戦士咆哮シンフォギアK【加筆修正作業中】   作:名無しのごんべい

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 クウガを題材にするうえでこのタイトルは外せない。

 2016/4/6修正完了。まさかの8000文字超えでさすがに草。




第五話 「変身」

「翼ちゃんについてなくていいの?」

 

「今は、俺たちにはやるべきことがある。それに、そんなことをすれば逆に翼に怒られる」

 

「それもそうね♪」

 

 特異災害対策機動部二課本部指令室。

 そこで弦十郎と了子は、数日前に起こった夜の公園での戦闘について話し合っていた。

 

「『ネフシュタンの鎧』か……行方不明になっていた完全聖遺物が、こんな形で現れるとはな」

 

 『ネフシュタンの鎧』。

 それは、かつて二課が保有していた完全聖異物であり、彼等にとって因縁深い物であった。

 

「それと、あの子が持っていたノイズを操る杖……あれもおそらく完全聖遺物よ」

 

「何!?」

 

 突然の了子の発言に弦十郎は驚愕した。

 

 完全聖遺物。

 今、現存する聖遺物のほとんどは長い年月を経て欠片しかない状態のものばかりだ。翼や響の纏うシンフォギアである天羽々斬(アメノハバキリ)やガングニールも、現代にかろうじて残されていた聖遺物の欠片から作られたものだ。

 だが、完全聖遺物は違う。長い年月をかけても劣化することなく、完璧な状態で保存されたもの、それが完全聖遺物だ。その希少度は通常の聖遺物の比ではなく、欠片の状態で使っているシンフォギアよりも強力だ。

 そんなものが二つも敵対する者の手に有るのだ、弦十郎の驚愕も当然だろう。

 

「詳しいことはまだわからないけど……1週間頂戴。丸裸にしてみせるから」

 

「頼んだぞ、了子君」

 

「お任せあれ~♪」

 

 そして二人の会話が一段落すると同時にあおいがモニターを操作する。先程までネフシュタンの鎧の少女が映されていたモニターが切り替わり、そこには『未確認生命体一号』が映し出された。

 

「今回で新たに分かったことと言えば、『未確認生命体一号』は『ノイズ』しか狙わないってことかしら?」

 

「だけど、ネフシュタンの少女も攻撃してますよ?」

 

 朔也がモニターを見ながら言う。

 そんな朔也に対し、了子はモニターを指差しながら反論した。

 

「んもぅよく見なさい! 彼が狙っているのはネフシュタンの子じゃなくて杖の方でしょ?」

 

「ホントだ……」

 

 了子の言葉通り、『一号』は少女ではなくその手にある杖を狙っているようにも見える。また、『ノイズ』が出現するまで全く姿を現さなかった事から、本当に『ノイズ』のみを狙っているのかもしれないと、弦十郎達は考えている。

 

「迎撃されてから攻撃されても一切反撃せず、『ノイズ』だけを狙い続けてる……」

 

「『一号』の狙いは、『ノイズ』……またはそれを生み出す聖遺物だけということか」

 

「もしくは、『ノイズ』を倒すことだけをプログラムされているか……」

 

「了子さんは、『一号』が機械だと思ってるんですか?」

 

 不意に了子が漏らした言葉に、あおいが訪ねる。

 

「あらゆる可能性を検討しているだけよ。なんせあれは聖遺物でもないのに『ノイズ』を倒せる未知の力……。考えすぎくらいがちょうどいいのよ」

 

「『一号』と言えば、最近まったく『二号』を見ませんね」

 

「もともと『二号』の方は出現回数が少ないからね。『一号』以上に謎に包まれてるし……」

 

 朔也とあおいが同時に唸る。

 『一号』はその出現率の高さからある程度行動原理のようなものが解明されてきていた。

 『一号』は『ノイズ』だけを狙い、こちらから接触しようとしても逃げてしまう。何時かの翼のように攻撃しても決して反撃せず、逃げに徹する。また、人を襲うことはなく、『ノイズ』の消滅と同時に逃走する。格闘戦の技術は高いが、翼なら互角どころか勝ちを狙える程度の実力。

 そして、人と同じ赤い血が流れている。

 そして何よりも重要なのが、響の呼びかけにだけ答えたことがあり、翼の『絶唱』使用時も響を庇っていた。

 

