鬼柳:LP4000
???:LP4000
「俺の先攻、ドロー。……モンスターをセット。カードを3枚伏せる」
鬼柳:手札6→2
「オレはこれでターンエンドだ」
「俺のターン。ドロー!」
???:手札5→6
「フィールド魔法《クローザー・フォレスト》を発動!」
炎の壁の内外に、枯れ木のみが並ぶ不気味な森が広がっていく。
さすがにこれはソリッドビジョンだと思いたいが、闇のゲームに常識は通じない。
「さらに俺は《ファイターズ・エイプ》を召喚!」
それを気にする間もなく、闘争心に支配された大猿がフィールドに呼び出される。
「バトル! 《ファイターズ・エイプ》で守備モンスターを攻撃!」
雄叫びと共に、固められた拳が鬼柳のモンスターを襲う。
「トラップ発動! 《インフェルニティ・インフェルノ》! 手札を2枚捨て、デッキからインフェルニティを2体墓地へ送る! そしてこれでオレの手札はなくなった!」
ガギッ、と不気味な音を立てて《ファイターズ・エイプ》の拳が受け止められる。
気づけば、黒い盾の中心に抱かれたドクロがその拳を噛み止めていた。
「《インフェルニティ・ガーディアン》の効果発動! オレの手札が0枚の時、このカードは破壊されない」
鬼柳:手札2→0
「壁モンスターか……カードを3枚伏せ、ターンエンド」
???:手札4→1
攻撃を防がれたことにやや渋い顔を見せつつ、男がターンを終える。
「オレのターン!」
鬼柳:手札0→1
インフェルニティデッキは一度ハンドレスになれば、毎ターンのドローが戦術の鍵を握る。
引いたカードを見て、鬼柳は即座にそれをディスクに差し込んだ。
「魔法カード《バレット&カートリッジ》! デッキからカードを4枚選んで墓地に送り、1枚ドロー! このカードは発動後、墓地に送らずデッキの1番上に戻す」
《バレット&カートリッジ》
通常魔法
①:デッキからカードを4枚選んで墓地に送り、自分はデッキから1枚ドローする。このカードは発動後、墓地に送らずデッキの一番上に表側表示で戻す。
②:表側表示のこのカードがデッキの一番上にある場合、自分のドローフェイズの通常のドローの前に発動する。このカードを墓地に送る。
鬼柳:手札1→0→1
この効果でインフェルニティを一気に墓地に送り、攻撃の用意をする。
デッキの中を確認して目当てのカードを選び出す鬼柳だが、その中で違和感を覚え、ついで瞠目した。
(!? 何だ、このカード……知らねえぞ!? いつの間にオレのデッキに!?)
疑問を覚えはしたが、今は追及している場合ではない。
見知らぬカードのテキストを数秒で確認し終わると、改めてカードを墓地へ叩き込んだ。
「! 来たな……手札が0でこのカードをドローした時、相手に見せることで特殊召喚できる! いでよ、《インフェルニティ・デーモン》!」
そして引き当てたカードはインフェルニティの核。
ローブをまとったような姿の悪魔が鬼柳の元に現れる。
「モンスター効果! こいつの特殊召喚に成功した時に手札が0枚なら、デッキからインフェルニティと名のつくカードを手札に加える。永続魔法《インフェルニティガン》を選択し、そのまま発動!」
鬼柳:手札0
(とはいえ、デーモンとガーディアンじゃシンクロはできねえ。ここは出し惜しみなしだ!)
「オレの手札は見ての通り0枚。《インフェルニティガン》を墓地に送り、効果発動! 墓地からインフェルニティを2体特殊召喚する。来い、《インフェルニティ・ネクロマンサー》! 《インフェルニティ・リベンジャー》!」
そして、骸骨の呪術師と二頭身のガンマンが揃う。
(どっちを残すか……よし)
「ネクロマンサーの効果発動! オレの手札が0の時に発動でき、墓地からインフェルニティを特殊召喚する! 蘇れ、《インフェルニティ・ジェネラル》!!」
さらに5体目、大剣を担いだ煉獄の武将が参戦する。これでモンスターが一気に5体並んだ。
「レベル4の《インフェルニティ・デーモン》とレベル3の《インフェルニティ・ネクロマンサー》に、レベル1の《インフェルニティ・リベンジャー》をチューニング!」
「死者と生者、ゼロにて交わりし時、永劫の檻より魔の竜は放たれる! シンクロ召喚!!」
「これが、死神の真の力だ! いでよ、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》!!」
夜闇を切り裂くチューニングの光、ついで再度降りた暗闇の帳の中に現れる、煉獄の竜。
両肩から伸びるハサミ状の腕と、細く長い本来の腕、ギョロギョロと蠢く四つの眼球、露出した脳を囲んで伸びる角。
動き出した死体とでも言えそうな、漆黒のドラゴンが戦場に立つ。
「これが貴様のエースモンスターか!」
「手札は0。よってオレは《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果を発動! 相手フィールドのモンスターを1体破壊! その現在の攻撃力の半分のダメージを与える! インフェルニティ・デス・ブレス!!」
炎の息吹が《ファイターズ・エイプ》を焼き尽くし、謎の男のライフを削る。
???:LP4000→3050
「ぐうっ!」
「バトル! 《インフェルニティ・ジェネラル》でプレイヤーに攻撃!
