プリキュア:オリジン   作:柳瀬塔矢

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3-2 同上

 

街は壊滅。人はいない。ただひたすらに。それを眺める男が1人。

 

「やはりまだ立てぬか。まぁしょうがない事ではある。しかしここで我が動いても彼奴の為にもならん。ならばこそ我がするのは静観ただ一つ。あの場で助けたのもあそこで彼奴が死ぬのを避けたかったからこそなのであって」

 

と言って後ろを振り向く。そこにいるのはオーガであった。

 

「我は理由を持たずして敵対する愚行は犯したくない。それに今の貴様では我に勝てない事が分からぬほど阿呆では無いだろう?」

 

「それでも最低でも貴様の足止めはしなくてはならない。そうでもしなければ貴様が我らの障害足り得るからだ」

 

「ならば見ておれ。どうせ我にこの街を救う理由は在らず。故に我がアレを倒す理由も在らず」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中、独り慟哭するは運命の少女。声は止まず、ただひたすらに続く。耳は塞ぎ目は閉じ全てを遮断するその姿は現実との拒絶であり、それは現実との対面でもあった。

 

一通り嘆いた。一通り泣いた。このまま動けないなら望んだ未来は無い事くらい知ってる。怖い、怖い、怖い。身体が動けるかはわからない。だけど、今嘆くのは、もう充分。あとは、全てが終わってからだ。

 

キュアジュエルが白く輝く。変身者が前を向いた事に呼応したのかは分からない。だけど、今ならきっと前に進めるはずだ。

 

 

『チェンジ、プリキュア!』

 

その言葉を唱えると同時、ジュエルは光りだし、携帯に光の線が浮かび上がってきた。そのまま蓋を閉じ、次の句を唱える。

 

「星にーーー光を!」

 

ジュエルを半回転。その後左手だけで天に掲げ、天からの光が身体を包んだ。コスチュームは白を基調としており、胸元にはふんわりとしたリボン、腰元から広がるスカートと所謂分かりやすい姿だった。髪は赤寄りの茶色から銀色に、瞳は真紅になった。また、髪はポニーテールで纏められており、動きやすい印象を受ける。ーーーまぁ前回も変身したのだから姿は変わらないだろう。

 

「光に生まれ、影を知りて尚輝きと共に未来を夢見るーーーキュアシャイン!」

 

そして街の真ん中に現れ、怪人と相対する。考え無しでは突っ込めない。それにいつ角の化け物が来るかは分からない。相手の攻撃を受け流し、カウンターを入れる。詰められたら投げ飛ばし、適度に距離をとる事によって致命傷は避けている。

 

(初めての形態。だけど生態が変わってないなら倒せるはず)

 

光の力を拳に集める。後悔とか、恐怖心とか、死に対する形容できない感情とか、まだ残ってる。それでも、今一歩だけ、進めた気がするのだから。

 

「プリキュア!シャイニング・・・インッパクトォォォ!!!」

 

その拳は怪人を貫く。しかし人を殺した感覚はない。元々わかっていたのだ。あの中に人などいないと。だからこそ思い切りよく振り抜く事ができた。そしてその予想通りに怪人は崩壊していき、その場には何も残らなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、人を殺せるとは!これはこれは想定外だった!」

 

そう言い残しオーガは拠点へと去って行った。そして1人残った男は何かの力を掌に収束させる。

 

「過去に縋れ。栄光を写し、現在(いま)になれ」

 

その力は街全土に広がる。その力の波動に触れた建物が治っていく。時が戻る様に。その光景はまさしく魔法。奇跡とも呼べるだろう。

 

「キュアシャイン・・・まだ様子見だな。我が名乗るのはまだ先であろう。しかし、いつか必ず【この姿】で君の前に現れようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時ほぼ同じくして国会議事堂。議題は【源流市に現れた奇怪生物への対処法】であった。

 

「あの存在がこれまで発見されてこなかった生物であるのは明白の事実!ならば自衛隊を派遣してでも止めるべきです!」

 

「しかし街の中で自衛隊が発砲するなど国民の非難がだなぁ・・・」

 

「そんな事言ってる場合ですか!?非難する国民すらも居なくなるのですよ!」

 

「あのねぇ、なんでそんなに焦って居るんだい?どうせまたあの少女が倒してくれるでしょ。彼女を見逃してるのは偏に私達に利益が出てるからだ。そこに自衛隊なんか派遣してみなよ。彼女を逮捕せざるを得なくなってしまう」

 

今会話してるのは2人。必死なのは女性である。それに対してのらりくらりと流しているのは太っており髪も少ないまさしく【老害】と呼べるだろう男である。

 

「それこそ彼女への支援として派遣すれば良いではないですか!彼女は自らの意思で建物を崩壊したりはありますがあの状況を見ればそれは避けられない被害!謂わば災害なのと同じなのです!」

 

「災害なのならば余計に自衛隊が即座に迎えないではないか。被害が終わってからが彼らの役目なのだからね」

 

「今!あの生物に対抗出来るのは彼女だけ!銃火器が通じるかは不明であるため該当地域の避難誘導など出来る事は多いではないですか!」

 

「あのねぇ、なら言うけど」

 

と男が一言間をおく。

 

「彼女が生きている間は自衛隊は派遣しないよ。だってしなくても何とかなってるじゃん。それなら金の無駄でしょ。派遣した分私たちのお金も減るしね。それは嫌でしょ?」

 

「いえ、それが彼女の為になるのなら私は一向に構いません!」

 

 

 

懐疑は踊る、されど進まず。しかし希望の光は存在する

 

 




来週のプリキュア:オリジン!まだ恐怖が残ってるけど、これからも頑張らなくちゃ。だけど1人は寂しいもので・・・次回、話題のあの人
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