「こうして並べてみると、『一号』にとって響ちゃんは特別みたいね~」

 

「やはり、響ちゃんと融合したガングニールの欠片と何か関係があるんでしょうか?」

 

「そう考えるのが自然だね……『一号』のことは、響ちゃんに任せた方がいいかもしれませんね」

 

「そうだな……みんな聞いてくれ! 翼は重傷でしばらく動けん。一命を取り留めたとしても、回復までに一か月はかかるだろう! その間、響君一人で『ノイズ』と戦ってもらわなければならん! そして件の『未確認生命体一号』にも、場合によっては助力を求めることがあるだろう! だが、俺たちがやることは一つだ! 響君を全力でサポートする!! やるぞ!! お前ら!!!」

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

 

 ネフシュタンの捜索、『一号』と『二号』の謎の究明、『ノイズ』への対処、響のバックアップ。

 二課にとってやることは山積みだが、それでも一つずつ解決していくしかない。

 それがすべて解決できた向こうに、平和があると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五代さんも、元気ないね」

 

「へ?」

 

 休日のお昼。

 珍しく一人で来た未来に突然言われ、雅人は驚く。

 

「この前まで、響も元気無かったの。遅い時間に返ってきたと思ったらずっと落ち込んでて……。最近は吹っ切れたように体を鍛えてるんだけど……。二人とも、何かあったの?」

 

 未来にそう問われ、どうしようかと悩む雅人。

 響に何があったのか、雅人も知らない。この前の戦闘が影響しているのだろうが、雅人としての自分と響の関係は店員と常連客。よく世間話をするが、そこまで踏み込んだ会話をすることもない。

 そして、雅人の悩みである『赤のクウガ』。

 正直に答えた場合、未来に『クウガ』の存在を知られることになる。それは掟としても不味いし、未来から響に情報がわたるのはもっと不味い。だが、雅人の事を本気で心配してくれている未来を、適当にあしらうようなことは雅人もしたくはない。

 

「じゃあ、ちょっと相談に乗ってもらってもいいか?」

 

 悩んだ末、雅人は重要なところはぼかして相談することにした。

 

「えーっと……なんて言ったらいいんだ? ここに、『赤』と『白』がある」

 

 そう言って、雅人はソースの入った赤い瓶とマヨネーズの入った白い瓶を未来の前に置く。

 

「いま俺は『白』なんだけど、本当は『赤』にならないといけないんだ。ただ、その『赤』になる方法はわかってるし、それを実践してるけどどうしても『赤』になれないんだよ……」

 

「……実践してるのに『赤』になれないの?」

 

「そう」

 

「『白』のままじゃダメなの?」

 

「そう!」

 

 うーん、と二人で唸る。

 

 そこで未来がハッとする。

 

「今まで『赤』になった時ってある?」

 

「ん?」

 

「今まで五代さんはずっと『白』だったの?」

 

「あ~……いや、何回か『赤』になったけどすぐに『白』に戻ったな」

 

 そこで未来は微笑む。

 

「だったら簡単よ。前に『赤』になった時のことを思い出して、その再現をすればいいのよ!」

 

 そう言われて、雅人もハッとする。

 そう、雅人は過去に何度か『赤』になっている。それならば、未来の言う通りかつて『赤』になったときの事を思い出せばいい。

 そんな事に全く気付かなかったことに雅人は恥ずかしくなり、照れ隠しに頬を掻く。

 

「そう言えばそうだよな……なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろ……。ありがとう、小日向さん」

 

「どういたしまして。お礼はサービスしてくれるだけでいいよ?」

 

「……だってさ店長」

 

「ハイよ! 料金は五代君の給料から引いとくから遠慮せずお食べ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「ひでぇよ!!」

 

 雅人の悲鳴に聞き耳を立てていた他の常連客も一緒になって笑う。

 今のふらわーの名物は女子高生2人と店員1人と店長による漫才となっている。

 いつもは響が無駄に騒ぐので気にならなかったが、多くの視線が自分に向いているのに気付いた未来が顔を真っ赤にしながら俯く。

 そんな、お昼時の一幕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(『赤』になった時の……気持ち)

 

 未来に言われたことを、雅人はさっそくバイト中に思い出す。

 雅人が『赤』になった時。それは、何も考えていない無我夢中の時だった。

 『ノイズ』を見つけ、それと同時に『ノイズ』に襲われている人も見つけた。

 いつもは覚悟を自覚し、ちゃんと思い出してクウガになるのだが、その時ばかりは何も考えずにクウガになった。

 そしたら、『赤のクウガ』になれた。

 

(何も考えなければいいのか?)

