戦士咆哮シンフォギアK【加筆修正作業中】   作:名無しのごんべい

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 ある意味タイトル詐欺回。

 クリスちゃんホントにどうしようかな……。






第九話 「悲痛」

 

 

 早朝、ふらわーの二階にある自分に割り当てられた部屋で雅人は目を覚ます。

 一瞬だが、ノイズの気配を感じたからだ。

 だが、それはほんの一瞬であり、気付いたときにはノイズの気配はもう消えていた。

 

(……なんだったんだ?)

 

 首を傾げながら、目が覚めてしまったので起き上がって布団を畳む。

 店開きにはまだ早い時間。

 掃除でもしようかと下に降りて倉庫から箒と塵取りを取り出す。

 再び店内に戻ると、未来と店長が入り口で話をしていた。

 

「あれ? 小日向さん?」

 

「ああ五代さん! ちょうど良かった! ちょっと手伝って! 外で人が倒れてたから、おばちゃんがとりあえずうちで寝かせようって話になって!」

 

「人が?」

 

「そうなの! とにかく早く来て五代さん!」

 

「あ、ああ」

 

 未来に言われるがままついていくと、そこにはつい先日知り合ったばかりの少女、雪音 クリスが倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、今日はお休みだよ」

 

「わかりました。雪音さんのことは……」

 

「それは未来ちゃんに任せときな! 覗こうとするんじゃないよぉ?」

 

「しませんよ」

 

 苦笑しながら店内の掃除を続ける雅人。

 上の階がドタバタと騒がしい気がするが、気にしないことにして掃除を続ける。

 テーブルを拭き、床を掃き、窓を磨く。

 綺麗になった店内で満足そうに頷いていると、ノイズの気配を感じた。

 その直後、けたたましい警報が鳴る。

 

(これは……緊急避難警報か)

 

 掃除用具を壁に立てかけて外に出ようとすると、おばちゃんと未来とクリスが駆け下りてきた。

 3人は店の入り口から外を見る。

 

「おい、一体どうしたってんだ?」

 

「知らないの!? 緊急避難警報よ! ノイズが出たのよ!」

 

 怪訝そうに聞くクリスに、未来が答える。

 それを聞いた瞬間、クリスは逃げまどう人波に逆らって走り出していってしまった。

 

「クリス!?」

 

「小日向さんは店長と一緒に逃げてくれ!雪音さんは俺が追いかける!」

 

「五代さん!!」

 

 悲鳴に近い声で雅人を呼ぶ未来に対して、大丈夫という意味を込めて走りながらサムズアップ。

 そのまま前を走るクリスを追う。

 

「おい少女A!! 止まれって!!」

 

「あたしはそんな名前じゃねェッ!! ……ってお前は!?」

 

 驚いて足を止めたクリスに追いつく雅人。

 

「何してんだ! とっとと逃げるぞ!」

 

「来んじゃねェよ!! あたしが招いた結果なんだ!! あたしがケリ付けなくてどうすんだよ!!」

 

「……お前が?」

 

「そうだ!! あたしがこんなにしちまったんだ!!

こんな事じゃないのに…………あたしがしたかった事はこんなことじゃないのに!!

なのに……あたしがやる事はいつも……ッ!!

いつもいつもいつもぉ!!」

 

 少女の慟哭が響く。

 その場に崩れ落ち、地面を殴りつけるクリス。

 その両の眼からは、涙が流れていた。

 

 後ろから迫りくるノイズ。

 見れば左右からも来ており、三叉路であるこの通路は完全にノイズに囲まれていた。

 

「……お前はあたしの後ろに下がってろ。

さぁ、あたしはここだ。だから……。

関係ェねェ奴らのところに行くんじゃねェッ!!」

 

「お、おい!」

 

 ノイズが体を棒状にして飛び出す。

 それとクリスが歌いだすのは同時だった。

 

 突っ込んでくるノイズを躱しながら歌うクリス。

 だが、ここまで全力疾走してきて、さらに先ほど泣いたせいか思うように歌えず咳き込む。

 そんなクリスに向かって飛行型のノイズが体をドリルのような形に変えながら突進してくる。

 

 クリスがやられそうになり、雅人がクリスの前に躍り出てクウガに変身した直後、雅人とクリスの目の前を大男が遮った。

 

