激突‼︎超時空世界大戦‼︎   作:短号司令官

3 / 23
ちょい長いです


第二話 未来

 

平成30年 2018年

 

日本国 東京都

 

首相官邸

 

部屋のソファに腰掛けてテレビの画面をじっと日本国首相『垂水慶一郎』は見ていた。

 

『続いてのニュースです。今年3月下旬に地中海に現れた"神聖欧州帝国"を名乗る謎の組織との戦闘から早3ヶ月が過ぎようとしております。ヨーロッパの戦況は以前EU軍劣勢のまま戦禍が拡大、地中海一帯は既に敵の手に渡っており……』

 

途中、ノックする音が聞こえてテレビを消し入るように促す。

入ってきたのは防衛大臣の『海原渉』であった。

 

海原「またニュースを?」

 

垂水「えぇここのところ同じような内容ばかりですが」

 

海原「確かに、ですが何も知らないよりは遥かに良い。戦況は甚だEU軍が不利です」

 

垂水「相手は第二次大戦時の装備なのでしょう?なら何故不利に?」

 

垂水の疑問に海原が答える。

 

海原「理由として主に二つ挙げられます。まず一つに敵が現れたのが突然の事だった、総理も覚えているでしょうが敵ははじめ艦隊が地中海に出現、沿岸地域への攻撃を行い軍が動いた頃には既に敵は部隊を上陸させ迎撃の準備を整え準備・経験不足だったEU側は経験豊富な相手側に一方的に叩きのめされたのです」

 

垂水「訓練と実戦の違い……ですか……」

 

海原「それともう一つ、装備の違いです」

 

垂水「違い…?と言いますと」

 

海原「軍は当初、相手は大戦期の装備であるだろうとたかを括っていましたがいざ蓋を開けてみると最新型でないにしろ相手は我々に充分対抗しうる装備を整えており対応が遅れた……という事です」

 

垂水「その余波が今の戦況にも影響していると」

 

海原「少なからずは、これは海上にも言える事です。舐めてかかった結果、早期に地中海のみならず紅海の制海権すらをも掌握されてしまい最近では大西洋にも進出を始めているそうです」

 

垂水「…侵攻が始まって以来世界規模の不況が広まっている。我が国でもただでさえ苦しいのに物価や燃料費が高騰、国民のみならず我々政治家の生活をも圧迫されている」

 

海原「この場合は仕方がありません、ですが例の計画が侵攻前に終えられて自分としてはほっとしてます」

 

垂水「…… ペガソス計画……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神奈川県 横須賀市

 

横須賀基地

 

逸見岸壁に停泊する一隻の大型艦を埠頭から角松洋介は見ていた。

 

外見は一見するといずも型護衛艦にも見えるが、その艦はそのいずも型を改設計し日本初のスキージャンプ式の飛行甲板の採用しペガソス計画によって生み出された、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦。

 

角松「空母……いぶき……」

 

日本は先の敗戦から我ら自衛隊が発足し防衛に徹する為の力を保有していた、しかしここのところのアジアの情勢や先の欧州帝国軍の侵攻もあってかこの『いぶき』の保有に関して当初こそ異論はあったものの最近では「妥当だ」「仕方ない」などの声もある。

角松もそんな一人だ。

 

角松(自衛隊の空母の保有……防衛力として不要かと思ったが、ここ最近の世界情勢を見る限りあながちそうとも言えんな…中国は兎も角帝国軍がいつこのアジアに侵攻してくるか分からん以上……)

 

と考えながら歩いていると前から制服姿の人物が向かってきていた。

き章から上官と判断し立ち止まって敬礼すると相手も応礼してそのまますれ違ったその一瞬見た顔に角松は驚いた。

 

角松(⁉︎今のは……⁉︎)

 

顔を向けてその人物の背中を見る。声を掛けようかと思ったが何故か声は出なかった、声を掛けてはいけないという妙な脅迫観念にとらわれてしまい角松はその人物が歩き去るのを見ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

数十分後 いぶき艦内

 

 

応接室

 

室内には第五護衛群司令を務める『涌井 継治』そしていぶき艦長の『秋津 竜太』がおり、まるで何かを待っているかのようにしていた。

しばらくしてノックと同時に副長の『新波 歳也』がある人物とともに入って来た。

 