 

 そんなわけないと雅人は頭を振る。

 結局、謎が深まっただけで進展はない。

 

 そうして雅人は目を逸らす。

 『赤』になれない本当の理由から目を逸らして、気付かない振りをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふらわーでのバイトを終わらせ、雅人はいつものように夕暮れの町を散歩する。

 道中、色々な人とすれ違う。

 会社帰りのサラリーマン、買い物帰りの主婦、下校中の学生、友達に手を振って別れを告げる子供。

 雅人が……『クウガ』が守るべき光景がそこにある。だからこそ、雅人はいつまでも『白』のままではいられない。

 

(もっと強くならないと……『赤』になって、強くなって……そしていつか……)

 

 そしてふと前を見ると、そこにはジャージ姿の響が雅人の前に立っていた。

 

「立花さん? どうしたんだ?」

 

「五代君を待ってたんだよ」

 

「俺を?」

 

 首を傾げる雅人。

 響の表情は晴れやかで、昼に未来が心配していたような様子は全くない。

 とりあえず道端で話をするのも何なので、雅人は響とともにこの前の戦場とは違う公園に行く。

 

「それで? どうして俺を?」

 

「……単刀直入に聞いてもいい?」

 

「ああ」

 

 雅人は自販機で缶コーヒーを2本買い、片方を響に渡しつつプルタブを開けて飲む。

 

「五代君って『クウガ』でしょ?」

 

 飲んでいたコーヒーを吹きだした。

 

「うひゃぁッ!? ビックリしたぁ……」

 

「ゲホッゲホッ! ……オマッ! ……ゲホッ!」

 

 口を拭きながら、雅人はどう誤魔化そうかと考える……が、噴き出した時点で答えを言っているようなものだと気付き、表情を引き締めて響を見据えた。

 

「なんでわかったんだ?」

 

「だって、私に名前を言ったときに一度話したでしょ? その時聞いた声が五代君の声に似てたからずーっと引っかかってたんだぁ……。それで、もしかしたらって思ったのはこの前の翼さんの絶唱の時。あの時、五代君は気づいてなかったみたいだけど私を庇うときに「立花さん」って言ってたよ?」

 

「あー……」

 

 雅人自身のミスだった。

 

「何で正体を隠してたの?」

 

「……特に意味はないな。ただ、掟だったからそうしてただけだ。立花さんは、このことを…?」

 

「心配しなくても、誰にも話してないよ。ただ、お礼が言いたかっただけ」

 

「お礼?」

 

「うん。ありがとう、私を何度も助けてくれて!」

 

 お礼。

 それは、雅人が予想もしていなかった言葉だった。

 

 クウガは孤独だ。

 誰にも知られることなくノイズと戦い、その命を散らしていく。

 共にいるのは次代の弟子だけであり、その歴史は闇に葬られていく。

 そんなクウガが、誰かに礼を言われるなんて思わなかった。

 

(この子に言われるのは、これで二度目か)

 

「ああ。どういたしまして」

 

 言われたお礼は、素直にうれしかった。

 たったの二回だが、それでも雅人は、今までの自分の戦いが肯定されたような気がした。

 

「なんだかね、私にとって五代君は憧れなんだ」

 

 突然、響は雅人にそう告げる。

 

「俺が……? 俺はそんな上等な奴じゃないぞ?」

 

「そんなことないよ! 誰かを助けるためにさっそうと現れて、お礼も貰わずに去っていく。たった一人でたくさんの『ノイズ』相手に怯むことなく戦う……。まるで、五代君は……『クウガ』はね、私が小さい頃見た『仮面ライダー』みたいだなって、初めて見た時から思ってたんだ!」

 

「仮面……ライダー……」

 

「うん! みんなのヒーロー! 『クウガ』だから、『仮面ライダークウガ』!!」

 

 その時、雅人の中で変化が起こった。

 誰とも関わらず、二年間ひたすら独りで戦い続けた雅人は、無意識の内に疑問を持っていた。

 

 自分は正しいのか? 間違えていないか?

