戦士咆哮シンフォギアK【加筆修正作業中】 作:名無しのごんべい
オリジナル設定が多いです。
この話と次の話はそんな感じです。
特異災害対策機動部二課本部指令室。
シンフォギア装者をサポートするため、『ノイズ』の動向を探るために大勢の職員が日夜通いつめているその場所は、今は不気味な沈黙が保たれていた。
その原因は、彼らが見つめている巨大モニター、正確にはそのモニターに映っている映像である。
背中合わせで戦う響と『未確認生命体二号』。
今まで謎の存在であった『未確認生命体』と自分達がサポートするシンフォギア装者が、まるで旧知の間柄であるかのように連携し、協力して『ノイズ』と戦っている。
その光景は、今までのシンフォギア装者と『未確認生命体』の関係を知っているものにとって驚愕以外の何者でもなかった。
「響ちゃんと……『未確認生命体二号』が……」
「一体、どうなっているの?」
朔也とあおいの言葉は、今この場にいる全ての職員の気持ちを代弁していた。
確かに、今までシンフォギア装者と『未確認生命体』が共闘することは何度かあった。だが、これまでの戦いにおいて『共闘』することはあっても『連携』することは無かった。
当然だろう。特異災害対策機動部二課において、『未確認生命体』は謎の存在。『ノイズ』を倒すために一時的に協力する事はあっても、二課としては……否、政府としては『ノイズ』を倒す手段は独占しておきたいものだ。だからこそ、政府直属の組織である二課は『未確認生命体』を捕らえようと今まで何度もアプローチをかけてきた。
だが、結果はすべて惨敗。確保は絶望的かと思われた直後に今回の戦いだ。二課からすればどうしてこうなったのか訳がわからない。
そんな空気の中、了子が口を開いた。
「どうやら、『二号』も響ちゃんを特別視しているみたいね」
不気味なほど静かな空間に、了子の声が響く。ややあって、弦十郎が答えた。
「……謎は深まるばかり……か」
「私たちがモニターを回すまでの間に、現場にはいつの間にか『二号』が出現していて響ちゃんと共闘していた……。そして今は響ちゃんも『二号』と一緒に戦うのを当然のように受け入れている……」
指令室が『ノイズ』発生から現場にカメラを回すまでは幾ばくか間があった。と言うのも、二課のモニターは『ノイズ』発生時や有事の際に監視衛星を使って現場をモニタリングしている。その性質上監視衛星とリンクしていなければ現場の映像は拾えない。
そして、今回の『ノイズ』発生時にどこかからハッキングを受けたため一時的に監視衛星とのリンクが切れたのだ。ハッキング自体は頻繁にあるため深く考えなかったが、衛星とのリンクが回復し、現場の映像が出たと思ったら響と『二号』が連携して戦っていたので、二課の面々は度肝を抜かれた。
「もしかしたら響ちゃんは『一号』と『二号』について何か知っているのかもしれないわね」
その言葉に、指令室の空気が凍り付く。
「つまり、響ちゃんは『未確認生命体』のことを知ってて私たちに隠してたって言うんですか!?」
「了子さん……いくらなんでもそれは!」
「や~ね~! 可能性の話よ! あの子が嘘や隠し事が下手だって言うのは、普段のあの子を見てれば分かるわよん♪」
「いずれにせよ、響君には詳しく話を聞かないとな」
モニターでは、響と『二号』が協力して巨人型の『ノイズ』を打倒したところだった。
『二号』の跳び蹴りが炸裂し、『ノイズ』が爆発する。
「やっぱり、『二号』は圧倒的ですね」
響が笑顔で『二号』に駆け寄り、『二号』は響に向かってサムズアップをしてみせた。
響が『クウガ』……雅人とともに『ノイズ』を倒した喜びを噛み締めていると、二課本部から通信が入る。
「あ、はい! 響です!」
『響君……どうして目の前にいる『二号』を確保しない?』
「し、師匠!? いえ、これはですね~~……その~~……」
言葉に詰まり、響の視線が右往左往する。
『クウガ』を見て、虚空を見て、また『クウガ』を見て、足下を見る。
「え~~っと……あの~~……!」
(どうしよ~~! 師匠になんて説明したらいいんだろう!! 五代君も今までずっと正体を隠して戦ってきたのにそれが私のせいでばれるなんてことに~~!!)