涌井「お待ちしておりましたぞ、"海江田海将補"」

 

海江田「お招きに預かり誠にありがとうございます。涌井司令」

 

差し出された手を海江田が握り、握手を交わす。

その光景を見ていた新波は、

 

新波(本当に……あの海江田巌海将の息子…海江田四郎なのか…)

 

彼が驚くのも無理からぬ話である。

「やまなみ」沈没事故殉職とされ二階級特進、海上自衛隊での最終的な階級は海将補となった、というのが表向きであったが昨日聞かされた話ではそれは偽装工作によるもので、実際はアメリカから供与された最新鋭原子力潜水艦「シーバット」改め「やまと」の艦長になっているというのだ。

新波も実際に彼を迎え入れるまでその話が信じられなかったが、目の前の光景を目の当たりにし確信した。

 

海江田「しかし大きいですな、伊達にいずも型を改設計しただけのことはありますな」

 

涌井「当然でしょう。いずもやかがのようなDDHではなく、DDV航空機搭載護衛艦として建造されましたから」

 

秋津「と言っても分類は軽空母になるのですが」

 

そう言って秋津が出てきた。

 

海江田「ほぉ…司令もしかして彼が」

 

涌井「えぇそうです、彼が本艦の艦長の…」

 

秋津「秋津竜太一佐です」

 

海江田(若いな…最年少一佐とは聞いていたが…)「宜しく頼む」

 

秋津「こちらこそ」

 

両者は握手を交わした後、席に着く。

 

涌井「今回貴方をお呼びしたのは我が第五護衛群の潜水部隊の能力向上の為というのはお聞きかと」

 

海江田「えぇ第五護衛群は確かに水上戦力で見れば確かに強力ですが、海中の方に目を向けると少々いただけない、そういうことで私の『やまと』が選ばれた」

 

涌井「そういうことです」

 

それからしばらく会談は続き、秋津が海江田を案内している間涌井と新波が残る。

 

涌井「どうだね?実際に会ってみたら?」

 

新波「確かに何と言いますか、迫力がありました。あの人は海江田海将の息子さんだと……」

 

涌井「海江田巌海将…海上自衛隊の立役者と言われたお一人だ。彼もその血を受け継いでいるのは間違いなかろう」

 

新波「アメリカ海軍とのリムパック演出では『カールヴィンソン』を五回も撃沈したと」

 

涌井「そんな彼が我が第五護衛群に来てくれたのだ。心強いの他にないよ」

 

新波「しかし条件として妙な事を言いましたね。"潜水艦『たつなみ』も加える事"…どういうことでしょう?」

 

涌井「君は『たつなみ』の艦長は知ってるか?」

 

新波「深町洋二佐…でしたか」

 

涌井「あぁ彼も中々の実力の持ち主でな、海江田君と同じように彼も『カールヴィンソン』を5度も沈めている」

 

新名「⁉︎」

 

涌井「だが言動にやや難があってな、自衛官らしくない粗暴な言動が妨げになっている」

 

新波「なるほど……」

 

 

 

 

いぶき格納庫

 

海江田「ほぉ…これがか」

 

秋津「はい、F-35JBステルス垂直離着陸機です」

 

海江田と秋津は格納庫内で艦載機のF-35Bを見ていた。

 

海江田「取り扱いを巡っては、『汎用・多目的機であり、「いぶき」に配備されているのは対潜のためである』と政府与党が言う一方で…」

 

秋津「『対潜用というなら対潜ヘリでよく、対地攻撃能力を持つ当機種を搭載するのは専守防衛に反する』と野党が主張しているのは聞き及んでおります」

 

海江田「確かに政府も"こいつは対地攻撃はしない"とは言っていないわけだが、我が国が果たして対地攻撃をすることがあると…君は思うかね?」

 

秋津「…自分はあったとしても敵と認識された者が我が領土へと上陸した際にのみ限る…それなら充分専守防衛に当てはまる。そう考えております」

 

海江田「そうだな。北海道、本州、四国、九州、沖縄に上陸されたとしてもその地域の陸自の戦力でも充分だ。しかしその一方で彼らの力の及ばぬ地域がある…」

 