 

 雅人が気付かない間に、そんな疑問はどんどん膨れ上がっていた。が、今、立花 響という自分の……『五代 雅人』の今までを肯定してくれる存在ができてしまった。

 

 ―――――俺は……このことに教えてもらうために……今まで……。

 

 ガチリ……と、歪な音をたてて雅人の心は噛み合った。

 

 思えば、ここで出会わなければ、未来はまた、違う形になっていたのかもしれない……。

 だが、既に二人は出会ってしまった。

 

 もしもの話に、意味はない。

 

 そんな時、雅人は『ノイズ』の気配を感じ、それとほぼ同時に響の端末が鳴る。

 

『響君! ノイズが出た! 修業はまだ完全とは言えないが、頼めるか?』

 

「はい!!」

 

 端末をしまい、駆けだそうとする響の腕を雅人が掴む。

 

「五代君?」

 

 それから雅人は何度か口ごもり、10秒ほど時間をかけて口を開く。

 

「俺に……なれるかな? 『仮面ライダー』に……」

 

「なれるよ!! だって、五代君は私の……みんなのヒーローだもん!!」

 

 そう言い残して、響は今度こそ駆け出した。

 その背中を見送り、雅人の覚悟は固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 響の後を追って雅人がたどり着いたのは商店街にほど近いオフィス街。背の高いビルが建ち並び、朝から晩まで人波が途切れることはない。

 逃げ惑う人の波を逆走し、たどり着いた場所では響がすでに多数の『ノイズ』と戦っていた。

 この前見た時よりも、響は強くなっていた。

 まだ腰が引けているが、しっかりとパンチに体重をのせ、キックも様になっている。が、それでも多勢に無勢。

 やがて爪を持った『ノイズ』に響が吹き飛ばされる。

 

「立花さん!」

 

 倒れる響に駆け寄る雅人。

 

「五代君!?」

 

 響を庇うように前に立ち、目に前の『ノイズ』の集団を雅人は見据える。

 

「俺……俺はッ! 覚悟とか、まだちゃんとできてないかもしれないッ! だけど、君が言ってくれたように! 俺が君やみんなのヒーローになれるならッ!!

 俺は戦う!! 『クウガ』として、『五代 雅人』としてッ!そして……『仮面ライダークウガ』として!!」

 

 雅人は叫ぶように言いきってから、自らの腰に手を添える。

 すると、不思議な音を立てて雅人の腰に赤い石をつけたベルト……『アークル』が出現する。

 雅人は、かつて師である雄介が戦う時、『クウガ』になるためにしていたポーズをとる。

 左手を腰のベルトに添え、右手を左胸の前に構えた後ゆっくりと右胸の前まで移動させる。

 

 それは、戦うための儀式。

 自分の中のスイッチを切り替え、自らの心を『戦士』として覚醒させるための動作。

 

「だから見ていてくれッ!! 俺のッ!」 

 

 『クウガ』に変わる。その行為を雅人の師匠である雄介は……、

 

 

 

 

 

「『変身』ッ!!!」

 

 

 

 

 

 そう言っていた。

 

 

 

 

 

 

 ベルトの左腰の部分に左手の甲を添え、右手を左手の上に被せ、そのまま力強く押し込む。

 それと同時に雅人は飛び出し、目の前にいた『ノイズ』を右腕で殴り飛ばす。殴られた『ノイズ』は炭素に変わり、雅人の腕が赤い鎧のようなものに覆われる。その光景は、雅人の背後にいる響には見えなかった。

 『ノイズ』を殴った体勢で残心する雅人の身体は、どんどんと変わっていく。左腕、右足、左足、そして胴体。全身が黒く染まり、身体の各部位がどんどん盛り上がっていき、赤い鎧に覆われる。そして最後に顔が仮面に覆われる。

 黒い体表に、赤い複眼。そして、黄金に輝く二本の角。

 

 呆然とする響の前に現れたのは通称『未確認生命体二号』。本来の名前は、『赤のクウガ』。

 

 戦う覚悟を決めた、『戦士』へ『変身』した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(体が軽い!)

