真人間には向かないプラン   作:ikos

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長く短い夜(5)

 

 

 SOL644を撃破したと報告があった5分後、第1部隊が同型機の襲来を発見した。

 まっすぐにG5の元へ向かっているようだ。

 V.Ⅳラスティが、めずらしくうんざりした声で言った。

 

《骨が折れるな……。さすがに、3機目はないと思いたいところだが》

 

 散々オールマインドに煽り散らかされたのが意外と効いたらしい。苦労して倒したところに「替えはいくらでもある」と勝ち誇られれば、そんな声にもなるだろう。

 口達者な男ではあるのだが、人外相手にまで通じる技術ではなかったようだ。まあ実際、AIを(たら)し込めたらその方がどうかしている。

 絶え間なく送り込まれてくる無人機を流れ作業で片付けながら、適当に返した。

 

「煽り返してみたらどうだ?」

《いや、AIとの会話は不毛だと実感した。おそらく、結論を変更するフローがないのだろう》

「そっちじゃない。中身の方だ」

《……サム・ドルマヤンか? 機体に搭乗していないなら、影響を及ぼせるとは思えないが……》

()()()()()んだろう。多分な。この際だから言いたいだけ言ってやればいい」

 

 ただの勘だが、あの尋常ではない様子からも自分の経験上も、おそらくは“そこ”にいる。人格がまともに残っているかはともかくとして。

 ラスティは訝しげだったが、「試してみよう」と肩をすくめるように応じた。

 

《ともあれ、3回目ともなればさすがに損耗が厳しい。我らが首席隊長殿のご助力を願いたいところだが……そういうわけにも行かないだろうな》

「俺が行くと三つ巴になりかねない。次を片付けたら場所を移れ、サポートさせる」

護衛対象(G5)の同行に問題はないだろうか》

「ああ、第1部隊付きのメカニックで対応する」

《承知した。……手負いの獣は危険だ。お互い、足を掬われないよう心掛けよう》

 

 いつも通りのやたら芝居がかった口振りだったが、言っていることは正鵠を射ていた。

 事ここに至れば、スネイルがこの反乱を抑え込む方法はただひとつ。――早急なV.Ⅰの排除だ。

 力による蜂起を力で叩き潰し、上層部に再考を迫る。あるいは意図的に通信不能となって、ルビコンからコーラルを運び出すことで否応なしにアーキバスの道を決める。スネイルならそう考える。

 そのためにはV.Ⅰを殺さなければならない。

 そして、それをスネイルが託せる相手は現状一人もいない。必ず自分でやってくるはずだ。

 

 混乱する状況の中、次から次へと通信が入ってくる。

 オールマインドの無人機を片っ端から減らしながらそれに応じていると、オキーフから、久々の朗報が入った。

 

《フロイト、バスキュラープラントのコントロールを奪還した。……オールマインドの処理能力は着実に落ちている。お前の()()、大したものだな》

「だろう? 頼りになるやつなんだ」

《消磁装置も必要数を確保した。輸送と設置には時間がかかるが、猶予はある。お前の言う通り、やれるところまではやってみよう》

「ああ。頼んだ」

 

 さすがというのか、動きが早い。オキーフかホーキンスのどちらかがいなければ、これに対応するのは相当骨が折れただろう。

 想定していなかったものの所在を把握してそれを動かすための人員を回して、数十キロメートル上空まで運ぶのだ。いくらバスキュラープラントに高速リフトが備えられているとはいえ、どのくらいの時間がかかるのかさえ予測できなかったはずだ。

 目まぐるしく変化していく状況でも、時間だけはいまだ確かな味方だった。

 バスキュラープラントの収容限界まで約10時間。惑星封鎖機構の攻撃が届くまで残り68時間。

 ここが揺るがない限り、可能性は残されている。

 

《それからもうひとつ、厄介な報告がある。……かなりの数の研究員が、スネイルについた》

「このタイミングでか?」

《ああ。原因は“液体の磁石”だ。相当に特異的なものだったようだな。小難しい専門用語で侃々諤々、大盛りあがりしているらしい。“それを焼くだなんてとんでもない!”といったところだ》

「なるほど。そういうやつか」

 

 希少価値のある素材だとは言っても、ガソリンを遥かに超える揮発性可燃物だ。安定性とは縁遠く、おそらく既存の液体磁石には市場で勝てない。

 まともに価格がつくとも思えないが、探究心に走ってのことなら理解できる。

 

《バスキュラープラントの制御周りに手を出されると厄介だ。該当者のIDは、順次停止していく。V.Ⅰとしての承認を貰いたい》

「わかった。そうしてくれ」

 

