プリキュア:オリジン   作:柳瀬塔矢

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5-1 もう一人の星の守り人

 

何度か街に怪物が現れるようになり、人々の間ではもはや慌てる事こそあれど怯える事は無くなっていた。急がなければ行けないがそれだけの事だと。だからこそ、今回のコレは怠慢であると言えた。

 

ソレは少し時を戻す必要がある。いつもの通り怪物が現れ、謎の戦士が現れ、怪物を倒す。そこにこれまでとの差異などない。だからこそ、【逃げない】人が居たのだ。その背景はとても簡単である。

 

その企業はブラック企業と呼んで差し支えない企業であった。だからこそ、これまでの被害から計算して逃げなくても良いと睨んでソレを社員にも強要したのだ。だから今回、被害を負うのだ。

 

瞬間、窓ガラスが割れ、謎の戦士が吹き飛んでくる。

 

「貴様!我が会社の営業妨害をするつもりか!?」

 

少女は驚いていた。ソレは当然だ。何故なら【逃げなければ死ぬ】と分かっているからだ。自分は偶々倒せるから立ち向かうのであって、ソレを一般人には押し付けられないのだ。

 

「早く逃げてください!今は何よりも命優先でしょう!?」

 

「ソレを決めるのは若僧の貴様ではない!この私だけだ!」

 

その時、怪物が飛んでくる。少女は守る事のみを考えた。あんなのでも一般市民だ。守らなければ、と言う思考が頭を駆け巡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うのを彼は見ていた。そのビルは戦場から少し離れた位置であった為、誰にも見られていないだろう。彼は地上に降りて宝石を指輪に嵌める。

 

「そろそろ一度まともに顔合わせておくべきかぁ?・・・まぁ我ぁが守るもんは人じゃ無うて文明じゃてあ奴らはどうでもいいしのぅ?」

 

 

 

「力を貸せ。それが星の運命である」

 

 

 

黒い光が彼の身体を包み、光が消えた時、その場にいたのは燕尾服を身に纏った男であった。そして、周囲に風圧を与えその場から消えた。

 

 

 

そして怪物の後ろを取り蹴りを入れる。

 

「ブルルルァァァ!?」「誰!?」「だれだ!?」

 

そして少女は気がつく。あの時の【燕尾服の男】だと。

 

「闇に生まれ、絶望と共に過去に縋るーーーキュアシャドウ」

 

そして怪物に対して追撃する。もはやオフィス内はぐちゃぐちゃになっている。そうなったら勿論この男は激昂するだろう。

 

「何をしてくれる!?ここは私の会社だぞ!?」

 

ソレに対してキュアシャドウは冷徹な雰囲気のまま変わらず社長と思わしき男に向かっていく。

 

「私が守るのは文明だ。ならば貴様は文明に対する癌であるとしてこの場で排除してもいいんだぞ?」

 

手元にはいつの間にかナイフがあった。それが首元に当てられている。ソレを見て止めるのは勿論この少女である。

 

少女は彼の腕を握り、ナイフを叩き落とした。

 

「駄目!ソレを名乗るなら人は守らなくちゃ!」

 

しかし彼は溜め息をする程度であった。まるで呆れるように。

 

「だからなんだ。別にここが無くとも社会は周り、人は滅びんよ」

 

確かにそうである。別に・・・と思ってしまったがそれでも、一般市民である事には変わりないのだ。

 

彼は少女の腕を払い、怪物の元へと飛んでいった。ソレに続いて少女も彼を追いかけた。確かに守らなくてはならない相手だが、だからと言って怪物が居ないのに守る程大事な存在でも無いのだ。

 

 

 

そして追いついた時、喉から出た声は本心である。思考を挟まず出た人類が余り露わにしない本物の【本音】であった。

 

「なんで!周囲の事を顧みないの!?」

 

それに対して彼は少し考えて・・・考えた上で、答えなかった。まるでそれは知らなくてもいい事のように。そして、上から怪物が落ちてくる。それを視認するや否や彼は拳を構えた。そして、無言で怪物を貫いた。ソレが当然である、と言わんばかりに。そして怪物が消滅した後、彼は彼女の方を振り向き、話しかける。

 

「貴様は、何故人を助ける?その先に何がある?・・・それは私も同じか。まぁ、我々が助けるべき相手は星々である。文明である。それを支えている存在は確かに守らなければならないだろう。しかし先程の人間は守るに値しない存在だった。ならば何故守る理由がある・・・?」

 

少女は怯んでいた。目の前の存在の異質さに。その強さの一端を知っているから、本能が叫んでいた。逃げろ!と。しかし理性がソレを押さえつけていた。

 

「私達が守るべきなのは人々でしょ!?ならあの人達ですら守らなければいけない存在だよ!?」

 

彼は即答した。「否」と。そして続ける

 

「貴様がどう説明受けたのかは知らないが我々《星の守り人》は文明を守る為に星々に選ばれた存在だ。だからこそ、我々は等しく全員ではなく、損得勘定で動く必要があるのだ」

 

それを聞き、彼女は混乱していた。なにせ星の守り人は人々を守る物だと思っていたからだ。だからこそ、嫌いな相手ですら守る必要があると思っていたのだ。しかし文明を守る・・・?

 

 

 

この出会いは後の世に語られる出会いである。星々の運命を決める戦争の火種であり、人と言う種の傲慢であり、それを裁く存在の不在が及ぼした当然の結末であると言われた【侵略戦争】の、誰も気が付かないきっかけであった。

 

 

 




侵略戦争はアニメ版だと2年目の話ですね。・・・そこまで書けるかは若干不安になって来ました。
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