「オルァアアッ!!」

 

 その大男は、震脚でアスファルトをめくりあげて盾とし、盾にしたアスファルトを殴って石つぶてをノイズに向けて放つ。

 

「ハァァァァァアアアア…………ッ!」

 

『……何つぅとんでもなおっさんだ』

 

「おっさんというなと言っているだろう」

 

『……いや、そうじゃない! なんでまたあんたは!』

 

 雅人が声を張り上げた瞬間、左からノイズの攻撃が迫る。

 大男……弦十郎は、無言で先ほどと同じことをする。

 そして呆然としている雅人とクリスを両脇に抱えて跳躍。

 近くの家屋の屋上に避難した。

 

(跳躍力は『青のクウガ』並……力は『金』と同等かそれ以上……。

あのおっさんに勝てる人間が師匠くらいしか思いつかないな……ってそうじゃない!)

 

 あまりの出来事に現実逃避しかけていた雅人は、あわてて思考を戻す。

 

「大丈夫か?」

 

『それはこっちのセリフだおっさん! なんであんたが前線に出てくんだよ!!』

 

 弦十郎の手を振り払い、雅人は叫ぶ。

 

『あんたは一発喰らったら終わりなんだぞ!? なのに何でそんなに簡単にッ!!』

 

「前も言っただろう? それは俺が大人だからだ」

 

『だから、そんな理由でッ!!』

 

 二人が言い争っている最中に、聞こえてくる風切音。

 一斉にそちらを振り向くと、飛行型のノイズが屋上にいた3人に狙いを定めていた。

 

 そして戦場に響く歌声。

 

 それと同時に雅人たちを囲んでいたノイズに向けて打ち出される無数の矢。

 

「てめぇがあの『未確認生命体二号』……クウガだったんだな……。

……ごらんの通りさ! あたしのことはいいから、てめぇらは戦えないやつの救助でもしてな!

ついて来い屑どもッ!!」

 

 クリスの放ったガトリングの銃弾やミサイルが、ノイズを蹂躙していく。

 それを悲しそうな表情で見る弦十郎。

 

『……話は後か……』

 

「ああ。俺は避難誘導を進める。雅人。お前は……」

 

『片っ端からノイズを片付けるさ! だからもうおっさんも出てくんなよ! 足手まといだ!』

 

 言い終わるのが早いか否か、雅人は飛び上がり空中で待機していたゴウラムに乗る。

 

(俺は……あの子たちを救えないのか……?)

 

 銃口を煌めかせながら駆ける少女と飛び去る少年を見て、弦十郎は自問した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノイズを蹴散らしながら市街地を飛び回った雅人。

 街中のノイズは一掃し終え、遠くから感じるノイズの気配を追ってたどり着いたのは町から随分離れた山の道路だった。

 悲鳴が聞こえゴウラムを飛ばすと、落ちるタコ型のノイズと崩れ落ちる道路、そして一緒に落ちていく未来が見えた。

 

(小日向さん!? なんでこんなところに……。間に合うか!?)

 

 雅人の下に響が猛スピードで飛んでいるのが見えたが、これでは間に合わない。

 ノイズは落ちながらも未来にその触手を伸ばしており、ゆっくりとだがどんどん未来に近付いている。

 

『超変身!!』

 

 ゴウラムに括り付けていた弓を取り、片手で構える。

 弓はみるみる拳銃のような形状に姿を変えていき、後ろには取っ手ができる。

 それと同時に雅人の姿も変わる。

 装甲は緑色になり、肩当は左肩だけになる。

 両目も緑になり、五感が鋭敏になる。

 

『――――――ッ!!』

 

 押し寄せる情報の津波に悲鳴をあげそうになるが、必死に耐えながらゴウラムの装甲に弓の取っ手を引っ掛けて引き絞る。

 そして、余計な情報をすべて無視して視覚だけに集中する。

 

 ノイズの本体は見る限り装甲が厚く、『緑のクウガ』では貫けそうにない。

 それでも、未来は助けなければならない。

 初めてできた、雅人の二人しかいない大切な友達だから。

 

(絶対に……助けるッ!!)