秋津「"離島"…ですね」

 

海江田「その通り、与那国や宮古そう言った地域には基地はない侵攻する側としては絶好の的だ。そういった隅々まで守る為に君達第五護衛群が編成された……と私は考えている」

 

秋津「そこへ原子力潜水艦やまとを含む貴方がやって来た訳だ」

 

海江田「あぁ空母に原潜…とくると第五護衛群は日本の虎の子部隊だ」

 

そう話を区切ると海江田は秋津に再び問いかける。

 

海江田「ところで君は潜水艦についてはどう考える?」

 

秋津「元来我が国では原子力基本法により平和目的以外での使用が禁止されておりますが、"動力"として用いるのと"兵器"として利用するのとでは訳が違う…と考えております」

 

海江田「……その心は?」

 

秋津「兵器として使うのであれば、確かに多くの人命の命を奪う恐ろしい兵器と化します。一方で動力として間接的に兵器として利用するのであればリスクは遥かに少ないともに考えられます」

 

海江田「兵器とは互いに抑止し合う為のものでもある。現世界情勢のように核保有国は互い持っているだけで均衡はある程度保たれている。原潜も同じように後のことを容易に想像しやすいからこそ抑止力としてはたらく」

 

秋津「その通りです」

 

 

 

 

 

 

一週間後

 

首相官邸 寝室

 

設置された電話の鳴る音で垂水は目を覚ます。

 

垂水「何だ……?」

 

寝起き半分で聞いていたがその内容を聞くとそれら全てを吹き飛ばした。

 

垂水「なにっ⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パナマ運河が陥落しただと!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月某日

 

欧州帝国海軍が未来世界に密かに送り込んでいたスレイブニル級潜水艦を使い大西洋側のガトゥン閘門、アグアクララ閘門一帯を制圧に成功。

そこからビスマルク二世級を使い反対側のミラフロレス閘門、ココリ閘門一帯も制圧、これにより敵の太平洋への侵攻路が確立したことを意味する。

 

 

 

アメリカ海軍が足止めをするだろうと予測はできるが、早々長く続かないという見解から日本政府は以前から接触のあった後世世界の日本合衆国への学園艦を利用した大疎開計画を実施する事を決定する。

船団護衛には第五護衛群に加えて横須賀鎮守府所属の艦娘艦隊、それと後から第501統合航空師団が合流することが決定する。

 

 

 

 

 

 

 

茨城県 大洗町

 

避難者の受け入れを開始してから4時間ほどが過ぎた。

 案の定、と言うべきか、受け入れはスムーズには進んでいなかった。

 

 既に大洗港周辺の道路は自動車の海と化しており、一部では事故が発生したり、業を煮やして車を放棄し徒歩で避難を始める人がいたりと、完全にグリッドロックの様相を呈していた。

 

公共交通はどうなのかと言うと、こちらも似たような状況であった。

バスは自動車同様、流れのない道路から逃れられず、その役割をほぼ果たせない状態になっていた。

 

 

艦上からその光景を見ていたのは大洗女子学園戦車道部隊長の『西住みほ』であった。

 

みほ(なんで…なんでこんなことに……)

 

やるせない気持ちを胸に一人で抱え込んでいると…

 

「これが全てこの艦に乗るのか……」

 

みほ「ふぇ…⁈」

 

彼女の横にはいつの間に一人の男が立っていた。

日除けの帽子を被り肌は日焼けをしており、ハーフなのか目は珍しく水色の瞳をしていた。

 

みほ「あの……」

 

「ん?あぁ失礼いきなり驚かせたね」

 

みほ「いえ…」

 

「この艦の住人かい?」

 

みほ「はい」

 

「どうしてこんなところに?」

 

みほ「……なんていうか…そのいても立ってもいられなくって…何もできないって分かってるのにここに来たんです」

 

「……」

 

みほ「それで…なんでこんなことになったんだろう……って考えてたんです……今まで当たり前だったことが何にも出来なくなって…」

 

「…そうか………平和と戦争というのは紙一重…もしくは表裏一体の存在なのかもな……起こるに容易く、終わるに難しい……平和というものは案外脆いものなのかもしれんな……」

 

すると

 