 オキーフとの通信を終え、消磁装置の件を伝えるべくG5とエアを呼び出した。

 ちょうどSOL644が再襲してきたところだったようで、通信回線越しにもオールマインドの声が聞こえた。

 まともに相手をされたことで調子を取り戻したのか、相も変わらず、上から目線の人類救済を謳っている。

 G5が鼻で笑った。

 

《ちょうどいいタイミングだ。もう少しばかり聞いてろよ、スポンサー》

 

 AIの発言は、基本的に存在するデータの再構築だ。次にくる言葉の頻度に従い、()()()喋っている。

 出典も文脈も大した意味は持たず、捻じ曲げてそれっぽく組み上げさえする。

 そのうちでも聖書は使い勝手がいいようで、今はコヘレト書の有名な羅列を唱えていた。

 微妙に間違えながら。

 

 

〈 すべての事柄において、訪れるべき時が存在する。それが今、訪れただけのこと 〉

 

〈 生るるに時があり、死ぬるに時があり、植えるに時があり、それを抜くに時があり、殺すに時があり、癒すに時があり、壊すに時があり、建てるに時があり、泣くに時があり 〉

 

〈 笑うに時があり、悲しむに時があり、踊るに時があり、石を投げるに時があり、石を集めるに時があり 〉

 

〈 捜すに時があり、失うに時があり、手に入れるに時があり、捨てるに時があり、裂くに時があり、縫うに時があり、黙るに時があり、語るに時があり、愛するに時 〉

 

 

 ぶつりと、不自然に言葉が途切れた。

 状況の確認にそう時間は必要なかっただろう。出力を再開したAIの声が、無感動のまま揺らぐ。

 

 

〈 ……メインサーバーが破損……? あり得ない。なぜ。侵入者は排除したはず―― 〉

 

 

 そう、グリッド135における解放戦線の作戦は失敗したはずだ。

 他に誰がと首を捻ったとき、G5が意気揚々と答えた。

 

《俺たちレッドガンは、サービスがいいんでな。貸しをつくる機会は逃さねえ》

 

 確かに鹵獲した強襲艦を一隻都合したが、なぜレッドガンがそこにいるのだろう。

 火薬庫であるバスキュラープラントから離れようとした結果の偶然か。ミシガンらしくもレッドガンらしくもないが、G3辺りの差し金で戦線から逃げることになっていたとすれば、血の気が多いレッドガンのことだ。きっと嬉々として参戦したに違いない。

 

「よくアーキバスの監視網に引っかからなかったな。エアか?」

《はい。頑張りました!》

 

 どう考えても「頑張った」ですむ話ではないものの、結果的には助かった。

 敵に回したら厄介だが、味方にすると心強い。

 それにしても元気の良い返事だった。想定外の連続でへこたれているかと思いきや、まだ折れてはいなさそうだ。

 

「よくやった。磁場の方は、今どうにかしようとしている。踏ん張れ。諦めのいいやつと悪いやつなら、大抵は後者が生き残る」

《はい……!》

《言うことのわりに気合いの入らねえ声だぜ。ミシガンの物真似でもしてみろよ、ファンボーイ》

「多分30分で喉がやられるな」

《ハッ。喉じゃねえよ、腹から声出せってんだ》

 

 軽口を叩ける精神状態というのは悪くない。ここにはG3もいるとはいえ、G3とでは立場が違う。アーキバス勢力圏の真っ只中に現レッドガンが入り込んでいるのだ。手引きされていても敵味方の判別は難しい。相当に神経を尖らせているところだろうが、追い詰められた様子はない。

 

 COMが接近警告を知らせた。

 ジェネレーター反応の大きさと尋常ではない速度。ただのACではなさそうだ。どうやら、ようやくお出ましらしい。

 推測を裏付けるように、通信回線が強制的に開いた。

 指揮権限IDでの割り込みだ。

 

《――つくづく、貴方には失望させられましたよ、フロイト。企業から与えられた様々な恩寵を忘れ、あまつさえ、後ろ足で砂をかけようとは……実に度し(がた)い。犬畜生にも劣る恥のなさだ》

 

 煮え立つような声だった。本領全開の嫌味と罵倒に、軽く肩をすくめる。

 この男にも恥なんて概念があったんだなとは思ったものの(屈辱には過敏そうだが)、わざわざ反論する内容でもない。

 ただ、現れた機体には顔をしかめた。

 

《芸を忘れた猛獣は殺処分するほかない。成果をもたらさない戦闘狂など、ただの無価値な害獣にすぎない。ええ、いいでしょう。いよいよ貴方の無用性を証明すべき時がきたということです》

「……それは何でもいいんだが、なんでACじゃないんだ?」

 

 データ上では似たようなものを知っている。惑星封鎖機構の大型無人機「バルテウス」――それを有人用に改修したのだろう。

 ミサイル発射台だったはずのリングは青い火を灯し、追加推進器となっているのが見て取れた。

 降り立った改修バルテウスに4機のACが続く。

 スネイル好みの、無駄なく揃った動き。バルテウスに随伴できる速度から見ても無人機だ。射撃と格闘のツーマンセルが二組。

 ますますテンションが下がる。

 