響は迷い、頭から煙が出るほど迷い、そして……。
「師匠、チョーっと待っててくださいねー!! 今この人を説得しますからー!!」
と言って、通信を切った。
要するに、逃げた。
「どうしよ~!」
そう言いながら、響は未だに『クウガ』のままの雅人に泣きついた。
『いや、そんなこと言われてもな。正直もう隠し続けるのも限界だし、いっそのことばらしてもいいと思うな』
「いいの!? 掟とかなんじゃないの!?」
響の驚愕を『クウガ』はさらりと流す。
『そりゃ、今まで従ってきた掟を破るのは抵抗があるけどさ。だけどこれからは立花さんみたいな『ノイズ』と戦える人が多く出てくるかもしれないだろ? その時に要らない誤解を受けて『ノイズ』退治に支障を出したくないんだよ』
「な、なるほど……」
『掟が作られた当時と今じゃ状況が全然違うしな。俺の師匠も警察官の一人と秘密裏に協力してたみたいだし、しょうがないだろ』
「しょ、しょうがないんだ……」
そんな話をしていると、二課の車両が何台も到着する。
中から厳つい黒スーツにサングラスの男たちが出てきたのを見て、響は既視感を覚えた。
(うわー……私の時とおんなじだー……)
出てきた黒服たちを警戒してか、『クウガ』の雰囲気が少し変わったのを感じた。
「驚かせてしまってすいません。司令が念には念を入れてと言うことなので、こんな大勢で押しかけることになってしまって」
すると、黒服の中の一人がサングラスを外し、顔をさらす。
「緒川さん!!」
現れたのは、緒川 慎次だった。
「お疲れ様です。響さん。では、『未確認生命体二号』さん……いえ、響さんの話で言うなら『クウガ』さん……ですかね? この名前は貴方とよく似た白い方の名前ですか?」
『……いえ、どちらも一緒です』
『クウガ』が慎次の問いに警戒しながら答える。
すると、慎次は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに元の笑顔に戻った。
「すいません。あなたの話は何度か翼さんから窺っていたんですが、まさか喋れるとは思ってなくて」
『いや、あんたたちと話をしようとしなかったのは俺です。それについては失礼なことをしたと思ってます』
「礼儀正しいんですね。もっと武骨な方かと思っていました」
『目上の人への礼儀は弁えているつもりです』
(大人の会話みたいだー……)
『クウガ』と慎次の会話を横で聞いていた響は、そんなことを思っていた。
実際は雅人は響と同い年だが、今は『クウガ』の姿な為実年齢よりも大人っぽく感じてしまうようだ。
「では、ご同行お願いしていいですか?」
『……わかりました』
「じゃあ車に乗ってください。響さんも」
「あ、はい!」
二人は慎次に導かれるまま車に乗り、オフィス街を後にした。
『ここって……学校だよな?』
「うん。このリディアン音楽院の地下に基地があるんだ!」
『へ~……こんなところに……』
リディアンの教員棟についた『クウガ』と響と慎次の3人は、慎次を先頭に廊下を歩く。
響はリディアンの制服に戻っており、雅人は『クウガ』のままだ。
そのまま3人はエレベーターに乗り、慎次がエレベーターの認証装置に端末を当てると扉にシャッターがかかり手すりが出てくる。
「あ、掴まってた方がいいよ」
『? おう……ッ!!!』
強い浮遊感が『クウガ』を襲う。
ギリギリで悲鳴を抑えて手すりを強く掴むと、『クウガ』の握力で手すりがひしゃげる。
「あ……」
「あ……」
『あ……』
冷たい沈黙が流れる。
『す、すいません……』
「いえ、いいですよ。先に言わなかった僕らが悪いですし……」
赤い鎧をまとった戦士……『未確認生命体二号』が、申し訳なさそうに縮こまっていると言うある意味レアな光景を見た慎次は忍び笑いを漏らす。が、そんな慎次が考えているのは全く別のこと。
(咄嗟に強く握ってしまったのでしょうが、鋼鉄製の手摺をあんなにあっさりと……。僕たちが思っている以上の力を有している、と言うことですか)
一連の騒動の中、コッソリと警戒を強めた慎次と改めて手摺を持った『クウガ』、そして先に雅人に言っておけば良かったと密かに後悔している響を乗せて、そのままエレベーターはどんどん地下へ。
やがて降下スピードが落ちていき、止まった先には長い廊下が続いていた。
正面から見て六角柱のような形をした通路は、所々に談話用のソファーと机があり、一緒に自販機もおいてある。途中にある横道には一切入らず、真っ直ぐに進む。時折行き交う職員の姿がちらほら見え、皆『クウガ』の姿を見てはビクリと身体を硬直させる。その有り様に響は『クウガ』の様子を盗み見るが、その表情は分厚い仮面に覆われて伺えない。
やがて職員の姿も見えなくなったが、それでも目的地には着かない。
『…長い廊下だな』
「リディアンのかなり地下深くに建造されていますからね。緊急時のシェルターの役割もしているんです。この本部だけで、この町の全員は収容できますよ」
「へ~……そうだったんですか~」
『…なんで立花さんが知らないんだ?』
「あ~……あはは」
そんな会話をしていると、ようやく通路の奥に扉が見えた。
「さ、着きましたよ? この扉の奥が、指令室です」
そして慎次が一際大きな扉の前に立つと、扉が開く。
「ようこそ。『特異災害対策機動部二課』へ」
中に入ると、司令室で作業していた人が全員『クウガ』を見る。
それは好奇の視線だったり、警戒や不安、緊張などいろいろな感情が込められていた。
正面には『クウガ』も何度か見たことがある赤髪の大男と眼鏡をかけた白衣の女性がいた。
