遊戯王5D's-The After   作:辛麺焼き

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第6話:闇の残像

鬼柳:LP4000

???:LP4000

 

「俺の先攻、ドロー。……モンスターをセット。カードを3枚伏せる」

 

鬼柳:手札6→2

 

「オレはこれでターンエンドだ」

「俺のターン。ドロー!」

 

???:手札5→6

 

「フィールド魔法《クローザー・フォレスト》を発動!」

 

炎の壁の内外に、枯れ木のみが並ぶ不気味な森が広がっていく。

さすがにこれはソリッドビジョンだと思いたいが、闇のゲームに常識は通じない。

 

「さらに俺は《ファイターズ・エイプ》を召喚!」

 

それを気にする間もなく、闘争心に支配された大猿がフィールドに呼び出される。

 

「バトル! 《ファイターズ・エイプ》で守備モンスターを攻撃!」

 

雄叫びと共に、固められた拳が鬼柳のモンスターを襲う。

 

「トラップ発動! 《インフェルニティ・インフェルノ》! 手札を2枚捨て、デッキからインフェルニティを2体墓地へ送る! そしてこれでオレの手札はなくなった!」

 

ガギッ、と不気味な音を立てて《ファイターズ・エイプ》の拳が受け止められる。

気づけば、黒い盾の中心に抱かれたドクロがその拳を噛み止めていた。

 

「《インフェルニティ・ガーディアン》の効果発動! オレの手札が0枚の時、このカードは破壊されない」

 

鬼柳:手札2→0

 

「壁モンスターか……カードを3枚伏せ、ターンエンド」

 

???:手札4→1

 

攻撃を防がれたことにやや渋い顔を見せつつ、男がターンを終える。

 

「オレのターン!」

 

鬼柳:手札0→1

 

インフェルニティデッキは一度ハンドレスになれば、毎ターンのドローが戦術の鍵を握る。

引いたカードを見て、鬼柳は即座にそれをディスクに差し込んだ。

 

「魔法カード《バレット&カートリッジ》! デッキからカードを4枚選んで墓地に送り、1枚ドロー! このカードは発動後、墓地に送らずデッキの1番上に戻す」

 

《バレット&カートリッジ》

通常魔法

①:デッキからカードを4枚選んで墓地に送り、自分はデッキから1枚ドローする。このカードは発動後、墓地に送らずデッキの一番上に表側表示で戻す。

②:表側表示のこのカードがデッキの一番上にある場合、自分のドローフェイズの通常のドローの前に発動する。このカードを墓地に送る。

 

鬼柳:手札1→0→1

 

この効果でインフェルニティを一気に墓地に送り、攻撃の用意をする。

デッキの中を確認して目当てのカードを選び出す鬼柳だが、その中で違和感を覚え、ついで瞠目した。

 

(!? 何だ、このカード……知らねえぞ!? いつの間にオレのデッキに!?)

 

疑問を覚えはしたが、今は追及している場合ではない。

見知らぬカードのテキストを数秒で確認し終わると、改めてカードを墓地へ叩き込んだ。

 

「! 来たな……手札が0でこのカードをドローした時、相手に見せることで特殊召喚できる! いでよ、《インフェルニティ・デーモン》!」

 

そして引き当てたカードはインフェルニティの核。

ローブをまとったような姿の悪魔が鬼柳の元に現れる。

 

「モンスター効果! こいつの特殊召喚に成功した時に手札が0枚なら、デッキからインフェルニティと名のつくカードを手札に加える。永続魔法《インフェルニティガン》を選択し、そのまま発動!」

 

鬼柳:手札0

 

(とはいえ、デーモンとガーディアンじゃシンクロはできねえ。ここは出し惜しみなしだ!)

「オレの手札は見ての通り0枚。《インフェルニティガン》を墓地に送り、効果発動! 墓地からインフェルニティを2体特殊召喚する。来い、《インフェルニティ・ネクロマンサー》! 《インフェルニティ・リベンジャー》!」

 

そして、骸骨の呪術師と二頭身のガンマンが揃う。

 

(どっちを残すか……よし)

「ネクロマンサーの効果発動! オレの手札が0の時に発動でき、墓地からインフェルニティを特殊召喚する! 蘇れ、《インフェルニティ・ジェネラル》!!」

 

さらに5体目、大剣を担いだ煉獄の武将が参戦する。これでモンスターが一気に5体並んだ。

 

「レベル4の《インフェルニティ・デーモン》とレベル3の《インフェルニティ・ネクロマンサー》に、レベル1の《インフェルニティ・リベンジャー》をチューニング!」

 

「死者と生者、ゼロにて交わりし時、永劫の檻より魔の竜は放たれる! シンクロ召喚!!」

 

 

「これが、死神の真の力だ! いでよ、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》!!」

 