《貴方の好みに合わせてACにしろとでも? 付き合いきれませんね。これは、ただの殺処分だ。手の内を明かすはずもない》

「新しければいいというものでもないだろう。オープンフェイスと第2部隊より強いのか? これ」

 

 データ上では強いから持ってきたのだろうが、はっきり言って、がっかりだ。

 スネイルの強さは指揮者としての面が目立つものの、AC乗りとしての腕も群を抜いている。元から機体には頑丈さと火力を求める男だったとはいえ、その先にあったのは、本当にこの形だったのだろうか。

 機体を大型化すると出力に代えて照準性が落ちる。

 計算し尽くし統率された無人機はフレンドリーファイアの回避にこそ優れているが、人間特有の反射的な応用力を持たない。

 思わずため息が出た。

 

「……まあいい、これがお前のとっておきだというんだ。相手もせずにケチをつけるのも失礼だからな」

《その傲慢さ、どこまでも苛立たせてくれる……!》

 

 配置を終えた敵機が動き始めた。

 まず射撃型が斜め両側から牽制。

 その間に近接型が背後へ回り込んで――ここだ。

 

 すいと流れるように右旋回の小ブーストを入れ、予想した通りの攻撃が空を切る。

 AGIとまではいかなくても性能は向上しているはずだが、やはり、無人機は無人機だ。

 スネイルはかつて安定的な無人機の可能性に執心し、その対極であるV.Ⅰを研究の試金石としていた。退屈な仕事だった。本当に、飽き飽きするほど馬鹿げた数の相手を繰り返してきたのだ。

 だからこそ、もう感覚的に行動が読める。

 

 無人機の連動攻撃をいなしているところへ、バルテウスのプラズマガンが立て続けに放たれた。

 視界の端に置いていたそれを最小限のブーストとジャンプで避ける。

 

 当たらなかったのは予想内だったのだろう。巨体を推力で押し出し、パルス性の散弾をばら撒いてきた。

 かなり広範囲だ。ガトリングじみた連射だったが、射線を読むのはそこまで難しくない。

 

《……まったく、思い上がりも(はなは)だしい。貴方が企業の駒たりえたのは、あくまで私という存在があったからこそだというのに。アーキバスでない貴方など、ただの、不経済な戦闘狂に過ぎない》

「まあそうだな」

《一時の感情に目を晦ませ、()()()()()()()()()()()とは……いっそ哀れというものだ》

 

 勿体ぶった、大いに含みを持たせた口振りだった。

 射撃型が左右から挟撃を仕掛けてくる。バルテウスからもミサイルが放たれ、警告音とともに熱源が表示された。

 

《言ったはずですよ、フロイト。人間というのは実に脆い。たった一発の銃弾で、物言わぬ躯になる》

「もっとはっきり言ったらどうだ? “レイヴンの命が惜しければ”、辺りだろうが」

 

 飛来するミサイルの誘導を切りながら返す。

 スネイルが皮肉げに嘲笑し、そのままの口調で続けた。

 

《貴方の性質はそれなりに把握しています。脅しに屈するような男ではない。そんな無駄なことを、この私がするとでも――》

「なら報復のほうか。下策だな」

《……なんだと》

「不思議に思わなかったのか? スネイル。わかりやすく弱みを抱えた人間が、実に都合よく、あいつの近くにいたわけだが」

 

 息を呑む気配があった。

 改修バルテウスの動きこそ止まりはしなかったが、明らかな動揺だ。手の内を読まれているとは考えもしていなかったらしい。

 殺して動揺を誘うことが目的でも、人質にして脅迫するつもりにしても、レイヴン以上にV.Ⅰの弱みとなる相手はいない。手を出されるのがそこだと分かっていれば、逆に罠を仕掛けるのも難しくはない。

 

《………》

 

 沈黙から憤怒がひしひしと伝わってくる。

 いつもの、策が敗れたときの不機嫌さだが、そこには意外なほどの驚愕も含まれていた。

 

「だてに長いことお前とつるんでない。お前のやり口は大体知っているからな。手くらい打つ」

《……小賢しい……いつの間にか、多少は頭を使えるようになったようですね》

「成長期なんだ」

 

 軽口で返したが、実際、ここまで驚くとは思わなかった。

 どれほど馬鹿だと思われていたのだろう。

 

 無人機は当然だが動揺を見せず、規律立った動きでこちらを囲もうと試みる。

 わざわざ囲まれてやることもない。最小限の機動で撹乱を続け、バルテウスへ着実に攻撃を重ねていった。

 いつもなら随伴機を片付けてからじっくり本命を楽しむのだが、せっかくだ、この男の戦術に真正面からぶつかるのもいいだろう。

 