『クウガ』が白衣の女性を見た瞬間、『クウガ』の腹部にあるベルト、『アークル』から奇妙な感覚が流れてきた気がした。が、すぐに元に戻った。
それに首を傾げていると、大男が声をかけてきた。
「君が、『未確認生命体二号』……いや、『クウガ』か」
「近くで見るとまた威圧感があるわねぇ…」
慎次が『クウガ』に座るように促す。
それに従い、『クウガ』は用意されていたソファに座る。その隣に響が座り、大男……弦十郎と白衣の女性……了子が正面に座る。慎次は弦十郎の後ろ立っている。
「あったかいもの、どうぞ。って、飲めますか?」
先ほどまで座って作業していた女性が全員にコーヒーの入った紙コップを渡していき、『クウガ』にもそう聞いてきた。
『ありがとうございます』
それに礼を言って『クウガ』は受け取る。
ふと周りを見ると、信じられないものを見るような目で響と慎次以外の全員が『クウガ』を見ていた。が、やがて『クウガ』の訝しげな雰囲気に気付いたのか弦十郎が一度咳払いをしてから口を開く。
「……いや、すまない。我々はこの1年間、君は喋ることができないと思っていたからな。響君や緒川からの報告で分かっていたとはいえ、直に見るとどうしてもな……」
『いえ、気にしていません』
『クウガ』の言葉を聞き、弦十郎は改めて気を引き閉めた。
「そうか、それは助かる。さて、自己紹介から始めさせてもらおう。俺はこの『特異災害対策機動部二課』をまとめている風鳴 弦十郎だ。隣にいるのは、響君たちが使っている『シンフォギアシステム』の開発者でもあり、この二課の技術開発局の局長の……」
「櫻井 了子よん♪ よろしくね」
櫻井 了子と名乗った女性に話しかけられた瞬間、先程のように『アークル』から何かが流れ込んでくるような感覚が『クウガ』を襲う。まるで、『アークル』が『クウガ』に対して警告を促しているような感覚だった。
そのことに顔を顰めながら……実際は仮面によって顔は見えないが……『クウガ』も自己紹介をする。
『……『クウガ』です。本名は……』
そこで『クウガ』は迷った。正体を明かすべきか、このまま『クウガ』のままでいるべきか。だが、横で『クウガ』を心配そうに見ている響が目にはいる。
(……まぁいいか。ここまで来たし、なるようになるだろ)
元々正体を明かす気で『クウガ』はここまで来た。なら、今更迷うことはないと『クウガ』は腹をくくる。
『五代 雅人です』
「五代……」
『クウガ』の言葉に、二課の面々はさらに混乱した。
(名前からして日本人……よね?)
(少なくとも、東京都内には同姓同名の人物はいないか……)
「失礼なことを聞くが、君は……人間……なのか?」
『そうですね。確かにこのクウガの姿とは別に、俺にはちゃんとした人間の姿があります。ですが、俺はそれを貴方たちの前に晒すべきか迷っています』
「それはどうして?」
『……クウガには、いくつか掟があります。本来、貴方たちとこうして話をしているだけで、その掟を曲げているんです。正直、俺も失礼な言い方になりますが、掟を曲げてまで貴方たちと協力するメリットがあるのか、今はそれを考えているところです』
「掟ということは、君の他にもクウガがいるのか? あの『一号』……『白いクウガ』のように」
『いえ、クウガは俺一人です。貴方たちの言う『一号』も俺です』
「鎧の色が変わるのね……ますます今日興味深いわぁ♪」
「オホン! つまり、我々の呼びかけに答えなかったのも、姿を見せなかったのも、その掟があったためという事でいいのか?」
『はい。そう言うことです』
「では単刀直入に聞こう。どうしたら我々を信用してもらえる?」
そこで、雅人は考える。
なるべく多くの人に知られないように、そしてクウガとして支障なくノイズ退治ができるようにするにはどうするか。
また、今までと同じ生活ができるようにするにはどうするべきか。
『……クウガの使命はただ一つ。表舞台に立つことなく人々をノイズから守るための盾になり、ノイズを葬るための剣になることです。今までは何の問題もなくそれが行えていましたが、ここ最近……3~4年あたりで貴方たちが言うシンフォギアを持つ少女たちが戦場に立つようになり、それも難しくなってきました。1年前にはついに俺の姿を確認され、歴史の影から人々を守ると言うこともできなくなりました。だから、この際貴方たちと協力してノイズ退治に当たる方が効率的です。
だけど、クウガの存在はなるべく人の目に触れさせたくないんです。だから、俺が貴方たちに協力する代わりに、クウガの存在は伏せてくれませんか?できればこの二課内部だけで押さえてくれるといいんですけど……』
それを聞いて、弦十郎は考え込む。
今のクウガの言葉の中に、無視できないワードがいくつかあったからだ。
これまで二課の面々は、クウガ……『未確認生命体』は1年前から現れたと思っていた。
だが、クウガ本人の話を聞く限りでは、少なくともシンフォギアシステム開発以前からノイズと戦っていたようだ。
さらに掟という言葉から察するに、今は目の前の五代と名乗った男一人のようだが、クウガはこれまで複数人いたと考えられる。
それに、五代という男本人も決して非協力的ではなく、掟に従って姿を隠していただけのようだ。
問題は、クウガの情報を二課内部だけで押さえると言うこと。
すでにクウガ……『未確認生命体』の情報は政府の上役に報告している。
対応は二課に任せられているとはいえ、そこには報告の義務がある。
所詮、二課も政府の組織の一部。
御上の意向には逆らえない。
だが、
(気付いてる? 弦十郎君?)
