーネ』とそのリーダーのマリア・カデンツァヴナ・イヴからの突然の宣戦布告と観客席に現れる多数のノイズ。

 その本能に従うでもなくマリアの指示を受けただ立っているだけのノイズたちを見れば、操られているのは一目瞭然。

 

 それはつまり、『フィーネ』に『ソロモンの杖』を奪われたと言う事でもある。

 

 マリアは24時間以内に要求に応えなければ各国の首都にノイズを放つと脅しをかけ、国土の割譲を要求。

 かと思えば突然人質の観客たちをすべて開放し、残ったのはステージの上に立つマリアと翼だけ。

 そこから始まった翼とマリアの戦い。

 マリアがライブ中に使っていた持ち手の長いマイクを振るい、それを翼がよける。

 シンフォギアの装者は秘匿されなければならない。

 ルナアタックによりシンフォギアの存在は明るみに出てしまったが、もしその装者の存在が世間に公表されてしまえばその人物は一生普通の生活を営むことができなくなる。

 ゆえに、世界中で中継されているこの場で翼がシンフォギアを纏うことはできない。

 

 カメラが無いステージの裏でシンフォギアを纏おうとする翼と、それを阻止してカメラの眼前でシンフォギアを纏わせようとするマリア。

 もう少しでステージの裏に入ると思った直後、翼が履いていたヒールが折れ曲がる。

 マリアからの強烈な蹴りを受けた翼は吹き飛び、その先には多数のノイズ。

 

『!? 勝手なことをッ!!』

 

 マリアとしても予期せぬ事態であったようで、翼はそのままノイズの集団の中に落ちる。

 

 そこで、モニターが真っ黒になり中央には「NO SIGNAL」の文字が出るだけ。

 

「えぇ~~!? なんで消えちゃうんだよぉ~~!! 翼さん!? 翼さぁ~~ん!!!」

 

「これは……世界中で中継が中断された?」

 

「待てよ? ってことはだ……」

 

「ふぇ?」

 

 そう、中継が中断されたと言うことは、シンフォギアを纏うことを躊躇する必要がなくなったと言うことを意味する。

 

 すなわち、

 

「反撃開始だな、風鳴さん」

 

 これより、防人の舞台が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雅人たちが到着した時には、戦況は一変していた。

 背後からの奇襲によりステージのふちで尻餅をつく翼と、その翼を見下ろすマリアとその傍らの二人の少女。

 

(……あの子……)

 

 雅人が見るのは黒髪の少女。

 他の二人と同じくそのギアは黒を基調とした暗い色合いで構成されている。

 

「……変身!!」

 

 響とクリスに続き、飛び降りながらクウガに変身する。

 クリスがガトリングを乱射し、両脇の2人が一瞬で散開し、マントで防御したマリアに向けて響が牽制に拳を放つ。

 拳を躱したマリアがお返しとばかりにマントを翼に伸ばすが、響が翼に抱き付きながらその場を離脱。

 ステージの下に着地しその傍にクリスも合流、雅人は3人のすぐ後ろに着地した。

 

「やめようよこんな戦い! 今日出会った私たちが争う理由なんてないよ!」

 

「そんな綺麗事を……ッ!」

 

「え?」

 

 響が戦いを止めようと発した言葉は、黒髪の少女にたった一言で切り捨てられる。

 

「キレイゴトで戦うやつの言う事なんか、信じられるものかデス!!」

 

 金髪の少女が黒髪の少女の言葉に同調する。

 

「そんな……! 話せばわかり合えるよ! 私たちが戦う必要なんか……「偽善者……」え?」

 

「この世界には、貴方のような偽善者が多すぎる……ッ!」

 

 その言葉と同時に黒髪の少女の頭についていた二尾のアンテナが開き、中から大量の丸鋸が響に向けて飛来する。

 

「何をしている立花ッ!」

 

『止まるな、響!!』

 

 翼と雅人が響の前に出、丸鋸を弾き飛ばしていく。

 翼は双刃となった剣に炎を纏わせながら回転させ、雅人は一発一発を拳で弾いていく。

 その後ろからクリスの援護射撃。ガトリングが火を噴き、それを躱すためにマリアたちは散開する。

 金髪の少女がその手の鎌を振り回しクリスの銃弾を弾きながら接近する。

 