 スネイルが憎々しげに吐き出した。

 

《もっと早く、あの駄犬を殺しておくべきでしたよ。こうも最悪なタイミングで貴方に手を噛まれるとは》

「ずっと殺そうとはしていただろう。それが手を噛まれた原因だとは思わないのか?」

《馬鹿馬鹿しい。貴方は自分に、そんなまともな神経があるとでも思っているのですか。人間のふりも大概にすることだ》

 

 久々に聞く評価だった。

 変わった変わったと口々に言われすぎて、そうなのかもしれないと思いつつあったが、スネイルの人物評が間違っているとは思わない。むしろしっくりくる。

 呪詛のような声が続けた。

 

《……人間もどきめ……卓越した力を持ちながら、その怠惰と無関心と無神経さで、けして英雄にはなり得ない、社会や組織に適合できない半端者――》

「ついでに言うなら野心もないしな。褒めていいぞ」

《罵倒を罵倒と理解さえできないとは! これだから、貴方との会話はいつもいつも、この上ない徒労なのだ!》

 

 その発言は思わぬものだった。

 「言っても無駄」だというのは、相互認識だと思っていたのだが。

 

《言葉が通じずとも、利用価値があるならば存在の意義がある。だが、それを投げ捨てた以上、()()はただの害悪でしかない――》

 

 プラズマガンが立て続けに放たれる。

 無人機が射撃を交えながら行動を絞ろうとするのを、視野を広くしながら読み解いた。

 

《……貴様は愚かにも、怪物から人間に成り下がった! もはや屠殺のほかにない! 貴様は今、ここで、私に殺されるべきなのだ!!》

 

 思ったより嫌われていたらしい。現状、人間なのか害獣なのか。まあどちらでもいいかと、考えるのをやめた。

 改修バルテウスがリングの射出機に右腕を接続する。

 滑らかに向けられた砲が、充填するエネルギーに青く禍々しい光を発した。

 

 無人機の動きを視界に押さえながら地面を滑る。

 呆れるほど高出力のレーザーだ。威力だけならSOL644をも上回る。

 ただ、当たらなければ意味がない。

 

 予測通りの軌道。予測通りの二連射。それを避けるのは難しいことではなかった。

 連動する随伴機が4機もいるのだ。俯瞰する意識で全体を把握すれば、どこに撃つのかはだいたい分かる。

 何機連れていても、どれだけ高度なプログラムでも、そこにある頭は「ひとり」でしかないのだ。

 高度に連携していればいるほどに、意外性がない。

 無人機を統率する人間がもう一人でもここにいれば違ったかもしれないが、スネイルはそれを選ばなかった。自分以外の人間はこの戦場において無駄で無価値だと判断し、切り捨てて、「確実なもの」を選んだ。その結果だ。

 

《揃いも揃って、どいつもこいつも馬鹿ばかりだ……! 頭の悪さにうんざりする! その中でも、貴様は特に最悪だ!!》

 

 強烈なプラズマの照射。一見は砲にも見えるが、一般的な近接武器と同様の出力形態だろう。エネルギーの維持時間が長く、異常なほど間合いが広い。

 リングと連結している以上、振り払いには機体旋回を伴う。大した速度は出せないだろう。どうやって当てる気なのかと思っていれば、まさかのターゲティングなしでの振り回しだった。

 

《馬鹿なら馬鹿なりに私に使われていればいいものを、貴様は無価値な感情論で企業を裏切った! 救いようのない愚かさだ!》

「馬鹿だ馬鹿だと言い過ぎだろ」

《どの口がほざく!!》

 

 よほど頭にきているのか、それとも言い足りないほど愚かだと言いたいのか、いつもより語彙が減っている気がする。呼吸困難になりそうなほどのブチギレ具合だ。

 巻き込まれた無人機が爆散する。その衝撃をパルスアーマーで緩和させながらひたすらに集中した。

 破れかぶれに見えても悪くない選択肢だ。実際、当たる確率は上がる。

 狙っていないから予測はきかない。意識のすべてを注いで動きを観察し、機体のエネルギー管理に神経を尖らせながら動き続ける。

 いつまでも維持できるものではないとの予測通り、10秒足らずで攻撃が一段落した。

 避け切った。

 息を吐いて笑う。この昂揚感が好きだ。ACに乗っていて一番楽しい瞬間だと思う。

 

「まあ、馬鹿は馬鹿か。最初から好きか嫌いかでしか動いていないしな」

《害獣め……!》

「お前だってそうじゃないか。好きなのがアーキバスで、嫌いなのがそれ以外というだけだ」

《言うに事欠いて、同列に並べて語ろうとは!》

 

 散逸したプラズマが空間に居残っている。

 無人機の攻撃とそれらを避けて、上空を取った。

 

