激突‼︎超時空世界大戦‼︎   作:短号司令官

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第3話 エジェイ攻防戦

 

 

中央暦1639年 5月21日

 クワ・トイネ公国 国境近くの草原

 

 

「もう少しだ! もう少しで味方の陣地に着くぞ!」

 

200名ほどの集団の先頭にいるエルフがそう言うと、村人達は疲労の色を滲ませながらも頷いて、足を前へと進めていく。

彼らは公国軍の陣地を目指して自主疎開をしている難民の集団で、元はギムから東へ20kmほど離れた小さな村の住民たちであった。外との交流が少ないために、政府が出した強制疎開命令が十分に伝達されていなかったのだ。

 

幸運にも他の地域から疎開してきた人々から開戦の報を聞き、村人全員で疎開を開始したものの、他より疎開が遅れてしまったことに変わりはなく、村人達は「無事疎開できるだろうか」と不安な日々を過ごしていた。またロウリア軍の遊撃部隊が付近で出没しているという情報を耳にすると、その不安は一層大きくなる一方であった。

また集団で固まって行動していることが祟ったのか、進行速度はとても遅く、まだ村から10km程しか離れることができていない。

 

しかし、敵は彼らを見過ごしてはくれなかった。

 

「まずい! ロウリアの騎馬部隊だ!!」

 

 集団の最後尾にいた若いエルフが叫ぶと、村人達はたちまち悲鳴を上げて逃げ始めた。

 しかし、走ったところで騎馬から逃れることなど到底無理であり、死の足音は着実に迫ってきた。

 

 

ロウリア王国ホーク騎士団は、久しぶりの獲物に舌なめずりをしていた。

彼らもギムの攻略戦に参加していたものの、ギムでは住民たちが全員疎開してしまっていたために戦利品にありつくことができず、またこれまでの任務でも戦利品を見つけられなかったため、配下の部下たちの間には不満が溜まっていた――そんなところに今回の難民発見の報である。騎士団は神に感謝したい気持ちだった。

 

「よし野郎ども! 久しぶりの獲物だ!! 思う存分狩りまくれ!!」

「「「「ひゃっはぁぁぁーーーーーっ!!!!」」」」

 

彼らは下品な歓声を上げながら、難民たちの群れへと向かってゆく。

ものの五分もすれば追いつけるし、その後は「お楽しみ」の時間を過ごすだけだ。彼らはそのことだけを考え、騎馬を駆ってゆく。

周囲や上空を、ろくに見ようともせずに。

 

 

 

 

どうして自分たちがこんな目に遭うのだ、何もしていないじゃないか――そんな気持ちを避難民達抱いたとき、ふと亡くなった村長が皆に聞かせてくれた話を思い出した。

 

 ――遠い昔、北の大陸に魔王が出現して侵略を開始すると、多くの集落が飲み込まれ、沢山の人々が殺された。

 人間、エルフ、獣人、ドワーフなどの種族は連合軍を組織し、一致団結して戦ったものの、強力な魔王軍の前に敗退を続け、やがては海を渡ってロデニウス大陸に後退した。

魔王軍も連合軍を追ってロデニウス大陸に侵攻し、やがて連合軍はエルフの聖地「神森」まで追い詰められた。

エルフの神は我が子同然の種族を守るべく、自分たちの創造主である「太陽神ソルス」と「創造神ステイシア」に祈りを捧げた。

 

太陽神と創造神はエルフの神の名前と引き換えにこの願いを聞き入れ、「太陽神の使者」と「エルジアの勇者達」をこの世に遣わしてくれた。

 

太陽神の使者たちは空を飛ぶ雷神の船や鋼鉄の地竜に乗って現れ、雷鳴のような強大な魔導で魔族を焼き払った。エルジアの勇者達も同じような神の船や巨大な鋼鉄の水獣や鋼鉄の島を使って魔族を討ち滅ぼし、連合軍を助けてくれた。

 

主力を失った魔王軍は神森より撤退するも、使者と勇者達はロデニウス中の魔族を駆逐し、さらに北のフィルアデス大陸にいた魔王軍をも完膚なきまでに殲滅した。

 

連合軍の人々は自分たちを助けてくれたお礼に、使者と勇者たちに沢山の財宝を渡そうとしたが、彼らは受け取らなかった。代わりに「お守り」にと水獣と雷神の船を置いて、鋼鉄の地龍に乗って帰っていった――そんなお話だ。

 

 