 

『そこだッ!!』

 

 狙いを定め、引き金を引く。

 

 拳銃とも弓とも違う独特の発射音を響かせながら、限界まで引き絞られた矢が飛ぶ。

 矢は狙い違わず未来を狙う触手を貫き、刻印を浮かべて爆発する。

 

 その爆発の衝撃で未来とノイズの間が空き、そして響がノイズに向かって突っ込む。

 腕のガントレットは肘のあたりまで延ばされており、それが拳のインパクトの瞬間に勢いよく元に戻る。

 衝撃は、遅れて雅人をも襲った。

 殴られた方とは逆側がはじけ飛んだノイズ。

 そしてそのまま爆発。

 落ちていく未来を響が抱きかかえ、一緒に落ちる。

 マズイ、と思った雅人が急いでゴウラムを飛ばし、間に合わないと判断して飛び降りる。

 斜めに空中をすべり込みながら響たちの下に入り込めたと思った瞬間、響の足のバンカーが雅人を貫いた。

 

『!?!?!?!?!?!?』

 

 バンカーの激痛と衝撃、そして着地時の轟音が、『緑のクウガ』になって強化された五感に響く。

 バンカーと雅人という二重のクッションを間に引いても響たちは止まらず、そのまま坂道を転げ落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひとしきり泣いて、笑い合った響と未来。

 改めて二人は友情を確かめ合い、美しい友情を祝福するかのように川も夕日を受けてキラキラと輝く。

 そして二人は笑いながら街に帰る。

 

 そう綺麗に終わるはずだった。

 

「そう言えば、未来を抱きかかえて着地する瞬間に、なんか「グエーーーッ!!」って声を聴いたような気がするんだよねぇ……」

 

「そんなのじゃわかんないよ?」

 

「う~ん、なんて言ったらいいかなぁ~~? カエルみたいな鳴き声だった?」

 

『ほう……カエルか』

 

 突然の声に、響と未来はそろって振り返る。

 そこには白い鎧をまとったクウガがいた。

 

「ご……五代君じゃん!! どうしたの!? 奇遇だねこんなところで!!」

 

 響はとぼけているが、未来のところにブースト飛行する際にゴウラムに乗って飛ぶ雅人のことをしっかりと確認しており、さらに雅人のアシストがなければ間に合わなかったと言うのも知っている。

 そして着地時に緑色の影が響たちと地面の間に割って入ってくれたことも、今になって思い出した。

 その証拠に響の声は若干震えている。

 

「え!? 五代さんなの!?」

 

『ああ。ちょっと待っててくれるか小日向さん? 俺は今から身を挺して庇ってくれた人をカエル呼ばわりした奴にお仕置きしなきゃいけない』

 

 白い鎧を纏ったまま響に近付いていき、拳を鳴らす雅人。

 

「そ、そうだ!! どうして白いクウガなの!? 最近ずっと赤とか青とか紫だったじゃん!」

 

『緑の力を使い過ぎたのとダメージの許容限界を超えたからかなー。最後の着地の瞬間の足のバンカーが腹にクリーンヒットしたからなー』

 

「そ、そうですか……」

 

 そこで雅人はぴたりと足を止める。

 

『ま、バンカーに対してはそんなに怒ってないんだよ。俺が間に合わなかった場合はそうしないと二人ともつぶれたトマトみたいになってただろうしな。

じゃぁ、俺が怒ってるのは何でだと思う?』

 

 響は必死に思考を巡らせる。

 ここで回答を間違えれば確実にお仕置きが待っているだろう。

 抵抗しようにも目の前の怒れる男の強さはこの1か月一緒に戦ってきた響自身がよく知っている。

 ギアを纏った状態ならば弦十郎との特訓のおかげで何とか戦えるだろうが、生身の状態では響に勝ち目はない。

 そもそも、ギアを纏う隙など与えてくれないだろう。

 

 夕暮れの河原に、沈黙が流れる。

 

「……カエル……ですか?」

 

 意を決して言った響の答えが、これだった。

 

 その答えを聞き、雅人は変身を解く。

 素敵な笑顔で響に笑いかけ、つられて響も笑顔になる。

 

「ハッハッハッハッハ……」

 

「あ、あはははは……」

 

「ハハハハハハ!!!」

 

「あははははは!!!」

 