「近すぎんだよッ!」

 

 近づかれるのを嫌ったクリスは後ろに大きく跳躍しながらガトリングを弓に戻し、矢をばら撒く。

 それを金髪の少女は鎌を巧みに操りながら撃ち落としていく。

 

 その傍では翼とマリアがその手の剣とマントを打ち合う。

 双刃を分離させ二刀流になった翼が果敢に攻めるも、マリアが操るマントによってすべて捌かれる。

 

「フッ……」

 

 ニヤリと笑ったマリアがマントを振りかぶり、防いだ翼が衝撃を殺しきれずに大きく仰け反る。

 

 そしてそこから少し離れた場所で、響と雅人が黒髪の少女を相手取っていた。

 黒髪の少女のアンテナが展開され、そこから巨大な丸鋸が姿を現す。

 

『……超変身!』

 

 『紫のクウガ』となった雅人が響の前に出る。

 振りかぶられた丸鋸は『紫』の堅牢な装甲に遮られて響まで届かない。

 だが、それは丸鋸が一つだけならばの話。

 雅人が抑えた丸鋸の他にもう一個ある丸鋸は的確に響を狙う。

 

「わ、私は困ってる人を助けたいだけで! だからッ!」

 

「それこそが偽善ッ! 痛みを知らないあなたに、誰かの為になんて言って欲しくないッ!!」

 

 その言葉とともに、丸鋸を一度手元まで戻した少女は改めて丸鋸を振りかぶる。

 今までのような斬撃ではなく投擲、少女の言葉にショックを受けたかのように響は硬直して動けない。

 

 だから、雅人が受け止めるしかなかった。

 

 ガリガリと音を立てて削れていくクウガの鎧。

 鋸という性質から削ることに特化した刃は、容赦なく雅人の纏うクウガの分厚い鎧を削り取っていく。

 

『グッ……ァァァァアアアアア!!!!』

 

 気合を入れ、鋸を弾き飛ばす雅人。

 鎧は鋸が当たっていた両肩が大きく削り取れ、そこから血が流れてくる。

 

「!! ま、雅人……君!」

 

『……』

 

 響の呼びかけに雅人は答えず、ただじっと少女を見つめる。

 

「……あなたは、何? どうして反撃してこないの?」

 

『この力はノイズを倒す為の物だ。君を傷つけるための物じゃない』

 

「……あなたも、そこの偽善者と同じ」

 

『なんとでも言えばいい。俺は君が何を言おうとこれを曲げるつもりないし、君に指図される筋合いもない。君が俺を偽善者だと言うのならそれでもいい。俺の師匠の教えでね、「綺麗事でもやらないよりはずっといい。だってみんな本当は綺麗事がいいんだから」ってな。

 それより、君の名前を教えてくれないか?』

 

「……なぜ?」

 

『ちょっとした確認だ。言う気が無いならそれでいい』

 

 雅人がそう言った直後、会場の中央から巨大なノイズが出現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁぁぁああ!? 何あのでっかいイボイボォ!?」

 

 突然現れた奇怪な形をしたノイズを見て、響が素っ頓狂な声を上げる。

 響が奇声を上げるのも無理はない。

 その見た目は女性なら……いや、女性でなくとも嫌悪感を感じるものだ。

 例えるなら、無数のイボの集合体。

 響の「イボイボ」という言葉はしっかりと特徴を捉えていたのである。

 

「増殖分裂タイプ……」

 

「こんなの使うなんて、聞いてないデスよ!?」

 

 少女がそう言った直後、マリアが両手を頭上で合わせる。

 ガントレットが腕から外れて空中で合体、変形していき、現れたのは一振りの槍。

 翼にとってそれは二年前まで常に彼女の隣にあった槍。

 天羽 奏のアームドギアとまったく同じ、色だけが違うアームドギアがマリアの手の中に納まった。

 

「アームドギアを、温存していただとッ!?」

 

 やはり思うところがあるのか、驚愕の表情を浮かべながら叫ぶ翼。

 マリアはアームドギアをノイズに向ける。

 するとアームドギアの先端が割れ、そこにエネルギーが収束していく。

 