さらに駆け込んだジェネラルの一撃が、綺麗に決まる。
???:LP3050→350
「がっ、は……くっ、やはり借り物のデッキではダメか……!」
「3枚もリバースがあるのに何もしないだと……? 効果を使ったターン、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の攻撃はできない。オレはこれでターンを終了する。……攻撃しとくべきだったか?」
やはり、多忙に伴う疲労で少々カンが鈍っているらしい。
こんな調子じゃやばい、と鬼柳は改めて自分を奮い立たせる。
鬼柳:手札0
「俺のターン!」
???:手札1→2
「手札より魔法カード、《壺の中の魔術書》を発動! お互いに3枚ドローする」
「何!? クッ……!」
が、ここで相手が発動したのは双方へのドローカード。
普通なら相手に塩を送ってしまうリスクが高いが、鬼柳に対しては有効な手だ。ターンが回れば使い切れるとは言え、このターンの間全てのインフェルニティは無力化する。
鬼柳:手札0→3
???:手札2→4
「そして行くぞ、永続トラップ《強化蘇生》を発動! 墓地から《ファイターズ・エイプ》を特殊召喚。さらに《DTダーク・エイプ》を攻撃表示で召喚!」
「ダークチューナー……!!」
現れたのは闇を纏う猿のモンスター。
ダークシグナーが用いる黄泉の力、ダークチューナーモンスター。素材のレベルから自身のレベルをマイナスすることで、レベルマイナスのダークシンクロ召喚を行う特殊なチューナーだ。
だがそれには、ダークチューナー側のレベルが高くなければならないが、あのモンスターはレベル2。
(もちろん、それをどうにかする手段があるってことになるが……)
「魔法カード《ダーク・ウェーブ》を発動」
《ダーク・ウェーブ》
通常魔法
①:EXデッキのDSモンスター1体を相手に見せ、自分フィールドの「DT」チューナー1体とチューナー以外のモンスター1体ずつを対象として発動できる。このターン、その「DT」チューナーのレベルは、見せたDSモンスターとその自分のモンスターのレベルの合計と同じになる。
「ダークシンクロモンスターを公開することで、そのレベルを俺のモンスターに追加する。《猿魔王ゼーマン》を公開する」
「!」
「素材モンスターのレベルからダークチューナーのレベルを減算することで、ダークシンクロを行う! レベル4の《ファイターズ・エイプ》に、レベル11となった《DTダーク・エイプ》をダーク・チューニング! 暗黒より生まれし者、万物を負の世界へと誘う覇者となれ!」
「ダークシンクロ! いでよ、《猿魔王ゼーマン》!!」
《ファイターズ・エイプ》を砕いて飛び出した7つの黒い星が闇を呼び、その中から杖と魔術師の装束をまとった大猿が姿を現した。
久方ぶりに見たダークシンクロ召喚に、鬼柳の表情はますます苦くなる。
「《DTダーク・エイプ》がダークシンクロの素材となった時、カードをドローする」
???:手札4→3→2→3
「《クローザー・フォレスト》の効果により、俺の墓地のモンスター1体につき、場の獣族モンスターの攻撃力は100ポイントアップする。さらにここで、魔法カード《「攻撃」封じ》を発動! 《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を守備表示に変更」
「何!?」
「さらに、セットされていた永続魔法《ポイズン・ファング》を発動し、バトルだ! ゼーマンで《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を攻撃! アンスポロイド・レヴォリューション!」
ゼーマンの杖から放たれた闇の炎が煉獄の死竜を襲い、呑みこんだ。
(クッ、手札があるんじゃ伏せカードが使えねえ!)