(ああ……おそらく、クウガの中身はまだ子供だろう)
そう、弦十郎の見立てでは、クウガはまだ子供……響とそう変わらない年であると結論づけていた。
仮面で声がくぐもり低く聞こえ、さらに敬語を使っているため分かりづらいが、言動の節々に子供っぽさが垣間見える。
さらに、弦十郎は今までに何人もの大人と接してきたのだ。
たとえ顔を隠し、声を変えようと大人と子供の見分けはすぐにつく。
そして、この特異災害対策機動部二課の人間は、子供を戦場に送り出さなければならないと言うことから子供に対して甘いところがある。
風鳴 弦十郎と櫻井 了子も、例にもれずその中の一人だった。
「わかった。上の方には何とか話を通しておく。正直すでに君の存在は政府の方に話してしまっている。最悪君のクウガの姿はシンフォギアシステムによるものということになるが、それでもかまわないか?」
『……わかりました。それでお願いします』
「わかってくれてありがとう。これからは、我々も全力で君をサポートする」
『ありがとうございます』
「じゃあ、そろそろ素顔を見せてくれないかしら~? あんまり焦らされると私も困っちゃうから♪」
『わ、わかりました』
了子に話しかけられるたびに『アークル』が何かを訴えるように反応するが、それが何なのかわからないので無視する。
そして雅人はクウガの変身を解く。
現れたのは響とそう変わらない15歳くらいの少年。
予想はついていた弦十郎と了子、そして慎次はあまり驚かなかったが、他の二課のメンバーは驚愕した。
(こんな子供が……今までたった一人でノイズと戦ってたのか?)
(まだ響ちゃんや翼ちゃんと変わらない年のはずなのに……たった一人で!?)
朔也とあおいも、その表情を驚愕に変える。
雅人は変身を解いたことで顔を出せるようになったので、ぬるくなったコーヒーを飲んでいた。
「できればあなたの体を調べたいんだけどぉ……」
了子がそう言った瞬間、雅人が少し警戒した表情になる。
「……流石にそれは勘弁してほしいです」
「あらぁ? どうして?」
「…………なんとなく、です」
「その辺にしておいてくれ、了子君。では、クウガ……いや、雅人君……で、いいかな?」
「はい」
「では、雅人君。改めて……特異災害対策機動部二課へようこそ!」
「えーっと、つまりどうなったの?」
「これからは一緒に戦うってことだな」
「ホント!? やったね五代君!!」
「ああ!」
そう言って雅人は響に向けてサムズアップをする。
サムズアップして笑い合う雅人と響を見て、弦十郎たちは微笑んだが、すぐに作業に戻った。
何も書くことがない。
今回は只の説明会だしテンプレもない。
だけど後書きとか何も書かなかったら気持ち悪い。
あ、二課と合流できたのでこれからちょっとギャグが入るときがあります。
大体シリアスです。
シリアルにならないようにしたいですね。
にしてもビッキーの慌てた声とか叫びとか表現しにくい。
碧ちゃんの演技って言葉に表すとすっげーやりにくいんだよね。
今後の課題かな?
では、次回予告どぞ!
「一子相伝の秘術……ゆえに私には調べさせないってわけね。興味深いわぁ~♪」
「って言うか、五代さんってどこに住んでるの?」
「では、作戦を説明する!」
「五代君!! ……だよね?」
「こいつが『デュランダル』か……」
『超変身!!』
『移送』