 

 いつもの『白のクウガ』とは比べ物にならない力が、身体の内側から溢れてくる。雅人……『クウガ』は躊躇うこと無く、『赤のクウガ』に変身した自分の拳を振るう。

 その一撃だけで、『クウガ』の目の前にいた三体の『ノイズ』が炭素に変わる。

 次々迫りくる『ノイズ』相手に、立ち直った響と共に拳一つで立ち向かう。

 振るわれた爪を躱し、懐に潜り込んでボディーブロー。『白』の時とは比べ物にならない威力を秘めたその剛腕は、直撃した『ノイズ』に耐えることを許さない。『クウガ』の右拳を腹部に喰らった『ノイズ』は、一撃でその身を炭の塊へと変える。

 後ろから『クウガ』を狙って降り下ろされたアイロンのような手を、振り返った『クウガ』は瞬時に掴み取り、そのままがら空きの腹部を抉るように蹴りつけた。『クウガ』を狙った『ノイズ』は、蹴りが直撃した腹部から真っ二つに別れてボロボロと崩れ落ちた。

 ナメクジのような『ノイズ』から伸ばされる触手をすべて手刀で叩き落とし、体を棒状にして飛んできた『ノイズ』に拳を合わせてカウンターを叩き込む。

 飛び掛かってきたカエル型をアッパーで突き上げて、左右から突っ込んできた別の『ノイズ』と共に回し蹴りで三体同時に止めを刺した。

 『クウガ』から少し離れた場所では、響が迫りくる『ノイズ』の足をキックで叩き潰し、振るわれる爪を掴んで逆に『ノイズ』を振り回していた。

 次々群がってくる『ノイズ』たちを迎撃しあらかた片づけると、ビルの影から巨人型の『ノイズ』が出てくる。

 

「うぇぇええ!? こんなの来るなんて聞いてないよぉお!!」

 

 響がこの『ノイズ』を見るのは初めてではない。が、こういった大物は今までは出てきた瞬間に翼が対処していたため直接戦うのは初めてだった。だからこそ、予期せぬ巨人型『ノイズ』の出現に響は混乱し、隙をさらしてしまう。

 

『立花さん!』

 

 上から叩きつけられる巨人型の腕から呆然としていた響を守るために、雅人は降り下ろされた『ノイズ』の腕に自分の拳を叩き付ける。

 剛腕と剛腕がぶつかり合い、衝撃波が発生する。『クウガ』の足は地面にめり込み、小さなクレーターを作った。発生した衝撃波が周囲に拡散し、建物の窓ガラスが砕け散る。僅かな拮抗の後、巨人型の右腕の肘から下が炭になって弾け飛び、『クウガ』は数歩たたらを踏んで後ずさった。

 

「あ、ありがとう五代君!」

 

『ああ。にしても、こんな街中でこいつが出てくるなんてな……』

 

 再び振るわれる腕を、『クウガ』と響は左右に躱す。

 振るわれた腕は道路をえぐり、停められていた車を破壊した。

 

「何とかして止めないと……!」

 

 そう言った響が巨人型の足を殴るが、巨人型はそれを鬱陶しそうに払いのける。

 ならばと響は今度は飛び上がり、頭に向かって飛び蹴りを仕掛ける。

 見事に命中するも、顔の半分が崩れただけで致命傷にはなっていない。

 

「ダメだ……! 今の私じゃあいつを倒せない! せめて師匠との修行がちゃんと終わってたら…!」

 

『俺はダメージを与えられるけど、腕や足を狙うだけじゃ倒せないな。足を殴って転ばすか?』

 

「それはダメ! ギアの効果でノイズは今実体化してるから今転ばしたら……!」

 

『周りへの被害が大きくなる……か。『赤』じゃあいつの顔までジャンプしても届かないし、『青』じゃきっと威力が足りない。それに俺はまだ『赤』と『白』意外になったことがないからこんなぶっつけ本番で他の色を試したくないな』

 

「色?」

 

『こっちの話だ』

 