「この攻撃の瞬間、永続トラップを発動する。《吠え猛る大地》! 獣の咆哮に耳をふさげ!」
「守備貫通……!」
そして、ドラゴンを貫いた炎が鬼柳自身を直撃する。
鬼柳:LP4000→3700
「ぐあっ!? っく、やはりダメージが実体化するか……!」
「当然だ。そして《吠え猛る大地》の効果発動! このカードの効果によって戦闘ダメージを与えた時、相手モンスター1体の攻撃力と守備力を500ダウンさせる。さらに獣族モンスターが戦闘ダメージを与えたことにより、《ポイズン・ファング》の効果で500ダメージを受けてもらう」
鬼柳:LP3700→3200
《インフェルニティ・ジェネラル》:ATK2700→2200
「ちっ……!」
「バトルを終了。手札から、魔法カード《
???:LP350→2350 手札3→1
「ええい、思ったように戦えんな。所詮はこの程度か……」
「なにをぶつくさと……オレのターン!」
鬼柳:手札3→4
大量の手札を持つのは、インフェルニティにとっては基本的によろしくない。
準備が出来ていない最初の内は使い切るためのカードが多いに越したことはないが、墓地と場が整ってくる中盤以降は邪魔になることが多い。
(やるっきゃねえか)
「オレは手札の《インフェルニティ・コンジュラー》を墓地に送り、チューナーモンスター《インフェルニティ・ワイルドキャット》を特殊召喚!」
呼び出したのは先ほど見た未知のモンスターの1つ。目を爛々と輝かせた山猫がシュタっと降り立つ。
鬼柳:手札4→2
「さらに《インフェルニティ・ジェネラル》をリリースし、《インフェルニティ・デストロイヤー》をアドバンス召喚! 永続魔法《虚無の波動》を発動!」
鬼柳:手札2→0
《インフェルニティ・ガーディアン》:DEF1700→2100
《インフェルニティ・デストロイヤー》:ATK2300→2700
《インフェルニティ・ワイルドキャット》:ATK1400→1800
「手札は0枚、よって《インフェルニティ・ワイルドキャット》の効果を発動! 墓地の《インフェルニティ・ゼロ》を除外し、レベルを1つ上げる。レベル4の《インフェルニティ・ガーディアン》に、レベル4となった《インフェルニティ・ワイルドキャット》をチューニング!」
「地獄と天国の狭間、煉獄より―――その姿を現せ!」
「シンクロ召喚! いでよ! 《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》!!」
鬼柳の前に降臨したそれは、闇を帯びた深紅の装甲で全身を鎧った龍。
覚えのない記憶の中で己が従えていた、「決闘竜」がそこにいた。
「な、何!? 馬鹿な、このモンスターは……!」
「バトルだ、オーガ・ドラグーンでゼーマンを攻撃! インフェルニティ・カオス・バースト!!」
煉獄の決闘竜がブレスを照射するも、猿魔王はバリアを張ってそれを防ぐ。
「手札の《エンシェント・クリムゾン・エイプ》を墓地に送り、ゼーマンの効果発動! 攻撃を無効にする!」
「ならもう一発! 攻撃だ、《インフェルニティ・デストロイヤー》!!」
「ゼーマン自身を墓地に送り、効果発動!」
そして主を守るため、己自身すらもバリアの糧として消え去った。
「ターンエンドだ。さあ、どうする」
「くっ……俺のターン!」
???:手札1→2
「手札より、魔法カード《逆境の宝札》を発動!」
「また都合よく引いて来たな。だがそうはいかねえ、オーガ・ドラグーンの効果発動!」
だが、手にしたそのカードを煉獄龍の尾が弾き飛ばした。
「オレの手札がない時、相手の魔法・罠の発動を無効化し、カードを破壊する!」
「なっ……こ、これまでか。ターンエンド」
???:手札1
「オレのターン!」
鬼柳:手札0→1
正直なところ、オーガ・ドラグーンがいなければまだ長引いていた可能性が高い。
強力な効果に高いステータス、インフェルニティのためと言わんばかりの性能。果たして本来の持ち主であるところの「鬼柳京介」はどんな男だったのだろうか。
「カードを伏せ、バトル! 行け、オーガ・ドラグーンでプレイヤーに攻撃!!」
―――
「ぐあああああああっ!?」
???:LP2350→0
ダークシンクロのレベル調整が大変でした……。何でレベル2なんだよダーク・エイプ……。