 

夜闇を切り裂くチューニングの光、ついで再度降りた暗闇の帳の中に現れる、煉獄の竜。

両肩から伸びるハサミ状の腕と、細く長い本来の腕、ギョロギョロと蠢く四つの眼球、露出した脳を囲んで伸びる角。

動き出した死体とでも言えそうな、漆黒のドラゴンが戦場に立つ。

 

「これが貴様のエースモンスターか!」

「手札は0。よってオレは《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果を発動! 相手フィールドのモンスターを1体破壊! その現在の攻撃力の半分のダメージを与える! インフェルニティ・デス・ブレス!!」

 

炎の息吹が《ファイターズ・エイプ》を焼き尽くし、謎の男のライフを削る。

 

???:LP4000→3050

 

「ぐうっ!」

「バトル! 《インフェルニティ・ジェネラル》でプレイヤーに攻撃! 煉・獄・断・殺(インフェルニティ・ブレイド)!!」

 

さらに駆け込んだジェネラルの一撃が、綺麗に決まる。

 

???:LP3050→350

 

「がっ、は……くっ、やはり借り物のデッキではダメか……!」

「3枚もリバースがあるのに何もしないだと……? 効果を使ったターン、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の攻撃はできない。オレはこれでターンを終了する。……攻撃しとくべきだったか?」

 

やはり、多忙に伴う疲労で少々カンが鈍っているらしい。

こんな調子じゃやばい、と鬼柳は改めて自分を奮い立たせる。

 

鬼柳:手札0

 

「俺のターン!」

 

???:手札1→2

 

「手札より魔法カード、《壺の中の魔術書》を発動! お互いに3枚ドローする」

「何!? クッ……!」

 

が、ここで相手が発動したのは双方へのドローカード。

普通なら相手に塩を送ってしまうリスクが高いが、鬼柳に対しては有効な手だ。ターンが回れば使い切れるとは言え、このターンの間全てのインフェルニティは無力化する。

 

鬼柳:手札0→3

???:手札2→4

 

「そして行くぞ、永続トラップ《強化蘇生》を発動! 墓地から《ファイターズ・エイプ》を特殊召喚。さらに《DTダーク・エイプ》を攻撃表示で召喚!」

「ダークチューナー……!!」

 

現れたのは闇を纏う猿のモンスター。

ダークシグナーが用いる黄泉の力、ダークチューナーモンスター。素材のレベルから自身のレベルをマイナスすることで、レベルマイナスのダークシンクロ召喚を行う特殊なチューナーだ。

だがそれには、ダークチューナー側のレベルが高くなければならないが、あのモンスターはレベル2。

 

(もちろん、それをどうにかする手段があるってことになるが……)

「魔法カード《ダーク・ウェーブ》を発動」

 

《ダーク・ウェーブ》

通常魔法

①:EXデッキのDSモンスター1体を相手に見せ、自分フィールドの「DT」チューナー1体とチューナー以外のモンスター1体ずつを対象として発動できる。このターン、その「DT」チューナーのレベルは、見せたDSモンスターとその自分のモンスターのレベルの合計と同じになる。

 

「ダークシンクロモンスターを公開することで、そのレベルを俺のモンスターに追加する。《猿魔王ゼーマン》を公開する」

「!」

「素材モンスターのレベルからダークチューナーのレベルを減算することで、ダークシンクロを行う! レベル4の《ファイターズ・エイプ》に、レベル11となった《DTダーク・エイプ》をダーク・チューニング! 暗黒より生まれし者、万物を負の世界へと誘う覇者となれ!」

 

「ダークシンクロ! いでよ、《猿魔王ゼーマン》!!」

 

《ファイターズ・エイプ》を砕いて飛び出した7つの黒い星が闇を呼び、その中から杖と魔術師の装束をまとった大猿が姿を現した。

久方ぶりに見たダークシンクロ召喚に、鬼柳の表情はますます苦くなる。

 

「《DTダーク・エイプ》がダークシンクロの素材となった時、カードをドローする」

 

???:手札4→3→2→3

 

「《クローザー・フォレスト》の効果により、俺の墓地のモンスター1体につき、場の獣族モンスターの攻撃力は100ポイントアップする。さらにここで、魔法カード《「攻撃」封じ》を発動! 《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を守備表示に変更」

「何!?」

「さらに、セットされていた永続魔法《ポイズン・ファング》を発動し、バトルだ! ゼーマンで《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を攻撃! アンスポロイド・レヴォリューション!」

 

ゼーマンの杖から放たれた闇の炎が煉獄の死竜を襲い、呑みこんだ。

 

(クッ、手札があるんじゃ伏せカードが使えねえ!)