 そう言って『クウガ』は目の前で暴れる『ノイズ』を身た後、響をじっと見つめる。当の響はウンウンと唸りながらどうやって『ノイズ』を倒そうか悩んでいる。

 そんな響を見ていた『クウガ』は、ハッと閃いた。

 

『…………なあ、立花さん』

 

「なに?」

 

『その姿でいる時って、男一人分の体重支えれるか?』

 

「へ?」

 

 そして『クウガ』は今さっき思い付いた作戦をすばやく響に伝える。

 響はその作戦を聞いた後驚き、少し悩んだが、やがて覚悟を決めた。

 

「……分かった! やろう!」

 

『よし! 行くぞ!』

 

 『クウガ』の声と同時に響が走り出し、少し遅れて『クウガ』も走り出した。

 振るわれる『ノイズ』の腕をかいくぐり、『ノイズ』の眼前まで来た直後響は反転して『クウガ』の方を向いて両手を腰の前で組む。

 

 そして、響に向かって『クウガ』は駆ける。

 一歩アスファルトの道路を『クウガ』が踏み締める度に、『クウガ』の右足が熱を持っていき、やがて熱は炎になる。

 そして『クウガ』は歩幅を合わせ、響の組まれた両手に向けて軽くジャンプして両足で飛び乗る。

 

「いっけぇぇぇぇええええええ!!!!」

 

 『クウガ』が飛び乗ると同時に響が叫び、トランポリンの要領で両手を思いっきり持ち上げた。

 その反動に押され、『クウガ』は空中に放り投げられる。

 二人の想像以上の早さで空中に投げ出された『クウガ』は、眼下で『クウガ』を見上げる『ノイズ』をしっかりと見据える。

 

 思い出すのは雄介が止めに用いていた十八番。雅人が何度も見て、そして教わった必殺』技』。

 姿勢を制御し、空中で勢いをつけて身体を一回転させる。

 遠心力を味方につけ、勢いを殺さないように右足を前に出し、邪魔にならないように左足を折り畳む。

 

 その姿は、見る者が見たらこう言うだろう。

 

 

 

 

 

 

 『ライダーキック』と。

 

 

 

 

 

『おりゃぁぁぁああああ!!!』

 

 右足が炎を纏い、『ノイズ』の顔に直撃。

 そのまま『クウガ』は『ノイズ』を突き抜け着地するが、勢いが止まらず右足で道路を抉りながらブレーキを掛ける。

 ようやく『クウガ』が勢いを殺して止まると同時に、巨人型の『ノイズ』は貫かれた顔に刻印を浮かべ、爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったやったやったぁぁああ!! やったよ五代君!!!」

 

 はしゃぎながら響が『クウガ』に駆け寄る。

 着地して片膝立ちの姿勢だった『クウガ』も、脱力しつつようやく立ち上がる。

 『クウガ』は自分の目の前に手を持ってきて、何度か開いては閉じてを繰り返す。

 最後は右手を力強く握り、そのまま親指を立てて響に向けた。

 

『ああ! やったな!!』

 

 サムズアップ。

 雅人のその姿は、まさしく『仮面ライダー』だった。

 

 

 




 今回のテンプレに売った喧嘩。
 特になし。


 とうとうマイティフォーム登場!
 そしてビッキーとの合体マイティキック!

 雅人君は五代さんの修業を受けているのでいきなり強化マイティキックです。

 決意する場面の前後で雅人君の口調がおかしいと感じるかもしれませんが仕様です。
 二人称が「あんた」から「君」になってるのも仕様です。

 ビッキーが弱く感じるのはまだ弦十郎さんとの修行途中だからです。
 時系列はデュランダル移送前ですね。

 次回は説明会につき戦闘はありません。
 ここまでさんざん話がこじれてきましたが、ついに雅人君が二課と合流します!

 次回と次々回で本作のクウガの設定を公開します。
 感想!批判大歓迎!ただし誹謗中傷は勘弁な!




 では、次回予告どうぞ!





「どうやら、『二号』も響ちゃんを特別視しているみたいね」

「やっぱり、『二号』は圧倒的ですね」

「いいの!? 掟なんじゃないの!?」

「では、ご同行お願いしていいですか?」

「櫻井 了子よん♪ よろしくね」

「改めて……特異災害対策機動部二課へようこそ!」


                『交流』
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