「おいおいッ! 自分らで出したノイズだろッ!?」

 

『伏せろッ!』

 

 痛む体に鞭うって雅人が叫ぶ。

 それと同時にマリアのアームドギアから放たれたレーザーがノイズに直撃し、爆発する。

 

 それを見届けるでもなく、マリアは2人の少女を伴って跳躍。

 一気に会場から脱出する。

 

「ここで撤退だとッ!?」

 

「せっかく温まってきたところで尻尾を巻くのかよ……!」

 

「!? ノイズがッ!」

 

 響の言葉につられて周りを見れば、先ほど爆発してバラバラになったノイズの破片が急激に膨張し、新たなノイズとなる。

 そのノイズは隣のノイズと合体し、それが連なって元のノイズのもとへ戻るころには爆発する前の二倍の大きさに膨れ上がっていた。

 翼が剣を巨大化させ衝撃波で切り払うが、消し飛んだ傍からまえ以上の大きさに再生していくノイズ。

 雅人も試しに近くにいたノイズの欠片に蹴りを入れるが、いつもの様に炭になった直後元の形に戻る。

 

「こいつの特性は、増殖分裂……」

 

「放っておいたら、際限ないってことか」

 

 自然と響のそばに集まりながら、翼とクリスが言葉を漏らす。

 攻撃した端から増えていくので、迂闊な攻撃は増殖をただ促進させるだけ。

 会場の外にはまだ観客たちが残っており、放っておいたらノイズが会場から溢れ出し、観客たちが危ない。

 

(……『金』を使うか? 確かにこいつは跡形もなく殲滅できるが……だが……)

 

 雅人は迷う。

 『金』の力を使えばこのノイズを再生させる暇もなく倒すことはできる。

 だが、雅人が使おうとしている『金』はリスクが大きすぎる。

 

 まず第一に、未だに他の色の『金』の力を使いこなせていない状態でこの力を使った場合、制御ができずに自爆する恐れがある。

 次に、この力は周りへの被害が大きい。最低でも半径3キロは何もないところで使わないと、もしここで使った場合最悪会場の外にいる観客に被害が及ぶかもしれない。

 

(どうする……!? こんな時師匠ならどうする!? 考えろ! 師匠ならきっと!)

 

「絶唱……絶唱です!」

 

 そんな雅人の思考を遮ったのは響だった。

 響が出した結論は、増殖力を上回る攻撃で一気にノイズを倒すと言う方法だった。

 

『絶唱って……あの自爆特攻か!? そんなの認められるわけないだろう!』

 

「まさか……あのコンビネーションか!? あれは未完成なんだぞッ!?」

 

「やれるのか? 立花?」

 

『風鳴さん!?』

 

 雅人は驚いて翼の方を振り向く。

 一度絶唱によって命を落としかけた翼が、響の案を肯定するとは思っていなかったからだ。

 翼の問いかけに、響は何も言うことなくただ頷く。

 その眼を見たクリスも覚悟を決めたのか、眼つきを変える。

 

 だが、雅人は認められない。

 一度絶唱によって自分が流した血の池に倒れる翼を見たことから、彼にとって絶唱とは絶対に切らせてはいけない切り札なのだ。

 

『俺ならあいつを消し飛ばせる! おっさんたちに頼んで会場の外の観客を非難させれば!』

 

『待ってください、雅人君!』

 

『……緒川さん?』

 

 弦十郎に連絡を取ろうとした瞬間、慎次から雅人の持つ携帯に連絡が入る。

 

『響さんたちを、信じてあげてくれませんか?』

 

『え?』

 

『彼女たちもこの3ヶ月間、何もしてこなかったわけじゃありません。あなたに負けないように、必死に頑張ってきたんです! 確かに絶唱は危険な技です。だけど、信じてあげてくれませんか? あなたの仲間を……友達を』

 

 慎次の言葉を聞いた雅人は、響の方を見る。

 それに気づいた響は、雅人に笑顔を向けながらサムズアップをした。

 

『……わかったよ。俺は大人しく見てる』

 

 そうして、雅人は折れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行きます! S2CA・トライバーストッ!!」

 