「神様、ステイシア様、ソルス様! どうかお願いします! 我らを助けてください‼︎」

 

誰かが天に向かって叫んだ直後――ロウリア軍の先頭が、轟音と共に消し飛んだ。

 

 

「い、一体何が起こったんだぁぁ!!?」

 

 騎士団は轟音に驚いて後ろ立ちになった馬の手綱を引きつつ、信じられない思いで前方を見た。

 つい先ほどまで先頭にいた仲間たちが、文字通り木っ端微塵に吹き飛んだからである。

 慌てて辺りを見ると、奇妙な形をした4本脚の何かが「ガシャンガシャン……」と音を立ててこちらに向かってきているを発見した。

 物体は黒くて無機的な外観をしており、どう考えても地龍などの類ではない。

 

「な、何だありゃあ!!?」

 

 訳が分からず一人が喚いた時、「それ」は光を放つと、何かを凄まじい速度でこちらに飛ばしてきた。

 

「光の――槍?」

 

隊で一番目が良い部下がそう呟いた瞬間――光の槍は地面に突き刺さるや否や、大爆発を起こして仲間をただの肉片に変えた。

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!!」

 

 本能的に「あれには敵わない」と感じた一同は、直ちに反転し逃げようとする。しかし、そのような目立つ行動をする奴を放っておくほど、その物体――『HAL-X10 陸王』の乗員は馬鹿でもお人好しでもない。

 直ちに攻撃手段を『ATMランチャー』から『9連装ロケットランチャー』に切り替え、敵騎馬部隊に撃ち込む。

 

放たれたロケット弾は逃げようとする敵の行為を嘲笑うかの如く的確に着弾し爆ぜる。

爆風と衝撃で敵騎馬隊はバラバラに引き裂かれる。

 

 

村人たちは、信じられない思いで一部始終を見つめていた。

 まず、巨大な地龍の様な物体が光の槍を発射して、ロウリア軍騎馬部隊の三分の二を殲滅したのみならず、箱のようなものから、見たこともない魔導を使って残りの敵を倒したからだ。

 

 村人達が「自分たちも殺されるのでは」と恐怖におののく中、東の空から空飛ぶ船が多数出現して、中から緑色の服を着た人間が次々と降りてきた。また西から鉄の怪物とそれに乗る人間たちが現れる。

 

 彼らは村人たちに向かって「怪我はありませんか?」と口々に問いかけるが、難民たちの中で応じるものは無く、ただ固まって震えていた。

 しかし何人かの村人たちは、彼らの着ている服や兜、そして彼らが乗ってきた船や怪物に「赤い丸」が描かれているのを発見した。

 

(――! 太陽の印が描かれている! 本当に神様が使者様や勇者様を遣わしてくださったんだ!!)

 

 

「助けてくれてありがとうございます! あなたたちは太陽神の使者様と星の勇者様ですか?」

 

 子供の問いかけを聞いて、難民たちの輸送について話し合っていた緑の服と土埃色の服の男達――自衛隊員と陸軍兵たちは、揃って首を傾げた。

 しかし子供の言う事であり、時間が差し迫っている中で説明するのも面倒くさいと感じた彼らは、頷いて答えた。

 

「うん、そうだ。我々は君たちを助けに来たんだ」

「ああ、もう心配はいらない。安心していいよ」

 

 そう自衛隊員と陸軍兵が言うと、エルフたちの間にどよめきが走った。

 

「た、太陽神の使者様とエルジアの勇者様だと!?」

 

「確かに、太陽の印が服や船に描かれている!」

 

「あの土色の服を着た者達の兜にも付いているぞ!」

 

「神様、感謝いたします!!」

 

 村人達は彼らに歩み寄り、ひれ伏して口々に感謝を伝える。

 それを見て顔を若干引きつらせながら、自衛隊員と陸軍兵士たちは村人たちに告げた。

 

「あ、あの。とりあえず乗って下さいませんか?」

 

 

 自衛隊と陸軍の間で話し合いが持たれた結果、結局全ての村人をヘリで輸送することは無理であると判断されたため、残りの村人は帝国陸軍捜索連隊が乗ってきた軽装甲車やトラックに分乗することになった。

 

 

それから少し時間は経ちーー

 

 

 

 

 

中央暦1639年 6月9日

クワ・トイネ公国 城塞都市エジェイ

 

 

 

 