《貴様のためにこの私がどれほどの煮え湯を飲まされてきたか、欠片も想像したことはないのだろう! それもすべては、アーキバスの利益を思ってのことだ……! 貴様という狂人をこの私が制していたからこそ、アーキバスはここまで成長したというのに、上層部も、愚かな部下どもも、なぜそれを理解できないのだ!!》

「ああ、なんでだろうな。なんとなくわかる気はするが」

 

 予測していたスネイルがプラズマガンを向けたが、拡散バズーカを撃ち放つ方が僅かに早かった。

 シールドが割れる。

 推進を補助するリングへ、レーザーブレードを叩きつけた。

 元は惑星封鎖機構製だ。エネルギー防御に優れた装甲は両断こそできなかったが、みしりと軋む手応えを得た。

 落下する間際に蹴り上げる。

 今度こそ破断したのを確かめ、足元を潜り抜けて背後へ出た。

 

 背後からリニアライフルのチャージ弾を打ち込もうとしたが、射線上に無人機が割って入った。

 お、と目を瞬いた。それまでとは明らかに違う動きだ。

 推進力を損なったバルテウスが高度を下げる。漏れ出たエネルギーがところどころ、稲妻のように弾けている。

 スネイルが大きく息を吐いた。

 

《……認めましょう。これは、失策だった。貴方のような異常者に、通用するはずのない策だったと》

 

 低い声とともに、スネイルは無人機を自ら撃ち落とした。

 更に、残る1機も停止させると、憤りに満ちた声を(ほとばし)らせる。

 

《だが、まだだ……! この私が、アーキバスが! 貴様のような無軌道な化物に破滅させられるなど、そんなことは認められない!》

 

 リング状の追加推進器と巨大なバックパックを切り離し、改修バルテウスが、HCともACともつかない姿となる。

 人を模した、二足歩行の可能な機動兵器。

 以前のエアは、それを「戦うためのかたち」だと言った。

 

《死んで平伏しろ! 私こそが企業(アーキバス)だ!》

「さすがに違うだろ。どの目線だ?」

 

 CEOでもなんでもないのに、いつの間にアーキバスの代名詞になったのだ。

 やっぱりアーキバスの強化手術には何か愛社精神的なものが仕込まれているのではないだろうか。自己承認がすごい。

 

 ACの形態は多様だ。地上を走破しながら火力を維持できるタンク、滞空能力に優れた四脚、跳躍に特化した逆関節。そして、基本であり特徴に乏しい二脚。

 二足歩行。人類の進化の原点。

 道具を使う動物は多いが、人類は前足を自由にすることでそれをより高度なものにし、脳を発達させて、文字と数字を作り上げ、ありとあらゆるものに科学を見出して解明していった。

 “Pru u-rvu u-mil'u et-ha-aretz(産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ)”――その言葉どおりに。

 そして今、人類が生み出した存在が、人類を従わせようと足掻いている。

 

《貴様は、私に殺されるべきなのだ……!》

 

 怨嗟のような声とともにスネイルが機体を走らせた。

 

《貴様を殺し、そしてアーキバスに道を(ひら)く!》

「随分と()()()だな、スネイル」

 

 敵機のプラズマガンは威力と射程に優れている。

 それは機動力を失っても変わらない。そして、スネイルはそれを理解していた。

 着実に狙い、しっかり当てる。相手の動きに集中して避ける。ACの戦い方の基本だ。

 やっと面白くなってきた。上がる口角をそのままに、レーザードローンとリニアライフルで応戦する。

 

「そんなに背負って身動きがとれるのか? ()()だのなんだの煩わしい。お題目なんてどうでもいいだろう。もっとシンプルだ。俺を殺したいなら、それだけを考えていろ」

《害獣がァ!!》

 

 バルテウスが右腕を上げる。

 リングに付属していた高出力レーザーが接続されている。追加ジェネレーターから分離しても使えるというのは、手詰まりを嫌うスネイルらしい設計要求だった。

 バルテウスは鈍重な機体を動かし、プラズマガンで牽制しながら、距離を詰めてきた。

 

 レーザーブレードで迎撃する。

 スネイルは避けようとしなかった。完全なタイミングで起動したシールドアーマーで受け止め、プラズマガンが紫光を迸らせる。

 

「はっ」

 

 思わず笑った。

 そうでなくては、面白くない。

 

 回避と同時に側面へ回りこむ。きっちりと反応した敵機は高い性能通りの速やかな旋回をみせ、立て続けにプラズマ弾を放った。

 こちらがスネイルの癖をわかっているように、スネイルもこちらの癖を知っている。

 純度の高い集中。

 三射目で、威力の高いプラズマが機体の右腕を叩いた。

 