 絶唱が始まる。

 響を中心に翼とクリスと手をつなぎ、3人でまったく同じ旋律を歌う。

 響たちに近付こうとしたノイズを、痛みで使えない両手を使わずに蹴り飛ばす雅人。

 分厚い仮面に阻まれて、その表情は誰にもわからない。

 

 歌が終わる。

 

 瞬間、響たちを中心に眩く虹色に輝く。

 

『ッ!?』

 

 咄嗟に響たちから距離を取る雅人。

 指向性を持たない破壊の奔流は、周囲にいたノイズの欠片を、そして本体を飲み込んで会場を包み込む。

 雅人逃げきれないと感じ防御を固めるが、待ち構えていた衝撃は一向に襲ってこない。

 

『……ノイズ……だけを?』

 

 圧倒的なエネルギーがノイズだけを破壊していく。

 内側にいる雅人と翼、クリスは全くの無傷だが、代わりに響が苦しそうな悲鳴を上げる。

 

「レディーッ!」

 

 シンフォギアの装甲が割れ、そこからエネルギーが溢れだす。

 響が両手を合わせる。

 両手のガントレットが合体し、右手に大きな籠手となって現れる。

 響が右手を掲げると、周囲に広がっていた虹色の光が響のもとへ収束していく。

 

「ブチかませぇッ!!」

 

「これが私たちのぉ!!」

 

 右手を構え、ブースターを吹かして一直線にノイズへ向けて跳ぶ。

 そのまま振りかぶった右腕をノイズの本体へとアッパーのように叩き付けた。

 

「絶唱だぁぁぁぁああああああッ!!!!!」

 

 めり込んだ拳を基点に籠手が展開され、ドリルのように回転する。

 そのまま籠手が重い音を鳴らしながらノイズに打ち込まれ、衝撃が走る。

 

 それは、文字通りの竜巻。

 

 解放されたエネルギーが竜巻のように渦巻きながら天高く昇っていき、ノイズを跡形もなく吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 膝をつく響。

 絶唱を使った反動からか、敵がいなくなって気が抜けたのかいつの間にかシンフォギアを解いており、私服のまま項垂れる。

 

 心配して駆け寄るクリスと翼。

 

 そんな中、雅人も響に駆け寄りながら思う。

 

(今の一撃……人間が放てるものなのか?)

 

 雅人の中を、漠然とした不安がよぎる。

 シンフォギアの力は強大で、絶唱はその切り札。強いのは納得できる。

 

 だが、今の一撃はただの人が放てる限界を超えている。

 三重の絶唱のバックファイアを受けても、涙を流してはいるものの目立った外傷はない響。

 

「私のやってることって、偽善なのかな? ……痛いことも苦しいことも、知ってるのに」

 

 ノイズも、マリアたちもいなくなって響たちだけになった会場。

 そこで、響の押し殺した泣き声だけが響く。

 

 クリスも、翼も、雅人も、ただその光景を見守ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ライブの最中の響たちが書きたかった。後悔はしていない。

 やっぱりコメディ書くの楽しいです。響がクリスに向かって情熱をぶつける(意味深)シーンとかノリノリで書けました! 勢いって大事!
 ラブコメる雅人君と響。これが、これがやりたかったぁ! G編のノルマ一個目達成です!

 そしてマリアさんの迅速なタグ回収。またしてもノルマ達成。作者のノルマは108式まであります。にしてもこれから先の展開がうろ覚えになってる。……休日使って全部見直すか。

 雅人君は調ちゃんをロックオンしました。あの人を見つけたわけじゃないですよ? 今あの人は休眠状態でいくら雅人君でも見つけられないです。そして出番ですよタイタンさん! メイン盾としてだがなぁ! 実際ライジングにならないとそこまで強固じゃないと思うんですよね。まぁニーサンの腹パンを防ぐくらいの装甲はある……と思う。

 そしてS2CA、正直映像で見たあの迫力を表現できたかは微妙。迫力のある文章って難しいなぁ。



 次回予告。


 よぎる不安、広がる恐怖。

 打ち捨てられた病院で相対するのは狂気。

 狂気は不和を呼び、不和は争いを呼ぶ。

 次回、第十九話 『疾走』

 戦姫たちに立ちはだかるのは暴食の獣。

 時を超え、再会を果たした戦士に待ち受けるものは何か。

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