陸上自衛隊クワ・トイネ派遣部隊本部が置かれたダイタル平野から西へ進んだ場所にクワ・トイネ軍の最前線基地となっている、城塞都市エジェイと言う場所がある。エジェイにはクワ・トイネ軍西部方面師団3万人が駐留しており、この戦争における同軍の主力を成している。

 

 

西部方面師団を率いる『ノウ』将軍はこの日、ある客人達をもてなす事になっていた。

 

 

「閣下、アメリカ合衆国と自由ドイツ連邦の方がいらっしゃいました」

 

ノウ「通せ」

 

副官からの報告にノウはそう答える。副官と入れ替わるようにマッカーサー・ロンメルの2人が入ってきた。

 

「合衆国陸軍のルイス・マッカーサーです」

 

「ドイツ陸軍のコンラッド・フォン・ロンメルです」

 

 

 

敬礼する2人にノウは、自分が着ている軍服よりも遥かにシンプルなデザインで、緑や茶色に少々の装飾を施された軍服を見て彼等が本当に大部隊の指揮官であるのかと疑問に感じたが、それを心中に留め社交辞令に沿った挨拶を行う。

 

ノウ「よくぞおいでくださいました。私は西部方面師団を率いるノウと申します。この度は援軍に応えて頂き、ありがとうございます」

 

 

挨拶もそこそこに、ノウは2人に現状についての話を始めた。

 

 

ノウ「現在ロウリア軍はギムを占領しており、そこを拠点に間も無くここへと攻めてくる可能性があります。しかし見ての通り、このエジェイは強固に作られた城塞都市であり、ここを陥落させるのは、どのような大軍を以ってしても不可能です。つきましては、アメリカとドイツの方々にはダイダル基地にて我が軍の後方支援をしていただきたいのですが」

 

 

丁寧に説明するが、彼の言葉の中には『自分達でやるから、お前達は後ろに居ろ』『この戦いに手は出すな』と言う意味が大いに含まれている。

ノウには、自分達こそがこの戦争で雌雄を決する存在であると言う大きな誇りとプライドがある。無論、そんな事を他国の将軍の前にしてストレートに話すのは問題となるのを分かっているため、敢えてオブラートに包んでそう言い放ったのであった。

 

 

 

それに対し二人は、元からそう言ってくるであろうと予想していたので、表情を変えずに応える。

ロンメルがマッカーサーの方に視線を向けると彼はそれを合図と見て頷く。

 

マッカーサー「分かりました。では我々は閣下の指示に従い、ダイダル基地より支援に徹します。その上で1つだけ、お願いがあるのですが」

 

ノウ「はい。聞きましょう」

 

マッカーサー「敵の位置と味方に戦局を伝える必要がありますので、こちらから要員と機材をここに置かせて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

ノウ「良いでしょう」

 

ノウは彼等の提案を受け入れ、その場で現状と相互の安全のために備えて打ち合わせを行ったの後に、会談を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

ロンメル「思った通りだったな」

 

 エジェイの城門の前で迎えの車を待つ間、ロンメルはノウの態度について話していた。

 

マッカーサー「あの男は我々が活躍するのが、よほど嫌らしいな」

 

手持ちのコーンパイプに火を付けながらマッカーサーも答える。

 

ロンメル「あぁ幕僚達がいたらどうなっていたか…」

 

マッカーサー「だが、あの会談は決して無意味ではない。我々は自由裁量権を手に入れたし、後はノウ将軍と敵の度肝を抜くことだけを考えればいいさ。例の作戦は進んでるか?」

 

ロンメル「もちろんさ。既に作戦の骨子は各部隊に通達済みだ、後は我々と合衆国陸軍が、いかに連携できるかにかかっている」

 

マッカーサー「うちの方は未来の陸軍が居るからな、多少の心配はあるが問題は無かろう」

 

ロンメル「期待していますぞ」

 

マッカーサー「こちらこそ」

 

両雄は互いの信頼を確かめるよう握手を交わす。

 

 

 

 

それから4日後ーー

 

 

 

 

 

 

ギムより出発したロウリア軍東部諸侯団先遣隊は、行軍の途中で敵の妨害を受けることなく、無事に2万の兵をエジェイ西側5kmの地点に展開させることが出来た。

 既に少数の兵を偵察に送り込んでいるため、敵の様子も間もなく判明するはずだ。

 

「なのに何だ、この嫌な予感は……」

 

 東部諸侯団団長のジューンフィルアは、湧き上がる不安を拭い去ることが今でも出来ないでいた。

 幸い現時点までに敵による攻撃や妨害を受けたことは全くなかったため、兵たちの士気は全く衰えていない。しかし攻撃を受けていないこと自体が、かえって不気味であるとジューンフィルアは感じていた。

 もしかすると、敵は既にこちらの意図に気づいていて、様子を窺っているのではないだろうか?