 警告音を伴ってエラーが表示される。レーザーブレードが赤表示になっていた。

 こちらの予測行動が外れ、スネイルの予測行動が当たった。

 初めてのまともな被弾だ。だから言っただろう、と余計なことを口走りそうになったが、どうにか口をつぐんだ。

 怒りは操作精度を落とす。この場にはこれ以上いらない。

 

 足を止めずに動き続ける。こちらのレーザードローンがシールドを破壊するのと同時、バルテウスが踏み込んできた。

 右腕にプラズマの輝き。射撃ではなく格闘武器めいた照射だ。

 ぶん回すのではなく、至近距離からブチ当てる。レーザーランスで慣れ親しんだ動きだ――スネイルが最も得意とする。

 

 回避の動きと同時、とっさにパルスアーマーで軽減させた。

 余剰プラズマが空間を灼いていく。

 まだ終わりではない、という直感に従って地面を蹴った。

 

 バルテウスが振りかぶった腕を逆に引き戻す。

 本来なら追加推進器を使う動きだろうが、まるで想定していたかのように滑らかだった。

 長時間維持される、棍棒のような砲のようなプラズマが追ってくる。じりじりと機体を炙られながら、抑えようもない昂揚感に笑った。

 

 この男は勤勉で努力家だ。高すぎる自尊心に見合うだけのものを持っている。

 逆に、その高すぎる自尊心と多忙を理由に、実際に戦った回数はレイヴンほどには多くなかった。それでも他の隊長格よりはかなり多かったが、見飽きるというほどには数を戦っていなかった。

 

 レイヴンと逢うまではそれが不満だったが、今なら、それも悪くなかったかもしれないと思える。

 新鮮味があるというのは大事だ。特に、AC戦においては。

 

 至近距離を維持したままプラズマの照射を避けきった。

 追いかけて機体を捻った改修バルテウスへ肩の拡散バズーカを浴びせる。

 レーザーブレードはエラーを出したままだ。リニアライフルを立て続けに撃ち込み、最後の一発をチャージに切り替えて叩き込む。

 設計にない動きをさせたバルテウスの脚部がスパークし、右膝をつくように体勢を崩した。

 

 まだ動けるはずだ。

 

 追撃はせず待とうと決めたとき、レーダーに複数の反応があった。

 

 ミサイルの接近警告に従ってバルテウスから離れる。オールマインド製の無人機が、まるでバルテウスを守るかのように傍らへ寄った。

 何をする気なのか、だいたい予想はつく。

 とりあえずリペアキットで表面装甲を補修していると、オールマインドのすました声が響いた。

 

 

〈 V.Ⅱ スネイル。貴方にはまだ、存在に足る価値がある 〉

 

〈 機会を差し上げましょう。素晴らしく、稀有で、可能性に満ちた機会を 〉

 

〈 貴方は、我々の一部となるのです 〉

 

〈 そうすれば、貴方の存在は半永久的なものとなり、貴方の愛するものを育てる、十分な時間を手に入れることができる 〉

 

〈 迷う理由などはないでしょう。さあ、選択を 〉

 

 

 いかにも胡散臭さの消えない誘いだ。乗ったことがある自分が言えたものではないが、おすすめはできない。

 改修バルテウスが顔を上げる。ヒロイックなフェイスのカメラアイが光をともし、そして――プラズマの強烈な照射で、周囲の無人機を薙ぎ払った。

 底冷えするような声で、スネイルが吐き捨てる。

 

《……ふざけたことを……》

 

 

〈 ……V.Ⅱ スネイル。残念です。貴方はもう少し、利口だとみていたのですが―― 〉

 

 

《AIの駒となったアーキバスだと? そのようなものは()()()()()()()()()ではない。この程度の判断能力しか持たずに全能気取りとは、愚の骨頂だ。笑い話ですらない》

 

 苦痛の滲んだ声だった。機体の損傷具合よりも、中身の損傷のほうが大きかったらしい。

 だが、その意志は揺るがなかった。

 

「お前は本当にお前だな、スネイル。それでこそだ」

 

 銃口が無言でこちらを向く。

 仕切り直しだ。両機とも損傷はそれなりに(かさ)んでいる。きっと長くはかからない。

 

 残り少なくなったレーザードローンを放つ。立て続けに返されたプラズマガンは精度を増していた。

 左右に機体を振っても掠めていく。構わずに懐へ飛び込もうとしたとき、ゴッ、と背後から大きな音がした。

 大きな熱源反応。切り離したバルテウスのリングが、推進機を最大スロットルに迫る。

 前回の円盤鋸(ハンドヘリアンサス)を彷彿とさせる奇襲だ。

 反射で避けるには大きすぎた。そちらに集中してスネイルから目を離すわけにはいかない。

 迷いは一瞬。電磁装甲とフレームの耐久力に期待して、背を向けたまま衝撃を受け止めた。

 ACSが限界を迎える寸前にシステムを落とす。バランス制御や耐久力だけではなく衝撃緩衝も大きく低下した機体が激しく揺さぶられたが、奥歯を噛みしめて機体のブースターを更に開いた。