「あ、あのぉ、もしかしてあんこうチームの西住みほさんですか?」

 

背後から呼びかけられ、声のする方へ顔を向けると黒髪のセミショートにセーラー服という素朴な出で立ちの少女が立っていた。

 

みほ「そ、そうですけど……?」

 

突然の質問にみほも少し緊張しながら、そう答えると……

 

「わぁ‼︎やっぱり‼︎」

 

そう言ってみほの手をギュッと掴む。

 

みほ「ひゃぁっ⁉︎」

 

「はじめまして‼︎私特型駆逐艦の吹雪です、よろしくお願いいたします!」

 

みほ「と…特型…駆逐艦……?」

 

吹雪「はい!あぁ私艦娘です。いきなり御免なさい」

 

みほ「艦娘…あっ深海棲艦と戦っているっていう」

 

吹雪「はい、そうです」

 

みほ「わぁ凄いです、私初めて会いました!でも…なんでここに?」

 

吹雪「疎開計画で私たち艦娘艦隊が自衛隊の方々と一緒に護衛をさせていただくことになったのでその挨拶に来たんです」

 

みほ「はぁ…」

 

吹雪「あんこうチームっていう人達から捜してきてって頼まれたんです」

 

みほ「えぇっ⁉︎ご、ごめんなさい…」

 

吹雪「あははwいいんですよ、みほさん」

 

みほ「そっか…ありがとう吹雪さん」

 

吹雪「それじゃあ行きましょうか」

 

みほ「はい…あれ?」

 

辺りを見回すと先程までいた男性の姿が無かった。

 

吹雪「どうかしました?」

 

みほ「さっきまでいた人が…」

 

吹雪「あれ?本当だ……」

 

結局、その人物が何者でどこに行ったのか分からず仕舞いであった。

 

 

 

 

 

 

大洗町 

 

大貫海岸 高台

 

目の前の国道には避難しようとした車で埋め尽くされその間を最低限の物だけを持って行こうとする避難民で溢れかえっていた。

 

そんな光景を高台から一人の老人が見ていた。

和装の彼らは杖を片手に時より曇天の空や海を眺めていた。

 

「菅原直道…いえ、影山貢元日本海軍大佐でありますか?」

 

影山と呼ばれた老人が振り向くとそこには先程までみほと話していた男がいた。

 

影山「はい…」

 

男が帽子をとって名乗る。

 

「日本合衆国から参りました。紺碧艦隊司令前原一征です」

 

影山はそれを聞いて前原の下へ歩み寄る。

 

影山「お待ちしておりました。前原閣下」

 

前原「はじめまして」

 

影山はベンチに腰掛けて話す。

 

影山「羅号は無事に受領されましたか…?」

 

前原「はい、確かに受け取りました」

 

影山「良かった…私はあれをいずれは訪れるその時に備えて再建していたのです」

 

前原「再建…?残っていたものではないのですか…?」

 

影山「……先代は私の親友が艦長を務めておりましてな、先の大戦で彼と共に……」

 

前原「‼︎……失礼しました……」

 

影山「いえ、もう過去のことなのですから…終戦から現在に至るまで私は名を変え潜み密かにお渡しした二代目を建造していたのです」

 

前原「その時というのが……今だと?」

 

影山「そうです。今は亡き山本長官が仰った通りヒトラーは危険極まらない人物でこの事態を引き起こした張本人です。是非貴方方のお力で奴を止めてもらいたい……!」

 

前原「影山さん、我が国の大高首相は一民族ではなく今や全ての世界での恒久平和を願っております。その為なら我々はどんな努力も惜しみません」

 

影山「……それを聞けて安心しました。この世界の我が国のように失敗を犯さないのであれば……それに私の余命のある内に羅号を貴方方に託すことができて良かった……」

 

影山は前原の方に向き直り言った。

 

影山「前原司令。くれぐれも大高閣下と山本…いや高野総長にお伝えして下さい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を頼みます

 

 

 

 

 

 

 

前原「………行って参ります」

 

敬礼をする前原に対し影山も応礼して応える。

 

 

 

 

数日後、避難民を満載した各地の学園艦はそれぞれの母港から出港する。

目指すは未知の世界………果たして何が待ち受けるのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。