 そう考えていると、部下の一人が楽天的に声を掛けてきた。

 

「しかし、なんとか期日までに布陣を終えることが出来ましたね、ジューンフィルア様。敵も我々を迎撃することなくエジェイに閉じこもっているようですし、こりゃ楽勝ですよ」

 

ジューンフィルア「油断するなよ、第15騎馬隊を全滅させた攻撃の正体がまだ分からないんだ。気を引き締めんと、思わぬところで足元を掬われるぞ」

 

「しかし攻撃は行軍中にも、部隊展開中にもなかったじゃありませんか。もしかすると、我が軍に恐れをなして撤退してしまったのでは?」

 

ジューンフィルア「そうだろうか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ陸軍 陣地

 

指揮所の前にズラリと整列した合衆国陸軍の将兵達、しかしその格好はバラバラであった。

近代的なヘルメットや防弾チョッキを装備した者も居れば、ヘルメットに兵服とやや前時代気味な格好の将兵もいた。

 

その彼らの前にコーンパイプを片手に軍帽を被り、レイバンのサングラスを掛けた男が現れる。

 

マッカーサー「諸君、いよいよ我々合衆国陸軍の実力を知らしめる時が来た。この世界ではまだ我々の事は僅かにしか認知されていない、エジェイを守るかの将軍もそうだ!彼は我々に対し『後方支援』のみを要求した。だがそれは"後は好きに行動していい"という風に私は聞こえた。よってだ!今ここで我々栄えある合衆国陸軍の総力を見せてやるのだ‼︎」

 

 

「「「イエッサー‼︎‼︎」」」

 

 

マッカーサーからの訓示を受けた将兵達はそれぞれの持ち場に着く。

ある者は指揮所へ駆け込み、またある者はM109 155mm自走榴弾砲・M44 155mm自走榴弾砲へと乗り込む。

 

マッカーサー「実にいい眺めだ。君もそう思うだろう?ウィロビー」

 

そう聞かれたのは彼の側近であるチャールズ・ウィロビー少将であった。

 

ウィロビー「はい、未来と過去の共演…感無量ですな」

 

それを聞いたマッカーサーは笑顔を浮かべ指揮所の中に入る。

 

マッカーサー「敵に撤退する様子はないんだな?」

 

中にいる通信員に状況を聞く。

 

「はい、一切ありません。それどころか隊列を組み、戦闘態勢を整えつつあるようです。今ノウ将軍にも確認を取りましたが、エジェイの外に友軍が展開していることはあり得ないとのことです」

 

マッカーサー「そうか……なら仕方ない。攻撃を許可する」

 

マッカーサーが命令すると、部下の兵士たちは"待ってました"言わんばかりに最終準備を進めてゆく。

 

「座標、エジェイ西側に展開している侵攻軍‼︎斉射用意……撃てっ‼︎(Fire‼︎)

 

合図と共に雷のような轟音の連続と共に砲撃が開始し、幾多もの榴弾が西の方向へ向けて撃ち出されていった。

 

ジューンフィルア(未だに何もないな……一旦どういうことだ?)

 

彼は疑念を抱きながらも、部下に攻撃命令を下そうとした。

その時――

 

(――!!)

 

 ジューンフィルアは突如、言いようも知れぬ嫌な予感を感じた。

 その嫌な予感はたちまち形を成して、彼の心に大きな影を落としてゆく。

 もしかするとそれは、生き物としての本能的な危機察知能力が、彼に与えた警告だったのかもしれない。

 それが「死」であるとジューンフィルアが気づいた、その瞬間――

 

突如として、隊列の真ん中が大きく炸裂し、続いて巨大な爆発音が辺りに轟き渡った。

 

爆発は平野部にあった土と、そこにいた人間をまるで紙切れの様に吹き飛ばし、バラバラにして空に放り出す。 兵士たちは完全に恐慌状態となり、四方八方に逃げ惑うが、上空から振り下ろされる死の鎌は誰一人逃しはせず、平等に死をもたらしていく。

 

 それはもはや戦ではなく、一方的な虐殺に近いものだった。

 