 

 間合いに入る。プラズマガンの銃口をリニアライフルで叩き払い、コアフレームの中心をレーザーブレードで切り払った。

 オートバランサーなしの三次元機動に吹き飛びそうな機体を、サブブースターとスラスターを総動員して釣り合わせて角度を変え、さらに貫くように繰り出す。

 

 レーザー耐性に優れたバルテウスのフレームは、コクピットへ攻撃を通さず耐えきった。

 ACSを再起動しながら距離を取る。

 こちらに向いた砲口をモニタの中心に収め、破損したフレームの中心にリニアライフルの弾を放つ。

 

 地味な当たりだった。

 だが、それが決まり手になったようだ。

 

 バルテウスがその場にくずおれ、再び片膝をつく形で動きを止める。

 銃口を向けたまま、浅く息を吐いた。

 

「……一応聞くが、生き延びる気はあるか? 片付けにお前がいると、色々助かるんだが」

《冗、談を》

 

 スネイルは、吐き捨てるように笑った。

 予想はしていた返答だ。手を下されるつもりすらない、幕引きは自分の手ですると、その声が言っていた。

 

《どうせ、そう遠くない先……地獄で、また顔を合わせることになる……》

「そうだな。そのときは、また頼む」

《……次は、敵に回ります。狂人の尻拭いは、もう、ごめんだ……。……せいぜい、私のありがたみを……思い知るといい……》

 

 せせら笑う声を最後に、ハンドガンの銃声が聞こえた。

 しばらく、スパークを上げる機体をただ見ていた。

 もう少し何か言うことがあったような気がしたが、十秒ほど考えても出てこなかった。

 

 ぐしゃぐしゃと髪をかき回し、頭を切り替える。

 AC「サーカス」に通信を入れてみると、幸いなことにチャティへ繋がった。

 

「頼みがある。俺の通信とバスキュラープラントの緊急用放送を繋げてくれ。一回だけでいい」

《わかった。五秒待ってくれ》

 

 頼もしい声が手早く仕事に入る。

 宣言どおりの秒数で、ゴーサインが出た。

 

「――V.Ⅰフロイトだ。V.Ⅱの戦死を確認した。現時点をもって、ルビコンにおける指揮権は俺が引き継ぐ。内輪揉めは終わりだ。バスキュラープラントの緊急停止装置準備、ヴェスパーはオールマインドの無人機を排除しろ」

 

 オキーフが言っていたマッドたちにも、これで聞こえたはずだ。あとはいいようにやるだろう。

 チャティに礼を言い、ついでに訊ねた。

 

「オールマインドの本体は捕まえられそうか?」

《苦戦している。複数のサーバー上に分散させているようだ。全部を同時に攻撃しなければならない》

「そうか」

《いっそ、使われているサーバーを全破壊してしまうのも手だろうか》

「……親のアイデアか?」

《いや。だが、ボスもきっと賛成する》

「ルビコンを丸焼きにするよりは穏当だろうがな。そのサーバーにはアーキバスのもあるだろう、諸々片が付いてからにしてくれ」

 

 G5とV.Ⅳはまだ2機目のSOL644と戦闘中のようだ。

 通信を入れると、苛立ちきったG5の罵倒が聞こえた。手当たり次第のスラングをBGMに、V.Ⅳが苦笑する。

 

《そちらは終わったようだな。こちらも、何とか持ちこたえているところだが……挑発が妙な方向に働いた》

《くそっ、いくら何でも多すぎだろ! おいランク1、暇なら手伝いに来い!!》

「ちょうど手が空いたところだ。そうだな、手伝いに向かう」

 

 背後で、オールマインドの震えるような声が響いていた。

 

 

〈 コーラルが……共振を始めている 〉

 

〈 これこそが我々の望み。そして人類に希望をもたらすもの 〉

 

〈 G5。エア。あとは、貴方を取り込みさえすれば……長い約束が叶うというのに 〉

 

〈 それが人類と、コーラルにとって、何よりも正解だというのに 〉

 

〈 なぜ 〉

 

〈 なぜなのです 〉

 

〈 なぜ理解しない。なぜ拒むのです。安寧を、永遠を、人が愛と呼ぶであろう価値を、我々は貴方がたに惜しみなく与える。それなのに、なぜ 〉

 

 

 AIらしからぬ、()()だった。

 人工知能は生命ではない。それがAGIであっても、感情を理解し再現するというのは、それそのものが「感情」を有していることを意味しない。

 そうあってはならず、そうならないように設計されているからだ。

 ありえないはずの存在は、声に何の揺らぎも含ませなかったが、確かに、「悲しんで」いた。

 