「この攻撃の瞬間、永続トラップを発動する。《吠え猛る大地》! 獣の咆哮に耳をふさげ!」

「守備貫通……!」

 

そして、ドラゴンを貫いた炎が鬼柳自身を直撃する。

 

鬼柳:LP4000→3700

 

「ぐあっ!? っく、やはりダメージが実体化するか……!」

「当然だ。そして《吠え猛る大地》の効果発動! このカードの効果によって戦闘ダメージを与えた時、相手モンスター1体の攻撃力と守備力を500ダウンさせる。さらに獣族モンスターが戦闘ダメージを与えたことにより、《ポイズン・ファング》の効果で500ダメージを受けてもらう」

 

鬼柳:LP3700→3200

《インフェルニティ・ジェネラル》:ATK2700→2200

 

「ちっ……!」

「バトルを終了。手札から、魔法カード《至高の木の実(スプレマシー・ベリー)》を発動、ライフを2000回復。ターンエンド」

 

???:LP350→2350 手札3→1

 

「ええい、思ったように戦えんな。所詮はこの程度か……」

「なにをぶつくさと……オレのターン!」

 

鬼柳:手札3→4

 

大量の手札を持つのは、インフェルニティにとっては基本的によろしくない。

準備が出来ていない最初の内は使い切るためのカードが多いに越したことはないが、墓地と場が整ってくる中盤以降は邪魔になることが多い。

 

(やるっきゃねえか)

「オレは手札の《インフェルニティ・コンジュラー》を墓地に送り、チューナーモンスター《インフェルニティ・ワイルドキャット》を特殊召喚!」

 

呼び出したのは先ほど見た未知のモンスターの1つ。目を爛々と輝かせた山猫がシュタっと降り立つ。

 

鬼柳:手札4→2

 

「さらに《インフェルニティ・ジェネラル》をリリースし、《インフェルニティ・デストロイヤー》をアドバンス召喚! 永続魔法《虚無の波動》を発動!」

 

鬼柳:手札2→0

 

《インフェルニティ・ガーディアン》:DEF1700→2100

《インフェルニティ・デストロイヤー》:ATK2300→2700

《インフェルニティ・ワイルドキャット》:ATK1400→1800

 

「手札は0枚、よって《インフェルニティ・ワイルドキャット》の効果を発動! 墓地の《インフェルニティ・ゼロ》を除外し、レベルを1つ上げる。レベル4の《インフェルニティ・ガーディアン》に、レベル4となった《インフェルニティ・ワイルドキャット》をチューニング!」

 

「地獄と天国の狭間、煉獄より―――その姿を現せ!」

 

 

「シンクロ召喚! いでよ! 《煉獄龍 オーガ・ドラグーン》!!」

 

 

鬼柳の前に降臨したそれは、闇を帯びた深紅の装甲で全身を鎧った龍。

覚えのない記憶の中で己が従えていた、「決闘竜」がそこにいた。

 

「な、何!? 馬鹿な、このモンスターは……!」

「バトルだ、オーガ・ドラグーンでゼーマンを攻撃! インフェルニティ・カオス・バースト!!」

 

煉獄の決闘竜がブレスを照射するも、猿魔王はバリアを張ってそれを防ぐ。

 

「手札の《エンシェント・クリムゾン・エイプ》を墓地に送り、ゼーマンの効果発動! 攻撃を無効にする!」

「ならもう一発! 攻撃だ、《インフェルニティ・デストロイヤー》!!」

「ゼーマン自身を墓地に送り、効果発動!」

 

そして主を守るため、己自身すらもバリアの糧として消え去った。

 

「ターンエンドだ。さあ、どうする」

「くっ……俺のターン!」

 

???:手札1→2

 

「手札より、魔法カード《逆境の宝札》を発動!」

「また都合よく引いて来たな。だがそうはいかねえ、オーガ・ドラグーンの効果発動!」

 

だが、手にしたそのカードを煉獄龍の尾が弾き飛ばした。

 

「オレの手札がない時、相手の魔法・罠の発動を無効化し、カードを破壊する!」

「なっ……こ、これまでか。ターンエンド」

 

???:手札1

 

「オレのターン!」

 

鬼柳:手札0→1

 

正直なところ、オーガ・ドラグーンがいなければまだ長引いていた可能性が高い。

強力な効果に高いステータス、インフェルニティのためと言わんばかりの性能。果たして本来の持ち主であるところの「鬼柳京介」はどんな男だったのだろうか。

 

「カードを伏せ、バトル! 行け、オーガ・ドラグーンでプレイヤーに攻撃!!」

 

 

―――煉獄の混沌劫火(インフェルニティ・カオス・バースト)!!

 

 

「ぐあああああああっ!?」

 

???:LP2350→0




ダークシンクロのレベル調整が大変でした……。何でレベル2なんだよダーク・エイプ……。
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