ジューンフィルア「な……な……何だっていうんだぁ‼︎これはぁっっ‼︎‼︎」

 

彼は茫然と立ち尽くし、その現実離れした光景を見ることしか出来なかった。

平野部には連続して巨大な爆発が起き、国内外から精鋭無比と謳われた部下たちが、敵の姿を見ることも、剣を交えることも叶わずに、ただひたすら情け容赦なく、そして効率的に死へと追いやられてゆく。

絶望的だった。

ありえないことだった。

あってはならないことだった。

 

ジューンフィルア「ひ、引け……引けえっ!! 退却せよょっっ!!!」

 

自身も半ば恐慌状態に陥りつつも、必死に命令を飛ばして部下を退却させようとした。

 しかし、そんな彼の努力を嘲笑うかのように、死神は彼の元にもやってきた。

 

「‼︎――」

 

 ジューンフィルアは、ふわりとした浮遊感を感じた瞬間、爆発と共に空中高く放り投げられた。

ふと、彼は自分の体を見てみる。

下半身と、右腕が無くなっていた。

そのまま、彼は意識を閉ざした――

 

 

 

 

ドイツ陸軍 戦車連隊

 

「閣下、アメリカ陸軍司令部より通達!『作戦開始』とのことです!」

 

ロンメル「よし、いよいよだ!全戦車に通達『Panzer vor』!」

 

 

その命令受けたドイツ陸軍機甲師団は前進を開始、ティーガーやパンターを前にSd Kfz 251が後に続く。

 

 

 

「き、来た! 来たぞぉっ!!」

 

 攻撃を受けた兵士たち――歩兵と騎兵の混成部隊――は、迫りくる敵軍の地竜に対して緊張に染まりながらも戦闘準備を整えていく。

 ついさっきまで本隊の惨状を目撃していただけに、兵士たちの表情には若干怯えが混じっている。しかしそれでも総崩れとならずに攻撃態勢に移っているあたり、いかにこの部隊の練度が高いかを物語っていた。

 やがて視界に入ってきた敵軍の姿に、兵士たちの顔が引き締まる。

 

「何だありゃあ……生き物なのか?」

 

 一人の古参兵があっけにとられたように呟く。

 何故なら、その地竜は彼らが想像していたものとは全く異なっていたからだ。

 まず生き物なら当然あるはずの足が無く、代わりにギザギザした輪っかのようなものを「キュラキュラキュラ……」と前後に回転させながら前進しており、頭と思しき部分には変な棒が突き出ていた。胴体も鉄製らしく、鈍色に輝いている。

 色も土色と薄黄が混ざり合った汚らしい色合いで、およそ美意識というものが全くない。

そんな物体が騒音(もちろんディーゼルエンジンの音であるなど、彼らは知らない)を立てながら、30体ほどがこっちに向かってくるのだ。

 兵士たちが戸惑うのも無理はなかった。

 

「全隊突撃せよっ!! 蛮族どもに目に者見せてやれぇっ!!!!」

「「「「おおおおっっっ!!!!」」」」

 

 指揮官の号令一下、兵士たちは猛然と突撃を開始する。

 騎兵は馬を駆り、歩兵は自分の足で走りつつ、喊声を上げながら敵に接近してゆく。

 対する敵は何故か地竜を停止させると、突き出た棒をこちらに向けてきた。

 

「何をするつもりだ――」

 

 指揮官が疑問に思った、その時――

 突き出た棒が次々と火を噴き、その瞬間彼らの隊列中や周りに連続して爆発が巻き起こる。

 

パンター戦車の75mm砲弾とティーガー戦車の8.8cm砲弾が925m/sという高初速で着弾した結果だった――

 

 

 

 

 

 

その様子を、エジェイ西門の壁の上から見ていたノウは、何が起きたのか理解が追い付かなかった。

 

「これが、彼らの強さだと言うのか……………」

 

 

砲撃が終わり、硝煙が立ち込めている敵陣地だった場所を見ていたノウは、敵には勝った筈なのに、大きな敗北感を味わった。

 

「敗けた…………」

 

膝を突いてマッカーサーとロンメルの顔を思い浮かべた。

 

「日本聯合…アメリカ合衆国…ドイツ………彼等は本当に何者なんだ?」

 

 

この後、ロウリア王国首都ジン・ハークに対し警視庁機動隊及び第一空挺団の降下が実施されハーク・ロウリア34世は身柄を拘束された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜次回へ続く〜

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