「その通りだよバカ野郎!!」

 

「ごめんなさーい!!!」

 

 逃げようとダッシュした響を捕まえた雅人が、膝立ちになりその膝の上に響のお腹を乗せる。

 そして響のお尻をひっぱたいた。

 

「いったぁぁあああ!!!」

 

「カエルに加えて倒れた俺を放置して帰ろうとしたからだよ!! あんた目が合ったよな!? 着地直前で俺と目があったよな!? その後の仲直りは俺も感動したよ!! だけど俺を放って帰ろうとしたところで涙も引っ込んだよ!!」

 

「ご、ごめんなさーい!! ゆるしてーー!! やめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめて痛ぁぁあああ!!!!」

 

「……………………」

 

 夕暮れの河原に、2人の声が響く。

 雅人は散々響を叱りながらお尻ぺんぺんを続け、響はひっぱたかれるたびに悲鳴を上げる。

 

 そして状況に取り残された少女が1人。

 

 どうして雅人があんな鎧を着ていたのかとか、雅人も事情を知っていたのかとか、そもそもどうやってここまで来たのかとか、聞きたいことを何も聞けずにただ状況に流される少女……小日向 未来。

 

 やがて未来は携帯を取り出し、カメラモードで起動。

 逆光の処理をし、いまだにお尻ぺんぺんを続ける二人にピントを合わせ、シャッターを押す。

 

 カシャリ。

 

 夕日をバックにお尻ぺんぺんをする雅人と、それを受けて涙目になっている響というよくわからない写真を見て一言。

 

「……なに? これ?」

 

 雅人の怒りは日が落ちるまで治まらず、その日から丸一日の間響はお尻を抑えながら生活した。

 

 

 






 と言うわけで第九話、今まで空気だったペガサスさんの登場です! 本来の使い方をされてゴウラムさん歓喜!

 にしてもやっぱりシンフォギアの二次は少ないですね。もっと増えてくれてもいいのにどうしてこんなに……増えないのなら自分で増やせばいいか!
 それにしてもまさかお気に入りが40を超えるとは思いませんでしたねぇ。当初は「シンフォギアもマイナーな部類だし数ある仮面ライダーとのクロスだからお気に入りが10超えればいい方かなー」なんて思ってたのにさらに増えるとは……逆に感想が増えないんですけどね。アドバイスをしてくださる方もありがたいです。どうでもいいことで感想を書いてくださってもいいのよ? 皆さんのリアクションが見れるのが一番ありがたいですからね。

 さて今回の話はクリスチャンと未来さんの対面、ノイズの襲撃とOTONAの活躍、響と未来さんの仲直りの3本立て! これをすべて一話以内に収めてしまうシンフォギアの勢いに改めて驚嘆します。

 ふらわーのおばちゃんの出番はこれ以降あんまりありません。原作の方でも最終話で少し顔を出した後Gの最終話まで出番有りませんでしたしね。ふらわーもボロボロになったので本格的な出番は第3部までお預けです。
 そう言えばこれまで書いた話を読み直して気付いたんですが、実は主人公たちをメインに据えすぎてモブの描写があまりできてないんですよね。シンフォギアではバンバンエキストラの人達が死んでいくことでも有名ですし……まぁ一期は一話と十二話くらいしか死亡描写ないんですけどね。助けたられた人たちがいるということは必ず助けられなかった人たちがいると言う事なんで、その辺が悩みどころです。

 あとの大きなイベントは翼さんのライブと本部襲撃と最終決戦ですかね。何回か原作にない閑話を入れる予定です。下書きしてみたら最終決戦で雅人君が本格的空気になってました。だって彼空中戦とかできないし。こうなったらゴウラムにファイナルフォームライドするしか……!

「俺自身が……ゴウラムになることだ」

 ギャグですね。止めときます。

 では次回予告。


(……あたしは……これからどうすれば……)

「なんで、ノイズが大量にいる前線に出てきたんだ?」

「こういうのはね? 変に溜め込むよりもどこかで発散させる方がいいのよ。それに、2人とも男の子だしね」

「……どうした? 変身しないのか?」

「ホント……興味深いわぁ♪」

『俺は、あんな奴らのせいで誰かが泣いてるなんて許せないんだ』

             『大人』
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