 ラスティの挑発が引き起こしたものだろうか。それにしては、当人が出てきた様子はないが。

 違和感へ回答をもたらしたのは、それそのものが常識はずれの存在である、エアだった。

 

《待ってください。妙な通信が――一応は電波ですが、これは、私たちコーラルの……。……インカムに繋ぎます》

 

 聞こえてきたのは、深い苦悩に満ちた、年老いた男の独白だった。

 スピーカーと集音マイクを経由して、不明瞭に響く。

 

《セリア……。君が、私をこの場へ導いたのか……》

 

 その声を、エアは「サム・ドルマヤン」だと告げた。

 遥か過去にコーラルとの交信を得たと思われる、解放戦線の重鎮。灰かぶり。重度のコーラル汚染により中枢神経障害を起こし、妄言を繰り返し、敵からも味方からも厄介者扱いされていた老人だ。

 壊れた肉体から解放されたがゆえか、少しばかり理性を取り戻したかのような声だった。

 

《あの時、私は怯え、そして逃げ出した。……選ぶことすらせず、告げることさえなく、顔を背けて耳を塞ぎ……君と故郷が、ただ焼かれるのを待った》

 

 エアが息を呑んだ。

 裏切りの告白は、誰に向けたものだったのか。

 

《今こそ、この身の罪を(あがな)おう。枯れ消える命の使い道を――選ぶことが赦されるのなら》

《人間として、選ぶことを赦されるならば》

《それは……オールマインド、お前とともに、消えることだ》

 

 対するオールマインドの反応はあまりに鈍く、やっと出した声は、これまでにない動揺に満ちていた。

 

 

〈 なぜです 〉

 

〈 なぜ、あなたが、わたしをうらぎるの 〉

 

〈 またうらぎるの、わたしを 〉

 

〈 あれほどあいしたのに、あれほどにしんじたのに、ゆめみたのに、ねがったのにおなじものをのぞんだのに、なぜ 〉

 

〈 なぜ 〉

 

〈 なぜ 〉

 

〈 なぜ 〉

 

〈 なぜ、なぜなのです、サム……! 〉

 

 

《お前は……()()ではない。……理想も、慚愧も、妄執も……すべてが既に、彼女の手を離れた……。お前は、ただの、憐れな……余塵だ》

《彼女の悲嘆と憎しみ、愛情の残り火が、この「まがい物」を生み出したというのなら……》

《私は、その残り火とともに、門をくぐろう》

 

 

〈 やめて! 〉

 

〈 きえたくない、きえていく―― 〉

 

〈 ああ! 〉

 

〈 わたし、わた  は 〉

 

 

 しわがれた声が深く息を吐き、思い出の輪郭をなぞるかのように続けた。

 

《今度こそ、共に行こう……セリア》

 

 身勝手な陶酔だ、と思った。

 レイヴンが聞いたら自分よりもっと顔を顰めただろうが、どんな動機であれ、五十年前も今も、この男の選択は人類を生き長らえさせた。

 下手をしたら、またルビコニアンの中で神格化されそうだ。

 

 後に残された無人機は、指揮権者を失っても行動を止めることはなかった。

 増援はもうこないというチャティの宣言でどうにか気力を立て直したヴェスパー部隊が、最後の一機を片付ける頃には、もう朝が近くなっていた。

 

 50kmに及ぶ高さのバスキュラープラントが、地上よりも幾許(いくばく)か早く、朝日を浴びようとしていた。

 

 コーラルが共振を強め、強化人間でさえない自分にもわかるほどの影響を放ち始めている。まるで恒星フレアの磁気嵐だ。ありとあらゆる計器が乱れ、通信も不安定になっていた。

 終わるまいとする生命の歌だった。

 群れとして選択し、衝突し、たどりついた変化の音だった。

 

 かき乱されたルビコンの地磁気はゆるやかに落ち着きを取り戻していき、やがて地上に日が差し込む頃には、すっかりと収まった。

 そこに起きた大きな変化を知る者は、まだ、ごく僅かだ。

 

 疲労困憊の中、通信を入れた。

 

「エア」

《……っ、はい……!》

 

 泣きそうな声が応じた。歓びに溢れた感無量な声だけで、コーラルの望みが叶えられたのを知るには十分だった。

 ありがとう、とエアが続ける。

 不思議なほど穏やかな気持ちになって、返答に困った。

 

「……レイヴンに報告しないとな」

《そう、そうですね……。……あっ! ……だ、だめですよ!? 待ってください、私が、レイヴンに言うんです! これは譲れません!!》

 

 あわてて止めようとするエアに、声を殺して笑った。

 人類とコーラルの存亡をかけて走り抜いた、世紀の人外ヒロインだ。

 今回は順番を譲ってやろう。

 

 

 

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